麒麟児になりて   作:氷月

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15話

狼と明命は旅に出る準備をすませ曹操等にも挨拶をし今は屋敷の門の側の壁に寄りかかり、曹操が目にかけている人間が来るのを待っていた。

別にきちんと挨拶をする理由もないし、一目見れれば良かった。

曹操の誘いを断るほどだ自分が誘っても断られるだろうという判断からだ。

孫呉につく者か、それとも劉備か考えても答えはでない。

 

 

ふと一般人に紛れ強い気配を感じた。洗練されたという訳ではないがそれ相応の鍛練を行ってきたことは間違いない者だろう。

ふと狼はあることに気がついた、その者が発する気に覚えがあったからだ。

しかし、そこで疑問が生まれた。なんでだ?なんで曹操の誘いを断る?と、狼がそう思うのも無理はなかった。何故なら。

 

「まさか、愛理のことだったのかよ」

 

「なっ!?・誰ですか!わたしのま・な・・狼様!?」

 

おいおい、俺に様付けって、まさかそういうことなのか!?

曹操が目をつけていたが仕官を断られていたのは、かつて出会った司馬懿仲達、真名を交換した愛理だった。

 

 

 

 

 

 

 

今現在、狼と明命は街で一番寂れた茶屋にいる。狼達の他には幼さの残る男の子が一人だけだ。

曹操の屋敷で愛理と再会した狼は驚いた、愛理の方も驚いたこんなところで再会するとは思っても見なかったのだろう。

しかし曹操の屋敷で話をすると色々と面倒そうで茶屋で話をすることになったのだが、良い店に入り曹操と鉢合わせるのも嫌なので曹操が入らないであろう店を愛理が選んだのだ。店を選んだ愛理はと言えば曹操と話をするので遅れていた。

店に着きお茶を頼みお茶を飲む、味は良かった、が、いかんせん店が古びていた。

 

それと明命の機嫌が悪い、愛理と会ってから機嫌が悪いのだ。

理由を聞いても話してもらえず、狼には何故機嫌が悪いのかわからなかった。

そこに話を終え走ってきたであろう愛理が入ってきた。

 

「お待たせして申し訳ありません狼様!」

 

「いや、別にそれほど待ってない、と言うかなんで愛理が俺を様付けで呼ぶんだよ」

 

「私は初めて狼様に会ったあの日から、狼様の目を見たあの日から狼様に支えようと決めていました。強さと優しさと覚悟をもったあの綺麗な目を見たときから」

 

 

真剣な表情でそう語る愛理をみて狼は嬉しく思った。

 

「掵里、そんなところにいないで貴方も此方に来たらどう?」

 

愛理は狼達の他にいた唯一の客に話しかけた。どうやら知り合いだったらしい、愛理が真名で呼んでいることからして優秀であろうことはわかった。

 

「は、はじめ、はじめまして!徐庶元直でひゅ!いはい噛んだった」

 

大丈夫だろうかこの徐庶元直は、というのが狼の第一印象だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

話を聞けば徐庶は自分の幼馴染みである学友の諸葛亮と鳳統との実力の差を感じ、このままではいけないと思い私塾を飛び出し旅に出たらしい。そこで愛理と出会い一緒に旅をしてきたとのことだった。

何でも愛理が色々と話をしたらしく、なんだかとてもすごい人というイメージを持っており緊張していたらしい。その話を聞いた明命が愛理を狼のことをよくわかってる人と認識し真名を交換したようだ。機嫌もよくなり愛理と狼の話で盛り上がっている。

一方狼は烈に次いで第二の男の有名人に会えて嬉しく掵里と話をしていた。

 

「掵里は諸葛亮と鳳統程知がないかもしれないが二人より武に才があるんだろ?なら負けてないだろ。足りない物は他で補えばいいじゃないか。戦いながらまともに指揮をとれる軍師は貴重だぞ?」

 

「そうでしょうか?」

 

「自身の身を守れない戦場の上からしか指示をだせない、それは時として伝令の遅れにも繋がる。まあその逆もしかりだけどな」

 

狼の言葉を聞き掵里は考えている。

 

「まあなんにせよ早く街を出るぞ、曹操が来たら大変だからな」

 

「そうですね、急ぎましょう」

 

「はい!」

 

「ひゃわ!」

 

代金を支払って店を出る。

 

と、そこには未来の覇王様御一行が。

 

「あら、姜維まだ街にいたのね?それにしてもやっぱり貴方が司馬懿の言っていた者だったのね」

 

そう言いながらニヤリと笑う曹操、嫌な予感がするが流石に昨日の約束を反故にすることはないだろう。

 

「貴方を手にいれればおのずと司馬懿も手に入ると、ふふふ、楽しみが増えたわね」

ああやっぱり全然諦めてないよこの人、狙った獲物は逃がさないみたいなあれか?勘弁してくれよ。と狼は思った。

 

「貴方を認めるわ、今後私のことは華琳と呼びなさい」

 

「ん?いいのか?主従でもないのに」

 

ここで夏候惇が声をあげないのも気になる狼は夏候惇の方を見た。

 

「春蘭も秋蘭も貴方の事を認めているのよ」

 

「華琳さまが言われるからだからな勘違いするなよ、春蘭と呼べ!」

 

「姉者は照れているのだ気にしないでやってくれ私は秋蘭で構わない」

「じゃあ俺のことは狼で構わないからな」

 

そう言って真名を交換した狼達だった。

 

 

 

「じゃあ俺達はこれで、またな華琳、春蘭、秋蘭」

 

「ええ、私の配下になるまで元気でいなさい?」

 

「今度は負けないからな!覚えておけ!」

 

「狼程の者達が華琳さまに支えるならば何時でも歓迎する」

 

そう言って狼達、掵里も旅に着いてくことになり四人旅となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「狼様、明命から聞いた話では幽州を目指しているそうですが幽州に何かあるんですか?」

 

「いや、幽州に用がある訳じゃない、目的ついでに治安とか人を観るけどな」

 

「狼様、じゃあ何が目的なんですか?」

 

「気になります」

 

 

今後の方針について愛理が狼に聞く、狼が幽州に用があるわけではないとの言葉に明命と掵里も気になるようだ。

 

「南匈奴に行ってみようと思ってる」

 

「「え、えぇ~?!」」

 

「匈奴に行って何をなされるつもりなのですか狼様?」

 

狼の答えに明命と掵里は驚きの声をあげた。対照的に愛理は冷静に目的を訊ねた。

 

「友達でも作ろうかとな」

 

そう言ってにっこり笑う狼、その笑みから目を逸らしながら愛理は考えた。狼が言う友達、その意味を。

 

「まあ、話し込んでいても進まない」

 

そう言って狼は歩きだし他の三人も後を追った。

 

 

 

 

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