麒麟児になりて   作:氷月

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22話

陸縁と別れから3ヶ月、狼達は天水を目指し旅を続け今は雍州にいた。

その間羌瘣とは少しづつコミュニケーションをとり、口調は変わらないものの、当初に比べ話すようになっていた。羌瘣は武もさることながら知も持ち合わせ、賊を討伐する際その腕を発揮した。

羌瘣は真名を持っていなかった、そう言った風習がない一族だったらしく狼達から真名を受ける事を拒んだのだが、認めた相手なら問題ないと狼達が言ったため、今では狼達四人は真名で呼ぶようになっている。

 

「狼」

 

「なんだ?羌瘣」

 

狼に羌瘣が話しかけた。とはいっても二人は今手合わせの真っ最中である。

 

「3ヶ月の間、私は狼達を見定めてきた。」

 

「そうか。それで?俺達は羌瘣のおめがねにかかったのか、な!」

 

「……」

 

狼は話をしながらも気を間嫌わせることなく羌瘣に鋭い一振り羌瘣に放ち、羌瘣も予想していたのか後方へ引き二人に距離ができる。

 

「ああ、禅于を負かしたことから判っていたが、武に秀で知を持ち、何より他者に優しい。」

 

襲われた村等で怪我人を治したり、賊を討伐したりといったことからの羌瘣の判断であった。

 

「そして真名を持たぬ私に真名を預けた。」

 

「半ば強引だったがな」

 

二人は構えをとる。狼は居合いの構えを、羌瘣は独特の構えを。

 

「だからこそ」

 

そう言って動いたの羌瘣、羌瘣はスピードタイプその動きは明命に並ぶだろう。

背後に回りながら一閃、しかし、狼は素早く反転し刹那を抜刀し羌瘣の持つ剣を巻き込むように絡め弾き飛ばした。

 

「私の目的を話す」

 

そう言った羌瘣の手には剣が握られておらず離れた場所に突き刺さっていた。

 

 

 

 

 

 

山中で見つけた小屋を宿がわりにして5人は卓を囲み食事を済ませ終わったあと、羌瘣は自身のこれまでと目的について話始めた。

 

 

 

 

 

 

 

※羌瘣のことはキングダムを読んでください。

 

 

 

 

 

 

「「「「「………………」」」」」

 

羌瘣の話が終わった。

その壮絶な過去を知り、羌瘣の目的、覚悟を聞き沈黙した。羌瘣も黙ったままだった。

 

 

狼は羌瘣の復讐に手を貸すことに反対ではなかった。だが復讐を終えたとき、生きる意味を無くしてしまうのではないかと心配していた。

 

愛理は羌瘣の復讐に手を貸した時にもたらされるメリットとデメリットについてを考えていた。

 

明命は自分とは違うものの家族を失ったもの同士思うところがあった。

 

掵里は祭を想像し、想像しすぎた結果顔が蒼白くなっており俯いたままだ。

 

羌瘣はこのまま行動を共にするべきではないのではないかと思っていた。この3ヶ月の間で、只ひたすらに復讐だけを目指し生きていた中で忘れかけた楽しいという感情が呼び起こされていた。だがこのまま行動を共にしてしまえば復讐心が薄れてしまうのではないかと不安になったのだ。

 

 

そんな中沈黙を破ったのは狼だった。

 

「羌瘣俺は復讐をとめるつもりはない、出来ることなら俺は手伝ってやるつもりだ。だが復讐を終えたあとはどうするつもりなんだ?」

 

「……」

 

狼の質問に対して羌瘣は口を開かなかった。

正確には答えることができなかった。復讐を終えたあと?復讐だけを考えてきた羌瘣にとってそんなことは考えてもいなかったからだ。

 

「前にも言ったことだが、この国は時機に崩れる。そして帝になるべく幾人かの人物が王となり国を作り、他国を滅ぼす戦いが始まる。その時、俺も1人の王として戦いに身を投じるつもりだ。もし、羌瘣さえよければ復讐を終えてからで構わない、共に戦ってはもらえないか?」

 

 

「……」

 

「勿論すぐに答えを出さなくてもいい。復讐を終えた時でも構わない。」

 

「わかった」

 

 

狼の提案に羌瘣は頷いき、話しは終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、狼達は天水付近までやって来ていた。

 

 

 

此れから義勇軍を組織するにしても齢15程の小僧の言葉に誰が耳を傾けるか、ましてや国が滅ぶなど言えば反逆者扱いで極刑だろう。

 

「狼様、天水には里帰り、と言うわけではないのですね」 

 

愛理は狼に訊ねる。天水に行くとは聞いていたものの、その目的を聞いていなかったからだ。

 

「当然だな。暫く天水を拠点にし動くつもりだ。」

 

狼は自身のいた街を拠点とし兵を集め、同時に各勢力の情報と羌瘣の姉の仇の情報を集めていこうと考えていた。

 

「狼様の育ったところですか、楽しみです!」

 

「き、緊張してきまひた!」

 

「落ち着きなさい明命、掵里は深呼吸。」

 

明命は狼の故郷に行くと知ってからウキウキで跳ねている。掵里は狼を育てた母親に会うと知ってからドキドキで緊張していた。

その二人に愛理が深呼吸を促し二人揃って深呼吸をしていた。

その光景に狼は笑みを浮かべた。

 

「狼」

 

「羌瘣?」

 

不意に羌瘣に呼ばれ狼は羌瘣の方を向く。

すると羌瘣は前方を指差した。

 

「煙だ」

 

「!!」

 

羌瘣が発した言葉に驚き直ぐ様羌瘣の指差す方向を見ると天水の方角から煙が上がっていた。

 

「狼様!」

 

「先に行く!何があるかわからない、明命、愛理、掵里は離れないような速度で来てくれ!すまん羌瘣来てくれ!」 

 

「「「御意!」」」「わかった」

 

そして各自走り出した。

 

「頼むから無事で居てくれお袋!」

 

狼はそう言いながら天水へと急いだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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