後悔はしていない!(ドヤァ!
貴方の願いは何ですか?
「あの作品の主人公になりたい」
女性は少女に問う。
その問いに少女は至極単純にそう言った。
簡潔、かつ誰もが思いそうな願い。
だがその願いに女性は顔を鎮める。
「それは無理な相談です、いいですか?主人公という立場は世界に一つだけ、その一つに固定されるものです……決して主人公の役目を奪う事はできません、いいえ、奪ってはいけないのです…登場人物になる事はできますけど」
世界の中心、謂わば"核"とも言える存在である主人公…。
掛けがえのない存在たるその主人公の立場をやりたいという目の前の少女に女性は頭を悩ませた。
ただえさえ、主人公という存在は一部の世界を除いて一人でしか成り立たない…。
ましてやこれから少女が指定した世界は"主人公と呼べる主要人物が誰か一人でも欠けたり、増えたりしたら成り立たない"、極めて珍しい世界なのである。
そんな事をすれば世界の均衡が成り立たず、下手すれば世界が崩壊してしまう恐れがある。そんな願いを"神"と呼ばれてる女性が見過ごしていい筈がない。
「なら私と"あいつ"を入れ換えて、それ以外は何もいらないから」
「無茶な事を……ハッキリと言います、貴方では無理です」
「五月蝿いわね、さっさとやりなさいよ」
何と言う無理な話を……。
女性は心の中で溜め息を吐いた。
一人の人間の存在を入れ換える事は不可能に等しい……否、不可能だ。
少女の『自分と主人公の一人を入れ換える』なんて願いは物語の根本的な所、それも最も重視するべき部分を覆すと言う事になる。
そんな事をすれば物語の構成が変わってしまい、キャラだって変わってしまう恐れもある。
それに等しき"役割"を与えるのがせいぜいなもの。
「…………■■ ■■■という存在はそのまま残りますけど、よろしいでしょうか?」
「……それは■■ ■■■っていう"モブキャラ"って捉え方でいいの?」
「………………貴方が■■ ■■■をそう思うのでしたら」
呆れる……本当に呆れてしまう。
女性は目の前の少女に対して怒りを通り越して呆れが沸いて来る。
そんな呆れた溜め息をする女性に少女は心配していると捉えたのか、こう言葉を投げ掛ける。
「大丈夫よ、私なら■■ ■■■よりも"上手くやれる"、■■の皆を"上手く導ける"」
ああ、なんて愚か、いや……なんて"馬鹿"なのだろうか…。
少女のあまりにも馬鹿げた発言に女性は心の中でそう毒を吐く。
"そう言う問題じゃない"と…。
何を言っても聞かなそうな少女に女性は掛ける言葉が見つからなかった。
「……では、そろそろ転生を…」
「待って」
「……他に何か?」
喜色の声で少女は女性にこう告げた。
───"■■ ■■■"を"■■"に入れないようにして。
「……わかりました」
その願いに女性は頷き、少女をその世界へ飛ばす。
その時、少女は全てが思い通りに行ったと思い込み、満足気な顔をして意気揚々にその世界へと消えた。
「…………馬鹿な奴」
ポツリと、一人取り残された女性は消えて行った少女に向けてそう言い放つ。
何処までも愚かで、下らぬ欲に溺れた女。あれでは外面では演じれても、それ以上の事はできそうにもないし、やりそうもない。
万が一、"イレギュラー"が発生したとしても何もできそうにない。最早先は知れていた。
「本当に困ったものです」
先の展開を知っている程度。
それだけでは"■■ ■■■"の代わりなど到底できない。
"■■ ■■■"という少女は何処までも真っ直ぐで、がむじゃらだが、何処までも自分が信じる、信じたいと思ったものの為に全力になれる"強き者"。
決して揺らぐ事のない精神を持ち合わせた心優しい……まさしく"女神"。
そんな人物の代わりを果たしてあの少女にできるのか?答えはNO。
「先の展開を知っている程度では"■■ ■■■"、ましてや中心人物になる事など…………!?」
できない。
そう言おうとした女性だが、先程少女を飛ばした世界を見てある事に気付いてしまった。
「……何故あの世界に■■が…!?まさか、"イレギュラー"…!?」
恐れた事態が起きてしまった。
少女が願った願いにより、歪になってしまった世界に"異物"が入ってしまったのだ。
それもとびっきりの…。
「あの世界には"戦う者"がいない……そんな世界に■■が入ってきてしまったら…!」
世界の崩壊
女性の頭の中にはそう最悪な事態が過った。
「どうすれば…」
予想にしない最悪な事態に女性は頭を悩ませる。
───なら、俺が行ってやろうか?
「ッ!?貴方は!?」
女性の隣からピンポン玉くらいの球体が現れ、その球体から男性の"声"が聞こえてくる。
その球体は自身に力を籠めると、白銀色に染め、小さな"嵐"を纏う。
───■■の退治は■■■■■の専門分野だ。
「ですが……一体その力を誰に!」
───いるだろ?あんな馬鹿げた願いを言った奴のせいで居場所を失った奴が…。
「まさか…!?」
───"■■ ■■■"がいた場所はくれてやる…だが、やるのは場所だけ……それだけじゃ中心人物とはなり得ない…あくまで"主人公"になれる『可能性』のみだ…もし無理だった時は…。
「壊された『物語』を、貴方という力を持った"■■ ■■■"が修正……作り直すと…」
───その通りだ、それにあいつじゃ■■の相手はできないし、"■■"の皆を守る事はできない……だったら例え"■■"になれなくても、俺という力を得たあいつが守ればいいさ。
「…………わかりました、私としてもあの少女の思い通りに行くのも癪ですし、何より"イレギュラー"はしっかりと対処しないといけません」
───そう来なくちゃな。
討論の末、女性はその球体を少女を送った際にできた数㎝程の空間に投げ込む。
「……頼みましたよ、■■■■■…」
───"ストーム"…。
えー、タグを見ればわかると思いますが、主人公は転生者たるあの少女ではありません。
あくまで■■ ■■■が主人公です。(タグを見ればモロバレだが…)
一度こういうのやってみたかったんですよね。
"もしもこの作品の主人公が転生者に力と居場所を奪われ、代わりとなる新たな力で『物語』の修正をする"って奴(笑)
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