麒麟児になりて   作:氷月

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3話

詠side

 

狼に碁で勝負を持ち方かけて賭けをした。

 

そして、ボクは負けた。

 

狼を引き止められなかった。

 

悔しかった、何より悲しかった。

 

悲しい?何を考えているのよ。

 

月に支える人材を確保出来なかったことが悲しい?

 

そんな言葉はおかしい。

 

じゃあ何が・・・

 

自問自答していてようやく気がついた。

 

悲しいのは狼と会えなくなるから、側から居なくなってしまうから。

 

今までそこにあったものがなくなってしまうから。

 

気がついた、気づいてしまった。

 

認めてしまえ。認めて何が変わるわけじゃない。

 

「負けたんだから文句はいわない、何処にでも行っちゃいなさいよ!」

 

そう言って狼の家を飛び出した。

 

 

 

 

情けないわね、負けて悔しくて飛び出したんじゃなくて、悲しくて泣いたのを見られたくなかったからなんて。

 

きっとあの口ぶりだと、明日にでも旅にでるつもりだ。

 

ボクはどうしたらいいんだろう。

見送りに行ったところで結果はかわらない。

見送りに行って泣くくらいなら、いっそ行かない方がいいかもしれない。

 

そんなことを考えて歩いてるうちに私塾の宿舎についた。

考えがまとまらない。

どうしたらいいのかわからない。

 

そんな状態で布団にはいる。

 

布団にはいると急に涙がでてきた。

 

「なん、で、きゅうに、こんな」

 

涙は一向に止まらない。暫く泣いていると今度は眠くなってきた。

 

ボクは眠気に勝てず目を閉じて眠りに落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

朝、早くに目が覚めた、まだ外はうっすらと明るい程度。

 

「随分早く起きちゃったみたいね。」

 

身体を起こし隣をみると見知らぬ箱が置いてあった。

 

「なによこれ?」

 

その箱を開けると見知った物が入っていた。

 

「これって狼の・・」

 

狼の小刀だった。狼の主な武器は細身の片刃の剣、それとは別に持っていたのがこの小刀だった。

確か銘は・・・

 

「・・月詠」

 

その月詠の入っていた箱の蓋の内側に文字が書いてあった。

 

[詠、なんだか泣かしちまったみたいだな。だけど何も今生の別れって訳じゃないんだから泣かないでくれよ。また帰ってくるからよ。その証しに月詠を預けてく、大切に扱ってくれよな大事なもんだから。その月詠が詠と月を護ってくれるはずだ、だからまた会う日まで元気でな。]

 

「・・バカ、挨拶くらいしていきなさいよ」

 

そう言いながらもボクの気は晴れていた。

狼は自分の目標に向かって歩きだした。ボクも負けてられないわね

「ボクは月を支える!誰にも負けない軍師になる!」

 

そう強く心に決めた、強く誓った。

狼に伝わるように月詠を強く強く胸に抱いて。

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