Fateの二次創作ってやっぱり難しいですね。
「ムムムムム………」
「………先輩何しているんですか?」
どうも皆さん。マシュ・キリエライトです。
現在私たちがいるこのカルデアは第6特異点であるキャメロットを修復後、前人未到である紀元前へのタイムスリップ(要はレイシフトのことです)のために時間をかけて確実性を高めようとしています。
そんな中、先輩がフラッと何か考え事をしながら召喚室に入っていくのを偶然目撃したので私も追いかけて召喚室に入りました。
カルデアの最重要区画にあるこの召喚室の中は青色の筋が走り、私の宝具であって武器でもある盾を使って作った空間にも酷似しています。
その空間の中で先輩は、その橙色の髪をかしげつつ座り込んで唸っていました。
そんな先輩も私の声で私がいることに気が付いたのかこちらを振り返ります。
「あ、マシュ。大丈夫なの?体。」
振り返り私のほほに手を当てながら優しい顔で先輩はそう尋ねてきたので
「はい。すこぶる元気です!!」
と私は答えました。すると先輩は
「だったらいいや。それでなんでマシュはここに来たの?」
と何かに納得したかのようなそぶりを見せた後、私がここにいる理由を尋ねてきました。
「先輩がこの部屋に入っていくのが見えたので何をするのだろうかと気になりまして…」
私がそう先輩の問いに答えると先輩は
「この間三蔵ちゃんにね『あなたが今度召喚するときに縁ですごい人が呼ばれるかもね!』って言っていたから気になってね。それでつい…」
と顔の前で指をつんつんしながら答えてくれました。かわいいです。
「それならば呼んでみますか?」
私は召喚室に保存されている金色のお札を取り出しながら先輩に尋ねました。すると先輩は
「いいの!?」
と顔を喜色で一杯にして私の方を見、そのまま私の手から金色の札をもぎ取るや否や即座に
「来いやぁぁぁ!!!!!」
と、召喚室の中央にある光の筋にその札を投げ込みました。
光の筋から光が広がります。
もしこの召喚の際に概念礼装と呼ばれる武器にも防具にもそして道具にもなる過去の人たちの概念が物質化したものが出てくる際は一本の筋が部屋中に広がるのですが今私たちを囲むように広がっている光の筋は
正直に言いましょう。
「先輩!!」
私は急いで霊装を身に纏い、現れた盾を片手に先輩をかばうように立ちました。
盾の影から部屋の中心を見ます。
未だに光り輝いている光の柱はそのまま収縮し、爆発ないしは消滅するのかと思われました。
しかし、その光の柱は消えるのでも爆発するのでもなく、真っ白なセイントグラフを映し出して消失しました。
「
本来セイントグラフにはその召喚されるサーヴァントのクラスが表示されています。
サーヴァントは基本的に剣を扱う
現時点で召喚されている他の方から聞いたところ他にもクラスはあるそうですが、聖杯戦争に呼ばれること自体がほぼないそうなのでクラス名はともかくセイントグラフの絵柄すら教えていただけませんでした。
そんな中で本来ならばありえない真っ白なセイントグラフを見て呆然とする私の声に反応したというわけではないでしょうがそのセイントグラフは中心へと折りたたまれていくかのように丸まっていき、最終的に光の繭となって収まりました。
その繭は静かに床へと着地し、そして繭がさらに光り輝いて消えたとき
「ンァ?どこ此処。」
動きやすそうなジャージのズボンを穿き、フードのついたパーカーを着ている黒い髪の少年がそこにいました。
「こた!?なんであんたが召喚されてんの!?」
「あ、あんだよいきなりって立香おま!家の人心配してたぞおまえ急にいなくなったから!!」
なんでしょうかこの
というか、先輩お知り合いなのですかこの人と。しかも急にいなくなったって何をしたんですか……。
「何があったんだい!?………って君は誰だい!?」
あ、ドクターが召喚室にダ・ヴィンチちゃんを連れて駆け込んできました。
