ラブライブ!~女神に宿る嵐~   作:白銀の嵐Mk.2

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第4話となります!


"変身"

その"嵐"の目覚めはありとあらゆる世界を大きく震わせた。

今はまだあまりにも小さく、だがあまりにも巨大過ぎる目覚め。

 

その存在は今はまだ目覚めぬ"女神"達の存在に気付かせた。

 

 

歌詞を描いていた青い髪の少女はその手を一旦止め、暗闇に閉ざされた窓の外を見据えた。

 

衣装を考えていた灰色の髪の少女はその感じた力の存在に対して戸惑いを抱く。

 

オレンジ色の髪の少女は感じ取った違和感に立ち上がり、何事かと困惑する。

 

趣味であるアイドル鑑賞をしていた茶髪の少女は突如感じた力に思わずその方向へ目を向ける。

 

既に決められ、与えられた線路の道を歩む事に思い悩み、逃げ込むようにピアノを弾いていた赤髪の少女は驚き、思わず不協和音な音を立てる。

 

孤独に打ちひしがれ、一人思い悩む黒髪の少女はその思考を止めて窓の外を睨む。

 

立場上の責任感、使命感による苦しみの思いを振り払い、しかしそれによって己の成したい道を見失った金髪の少女は感じたその力を何処か悲しいと感じ、窓の外を見つめる。

 

そして……。

 

 

「これは……」

 

不思議染みた力で物事を感じ取る紫髪の少女はその力を感じた瞬間、その足を止めて困惑した表情で夜空を見上げる。

 

「……"運命の輪"。運命(Destiny)の時が動き出す時、ちゅうことやな…」

 

少女は服の中に忍ばせていたタロットカードを1枚引き、そのカードを神妙な顔で見つめる。

 

「……貴方は本当に、何者なんや?高坂さん…」

 

このカードが一体何の意味をもたらすのか。まだその意味を理解できない少女はその瞳を力を感じた方向へと向けて、一人呟く。

 

 

 

 

「その運命……とっても危険なものやで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《PERFECT DESTROY……DEAD・END》

 

白銀の鎧に赤き色を纏った戦士。棒立ちしてその場からじっと動かない相手に対してメデューサは、目前の正体不明の敵に対して、不思議と何とも感じなかった。

これなら嘗て自身の前に幾度も立ち塞がった"指輪の魔法使い"の方がマシとさえ思える程であった。

 

『フッ…フフフフフフフッ!!何かしら人間、その変な格好は!!』

 

「…………」

 

『そんな姿でこの私と渡り合えるとでも?』

 

無言、一言も何も話さない相手に対し、お世辞にも沸点は高い方ではないメデューサは、声高らかと上げて杖を持ち上げて今にも叩き潰さんと威嚇する。

 

──殺して、叩き潰して、ペシャンコにしてやる。

 

地面をその足で強く蹴り、穂乃果目掛けて突撃を仕掛け、目と鼻の先まで接近すると、持ち上げた杖を穂乃果を叩き潰すように振り下ろす。

 

『死ね!』

 

ドゴンッ!と振り下ろされた杖は轟音を立てて地面に陥没、大きな亀裂を刻む。

しかし叩き潰した手応えがない。

陥没した地面を見つめて手応えがないと認識した刹那、メデューサの胴体部分に強烈な一撃か直撃する。

 

『──グ、ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ッ!?』

 

一瞬にしてバラバラになると見間違う程の衝撃に呻き声を上げて、悶え苦しむ。

激痛の最中、訳がわからないまま視界を広げると、そこには血のように染まった赤いラインが走る白いグローブで握り締めた手……拳を振り切った叩き潰そうとした少女の姿。

あれで殴られた、頭で理解することが出来たが、体が動くことができず、痛みに悶えるメデューサ。

そんな彼女を知った事ではないと言うかのように、穂乃果は握り締めた左手を降ろしてゆっくりとメデューサの元に歩み寄る。

 

『グぁ、ガ……!』

 

認識が甘かった。そう理解したメデューサは頭髪の蛇を伸ばし、より醜悪なその姿を晒し出す。そしてその蛇を穂乃果に向けて仕掛けだし、敵が攻撃を仕掛ける前に穂乃果を仕留めに掛かる。

向こうが武器を持たぬ素手ならば遠く離れた距離からの攻撃に対処できまい。そう思ったメデューサは頭髪の蛇を伸ばして攻撃を仕掛ける。

 

