Fate/grand Archer   作:梨の人

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初投稿の梨です。
"ほぼ"実話ですので、ごゆるりとお楽しみください。
なお、思い出しながらですので、あやふやな部分が多々含まれます。


赤い弓兵と冬木
無鉄砲のマスター


始まりは一通の手紙だった。

"人理継続保障機関 フィニス・カルデア"。そんなよく分からない場所から、選抜に合格したとの知らせが届いたのだ。

詳しいことも解らず、書いてあることは魔術だの科学だと未来を保証するだの、そんな良く分からない言葉が羅列していた。

わかったのは、この安穏とした日常が、非現実的なものに変わるということ。ただそれだけだった。

 

 

 

 

「・・・・・・寒い」

 

そして、来たのがこのとてつもなくクソ寒い山の上である。

カルデアという場所は標高六千メートルはあろう山の、それも地下に作られていた施設だった。

しかも、セキュリティがやたら厳しく、ここまでいくつ潜ってきたかわからない。指紋認証だけでは飽き足らず、声帯確認やら霊器属性やら遺伝子やら、散々確認された挙句、ようやく出ることが出来たのだ。

 

『・・・登録名と一致します。貴方を霊長類の一員であることを認めます。初めまして。貴方が本日最後の来館者です。どうぞ、善き時間をお過ごしください。』

 

・・・最後とか分かるんだ。

 

正直、山登りも含めて、これだけでもうヘトヘトだった。

だが、どこからとも無く聞こえる機械的な音声は無慈悲にもこう告げた。

 

『・・・申し訳ございません、入館手続きまであと180秒必要です』

 

「えっ?」

 

『その間、模擬戦闘をお楽しみください』

 

模擬戦闘?お楽しみください?何、戦うの!?

 

『レギュレーション:シニア。契約サーヴァント:剣士(セイバー) 槍兵(ランサー) 弓兵(アーチャー)

 

せいばー!?らんさー!?あーちゃー!?

 

『スコアの記録は致しません。どうぞ気の向くまま、自由にお楽しみください・・・』

 

 

 

ーーーフォウ・・・?キュウ・・・キュウ?

 

夢だろうか。

白くてフォウフォウ言っている可愛い生命体が見えた。

そして今、私の頬を舐めた・・・?

その感触を確かめようとした瞬間に目が覚めた。私の足元には白い毛むくじゃらの可愛い生き物が見える。そして。

 

「・・・・・・・・・。」

 

髪で片目が隠れた眼鏡の少女が、私の顔を覗き込むように立っていた。穴が開くのではないかと言うくらい見つめられている。

 

「・・・あの、朝でも夜でもありませんから、起きてください、先輩」

 

「・・・センパイ?」

 

突然の事で、結構混乱している。

おかしいな、さっきまで模擬戦闘とやらをしていたはずだけど。そして私にこんな可愛い後輩がいた覚えはない。

まぁ細かいことはともかくとして、とりあえず目の前の可愛い子のお名前を聞かねばならないだろう。

 

「・・・えーっと、あなたは?」

 

「いきなりの難しい質問なので、返答に困ります」

 

自分の名前が難しい?いや、これは明らかに警戒されているのでは、などと思考を浮かべていたが、少女は困ったように

 

「名乗るほどのものではないーーーとか?」

 

と、首をかしげながら言った。

それに私は少し吹き出してしまった。名乗るほどのものではない、というのは使い方は間違っていなさそうだが、何故かすごい違和感を感じる言葉のチョイスだ。

そんな私を見てか、慌てて少女は訂正に入る。

 

「いえ、名前はあるんです。名前はあるんのです。ちゃんと。でも・・・」

 

「・・・でも?」

 

「あまり、口にする機会がなかったので・・・、印象的な自己紹介ができないというか・・・」

 

何か歯切れの悪い言い方だ。だが、これで警戒していたわけでは無くて、口にする機会が無かったから口下手だと言うかとは理解出来た。

そんな慌てぶりを見ていると、思わず口元が緩んでしまう。

 

「・・・コホン。どうあれ、質問よろしいでしょうか、先輩」

 

「質問?何かな?」

 

「お休みのようでしたが、通路で眠る理由が、ちょっと。・・・硬い床でないと眠れない性質なのですか?」

 

衝撃的な発言に緩んでいた口元が戻った。

確かに夢見心地だったが、まさか本当にこんな所で寝ていたというのだろうか。なんかちょっと恥ずかしい。

よしここは・・・。

 

「いやー、そうなんだよ。ジャパニーズTATAMIがこんな感じでさ!じゃないと安眠できなくてさぁ。いやぁ困っちゃうよねぇー!」

 

素直そうだし、多少嘘をついてもバレないだろう。そして案の定、

 

「ジャパニーズカーペット。この床みたいなものだったのですか!?噂には聞いていましたが、なるほど・・・なるほど」

 

・・・納得されてしまった。どうしよう。この子にとって畳に間違った見識がついてしまった気がする。

心無しか、足元の白い生き物も「それは違う!」と言わんばかりにフォウフォウ鳴きながら足元をぐるぐる回っている。許してください、名乗るほどのものではない少女・・・!

