ご指摘頂いた誤字脱字のとは少しづつ訂正していけたらと思っていますのでご容赦くださいm(__)m
ご質問頂いた徐庶の真名ですが「はばり」と読みます。
中々更新ペースはあがらないかも知れませんがよろしくお願いいたしますm(__)m
天水へ戻ると狩った猪は捌かれ干し肉にし保存されたり、鍋にして街の広場で振る舞われた。
広場に集まり猪鍋を食べながらワイワイと騒ぐ片隅に狼はいた。
狩りの時に逃げ出した者達は狼、明命、羌瘣がそれぞれ始末した。
「狼様」
「愛理かどうした?」
「いえ、1人このような片隅でどうされたのかと」
「これからどうするか考えてたんだ。天水の復興をしなきゃいけないが活動を再開したい気持ちもある。羌瘣にだって目的がある。いつまでも手伝ってもらうわけにはいかない。」
「そうですね。義遊軍を立ちあげるにしても支援者を探さなければなりませんし、兵も集めなければなりません。」
天水を拠点に行動するつもりだった狼。だが今の天水の状態ではそれは難しかった。そんなことを考えていた狼だったが皆に呼ばれたのでそちらへと歩き出す。
「まあ、暫くは天水の復興を優先しながら考えていくしかないか」
「はい」
結局具体的な方針は決まらぬまま狼と愛理も騒ぎのなかに入っていった。
「では、狼殿達もお元気で」
「ああ、星も元気でな。羌瘣、すまないもっと力になってやりたかったんだが」
「いや、大丈夫だ。」
お祭り騒ぎから3日がたった日の朝。羌瘣と星が旅に出ることになった。因みにあの戦いのあとに狼達は星、それと烈と真名を交換した。
「それではまた何処かで」
「ああ、またな」
「ん、またな」
そういって2人は旅立っていった。
「さて、狼。貴方は今一度旅に出なさい。」
「……何を言い出すんだよお袋。」
羌瘣と星を送り出し1週間がたった頃、水仙は狼に突然そう話をきりだした。
「貴方は自分が旅に出るときに言った答えをみつけたの?」
「…」
自身で独立した勢力を立ち上げるのか、それとも今ある勢力に支えるか、それはまだ狼の中で完全に決まってはいなかった。支える候補がいないわけではないが、支えたいというほどでもなかった。
「まだのようね。確かに縁に恵まれ友を多く作ったようだけれども、肝心なところが決まっていないのであれば旅を続けなさい。天水の復興もそれなりに進んでいるし大丈夫よ、貴方は貴方の成すことをなさい」
「…」
水仙にそう言われ悩む狼。
そんなとき明命が慌ててやってきた。
「狼様大変です!」
「明命どうした?」
「ええっと!ともかく広場へ!」
明命に言われ狼は広場へと向かった。そこには沢山の資材が積まれていた。
「いったい誰が」
「おお!姜維君!」
狼が不思議がっていると聞き覚えのある声が狼の名を呼んだ。
「田間(でんま)さん!もしかしてこれはあなたが?」
田間は狼が旅をしている最中に助けたことのあった商人の1人だった。そんな狼の問いかけに田間は笑って答えた。
「ああ、商人仲間に天水が大変だと聞いてね。少しでも力になれればと思ってきたんだよ。」
「しかし、これだけの資材を」
「姜維君、君は私達家族の命の恩人だ。君は気にしないでほしいと言ってくれたが、私としては少しでも恩返ししたいのだよ。」
田間はそういって笑った。
「田間さん、ありがとうございます。」
「ははは、気にせんでくれ。それにそう思ってるのは私だけじゃないんだ」
「え?」
「よう!姜維!」
「姜維さん!」
田間にそう言われた狼の周りにぞろぞろと資材や食料を持って集まる人達、それは田間と同じく以前に狼が助けたことのある人たちだった。
「皆さん、本当にありがとうごさいます」
「やめてくれやめてくれ!俺らは姜維が助けてくれなきゃこの世にいなかったんだ!」
「そうですよ!こんなことじゃとても返せない恩があるんです!」
「困ったときはお互い様だと言ったのは姜維君じゃないか」
狼の言葉にたいして皆笑ってそう言ってくれた。
狼はその日の夜旅に出ることを皆に話した。
最初は自分も着いていくと皆言ったのだが、狼が説得し狼が1人で旅、愛理達は天水を拠点にし行動するという話でおさまった。
「田間さん達が支援してくれると言ったときは驚いたけど助かったな」
「はい。私達はこれから天水を拠点として、義遊軍を募れます。」
「ああ。俺が戻るまでの間のことは愛理に任せる。出来る限りで構わないから多方面の情報も集めてくれ。」
「御意!」
「明命、経験はなくて大変だと思うが、残党達の調練は頼んだ。逃走する者は容赦しなくていい。」
「御意です!精一杯頑張ります!」
「掵里は2人の補助を頼む。」
「ぎ、御意でひゅ!」
「…烈はどうするんだ?」
3人に指示を与え狼ほ烈にこれからどうするかをたずねた。
「…狼の義遊軍の医師として参加させてもらえないか?」
「俺としては嬉しいがいいのか?」
狼の問いに義遊軍への参加を希望した烈。狼からすると烈の参加は望ましいが旅をしながら各地で治療を行っていくものだと予想していた。
「ああ、俺は狼に着いていく。そう決めたんだ。」
「…わかった。よろしく頼む」
「ああ!こちらこそよろしく頼む」
こうして烈の参入が決まった。
翌日の朝、天水の門の前まで皆が見送りに来てくれていた。
「狼様くれぐれも無茶はしないでくださいね」
「そうなのです!」
「です!」
愛理、明命、掵里は昨日からそればかり狼に言い続けていた。
「わかったって言ってるだろ?じゃあ行ってくる。天水のことは任せた」
「「「御意!」」」
「任せろ!」
「気をつけるのよ狼」
「お袋もまた会うときまで元気でな」
挨拶を済ませ狼は歩き始めた。自身の考えの答えを探すために。