天水へとたどり着いた狼達が見たものは荒れ果てた天水だった。
「…………何だよこれは」
「……狼」
狼は目の前の光景が信じられなかった。
天水は小さい街ながら自衛団をつくり、その練度はそこそこのものであった。それ故にそこいらの賊風情が相手になるとは思えなかったからだ。
「今、賊に襲われている訳じゃ無さそうだな」
「……だな、時間はたっていなさそうだが」
二人は辺りを見渡したが、賊の姿が見えなかった。しかし、数件の家屋から火の手が上がっていた。
「ピューイ!」
上空を飛ぶ颯が声を発した。
「中心部の広場に人が集まってるらしい。」
「わかった」
二人は急ぎ中心部にある広場へと向かった。
中心部の広場には100人程の人が集まっていた。
怪我の手当て等を行っていた。
「誰だ!」
狼と羌瘣に気がついた一人が声をあげた。
「俺は「狼!!」!」
狼が名乗ろうとしたとき人を掻き分けながら狼の名を呼び1人の女性が前に出てきた。そして狼へと駆け寄り抱きついた。
「大きくなったわね狼」
「お袋、無事でよかった」
狼に抱きついたのは他でもない、母、水仙だった。
それを見ていた回りの人達が騒ぎだした。
「姜華さんとこの息子って」
「ああ!姜維だ!」
「麒麟児が帰ってきたぞ!」
水仙が抱きつき名を呼んだことから狼が誰だかわかったようだ。再会も程ほどに狼が水仙に聞いた。
「お袋、教えてれ。天水で何があったんだ?」
「ここ最近近くの山に根城を作った山賊がいるの」
「だからって、高々山賊ごとき天水の自衛団が負けるなんて」
狼の言葉に水仙は頷くが、そのあとに「でも」と繋げた。
「奴等の頭で、閻鬼と名乗る男がいて、山に罠を仕掛けていたの。自衛団の多くがそれに掛かってしまって」
「壊滅状態、と」
水仙は頷いた。自衛団を壊滅させた閻鬼という男がどういうやつかは知らないがやってくれる。狼はそう思った。
自衛団の強さを認識したうえで厄介だから罠にはめた。当然と言えば当然のことだ。
「それで、今さっきまで襲われていたって訳か、だけどどうやって退けたんだ?戦える者なんてそういない筈なのに」
自衛団以外の住民は戦闘力はほぼ皆無、水仙もある程度弓を使えたはずだがそれだけで賊が逃げるとは思えなかった。
「それはあの子のお陰よ」
そう言って水仙が指差す方向をみると青い髪をした槍を持った女性がいた。
歳は狼と同じか1つか2つ程度しか変わらないといったところだ。女性は狼に近づいてきた。
「貴殿が姜維伯約か?」
「ああ、俺が姜維だ。誰だかはわからないが天水を守ってくれたこと感謝する。」
「礼には及ばない当然のことしたまで、名乗るのが遅れたが、私は趙雲、字を子龍という」
常山の登り龍、趙雲子龍、公孫賛から劉備主君を移し五虎将軍の一人である。
「まさか常山の登り龍殿とは」
「ほう、私をご存じか」
「ええ、その武勇私の耳にも届いています。」
狼の話を聞き趙雲は笑みをこぼした。
「私もそれなりに有名になったということか。それはそうと姜維殿、口調は気になさらなくて結構ですぞ?」
狼が丁寧な口調で話していることに気がついた趙雲はそう言った。
「わかった。それで趙雲殿は「趙雲で結構」趙雲は何んで天水に?」
「いやなに、姜維殿が私を知っていたように、私も姜維殿を知っていたということですよ」
「……俺と手合わせしたい?と言うことでいいのか?」
「よくおわかりで」
狼の言葉を聞き口に手を当て趙雲は小さく笑った。
「ですが、とてもそんな状況ではないですな」
趙雲は真剣な表情をしてそう言った。
賊に襲われた後のこの状況で呑気に手合わせなどしている暇などあるはずがなかった。
「ああ、すまない趙雲。お袋、怪我人の手当てをするし連れていってくれ、その時に賊の情報を教えて」
「わかったわ。それと怪我人なのだけれど、偶々旅のお医者さんが来ていてその人が観てくれているわ。」
「わかった。俺も手伝う。羌瘣悪いが愛理達と合流して連れてきてくれないか?」
「わかった」
「お袋、案内よろしく」
狼は水仙の案内のもと怪我人のもとへと向かった。
怪我人のもとにたどり着いた狼が見たのは多くの怪我人のだった。怪我の程度は様々だがこの場にいるだけで40人と言ったところだろう。
狼は拳を握りながらも心を落ち着かせた。
そこで目にはいった若い医者とおもわれる男がいた。そして狼はその男に見覚えがあった。
「華陀!」
「おお!姜維か!」
その男は以前明命が毒を負った際、助けてもらったことのある華陀であった。
「旅の医者って言うのは華陀のことだったのか」
「ああ、姜維に会うつもりで天水に来たんだが、賊が襲ってきてな」
「そうだったのか、と、今はそんな場合じゃない華陀俺も手伝うぞ」
「ああ、わかった!先にそっちの患者を頼む!」
二人は怪我人の治療を始めた。
治療も一段落し今は狼の実家に集まっている。
狼の家は町外れにあり、中を荒らされてはいたものの大した被害を受けていなかった。
「華陀は何で俺に会いに来たんだ?」
「以前姜維が言ったこと覚えているか?」
「ああ、勿論」
「俺はあの後色んな場所で治療をしてきた。そのなかで賊に捕まっていた医者がいたんだ。その医者は捕らわれ脅されて賊の治療をさせられていたらしい。その賊が討伐されて保護された時に俺が怪我を見たんだがその時にその人は泣きながら言ったんだ。「俺は取り返しのつかないことをした。遺族や死んだ人になんと謝ればいいんだ」ってな、その後日死んだ人の遺族が医者に泣きついたよ「息子は貴方に殺されたも当然よ!息子を返して!」それを聞いて姜維の言葉の意味がわかった。善と悪治すべき相手は確かに選ばなければならない時もあるってな。まあその時の医者の状況は難しいものがあったのは事実だがな。」
華陀はそう話した。
その医者は自身の命が掛かってしまい、嫌々ながら賊を治療したのだろう。その後になり後悔したはずだ。自分が死んでいればこんな被害が出なかったのではないかと。
「そう言えばご老人は元気にされているのか?」
狼の質問に華陀は首を降った。
「昨年天命で亡くなられた」
「……そうか、もう一度お礼を言いたかったんだがな」
「お会いしたかったのです」
明命も悲しそうに顔を伏せた。
「師匠の話はここまでだ。姜維これからどうするんだ?」
場が暗くなり華陀が話を切り替えた。
皆の視線が狼に集まる。
「どうもこうもない、報いは受けてもらうさ、その身を持ってな」
狼はそう言って、賊を討伐するために今持ち得る情報を整理し始めたのだった。
あー原作書きたいな~(´・ω・`)
書きたいな~(´・ω・`)
書きた
書き
書
まだ書きません!!