ラブライブ!~女神に宿る嵐~   作:白銀の嵐Mk.2

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第3話です!


目覚めし禁断

 

「………全然わかんない」

 

数日間、入院して無事に退院し、家に帰って来た穂乃果の前に待っていたのはその入院間に溜まりに溜まってしまった宿題や授業のノートであった。自身の部屋の机の上に山積もりとなったそれらに頭を抱え、机に顔を突っ伏す穂乃果は、もう少し入院してれば良かったかな?と今更ながら後悔しつつも、その宿題や授業のノートと睨めっこをした。

 

 

────が。

 

 

 

「あ~!もう!わかんない!」

 

 

 

 

夜、穂乃果は気分転換がてらに散歩に出掛けた。

理由としては、単純に休んだ日にち分の課題に対しての現実逃避である。勉強が全くできず、数日分までに溜まりに溜まった課題をこなすのは非常に骨が折れる。

数日授業を休んだだけでこんなにも弊害が出るとは思わず、穂乃果は溜め息を吐いた。恐るべし高校。

 

「今頃椎名達スクールアイドルとして頑張ってるんだろうな…」

 

先日、病室に訪れてきた園田 海未と南 ことりの二人の事を思い出しながら穂乃果は考え込むようにその場に立ち止まる。

 

──そもそもスクールアイドルってなんだろう?椎名に聞いても教えてくれなさそうだし。アイドルだから歌って踊ったりするのかな?椎名の事だから普通にやってのけそう……。

 

園田 海未と南 ことりの幼馴染がいる事だし、さぞ楽しくやっているんだろう…。

………園田 海未に、南 ことりか…。

 

「真面目で優しそうな子達だったな…」

 

病室に出会った時の事を思い出し、何処か寂しそうな顔をする穂乃果。自分にはヒデコ達がいるものの、何故かあの子達とも仲良くなりたい、友達になりたいという気持ちが沸き上がって来る。遅刻常習犯で授業でもよく寝たりする不真面目な自分とは正反対で真面目そうな二人…。普通なら不釣り合いだと思うし、どちらかと言えば真面目なしっかり者の双子の妹の椎名との方が仲良さそうだし、実際に自分から見てもあの3人は仲がいいし、自分があの輪に入れそうもないし、妹の椎名が多分、許さないだろう…。

 

そんな寂しい思いをしつつ、考えなしに歩いて行くと、何時の間にか街灯の少ない真っ暗な道に出て来てしまった。

 

「うわっ、暗い!?」

 

周りは薄暗い工場跡地に加え、人気が全くない。

ここら辺周辺は、幽霊的な意味で怖過ぎるし、不気味だ、穂乃果は踵を返して来た道を戻ろうと歩き出す。

歩けばすぐに民家がたくさんある所に出るので特に焦りはなかったが───

 

「……………?」

 

何故か。何処からか、鼻がつーんとするような匂いが感じられる。

少なくともそれは決して、いい匂いではない。むしろ嫌な匂い。

────少しだけその匂いが気になってしまった穂乃果は、その匂いがする方向へ行ってみる事にした。

周囲は暗くて見えづらいが、月明かりのお陰である程度は道が見える。

匂いがする場所に近付くにつれ、徐々にその匂いが生臭い匂いに変わってくる。「こんな所で誰か魚か何かを焼いているのかな?」等と独り言を言いながら穂乃果か辿り着いたのは、寂れた廃工場。

 

───……やっぱり帰ろう。

 

流石に廃工場に行くのは色々とまずいし、何より怖い。

怨霊的な意味でも、たむろっている不良的な意味でも。不良なんかではまず何されるかわからない。ましてや女子高校である自分には特に。怨霊や幽霊、ましてや地縛霊とかのゴーストなら対処のしようがないし、逃げられる自信もない。

触らぬ神に祟りなし、そんな言葉を思い浮かべながらゆっくりとその場から離れようと、背後を振り向くと───

 

『フフッ』

 

───体つきが女性。だが、その体や皮膚が人間じゃない"化け物"が、杖のようなもので殴らんと振り上げている光景であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「───いやああああああああああ!?」

 

まさに奇跡とも言える回避だった。

その杖が迫ってくる前に、地面に倒れ込むように転がる事ができた穂乃果は自身のいた場所に叩き付けられている杖を見て嫌な汗を流す。

後数秒遅れていたら、打撲とか怪我どころじゃ済まない。頭蓋骨などが砕け、絶命していただろう。

奇跡に避けれた自身の反射神経に驚きながら、杖の持ち主を見る。

 

『あら?上手く避けたわね?』

 