「いや、そっちこそ誰だよ。つーかこれって立派な誘拐事件だよなぁ?」
青年は不敵な笑みを浮かべながら冷静に、慌てた様子で質問を投げかけたドクターの方を向いてそう答えました……
次の日に学校も部活もないことをいいことに徹夜で床に胡坐をかいて画面を見続けながら手元のコントローラーを操作する。
「くぅぅううううううう!!……………やっと終わった~~~!!!!!」
クリア画面を見つつそう言いながら後ろへと寝転がろう………と思ったら見たことのない部屋に視界が急に変わっていた。
徹夜のせいで半分寝ぼけた頭で思わずこう漏らす。
「んぁ?ここ何処?」
と漏らした瞬間いきなり肩を揺さぶられ、なんだよと思いながらそちらの方を向くとそこには
「こた!?なんであんたが召喚されてんの!?」
何故か鬼の形相でこちらを睨みつけながら俺の愛称を呼ぶ幼馴染の藤丸立香がいた。
だけど、こいつが今ここにいるのは結構おかしい。だってこいつ冬休みに入る少し前あたりに
という謎の書置きを残して失踪したからだ。失踪直後はうちにも警察がやってきたりして大騒ぎになったが、カルデアという組織のものと名乗る黒服を着た男性と緑色のコートを着た山高帽持ったうさん臭い男がアイツの家に来たのを見て以来騒がれなくなった。
それを不思議に思ってアイツの家に行っておばさんたちに話を聞いてみたらどうも何かがおかしい。
こう、普通に話しているはずなんだけど立香の話に移ろうとしたら露骨に話をそらされる。
それがやけに引っかかったが、それまで普通に話していたはずのおばさんが唐突に台所から包丁を持ってきて研ぎだしたのでさすがにこれ以上深堀したらまずいと思い、俺はその場を撤退した。
結局、何かが起きている。ということしかわからないまま俺は冬休みに突入し、そして徹夜でゲームしていたらこれだ。訳が分からない。
訳が分からないから訳を知ってそうな奴に直接聞いた。
「あ、あんだよいきなりって立香おま!家の人心配してたぞおまえ急にいなくなったから!!」
まぁ、揺さぶられながらの事だからまともに喋れてはいなかったが。ウプ、揺らされすぎて気持ち悪!!
不意に沸いた吐き気をどうにか耐えていると白衣を着たあの山高帽の男ほどではなかったが少しうさん臭さを感じさせる立香よりも色は薄いもののオレンジ色の髪の男と、茶髪のナイスバディとでもいえばいいのだろうか。そんな体つきをした中世の西洋貴族とかが着てそうな服を着た杖を持った女性が部屋に駆け込んできた。
「ドクター!」
立香がその男のことをそう呼んだ。ドクターってことは
そう思った俺はその男の方を見た。
無意識のうちにほほが上がる。口端が吊り上がる。体の中で何かが昂るのを感じる。
そして俺は俺が誰かとたずねてきた男に向けてこう告げた。
「いや、そっちこそ誰だよ。つーかこれって立派な誘拐事件だよなぁ?」
それからいろいろとあって俺は体を調べられた結果、なんかサーヴァント?という存在に限りなく近いが、サーヴァントでもなく、普通の人でもないという禅問答にでも出てきそうな存在になっているらしい。
つか、いつの間に半年以上経過していたとか人類は実は滅んでいるとかなんだかんだ言われたけど情報量が多すぎて半分も理解できなかった。
そんな感じで絶賛混乱中の俺を置いてけぼりにしたままで
なんか、俺が自室として与えられた部屋でぼーっと受け取った紙に聞いた内容を書いて整理している間に立香がうるく?とか言う過去に飛んでいた。
なお、俺にはその過去に飛ぶ才能?適正?がないため同行は不可能らしい。
んなこと真面目な顔で言われても知らんがな。なおさら訳が分からなくなるだけだった。
そんなわけで。人が集まっているところにいても邪魔になるだけだと思った俺は簡単な軽食を作ってカルデアの職員に配る程度のできることをやったりしているうちにウルクから立香が帰ってきた。ただ、様子がおかしい。