対する穂乃果は、歩みを止めて腕をダランっと力なく下げ、メデューサの攻撃に対してあまりにも無防備な状態となって構える。

メデューサは無防備な構えを取る穂乃果に対し、仕留めたっと、醜悪な笑みを浮かべて叫びを上げて穂乃果目掛けて頭髪の蛇を乱暴に振るって襲い掛かる。

 

『終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』

 

「…………」

 

穂乃果とメデューサの蛇が接触した瞬間、頭髪の蛇達が灰と化して消滅する。

突如消えた自らの(しもべ)達を呆然と見つめるメデューサの眼前には炎のように陽炎(かげろう)のようなものを揺らめかす右手を蛇達がいた所に翳す少女の姿。

 

何が起きた?否、人間如きでは反応できない速度で伸ばした蛇に何故対応できたのか?

硬直しかけた思考が答えを出す前に、メデューサは我に返る。

 

『…………ッッ!?』

 

「…………」

 

その疑問に穂乃果が答える筈もなく。ただジッとメデューサを見つめている。

 

『……舐めるなッ!』

 

彼女の行動が舐めていると勘ぐった少女は、さらに頭髪の蛇を伸ばし、身動き一つもせずに見つめている穂乃果の死角から這い寄らせて襲わせる。

 

「…………」

 

死角からの攻撃に対して、穂乃果はまるで事前に予期していたかのように、右手を背後を振り向くと同時に振るい、牙を向けて襲い掛かって来る蛇の頭を掴んで一瞬で灰へと変える。

死角を突いていた筈にも関わらず、防がれてしまった事に歯噛みするメデューサだが、穂乃果がこちらに振り向いた瞬間、穂乃果の左手が異様な事になっている事に気付く。

 

『な……っ!?』

 

穂乃果の左手からバチバチとスパークするように弾ける紫電が纏われていた。戦闘手段のすべてをほぼ封殺されたと言ってもいいメデューサに対し、穂乃果は紫電が放たれる左手をメデューサに向けて翳し、波動のようなものを撃ち出した。

左手から放たれた紫電の波動はメデューサに直撃し、爆発する。

 

『ガッ……ァ…ァァ…!?』

 

自分達が知っている"魔法"とは一線を画した激痛にメデューサは声にならない悲鳴をあげる。

 

それだけでは穂乃果の攻撃は終わることはない。穂乃果の右手にはいつの間にか"魔獣の角と思わしき剣"が握り締められ、瞬時にその剣を逆手に持った穂乃果は、剣を地面に突き刺す。

 

瞬間、メデューサの周囲一帯が"無重力"にでもなったかのように宙へ浮き上がった。どういう現象かは理解できないが、周囲の葉、瓦礫、石ころまでもが宙へと浮き上がる。それに伴いメデューサの体が宙へと浮き、無防備な姿を晒す事になった。

 

『なっ……ぁ…!?』

 

彼女とメデューサの実力差は既に、天と地ほどの差がある事は明白だった。

相手がどんな攻撃をしてくるかは予測不能。加えて、技量においては圧倒的に穂乃果が上回っていた。

 

「…………」

 

宙に浮かび、身動きが取れないメデューサを、無言で見上げる穂乃果。悪魔の仮面越しからでは彼女の表情は伺うことはできない。

 

『あ……ああ…』

 

──動く事を阻まれ、無様な姿を晒す中で彼女は気付く。

自分は決して目覚めさせてはならない"何か"を目覚めさせてしまったと言う事を…。

 

『ひっ……いや…ぁ……!』

 

死ぬのは決して怖くないと思っていた。今でもそう思っていると自信を持って断言できると彼女は言える。だがこれは違う。殺す気が全く感じられない相手に殺されるという事が、どれ程の恐怖だという事を……今、彼女は死の淵に立たされるこの状況で初めて理解した。

 

メデューサの悲痛な声に穂乃果は、何の反応を示す事なく"武骨なシルエットをした漆黒の大振りな銃"を掲げ、その銃のツマミ部分を弄る。

 

《キャノン……モォォォォドッ!!》

 

 

 

 

《粉砕ッ!玉砕ッ!!大・喝・采ッ!!》

 

 

 

 

 

重みのある音声を発せられると共に、大振りの銃を宙に浮かぶメデューサへと向ける。

メデューサのようなレベルの怪人に使うには異常な程の赤く激しく燃え上がるエネルギーが銃口に集約されて行く。

銃口に集約される炎は一つ一つが紫電を放っており、圧倒的なエネルギー量が内包されている事は明らかだった。

そんな魔法とも、ありとあらゆる世界にて使われるエネルギー等とは一線を画す異様さが際立つ炎のエネルギーは、穂乃果がトリガー引くと同時に真っ直ぐメデューサへと放たれた。

