ダンまちにアクシズ教を!【更新停止】 作:アクシズ
※ちょいとほのぼのしてない敵が出てきます。
誤字脱字報告ありがとうございます。修正しました。
あの花火の夜が明けて、かずみん達はベルと大人になったら、『オラリオ』でまた会おうと約束して別れた。
村の人々から情報を得るのは基本と、特にこちらの神々について、聞いてみたかずみんだが、それならオラリオがこの辺りじゃ一番要望にそうだろうと言われ、【
「さぁチュートリアルはここで終わり!これから私達の冒険が始まるのよかずみん!」
「そうですね!アクアがこれからよ!とか言うと、おそらく何らかのイベントに巻き込まれるだろうから楽しみです!」
「イベントね、確かに物語の始めなら起きるに違いないわ!ピンチの少年救出に雑魚モンスター討伐を終えた女神パーティ。その行く手を阻むものとの遭遇!あぁ麗しの女神アクア様と娘かずみんの運命は如何に!ふふふ」
女神はだいぶ調子がいいのだろう。クルクルと器用に回りながら、身振り手振りを添えてそれは楽しそうに笑っている。ここからオラリオまでの旅路は、基本危険なモンスターも少なく、治安も悪くないと聞いており、安心してるというのもあるのかもしれない。
「しかしベルっていったかしらあの子、良かったわねかずみん、あんた私といない時は大抵ウィズかエリスと一緒だったでしょ?街の人といっても大人とばかり接してるから、同年代の子達と相性悪いのかしらってちょっと心配してたわ」
「いえ別に子供が嫌いとか合わないというわけではないのです。ただ将来立派なアクシズ教司祭になる為、なるべく自分より大人で能力の高い者と接し、自らを高めたいと考えていたので」
「誰に似たのかしらねぇ~まぁ楽しそうにしてるから止めはしなかったけど」
「ふふ私の目標は母のような素晴らしい存在になること!高い目標を掲げるからには常に全力です!」
「私のような“エリートな存在”目指すなんて、ハードル高いと思うけど、かずみんならきっとなれるわ!なんたってあんたは私の娘なんですから!」
「はい成ってみせますよアクア!」
心温まる会話をしつつ進む一行。その行程は聞いていた通り厳しいものはなく、また危険な魔物の気配すら全くなく、日が暮れるまで特に何もなかった。
「さぁかずみん、そろそろお腹もすいたしキャンプの準備よ!」
「えぇ───といってもこの『色々入るんだーZ君』(※1)から取り出すだけで終了ですけどね。ご飯もまだ村で貰ったものが残ってますし」
そういうと、かずみんはなにやら、小さな袋から完成されたテントを取り出した。
「それ本当に便利よね!何でも入っちゃうんだっけ?」
「何でもというわけではありません。生き物は駄目です。まぁこれさえあれば手軽に冒険を楽しますし重宝してます」
その後ご飯を食べ、風呂に入り(Z君から出した風呂釜に魔法によってお湯を張るという器用なことまでし)一応念の為とアクアが結界を張り、眠りにつく。
♢
夜も更ける頃になって、かずみんは目を覚まし、何やら外を覗きだした。
「おやおや【敵感知】に反応が、やはりイベント発生ですね・・・【千里眼】(※2)発動───────武器を構えた男6名ですか。悪くない治安だというのに、こうもピンポイントで野盗の類と遭遇するとか、やはりアクアの凶運は神がかってます」
「アクア、アクア起きて下さい」
ゆすりながら名を呼ぶと、欠伸をしながらアクアが起きだした。
「どうしたのトイレ?暗いしついてってあげようか?」「いいえ違います、大きな声を上げないで下さいね?大人の男6名よからぬ気配を放ちつつ近寄ってきてます」
「ちょっ!大変じゃない!何でそんなに落ち着いてるの!こういう時は先手必勝よ!やられる前にやれ、だわ!それで駄目だったら逃げましょう!」
突然の大声に野盗達は自分達の存在が気づかれたことを察した。
「おいっ!気づかれたぞ!一気に攻める!」
2人がテントを出て見れば、そこへ武器を構えた男達が、一斉に走り近づいてくる。
「いやフリじゃなかったんですか、流石アクアです。昨日までの母はどうにもカッコ良かったですが、やはりアクアはこうでなくっちゃ!」「ちょっとかずみん?あんた私の事そこはかとなくバカにしなかったかしら?お母さん悲しむわよ!?」
「いいえ、母はいつだって最高ですよ!そして女子供と油断してか、アホみたいに近づいてくるあなた方には【パラライズ】(※3)を───ッッ!」