どうも何かを深く考え込んでいるようだった。
「どうしたよ。何かあったのか?」
シャワールームにも立ち寄らず真っ先に帰って行ったアイツの部屋の扉を何のためらいもなく開け、真っ暗な部屋の中にいるであろう立香へと声をかける。
「…………何でもない。」
帰ってきたのはか細い声だった。
「嘘だろ。何でもないならそんな声を出す奴なんかいねーよ。」
俺はそう言いながら部屋の中に入って電気をつけようとする。すると
「つけないで!!」
部屋の奥。ベッドの方から大きな声が聞こえた。
「………」
真っ暗な部屋の中。ただ、何かが流れているかのような音だけが聞こえる。
俺はその闇の中で少しの間目を閉じ、少しの間回想にふけった。
あれは俺たちが小学校の低学年の頃だっただろうか。
そのころの近所の家で結構大きめの犬が飼われてたんだが、その犬は立香にかなりなついていた。それこそ、車に轢かれかけた立香をかばって自分自身が撥ねられるほどに。
その時も立香は今のようにへこんだ。それこそ、幻想のあの犬を見て大通りに飛び出すレベルまで精神的におかしくなっていた。
だからこそ、俺が止めないといけない。
あの時のように最悪殴ってでも。
他人は俺のことを「傲慢だ」というかもしれない。ハ!傲慢で結構結構!!普段ならちょっと時間をおいて其のままだったら動いているが、今回の場合はそれどころじゃない。
さっき管制室を覗いたときにドクターとかが話していた。「後数時間ほどで特定が済みそうだ」と。
あと数時間。それまでに下手したら自殺をしかねない精神状況のコイツをどうにかしないといけない。だったら俺が動くしかなかった。このカルデアにいる人たちの中で一番付き合いが長い俺が。
目を開き、即座に叫ぶ。
「甘ったれたこと言ってんじゃねーよ!!」
そう言いながら俺は勢いよく扉のすぐそばにある
部屋に明かりがともる。
予想通り、ベッドのほうにはアイツの髪の色のように橙色の全身タイツみたいな服を着たままでベッドの上で布団を抱きしめる立香がいた。
「何がウルクであったのか俺は詳しく知らねぇ。だけど、これだけは言える。その今のお前を見てそのウルクで知り合った人はどう思うと思ってんだ!!」
「うるさいうるさいうるさい!!」
「癇癪か?いいぜ来いよ!あのときみたいに相手してやるよ!」
そうして俺たちは通算1542回目の殴り合いを始めたのだった。
「あんたはいつも正論を吐くから嫌い。」
顔に若干のあざを残して立香はそう言った。
「ストッパーになるなら正論を履けなきゃ論外だからな。」
俺はそんな立香を見ながら腰を伸ばし、時計を見る。
「さて、そろそろ時間だぞ
俺がそう言ったのと同時に通信機に通信が入った。
「先輩。大丈夫ですか?」
通信機の投影ディスプレイに映し出されるのは立香を先輩と呼ぶマシュ・キリエライト。彼女は俺と違ってコイツと一緒に戦う権利と力を持っている。
一方俺にはそれが……ない。
宝具もない。戦う力もない。筋力とかそう言った身体能力は一般人に少し毛が生えた程度。
魔術回路とか言うのも全然ないらしいし。お手上げ状態だった。
だからこれ以降は彼女に任せよう。
俺はそう思って部屋を出ようとした……その時だった。
世界が揺れた。
「うぉ!?」
慌てて窓がある廊下までカルデアの中を走り抜け、窓の外を見る。
イカの足みたいなのに目ん玉大量にくっつけたのみたいなのが沢山このカルデアを押しつぶすかのように連なって建物を圧迫していた。
「嘘だろ!?」
慌てて窓から離れる。
メリメリという音とともに窓ガラスが破れ、建物の中に大量の触手が流れ込んでくる。
俺はそれに追いかけられる形で管制室まで走ろうとした。
しかし
「くそっ!!」
この緊急事態にカルデアにいたトップであるロマニ・アーキマンは、立香が管制室に到着直後に安全を確保するために、断腸の思いで管制室までのすべての隔壁を閉ざしていた。