叩き付けた杖を持ち上げ、両手で弄ぶように持つのは、髪の毛の所に無数の蛇が生えており、スタイルことはモデルのように抜群な女性らしいものだが、全身の皮膚が人間のものではない……化け物だった。

穂乃果は、いきなり現れた化け物に空いた口が塞がらないとばかりに大きく口を開けて呆け、自身の目に映る目の前の化け物が幻覚でも妄想でもなく、ましてやテレビのCGなどでもない事に恐怖する。

 

「だ、誰なの……貴方は…」

 

『今から死ぬ人間に言う必要があるのかしら?』

 

話が通じるとは思ってなかったのか、穂乃果は驚愕の表情を浮かべるが、返された言葉の意味がわからず頭の中の思考が真っ白になる。

 

死ぬ?今から?誰を?化け物、が殺す、私を?……───

 

穂乃果はその場から駆け出した。殺されるなんてのは真っ平ごめんだ、まだやり残した事なんて山ほどある。そう思いながら死に物狂いで走る。

どういう訳なのか、運動音痴な筈の穂乃果は常人からかけ離れた速さで走れ、その速度でその場から離れる。

走ればすぐに人気のある明るい場所へ出られる。そこまで行けばあの化け物は追ってこない筈……。

『頑張るわね、貴方?』

 

「っ!?」

 

だが、所詮今の穂乃果の速さは人間の範囲で出せる"速さ"。人の粋を越える化物に加え、足に纏わせた……"魔法"か何かのようなものか?その力を使った速さには敵わない。すぐに化け物は穂乃果に追い付き、その手に持つ杖で殴ろうとするが、危機を感じ取った穂乃果が横に跳んだ事から空振りに終わり、結果的に穂乃果を吹き飛ばすだけに終わった。

地面を何度か跳ね、廃屋の中に突っ込んだ。

 

「がうっ!?ぐぅ……!」

 

咄嗟に横に跳んで避けたのはいいが、衝撃を逃がしきれずに全身を強く打ち付けてしまった穂乃果。所詮は人間の耐久力。人間より遥かに優れている身体能力と特異性を持つ化け物には人間のなんて紙と大差ないものだ。

 

「逃げられない、の……?」

 

痛む体に歯を食い縛りながら耐えて前を見ると、そこには人間とはかけ離れ、この世のものとは思えない顔で醜悪な笑みを浮かべた化け物がゆっくりと近付いて来るのが見える。

そして化け物が近付くにつれ、穂乃果は気付く。自身を引き込んだあの気持ちの悪い匂いの正体が。

そう、死臭……あれは死臭だ。生臭い匂いがするのも当然だろう、腐った肉の匂い、血の匂い、人が忌避する醜悪な匂い。そんな匂いが化け物から放たれているのである。目の前で刻一刻と近付いて来る化け物は人を殺すのだから、その匂いも当然であろう。

 

このままでは自分も、あの化け物に殺される。

体は動かないし、動いても逃げ切れない。助けを呼んでも意味がない。

絶望的な状況の中、穂乃果の脳裏には今までの人生で関わって来た人達の姿が思い浮かぶ。走馬灯とでも言うのだろうか、死に瀕するとこれまでの人生がフラッシュバックのように振り返ると映画で聞いた事がある。

 

だが、家族・友人よりも何故かより鮮明に思い浮かべた人物は、穂乃果にとって意外な人物達であった。

 

その人物達……二人は"海"のように青く腰まで下ろした長髪の少女と、"鳥"のようなトサカとでも言うのだろうか?そんな髪型をした灰色髪の少女だった。

今まで名前は聞いていたが、先日の病室でやっと初めて会った少女達であった。

 

死ぬ前にあの子達と友達になりたかった。もっと早く出会えばよかった───が、何故かこう言う時にだけ、全くそう言う事も何も浮かべられない。

思い浮かぶのは、家族や友人達。

 

 

お母さん、お父さん。親孝行も何もできずに死んでごめんなさい。

雪穂、椎名。ずっとダメなお姉ちゃんで本当にごめんね。

ヒデコ、フミコ、ミカ。こんなダメな私の友達で居てくれて本当にありがとう。

 

視界がボヤけて来る。

勉強も運動も碌にしないで、ずっとバカやって、普通に暮らして、いきなり化け物に殺される。

 

「………っ」

 

散々な最後だ。

生まれ変わったら、もっと賢く生き方をしてみよう。

友達もたくさん作って。

妹に慕われるお姉ちゃんになって。

バカもやったり。

彼氏も作ってみたりして。

 

生まれ変わるなら、もっと生きたい。

 

───生まれ変わるなら。

 

 

 

 

「死にたく………ないよぉ……!」

 

 

 

 

 

 

『その願い、しっかりと聞いた』

 

 

 

 

 

 