 

「・・・失念していました。あなたの紹介がまだでしたね。フォウさん」

 

「フォウさん?」

 

「こちらのリスっぽい方はフォウ。カルデアを自由に散歩する特権生物です。私はフォウさんにここまで誘導され、お休み中の先輩を発見したのです」

 

なんだその可愛い生き物は。「フォウ」と鳴くからフォウなんだろう。その名前の付け方も可愛いが、とにかく目の前の生き物がとても可愛い。

 

「フォウ。ンキュ、フォーウ!」

 

そんな視線に気づいたのか、フォウはバッと走り出して向こうへと行ってしまう。

 

「・・・また、どこかへ行ってしまいました。ってせんぱーい!?」

 

眼鏡のかわい子ちゃんには悪いが、私としてはもう少しあのモフモフを味わいたいのだ。逃がしてはたまらない。もっともふもふしたい。そんな思いで私は白い生き物フォウを全速力で追いかけて行った。

 

「ごめんね!名乗るほどのものではないかわい子ちゃん!また会おうねぇー!!」

 

「えっ、あの、私はかわい子ちゃんではなくマシュですー!!」

 

思えば、それが分岐点だったのかもしれない。

私の聖杯探索(グランドオーダー)は、ここから始まったのだから。

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

「・・・おやおや」

 

逃げるフォウを全速力で追いかける私と、急ぎ足で私を追うマシュ。

その後ろ姿を、男は眺めていた。

 

「なんとも、呑気な奴らがいたもんだ」

 

 

 

ー10分後ー

 

 

 

「・・・迷った」

 

私はフォウを追いかけて見知らぬ区画まで入り込んでしまっていた。

あたりは薄暗く、私では開けられない扉も多い。がむしゃらに突っ走って来たせいで道も覚えていない。何よりフォウも捕まえられなかった。

 

「昔からこうなのよね・・・私」

 

私こと藤丸 梨央(フジマル リオ)は、生まれつき無鉄砲だった。正しいと思うことに大してまっすぐ全力で突き進むけど、先を考えていない間抜け。

そして先程から館内にアナウンスされていた、私を会議だがなんだかに招集する案内も無くなり、もはや完全に迷子状態だった。

 

「・・・どうすればいいのよっとお!?」

 

諦めて手をついた扉が開いた。

突然の事で派手に転ぶが、そこは保管庫のようで、見知らぬ物がたくさん置いてあった。

蛇の目のような宝石、脈打つ紫の臓器、よく分からない粉まで。魔術とか書いてあったが、カルデアはこんなものを使うのだろうか。

その中でも一際私が気になったのが、弓のマークが刻まれた飴玉のようなもの。

石のような、宝石のような。不思議なものだったが、何となく食べれそうな気がした。

よく分からない模擬戦闘や、追いかけっこで疲れていた私は、食べれそうなそれに異常な興味を持った。

 

「不味かったら吐き出せばいいんだもんね…」

 

舌先で転がした分には、ほんのり甘いという感じしかしなかった。食べても死にはしないだろう。

そして私は、その弓のマークが刻まれた不思議な物体を口に頬張った。

 

「君、ここで何をしてるんだい!?」

 

「!!!!」

 

驚いたあまり、それを飲み込んでしまった。

そして飲み込んで気づいたが、明らかにあれは食べ物ではない。喉元まで硬さを感じるほど硬かったのだ。お腹に溜まっているのを微かに感じる。

どうにか気取られないように一度深く深呼吸。

 

「・・・え、えーと」

 

恐る恐る振り向くと、そこには奇妙な女性が立っていた。

眼鏡をかけ、巨大な義手のようなものを付けた全体的に派手目の女性だが、どこか出みたこともがある気もする。

 

「あ、君もしかして藤丸梨央だろ?」

 

「私を知ってるんですか?」

 

「知ってるも何も、君はカルデア内でのお尋ね者さ。ミーティングに顔を出さず、どこで道草食ってるのか!って所長がすんごい怒ってたよ?」

 

そういえば、私を召集するようなアナウンスがされていた。

・・・もしかしてやばい?

そんな心を見透かしたのか、はたまた私の顔が青くなっていたのか、女性はニタリと笑って左の通路を指さした。

 

「やばいとも。今からでも一応謝りに行った方がいいよ?」

 

「ありがとうございます!名も知らない親切なお姉さん!」

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

「・・・気の際、かな?」

 

私は藤丸梨央を送り出した後、何となく彼女の雰囲気に違和感を覚えた。

普通の人間にしては妙な魔力の反応があったからだ。

 

「彼女、ここで何をしていたんだ・・・?」

 

ここは魔術や降霊されたサーヴァントの霊格を強化するための素材保管庫。下手に触ればやばいものも数多くある。

そんなものの中、瓶の一つが開けっ放しになっていた。

確かこれは、サーヴァントの持つ固有のスキルの効能などを強化するのに使う魔力の塊。その弓兵用だったはずだが・・・。

 

「・・・いち、にー、さん、しー、ごー、ろく・・・」

 

ーーーひとつ足りない

 

「い、いや。まさか・・・ね」




初めてという点を抜いても、至らぬところがありますが、少しづつ成長できたらなと思っています。
読み直して、昔をしっかり思い出した後続きが出ると思います(
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