麒麟児になりて   作:氷月

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少し区切りが中途半端ですがどうぞ。


8話

夜の森を狼は少女を抱え走りながら。

狼は少し焦っていた。傷なら自分の治癒功で直せるが毒の治療はできないのだ。狼自身毒への耐性をつけているため解毒の知識に疎かった。

しかしその症状に狼は心当たりがあった夏虫冬草(実在しませんたぶん)冬虫夏草によく似た植物でその根には毒があり高熱、目眩、吐き気といった症状がでる。

少女の症状はまさにそれだった。

 

「こんなことなら解毒の方法も勉強するべきだった」

 

そんな愚痴をこぼす狼の前方に火の明かりが見えた。

目を凝らすと老人と男の子供が焚き火をしているのが見えた。

 

「自分が知らななら他人に聞くしかないよな」

 

そう言いながら前方の二人組のところまで急いだ。

 

 

 

 

 

「突然すみません!夏虫冬草の解毒の方法をしりませんか?」

 

その場につくなり狼は二人組のうちの老人に向かってたずねた。

最初は驚いた二人組だが狼が抱えている少女を見て状況を把握したようだ。

 

「ふむ、夏虫冬草か烈、お前がやってみなさい」

 

老人は顎の髭を触りながら隣の赤い髪の男の子に向かってそう言った

 

「わかった。」

 

老人に一言われ立ち上がり懐から1本の針を取り出し。

 

「針?」

 

「左様、わしら五斗米道を扱う者は針で治療を行うのじゃ。」

 

五斗米道・・・・まあ医術関係だ。

 

「ここじゃない、ここでもない、」

 

赤い髪の男の子は少女をみながらぶつぶつと何かを言っている

正直あれが大人なら変態だ。

 

「ここだ!!」

 

少年はある一点を見つめ針を振り上げる。

 

「ご老人、あれは大丈夫なんですか?」

 

「烈は少し熱い子じゃが大丈夫じゃ」

 

流石に不安を覚えた狼が老人に聞くが、大丈夫だと言うので黙って見ている、

 

「いくぞ~!五斗米道~!」

 

男の子の針先に氣が集中しているのが見えた狼はその氣で何をしようとしているのかわからなかった。

そんな狼をよそに男の子は気合いの掛け声と共に針を少女の腹部に刺した。

すると徐々に少女の呼吸は落ち着き表情も楽になっていった。

 

「まさか氣で毒を殺したのか?」

 

「ほう、その通りじゃ。よくわかったのぅ」

 

狼にはそうでわないかという考えがあっただけで確証があったわけでわなかった。

 

「自分も氣を使えるのでもしかしたらと思っただけです」

 

「その歳で氣を使えるだけで大したものじゃよ」

 

ふぉっふぉっふぉっと笑う老人、そこに治療?終えた男の子が近よってきた。

 

「もうあの娘は大丈夫なのか?」

 

「ああ、もう大丈夫だ。体内の毒の元凶を滅した」

 

「なんじゃお主その娘の知り合いじゃないのか?」

 

老人の質問にたいし狼事情を説明した。

そうすると、老人は顔をしかめた。

 

「なるほどのう、ならば失敗したわい」

 

「どういうことです?」

 

「わしらは丁度先日劉表に呼ばれてあやつの病を観に行ったんじゃよ。そんなやつじゃと判っとれば治すんじゃなかったわい」

 

そう言って老人は申し訳なさそうに眠っている少女の頭を撫でた。

 

「しかし師匠、俺達医者は人を治すのが使命です!病人がいたら治すのが当たり前です!」

 

「烈、それは「ちがう!」・・」

 

男の子言葉に老人が反論しようとしたが、そこに狼がわってはいつた。

「お前は間違ってる。お前は医者は人を治すのが使命だと言った。じゃお前が治療した賊がまた民を殺したときお前はどうする?殺された民を生き返らせるのか?その肉親の怒りを悲しみをお前は受け止められるのか?答えは不可能だ!!死んだものは生き返らない!残された肉親の怒りと悲しみ、心の傷は消えたりはしない!お前が助けた命が多くの命を奪う可能性があるんだ!それを理解できないならお前に医者を名乗る資格なんてない!」

 

珍しく声をあげ激しく怒鳴る狼、前世の職業上、世界の汚れた部分に関わってきた狼は、そういうところを嫌というほど知っていた。理不尽な死にかたを見てきた。偽りの希望にすがる者を見てきた。生きる価値のない、腐ったグズどもを見て殺してきた。