 

集約されたエネルギーは球状を保ち、大きさは東京スカイツリーをも飲み込むのではないのか?と、その銃口の大きさからは想像ができない程の炎がメデューサを飲み込み、紫電と炎のエフェクトを撒き散らし、周囲を明るく照らす。

オーバーキルとも言えるような巨大な炎の塊に身を焼かれるような激痛と、身動きを取ることができない地獄がメデューサを包み込んだ。

 

『アァ…………アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!』

 

遂にはメデューサごと爆発した。

後には何も残っていない。穂乃果の放った一撃は塵一つも残す事なく完全にメデューサを消滅させたのだ。

 

メデューサが消滅したのと同時に、穂乃果の腰に巻かれたバックルが勝手に外れる。

すると変身が解かれ、私服を着た穂乃果が現れる。

 

「ハァ─────ッハァ─────ッ!?」

 

息を荒げながら膝を着いた彼女は混乱していた。

全く訳がわからなかったからだ、自分が何故あんなに戦えたのか、そもそもあの姿は何なのか。疑問が次々と沸いて、頭がとても追い付かないのである。

 

「なん、なの……これ…!?」

 

バックルが腰に巻かれた瞬間、体が乗っ取られたかのように勝手に動きだしてあの化け物を倒したのだ。化け物を倒した記憶はある。だが穂乃果自身は"なにもしてない"。

 

「……夢、じゃないよね…………訳わかんない」

 

混濁した思考を回転させ、頭を整理しようとするが……やはりわからない事だらけである。

 

「……椎名とかには……無理、だよね…」

 

絶対に信じてもらえなさそう、と心の中で自答しながら穂乃果は自分の体を見る。

体に異常がないか確認しようとすると───

 

「あっ……」

 

自身の目の前にあのバックルが落ちていた。

恐る恐るバックルを拾い、その手に取って見る。

 

「……これ……やっぱり、そう言う…事、だよね……?」

 

そのバックルに穂乃果は見覚えがあった。穂乃果自身は見たことも触ったこともない。だが、彼女は頭痛により見る夢の中で"それ"を見た事があった。

夢では見たこともない、テレビの特撮などで出るような得体の知れない化け物と戦っていた青年が、このバックル……"ストームドライバー"を用いて、あの白銀に輝く"嵐の戦士"に変身していた。

 

「…………ストーム、ドライバー……」

 

これを使えば、あの夢の中みたいに変身できるという事なのだろうか?

さっきの尋常じゃない力を持った姿に?

 

「ひょっとして……これが、私の力に…?」

 

記憶通りに従い、震える手でその手に持ったストームドライバーを腰に当てるようにして装着する。

今度は操られる事なく、バックルからベルトが伸びて腰に巻かれる。

 

「…記憶通りなら……ッ!」

 

左腕を内側に振りかぶり、素早く反対側に持っていって右腕と交差するように動かし、黙祷するように目を瞑る。

 

「…………ライダー……」

 

目を開き、恐る恐るとあの夢の中で何度も見た言葉を呟く。すると穂乃果の周囲が"風"に包まれ、一瞬ビビった穂乃果だが、左腕を斜め上へと伸ばす。

 

「……へ、変身ッ!!」

 

戸惑い、躊躇いながらもそのワードを叫んだ穂乃果は両腕を腰の辺りに構えるように広げる。

すると、穂乃果を包み込んでいた"風"が突風のように吹き荒れて"嵐"へと変わり────

 

 

「うわああああああああああああ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お母さんただいま!!」

 

「『ただいま!!』じゃないの!こんな夜遅くの時間まで、何処にほっつき歩いていたのアンタ!?もう夕飯冷めちゃったわよ!!」

 

「お母さん……私、できちゃった…"変身"……できた…………できちゃったよ……やれたよ……」

 

「はぁ?何をバカな事言ってるの!早くお風呂に入って行きなさい!!」

 

 




いかがでしたか?

今回は短めにやりました。

知っている人やタグを見てる人はわかっていると思いますが、穂乃果が変身したのは"オリライダー"で、かつこの作品とは別に投稿しているもう一つの作品の方で別の主人公が変身しているライダーです。

今回出した穂乃果の姿はしばらく出ない……というか使えません、ぶっちゃけ強すぎるので…。

次回から原作の方へと本格的にスタートします。

お楽しみに!感想お待ちしています!
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