かずみんがパラライズと言った瞬間、男達の歩みが止まった。
「おいなんだこれ!?体が動かねぇぞ!」
「効いてくれて良かったです。実は効果なかったらどうしようとハラハラドキドキしてたのは内緒です」
「おいてめら何しやがった!早くこれときやがれぶっ殺すぞ!」
「プ~クスクスクスクスクス!ちょ~うけるんですけど!そんな物騒なこと言うやつらを解放すると思ってるのかしら?こいつら自分の立場がわかってないようね!かずみんちょっと懲らしめてあげなさい!」
「イエス!マム!【ブレスアース】!」
かずみんが呪文を唱えると、「クリエイト・アース」と「ウインドブレス」の組み合わせによって、巻き起こった砂埃が男達に向かって吹き飛んでいく。
「痛て!痛てててて!」「ギャァ」「手を動かせねぇから顔に砂が!ぺっぺっ!」「やめろぉぉぉ」「ひぃぃ助けてぇぇぇ」「ちびっ子にぶっかられる・・・ご褒美です!」
「プっハハハハハ、いい気味だわ!どうぉ~?自分の立場がよ~くわかったでしょ?今はこの子手加減してくれてるけど、本気出しちゃったらあんた達なんて、その無様な叫び声すら出せなくなるわよ?」
「そこの何となく一番いい装備してそうなあなた、そうあなたです。何の目的を持って、あぁ悪意を持って近づいてきたのはわかってます。それで何用ですか?」
「くそぉ~~~もう駄目だ!煮るなり焼くなり好きにしてくれ!」
「嫌ですよ臭そうですし、そうではなく我々を襲った理由をどうぞ」
「────ボスの命令には逆らえねぇんだ。おめぇみてぇなガキは対象外だが、そっちの青髪のねぇちゃんみてぇな、別嬪さんを攫って売り飛ばすつもりだったのさ。ホントはもうこんなことやめてぇんだ。人質さえ取られてなけりゃ・・・ちくしょう!!!」
「(
「面倒くさいから、このまま捨てていきましょ!」「ちょ!」
「どんな理由があろうが、この私を襲ったとかもう天罰ものよ?それをこの程度で許してあげるだけでも感謝してよね~」
そう言われて、もう情けないのやら、でも少し安心したような複雑な表情を見せる男達。
「すまねぇ。こんな馬鹿みたいな事してるが、待っていてくれてるもんがいるんだ。助かる」
「一応聞いておきますが、あなた達が我々を連れ込もうとしたアジトにはお宝ざっくざくだったりしますか?」
「ん?おっおう!あの野郎しか入っちゃいけねぇ場所があるから、そこにゃそれなりのもんがあるんじゃねぇかな」
それを聞き何やら思案をし始めるかずみん。
「そういえば一応換金用に宝石類は多少持ってきてありますが、この世界の現金ないんですよアクア」と、ぼそっと言う。
「気が変わったわ!女神であるこのアクア様が哀れな仔羊達を助けてあげる!そのボスとやらの場所へ案内なさい!ぶっ飛ばしてあげるんだから!」
「「「「「「なんだって!!!???」」」」」」
思わず拍手してしまうかずみん。
「素晴らしい手のひらくる~ですね!
「ありがてぇ~ありがてぇんだが、そいつはやめた方がいい。ボスはバケモンみてぇに強ぇ。何でも“LV3”らしい。」
「ほぉ~それは【
「あぁ俺らみてぇな恩恵なしじゃ絶対敵わねぇ!おめぇらも何も感じないし恩恵はないんだろ?」
「確かに恩恵はないです、どうしましょうアクア。この人達基準だと何とも言えませんが、相手は仮にも神から力を授かった者らしいです。危険ですかね?」
「う~~~~~ん。いけばわかるさ的にやってみましょ!私達親子が揃えば大抵の事は何とかなるわ!それにお宝が待ってるし!」
もうすでにお宝を得た時を思ってか、幸せそうな顔をしているアクア。
「おいこの自称女神様、宝奪う気マンマンなんだが?少し前の感動が半減したぞ」
「何を言うのです、これは以前バニルという者から聞いたのですが、我が先生ウィズも昔魔王軍をしばいては、ついでとばかりに金目のもの奪っていったそうです。こういうのはお約束というのですよ」
「そういやあの子は昔ヤンチャしてたんだっけ」
「魔王軍!?何て恐ろしい先生なんだ!」
♢
ウィズ「あれ?何故だかバニルさんに対し突然殺意が湧きだしたのですけど、不思議ですね、ふふふ」
バニル「おい殺意が湧くのは吾輩の方だポンコツ店主よ!貴様はまたガラクタを山ほど買い込んできおってからに!」
♢