呟いた瞬間、突然声が聞こえ、視界が白銀色の光に塗り潰され、染まって行く。

光が収まると、穂乃果の手にはあの近代的で機械的な銀色のバックルが握られていた。

 

次第に露が掛かって行く思考の中、そのバックルを握り締めて穂乃果は立ち上がった。

 

 

 

『………目覚めの刻だ』

 

 

 

 

 

 

 

 

『フフッ……』

 

異世界にてその猛威を振るった怪物"ファントム"、メデューサは、先程まで痛め付けた人間を殺す為、女を吹き飛ばした廃屋に近付いていた。

人間にしてはやたら速かったなと、そんな事を思いながらも、人を殺せるという至福の時を迎え、味わえられると笑みを溢す。

 

『あら?』

 

廃屋から、先程吹き飛ばした少女が出てきた。

『自分から殺されにでも来たのかしら?』

 

と、嘲るように言葉を投げ掛けたが、返ってくるのは無言の反応。しかしメデューサを見るその目には何も映っていなかった。

 

メデューサの声を無視した穂乃果は左手に持ったバックルを腰に押し当てる。どういう原理かは不明だが、そのバックルからベルトが伸び彼女の腰回りを覆い、装着される。

 

バックルが装着された瞬間、少女の目が変わる。それは恐怖を刻み込まれた弱々しい目ではなく、無機質で、空虚な……潜在的に恐怖を感じさせる目に───

 

刹那、穂乃果が雄叫びを上げる。

 

「──ァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

雄叫びを上げる穂乃果から"風"が放たれ、やがてその風は周囲一帯に吹き荒れる"嵐"となる。

その嵐はある程度吹き荒れた後、彼女の元へ戻るように彼女の全身を包み込んだ。

「……………」

 

気が付けば、穂乃果は止まっていた。代わりに無言で、両腕を腰辺りに広げ、何かを解き放つかのように構える。

 

《DESTROY from……Awakening take off》

 

『一体何をするつもり…』

 

穂乃果の全身から血管のように駆け巡る赤いラインが浮かび上がり、同時に彼女の上半身が白いアンダースーツに変わる。

 

『っ!?』

 

そして、その白いアンダースーツを覆うようにダイヤモンドに光輝く装甲が纏われ、下半身には紺色の下地へと変わり、脛に銀色のプレートが連なるように取り付けられて行く。さらに、彼女の体に浮かび上がっていた赤いラインは姿を変えた彼女の体の上に浮かび上がり、その異質さを際立たせる。

最後に、彼女の顔を"バッタ"を模した仮面が覆われ、オレンジ色をしていた仮面の複眼が血に染まるように赤く光り、首に深紅のマフラーが巻かれる事でその変化を終えた。

突然姿を変えた穂乃果を、メデューサは目の前にいる何かが異形な存在にしか見えなかった。

 

自らの存在感を表すダイヤモンドの装甲に幾多もの血を浴びてきたかのように赤く際立つ血管のように伸びる赤いライン。

まさしく異形……メデューサ同様に"化け物"のような姿に変身した目の前の女を見て、直感的に危険と感じる。

 

こいつは危険だ、それも飛びっきりに、危険すぎる。今すぐに排除しなければ。

漠然とした危機感を感じ、メデューサは目の前で変身を終えた目の前の女に、右手に持つ杖を突き出す。

 

《PERFECT DESTROY……DEAD・END》

 

『なっ!?ガアァッ!?』

 

瞬間、メデューサは得体の知れない力で突き飛ばされ、後方へ吹き飛ばされていた。

何が起きた?あんな小娘に、一体何が────混乱の中にあった彼女だが、先程まで自らがいた場所を見て、絶句した。

 

穂乃果の体を包み込むように現れた赤い光の柱が天高く昇るように伸びて行く。

やがて、その光が弾け飛ぶように消滅し、現れたのは───

 

 

 

 

異質な気配を放つ"悪魔"の姿をした"嵐"。

 

 

 

 

白銀と深紅に輝き、見る者全て(総て)を畏怖させるかのように圧倒的存在感を放つ"究極の破壊"を宿す力へと姿を変えた"白銀の嵐"。

 

その身をもって、自身の前に立つ者全て(総て)を破壊し、捩じ伏せる……破壊の王でもあり、破壊神であり、破壊者でもあるまごうことなき"悪魔"となった戦士が、ここに降臨(存在)していた。

 

 

 

 

 

 

───とある異世界にてその猛威を振るった"禁断の存在"、"禁じられし力"、"神をも滅ぼす災害"が今、目覚め始めた……。

 




初めっから飛ばしてみました(笑)

まあ、この姿に変身するのは、この最初だけなんですけどね。ぶっちゃけ強すぎるから(笑)

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