麒麟児になりて   作:氷月

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1話

狼side

 

三国時代の世界に転生してから10年がたった。

まあ色々なことがあった。

まずこの世界の俺は姓は姜、名が維、字が伯約、真名を狼(ラン)。

あの姜維伯約になったわけだ。天水の麒麟児とよばれ魏から蜀にわたり戦った人物。

 

ああ、真名というのは本人の許可無く呼べば、殺されても文句を言えないほど大切な名のことである。

 

んで親父はいない5年前戦死した。

それからはお袋が1人で育ててくれた。

 

今では俺も山で猪やらを狩ったりしている。

二人目のお袋は体が弱くなかった。

 

名は姜華静奈(セイナ)、真名は水仙。背はさほど高くないがスラッとした体型、厳しくも優しい自慢のお袋だ。

 

今俺は木の上で寝転がっている。

なぜかと言えば……

 

「コラー!狼!アンタ、またこんなところでさぼってんじゃないわよ!」

 

……見つかっちまったか。

 

「詠、別に俺のことは気にしなくていいって言ってるだろ」

 

「そんなわけにはいかないでしょ!」

 

俺をどなる緑色の髪で眼鏡をかけた少女、名を賈ク文和、真名を詠という。

 

詠が賈クだと聞いたときは驚いたな、なぜに女の子!?と。

 

詠の母親、賈李雀羅(サクラ)、真名は楓、身長はお袋よりは低いけどまあ、むねがお袋よりあるかな?

楓さんはお袋の友人で親友らしい。

 

「全く、そんなに抜け出さなくったっていいでしょ?」

 

まったくといった風の詠にいう。

 

「俺が居ない方が他のやつもやりやすいだろ?」

 

そう俺は私塾を抜け出して木の上で寝ていた。

 

「天水の麒麟児と呼ばれるアンタがそんなんでどうするのよ」

 

「それは勝手に周りが呼んでるだけだろ?」

 

俺が天水の麒麟児とよばれる理由はその武と智、そして深紅の瞳のせいだ。

そのせいでさんざん馬鹿にされた、気にしてはいないが面倒だった。

 

それに渚(仮)との約束もある、なんにせよ動き始めなくてはいけない。

俺と詠、姜維と賈クが幼なじみの筈がないこの世界は史実とは似て非なる世界。

 

武も前世の半分くらいにはなった、これならそうそう遅れはとらない。

今から旅に出て世の中を、人物を見る必要がある。

 

そう思いながら木の上から降りる。

 

「さっさと戻るわよ!」

 

「いや、今日は帰る」

 

「アンタね~!」

 

俺の答えに肩を震わせ怒っている詠、だけど私塾に行く気はない。

 

「そんなに怒るなよ詠、そうだ今日は俺の家に飯食いにこいよ、そうと決まれば猪でも狩に行くか、じゃそう言うわけで」

 

そう言って走り出す。後ろから詠が叫んでいるが気にせずに。

 

狼sideout

 

詠side

 

ボクの名前は賈ク文和、真名は詠。

 

今、お母さんの親友の水仙さんの一人息子で幼なじみの狼を探している。

アイツまた私塾を抜け出して、探すボクの身にもなりなさいよ!

 

狼は武も智もあり、幼少の頃から天水の麒麟児とよばれていた。

そして麒麟児と呼ばれるもう一つの理由はその深紅の瞳。

 

本人はなにを言われても知らん顔だが、ただ一つ母親の水仙さんの悪口を言われると怒る。

暫くして木の上で寝転がっている狼を見つけた。

またこんなところで、そう思いながら木上で寝転がっている狼にこえをかけた。

 

「コラー!狼!アンタまたこんなところでさぼってんじゃないわよ!」

 

ボクの声に反応して狼は身体をおこした。

 

「詠、別に俺のことは気にしなくていいっていってるだろ?」

 

「そんなわけにはいかないでしょ!」

 

そんなわけにわいかない、何のために来たと思ってるのよ。

 

「全く、そんなに抜け出さなくったっていいでしょ?」

 

「俺が居ない方が他のやつもやりやすいだろ?」

 

っ!確かに狼の事をからかい始めると五月蝿いのは確か。でもボクは狼が居ないと退屈だ。

張り合う相手が居ない。

 

「天水の麒麟児とよばれるアンタがそんなんでどうするのよ」

 

「それは勝手に周りが呼んでるだけだろ?」

 

はぁ、とりあえず連れて帰ろう。

それがいいわ。

そう考えていると狼が降りてきた。

 

「さっさと戻るわよ!」

 

「いや、今日は帰る」

 

「アンタね~!」

 

こいつはなにいってるのかしら?

肩を震わせ怒っているボクを見て狼が話しかけてきた。

 

「そんなに怒るなよ詠。そうだ今日は俺の家に飯食いに来いよ。そうと決まれば猪でも狩に行くかな。じゃそう言うわけで」

 

そう言って走り出す狼、って!

 

「コラーまちなさ~い!」

 

そう叫ぶボクの声は走っていく狼には届かなかった。

 

詠sideout

 

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