狼達が旅を再開して10日がたった。愛理が加わったことにより野宿をするとに抵抗が増した。
野宿の際に明命が狼にくっついて寝ようとしたのを引き剥がし言い争いをしたり、抗体を造るために毒のある食べていたのを怒られたりと色々あった。掵里の鍛練も始めたが気の才能は濃くなく苦戦中、だが弱音を吐かず頑張っているので大丈夫だと感じていた。
今は四人で焚き火を囲み川でとった魚を焼いていた、そこで狼が何かに気がついた。
「どうかされましたか狼様?」
「今なにか聞こえた。颯。」
愛理の言葉にそう返し何かが聞こえた方へ颯を向かわせる。
そして颯はすぐに戻ってきた。
「この森を抜けたところにある村が襲われてるみたいだ」
戻ってきた颯の報告では五十人程の賊が村を襲っているということだった。
「狼様!」
「愛理と掵里はこの場で待機、明命行くぞ!」
「「御意!」」「はい」
御意はやめてくれないかと頼んだ狼だが、その願いは叶わなかった。
狼と明命が村にたどり着くとすぐに賊をかりはじめた。
最低限の動きで迅速に、確実に仕留めていく狼達、そんな中狼の目に映ったのは一人の女の子が素手で賊に立ち向かっているところだった。その女の子の動きは荒々しく我流を思わせるものだったが振り上げたその足には気が溜まっていた。
「猛虎蹴撃!!」
放たれた気は賊を吹き飛ばした、が、女の子はその場で膝をつき倒れた。
恐らく気の枯渇、先の気弾がまだ扱えない技だったのか、多様すぎたのかはわからないが気を使いすぎてしまったことによる、本能的生命維持だろう。
その女の子に別の賊が近寄り捕らえようと手を伸ばした。
「よく頑張ったな」
そう言って狼は女の子抱き抱えた。
賊は突然現れた狼に動揺しながらも腰の剣を抜こうとしたがそれは叶わなかった。
「なっ!?俺の手が!!いたい!いだい~!!」
剣を抜こうと手を動かすと手が地に落ちたのだ。
狼は賊の横を通りすぎる際既に手を切り落としていた、賊は斬られたことに気がつかいていなかった、それほどまでに綺麗に迅速に斬ったのだ。
「うるせえ、永久に眠れ」
女の子抱き抱えた狼はそう言い放ち、脚を一閃した。
その脚からは気の斬撃が放たれ賊の首を撥ね飛ばした。ちょうどそこに明命がやって来た。
「狼様、侵入していた賊はその男で最後かと」
「わかった、明命は愛理と掵里を呼んできてくれ。俺は怪我人の治療を始める」
「御意です!」
元気に返事をし走り出す明命、狼は女の子を下ろし座らせた。
気の枯渇は狼が気を譲渡したことにより解決していた。
「危ないところをありがとうございました。私は楽進文謙といいます」
楽進文謙、魏の五将の一人だ、それならば先の気弾を放てる実力にも納得がいった。
「いや、助けられて良かったよ俺は姜維伯約だ。怪我人の治療をしたい村の人を何処かに集めてくれないか?」
「はい!わかりました!中央の広場でお待ちください!」
楽進はそう言って走りながら村人を集めに行った。
「これで大丈夫です」
「ありがとうございます、ありがとうございます!」
怪我をした子の治療おえると母親から狼はお礼を言われた。
ひどい怪我を負った人はいなかったが、死亡者が10名いた。
「お疲れ様です狼様」
「愛理もな、見た限り復興には時間は掛からなさそうだし早めに出るぞ」
「御意です」
「もう行かれてしまうのですか?」
狼と愛理の会話に楽進が残念そうな顔をしてそう言いながら近付いた。
「ああ、村長さんにも言ったが俺達に礼なら言葉だけで十分だ、他は村の復興に回してくれ」
賊に襲われ被害を受けたのに礼としてもてなすくらいなら復興に役立ててほしいと言うのが狼のきもちだった。
「そう、ですか、わかりました」
残念そうな顔をしながらも納得した楽進、だが。
「1つお願いがあります」
「俺にできることなら」
「一手お手合わせをお願いします」
狼の放った気の斬撃をみて同じく気を使う者として戦ってみたいと思ったのだ。
「わかった」
そう言って狼は腰に差した刹那を愛理に渡す。
「有効打を与えた方の勝ち、それでいいな?」
「はい!」
返事と共に腰をおとし構えをとる楽進、それにたいして自然体で構える狼。
その構えは隙だらけであったが楽進は冷静に考えていた。あれだけの斬撃を放った狼がこのような構えをしているのはおかしい、故にこれは誘いだと。だがそう考えるとどう攻めるか悩んでしまった。
仕掛けてこない楽進をみて狼は内心感心していた。
隙だらけの構えをとれば大抵の者は馬鹿にされたと感じ怒り仕掛けてくるものが大半だ。だが楽進はそれが誘いであると看破し攻め手を考えいることに感心し流石は楽進と思っていた。
「さて何時までも睨み合ってても仕方ない、来ないならこちらからいくぞ?」
先に仕掛けたのは狼だった、右足での上段蹴りそれをしゃがんで避ける、が、狼は蹴りの勢いを生かし体を捻り回転し左踵落としを放つ、楽進はそれを転がりながら回避した。
「反撃しないならどんどんいくぞ?」
回避した楽進にそう言いながら脚から気弾を放つ狼。
「くっ!」
楽進は苦しい声をあげながらも避けるが狼の追撃は続く。
このままではいけないと楽進は気弾を狼の足元に放った。
「ん?煙幕か」
足元に放った気弾により起こった砂ぼこりを煙幕に使用し体勢を立て直した楽進は狼に接近し蹴りを放つが、避けられた。だがここで攻めを止めてはまた追い込まれてしまうのは必至、ならばこのまま攻めるしかないと蹴りや拳を放つが尽くか避けられてしまった。
狼は楽進の攻撃をかわしながら見極めていた、攻撃は単調だか的確に狙って放たれているものだと思った。
「なかなか楽しめた、これはその礼だその身で受けてものにしてみせろ」
そう言い放ち楽進の左手拳を右手で流し無防備な横腹に左拳を添えた。
次の瞬間楽進は膝を着いた、何が起きたのか理解できなかった楽進、添えられた左拳から発せられた何かが自身の中で広がりその衝撃から膝をついてしまった。
「今のは、一体?」
「なに、簡単なことだ左手に纏わせた氣を流し込んだんだ。その時に氣を振動させ体を内部から攻撃した。弱めに打ったから直ぐに立てるだろ?」
狼の言葉をききながら思ったこの人に教われば私は強くなれる、だが村のみんなを、出掛けている親友を放って付いて行く訳にはいかなかった。
「ありがとうございました」
「こちらこそ楽しかったよ」
そう言って握手をかわす二人がそこにいた。