殺しを悪だというなら、自分は悪で構わないと。

目には目を、歯には歯を、悪には悪を。

そんな覚悟で前世を生きてきた狼には、男の子に言葉が認められなかった。

 

「・・・」

 

「烈よ、この坊主の言うておることは正しい。お前にはまだ難しいかもしれん。じゃがこれから医者をするいじょうは理解せねばならん。この坊主は烈よりも世界を見てきたんじゃろう。しかし若いのに苦労して来たようじゃなお前さんは」

 

「坊主でもお前さんでもありません、ご老人。姜維伯約です」

 

黙る男の子に頭を撫でながら声をかける老人に狼は名乗った。

 

「そうか、お主がそうじゃたか。確かに麒麟児じゃ」

 

そうかそうか頷き納得したような老人。

 

「あまり遅くまで起きていては体に悪い寝るとしよう」

 

「はい師匠」

 

「そうですね」

 

老人の提案に賛同し眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜が明け狼は3人からあまり離れない所で木の実などを集め3人の所に戻った。

兵士が追ってきているとは思ってはいなかったが念のため警戒していた狼は眠っていなかった。

 

 

 

3人のもとに戻ると老人と男の子は起きたが、まだ少女は眠っていた。

ひとまず3人は朝食を食べた。朝食を食べ終えると老人は狼にたずねた。

 

「伯約、これからどうするつもりじゃ?」

 

「もともと長沙を目指していたので長沙にいくつもりですが、この娘を連れてこの娘が親と別れた所に行ってみようと思います。可能性は低いですが生きている可能性もありますから」

 

 

そう言いながらまだ眠る少女の頭を撫でてやる。

 

「そうか、ではお別れじゃな。」

 

「はい。」

 

「姜維」

 

「ん?えーと」

 

男の子に呼ばれ狼は男の子に返事を返そうとしたが、自己紹介をしていないため名前がわからなかった。

 

「俺は華佗、華佗元化だ。」

 

まさか神医と呼ばれる華元化に説教していたのか!?と狼は少々焦った。

 

「俺はまだ姜維の言ったこと理解できない。だが理解しようと努力するつもりだ。」

 

「…そうか」

 

そう言った華佗の言葉を聞き狼はほっとした。

神医と呼ばれた人間が考え直してくれたて本当によかったと。

 

 

 

 

 

「それじゃあ俺達はこれで」

 

そう言って寝ている少女を背負い二人に別れを告げる。

 

「うむ、元気でな」

 

「またな姜維」

 

 

 

ひとまず長沙を目指し歩き始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぅあぅ」

 

歩き始め太陽が真上にきた頃、背の少女が声を漏らした。

 

「起きたか?」

 

「あれ?私は」

 

少女に声をかけたが少女は現状を飲み込めなかった。

 

「森のなかで追われて毒をうけた君を俺が助けた」

 

「っ!!」

 

狼が助けたことを説明すると少女は思い出し、息を飲んだ。

 

「貴方が助けてくれたのは微かに覚えてます。ですがなぜ助けたんですか?」

 

「兵士と君の会話から君は義賊なのはわかったから。何より俺は民に重税を強いて私腹を肥やすそんな屑が嫌いだから」

 

少女はなぜ助けてくれたのかとたずね、狼はそれに答えた。

 

「俺の名前は姜維伯約、出来れば君の名前を教えてくれないか?」

 

「すみません、私は姓は周、名は泰、字は幼平、真名は明命です!」

 

 

周泰幼平、元々は水賊だったが孫策に帰順しその後孫権に仕えた武将。

まさかこんなところで出会えるなんてな、と狼は思っていた。

 

「真名までよかったのか?」

 

「はい!姜維様は命の恩人ですから!」

 

様付け・・・だと?!と驚いた。

 

「・・なら俺の真名は狼だ」

 

「はい!狼様!」

 

「いや、様はいらないから」

 

様付けを否定され明命は落ち込む

 

「・・だめ、ですか?」

 

「別にえらいわけじゃ」

 

もう一度言われ目には涙がたまる。

 

「あぅあぅ」

 

「明命の好きにしたらいい」

 

結果狼が折れた。

 

「はい!」

 

様付けを許された明命は顔の周りに花が見えるほどの笑顔で喜んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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