よって、俺は味方の行動によって追い詰められることになる。
「諦めろ。」
「貴様たちは我らの功績の踏み台になればいいのだ。」
「抗う意味などない。」
「ましてや貴様は最期のマスターでもなく、ただのものでしかないだろう?なぜ生きようとする?」
後ろからそんな声が聞こえた。
俺は振り返る。
「そんなもん決まってる……生きたいからだ!!!」
近くにあった不審者が侵入したときのために置いてある指す股を手に取り、構える。
「来いや触手ども!!一般人なめんな!!」
そうして戦いは始まった…………………まぁ、どうにか耐えきったが。ぶっちゃけ、死ぬかと思った。実際のところその時点ではもう俺人理崩壊に巻き込まれて本当は死んでたわけだけど。
腹に穴開いたし、右足とかもがれたし、左手の肘から先なくなったし。
そんな感じで瀕死の状態で廊下に横たわっていたらそのまま体のあちらこちらから光の粒子が立ち上がり始めた。
「?」
血が流れていくせいであまりはっきりとしない視界の中で右手を顔の前に掲げる。
既に右手はほぼ光の粒子となり、輪郭がかろうじて見える程度しかなかった。
「終わったってことか……。ま、俺はここで死ぬんかね?」
あぁ、もうほとんど光しか見えない。
そう思った瞬間、俺の意識は白の光に包まれて消えた。
「!?」
右手にコントローラーを持ったまま、ガバッ!!!という音が似合いそうな勢いで起き上がる。
左手の感覚がない。
右足もまったく動かない。
そして、無意識のうちに時計を見れば、電波時計は俺が最後に見た日から1年後の日付を表していた。
それからしばらくして立香が一時帰国を許されたとか何とかでうちに来た。
「その杖。どうしたの?」
立香は俺のベッドの横にある杖を指さしてそう言った。
「あの日以来、まったく右足が動かなくてな。そのせいで杖ついて生きてる。」
俺が苦笑いしながら言うと、立香はうつむいて
「………ごめんね。私が
と言うなり泣き出した。
「は?」
その突然な展開についていけていないでいると
「あの日、三蔵ちゃんの言うこと真に受けて召還するんじゃなかった…。
「お前さっきから何言ってんの?」
俺はそう言って立香の言葉を遮った。
「俺なんかただのゲーマーだぞ。そんな俺がどうなろうとお前には関係ねーし、それにお前の方が大変だろ。全世界の注目を集めてんだから。」
「でも、それは私が望んだことじゃない。私は英雄になんかなりたくなかった!!」
そう言って頭を抱えていやいやと振る立香は今すぐにでも壊れてしまいそうで、そんな彼女を見て俺は
「………」
「いたぁ!?」
無言で彼女の頭を殴りつけた。
「お前いい加減にしろよ。誰だって英雄になれるようなもんじゃない。だけど、お前はそう呼ばれてもおかしくないようなことを成し遂げたんだろ。」
「俺なんか英雄譚でなれることができても死人か村人Cだ。」
「それに、こんな体の俺でも英雄なんかになれなくても
そう言いながら動かせる右手で立香の顔を弄り回す。
「だから、何かもう耐えられないようなことがあるなら俺に頼れ。お前の
「うっさい。」
そう言いながらこちらを見る立香の目には生気が戻っていて、それを見て俺は
「元気になったんならさっさとカルデアにでも戻れよ。お前を待ってる人がいるだろ?」
そう言って家から追い出した。
家を少し離れたところでこっちを見てあっかんベーをするアイツにあっかんベーをし返す。
ただ、夕日で赤く染まった立香の姿はまるで返り血を浴びているかのように見え、今後のアイツが心配になった。
そして俺自身は俺自身で限界だった。
元々、腹ぶち抜かれた際に内臓に大きなダメージが入っていたらしい。
そのせいで俺はまともに動けない体になっていた。
近づいてくる地面を見ながら思う。
俺の幼馴染である藤丸立香の未来に、せめて俺が得ることができなかった分でも幸があふれることを。
そう願いながら俺は瞼を閉じた。
変に思われたらどうしよ………