というやり取りをしつつも、話はどんどん進み、囚われの女性の振りをしアジトに潜入し、ボスをしばきましょう作戦が始まった。
♢
そして場面は変わり、襲撃のあった野営場所から、歩いて2時間程度離れた場所にある洞窟内。ボスと呼ばれる40代くらいの、ニヤニヤした目つきがイヤらしい大男が、隣に申し訳程度に布を巻いた恰好の女性を侍らせていた。
「ボスただいま戻りやした!」
商品になる女を探しに行かせていた奴隷共が戻ってきたようだ。
「おうよく戻ったな───────っておおおおお!!!すげぇ上玉じゃねぇかよくやった!」
あまり期待してない野郎だったが、男達が連れてきたアクアを見て、このような美しいヒューマンを見たのは初めてだったボスはかつてない程に興奮した。
「ありがとうごぜぇます。つきましては褒美に俺の子供を・・・」
「ああん?何言ってやがる」と横の女を乱暴に抱きしめ
「こいつはおめぇみてぇな甲斐性なしな親より、俺様の傍にいてぇんだとよ」
ギリィ・・・歯を食いしばる音が、洞窟内に微かに響く。
「くくくっ───だがこんないい女連れてくるたぁ大したもんだ。何も褒美なしなんてことはしねぇ。お前の隣にいるやつの娘の何て言ったかあれ?もう飽きたからおめぇにやる好きにしていいぞ?」
「こんのクソ野郎がぁぁぁっぁぁっぁl!!!!」
「待ちなさい!」
アクアがそういい放った瞬間、洞窟内の空気が一変した。人質を取って奴隷の如くこき使ってる男達を笑うボスも、激高していた男達も皆、アクアのその神聖なる佇まいに見惚れた・・・訳ではなく。だが決して無視は出来ない圧力を感じたのだった。
「汚しい欲にまみれた獣ってのは見苦しいわねホント。かずみんゴー!やっちゃいなさい!」
「えぇ待ってました!今の下りのアクア超恰好良かったですよ!我が名はかずみん、紅魔族随一のマザコン!そして余りにもゲスい男の登場でちょっとテンション落ちてる者」
「あなたのような者はすべてを許すアクシズ教徒ですら、受けいることはありません覚悟!」
あまりの展開についていけず、ぽか~んとなっていたその他大勢だったが、流石はボスなのか、いち早く反応を見せた。
「おいおいおい、これってどういうことだ?あれか、もしかしてこいつらは、この俺様を倒す為に雇った傭兵か何かってか?」
「はぁ~~~馬鹿だとは思ってたが、マジで救えねぇなお前たち。レベル3であるこの俺様に恩恵を受けてすらいない女子供ぶつけてどうすんだってんだ」
その言葉を聞いて鼻で笑うかずみん。
「ハンっレベル3程度で粋がるとは、器が知れますねアクア。わたし達の周りにはレベル30越え(※4)がゴロゴロいたというのに」
「全くよね!しかもあのドヤ顔見たかしら?自分がカッコイイとでも思ってるの?ねぇ思ってるの?どこからどう見てもあんたブサ面よ?プ~クスクス!」
あまりのことにボスの顔が憤怒に歪む。
「おぅもうキレちまったよ俺様、どうすんだおい。とりあえず野郎共はもう死ね。アホみたいなこと言ってるガキは犬っコロみてぇに躾てやる。んで青髪女は泣いても泣き叫び続けてもやめずに一日中弄んでやるよ!」
「【パラライズ】」
先の男達と同じようにボスが固まった。
「なに?」「とりあえず娘さん、逃げて下さい」「ハッハイ!お父さん!」「娘よ!」「って感動のハグは後にして、あなた方はさっさとここを離れて下さい。どうやらそう簡単にはいかないようです」
かずみんの言葉が終わると同時に、ボスが自分の体を縛っていたナニカを破壊した。
「対象を縛るスキルか何かか?でも残念だったなぁぁぁ!俺様にはそんなちんけな技きかねぇよ~」
「では遠慮なく【闇色の雷撃よ、我が敵を撃ち貫け!】【カースド・ライトニング】───ッッ!!」(※5)
黒い稲妻がボスに向けて放たれるが躱される。
「あぶねぇ!ははっ何だよ魔術師に憧れてそんな恰好してるガキかと思えば、
その最後の言葉を聞いた瞬間、ボスがかずみんの背後に回り込み殴りかかった。
「かずみん!」咄嗟にそれを庇うアクア。
そして攻撃を受けたアクアが数M吹き飛ばされる。
「アクア!【ライト・オブ・セイバー】ッ!」(※6)手刀の先から光の剣を発して切り裂こうとするも、難なく避けられ逆にアクアと同じく殴り飛ばされるかずみん。
「ゴフっ・・・いや~正直最初のやり取りが小物感満載で少々舐めてましたよ、全く動きが見えないとはビックリです」
