水仙の話しによれば山賊は200程度で、今回は自衛団がいないと判っていたため50程度で襲ってきたとのこと。だがそこに趙雲が現れ自分達では勝てないとわかると直ぐ様逃げていったのだと言う。
「恐らく次はもっと多い人数で来るだろうな」
「そうですね」
「なに、賊がいくら集まったところで我が槍の敵ではありません」
華陀の言葉に愛理が同意見だと頷いた。しかしそんな二人に趙雲は問題ないと言う。
しかし、狼からしてみれば前提から違う話であった。
「まあ、それは攻め滅ぼしにくればの話しだろ?」
「もしかして狼様は攻めてこないと?」
狼は掵里の言葉に頷き自分の考えを話し始める。
「滅ぼしには、な、閻鬼とか言うやつは恐らく趙雲が加わったことにより、天水が反撃の力を得たと考える筈だ」
「そうなると、また山に籠り攻めて来るのを待つと言うこと?」
「いやお袋、それだとあまり意味がない。だから恐らく今度は70か80程度で攻めて来て、ある程度したら逃げる。そうなると此方としては賊を追い返したと、このまま一掃出来る!って気持ちになるだろ?だからわざと追いかけさせるように仕向けてくると思うんだ」
「深読みしすぎではないでしょうか?」
狼の話しに明命が考えすぎではないかという。確かに明命の言うこともあり得る話しである。
だが、賊に罠を仕掛け天水の自衛団を潰すだけの頭脳、頭である閻鬼と名乗る男がいるのであれば話しは変わってくるのだ。
「いや、そうでもない」
「そうですね羌瘣。明命、賊の多くはは弱い村なんかを狙って襲撃するわ、でも今回の賊は態々自衛団のいる天水を襲撃した。それは勝算あってのことだったのよ」
「そうなると、狼様はどうお考えなんですか?」
明命に羌瘣がそう言い、愛理が訳を説明した。
そこで掵里は狼にどうするつもりなのか、策があるのかたずねた。
「戦える者が殆どいないこの状況で取る行動は限られる。俺が考えているのは2つ、1つは相手の策に乗った上で叩き潰す」
「ですが、山の罠がどれだけ有るかもわからない状態でそれは」
「ああ、勿論わかってる。だから2つめは人数を割る。天水の防衛組と敵地強襲組に別れ挟撃する」
狼の提案に皆沈黙する。
それはそうだ。この状況で人数を割って行動すると言うことは、強襲組は100以上の賊の中に数人で突貫すると言う意味に他ならないからだ。
「き、きけんしゅぎましゅ!!」
「そうだぞ!姜維!」
掵里と華陀が反論の声をあげた。
「落ち着きなさい掵里、華陀。狼様、2つ目の案の場合、誰を強襲組にされるのですか?」
「俺と、明命、だな」
反論の声をあげた二人を制し冷静に愛理が狼に聞き、狼は皆を見てから答えた。
「その理由をお聞きしてもよろしいですか?」
「そうね、私も聞きたいわ」
愛理は狼の答えを聞き一度口に手を当てたあと狼にその理由を聞いた。そしてそれに水仙も賛同する。
「まず趙雲は槍を使うだろ?この近くの山は木々の生えている間隔が狭い、それ故に槍の扱いに支障をきたすと判断し除外。次に愛理は指揮をとってもらわなくちゃならないから除外。掵里は隠密経験が無いため除外。まあ羌瘣でもいいんだが明命の方が慣れてるからな。それに俺と明命、羌瘣以外は木上を移動できないしな」
愛理はまた口に手を当て思考する。
その思考の間に明命がふと思ったことを狼に聞いた。
「狼様、何故木上を移動されるのですか?」
「なに、少し相手の罠に手伝ってもらおうと思っているだけだよ」
「どういうわけですかな?」
明命の質問に狼が答え、その理由を趙雲は理解できず狼にたずねた。そこで狼の言葉を聞き目的を理解した愛理が代わりに説明を始めた。
「狼様の策は、天水に攻めてきた賊には極力、できる限り逃げ出さない程度に防戦し、その間に狼様と明命が敵地を強襲、敵地に混乱を起こし混乱した賊を仲間と合流させるように誘導し山を下山させる。その途中で自身達の仕掛けた罠に飛び込むようにさせその数を削る。そして残った賊と天水を襲撃した賊が合流したところで殲滅する。と言うことで宜しかったですか?」
「ああ、その通り流石愛理だな」
「いえ///」
自身の説明で合っているか狼に確めた愛理に、狼は笑顔で愛理に頷いて誉めると愛理は少し顔を少し紅くさせた。
「そう言うわけだ。俺と明命は強襲組として相手に混乱をまねく。残りの皆は天水を死守、加えてなるだけ時間稼ぎを頼む」
「ふむ、私としては強襲組に混ざりたいとこですが、この状況下で我が儘を言うほど馬鹿ではありませぬからな、その役お受けいたしましたぞ」
「が、が、が、が、が、がんばりまひゅ!!」
「わかった」
「御意」
「御意なのです!」
「はぁ、わかった。俺もできるか限りのことをしよう」
狼が皆の役割を指示し皆はそれに納得した。
それを見ていた水仙が笑みを溢したあと上を見ながら呟いた。
「ふふ、貴方、私達の息子はこんなにも逞しく育っていますよ」
翌日早朝、天水の中心部の広場に住民達を集め、狼は行う策について説明した。
「今話した通り俺達は今から山に入る。だけど全て俺のいった通りになるとは限らない。もしもの時は皆にも武器を持ってもらわなければならないかもしれない」
その言葉にあたりがざわめいた。
「俺達は自身の武に自信を持っているのは確かだ。だけどそれは絶対じゃない、疲れもあれば予期せぬ事が起きるかもしれない。それにこれは天水の今後を賭けた戦いだ!自分達の明日を人任せにするのか?皆はこれから賊の言いなりになって生きていくつもりなのか?散々使われて苦しい思いがしたいのか?皆の選択肢は2つ、永遠に服従するか、今抗うかだ!」
その言葉に皆は互いに目を合わせ頷いている。
男は言う。
「ここは俺たちの街だ!」
「賊の好きになんかさせてたまるかってんだ!」
「服従なんて真っ平よ!」
「そうだ!」
「「「「「「「「「だから!今抗おう!!!!」」」」」」」」」
そう住民達が声をあげた。
「明命行くぞ」
「御意!」
「狼!」
天水を出ようとした狼と明命、そこに水仙がやって来て狼呼んだ。
「お袋」
「無事帰ってくるのよ?」
「わかってるさ、天水の麒麟児は、貴方の息子はこんなところで死なないよ」
そう言って狼は水仙と抱擁をかわす。
「明命ちゃんも気を付けてね」
「はい!義母様もお気をつけて」
明命も元気に返事を返した。何か違う気がしてならない狼ではあったが急がなくてはならないため放置した。
そして今、天水の反撃が始まる。
活動報告にてアンケート実施中期限は次話投稿までとさせていただきたいと思っております。m(__)m