「ふん、殴り飛ばされてすぐ、そう言えるだけでも大したもんだぜ?弱っちぃ
倒れ伏すかずみんを何度も殴りつけた後その首を絞め、そのまま持ち上げ、その苦しむ顔を眺めながら首を折るかのように、力を込めていく。
「最後の言葉でも聞いてやろうか?あの青髪はお前の母親なんだろ?『づかまえまじだよ───【不死王の手】(※7)』ガッ!てめぇ何しやがっ」
「おや・・・麻痺ですか、後は頼みましたアクア・・・」そのまま動かなくなるかずみん。
そしてその言葉の通り全身が麻痺し、言葉すら発することが出来なくなったボスの元に近づく光が・・・全身を青い聖光で覆ったモノが近づいてくる。
「・・・・・・私の可愛い娘をボコボコにしたその罪、万死に値するわ───神に救いを求め、懺悔なさい!【ゴッドォォォォォォブロォォォォォォォォォ】─────────ッッッ!!!」(※8)
言葉と共に爆発的に燃え上がる聖なる炎を右拳に宿し、それに殴られたボスは、光の瀑布に飲まれ、部屋の端のにある壁へ激突して埋まっていた。
そしてその光が収まったころには、いつもと変わらないのほほんとしたアクアがかずみんを膝枕していた。
「こんなに殴られちゃって、ごめんなさいね、怖かったでしょう【セイクリッド・ハイネス・ヒール】(※9)───よしっ怪我はもう大丈夫ね」
ボロボロになっていたかずみんが、瞬時に元の姿へと回復する、洞窟内での光景を離れたところで見ていた男達はアクアの元へ駆け寄ってくる。俗にいう『神威』というものは感じられないが、確かにこの存在は“神聖なモノ”なのだと直感したのだ。
「「「神様!今までの無礼すいませんでした!!!」」」
「いいのよ、それよりあんた達は怪我大丈夫?『へい!』ならそうね、ここにあるお宝を全部集めてきて。あともう何も出来ないだろうけど、念のためあの元ボスを縛っといて。死んではいないから」
「へい!あの、その捉えられている女が何人かいると思いやすが、どうしましょう?」
「面倒くさいから全部よ!ここにある全部持っていくわ!詳しいことはこの子が起きてからにしましょ」
「へい!神様!」「神とかいいわ、アクアって呼んで。」「へい!アクア様!」
この日ある一柱の女神の気まぐれによって、そこそこ名の知れた盗賊団が壊滅した。
今話でかずみんは色々万能ではあるけれど、決して身体能力は高くないですよ的な描写と、調子に乗るアクア様がトラブルに愛されつつも、最後には格好良く決めるシーンを描きたかったです。
もっとアクア様の魅力を引き出したいんですがね。要勉強です。
『このすば』にはレベルがあれど、高レベルになるほど神に近づく程の強さにってイメージはなく、単純な身体能力では、ダンまちキャラの方が高いと設定してます。
その代わり『ダンまち』の世界ではあり得ない程、多数のスキルや魔法を使えるので、全体的な能力は甲乙つけがたいかなと。
また質問にあった内容なのですが、色々なスキル持ってるけれど、かずみんは冒険者なのか?の答えで、冒険者の状態で色々便利なスキルを習得し、アークウィザードに転職してます。
(※1)色々入るんだーZ君 名前の通り色々入る便利な袋。かずみんは図画工作が得意。
(※2)千里眼 遠方の視認、および暗視が可能になるアーチャースキル。
(※3)パラライズ 決まると相手は麻痺する。体は動かないが、喋ることはできる。中位魔法
(※4)かずみんの周りにはレベル30越えが沢山いたが、勿論ダンまちの世界とはレベルの概念がまったく違うので、数値が上だから能力が上とかではない。
(※5)カースド・ライトニング 黒い稲妻を放つ上位魔法
(※6)ライト・オブ・セイバー 接近戦において紅魔族が好んで使う上級魔法で、手刀の先から光の剣を発して何でも斬り裂く
(※7)不死王の手 ランダムで猛毒、麻痺、魔法封じ、レベルダウンのどれかが発動するというウィズから教わった凶悪なスキル。レベルダウンで冒険者のレベルが下がるかは不明。このすば書籍版には未登場。Web投稿時代に存在したリッチースキル。
(※8)ゴッドブロー 女神の怒りと悲しみを乗せたパンチ。発動の際に拳が炎をまとって光り輝く。
(※9)セイクリッド・ハイネス・ヒール 治癒魔法ヒールの最上位。ちなみにヒール<セイクリッド・ヒール<セイクリッド・ハイネス・ヒール