思いつき短編集   作:先詠む人

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すいません。いやほんとに。書きたくなってアンケートしてるのにむらむらしました。
それで怒られるかもしれませんが一言。

………Twitterで行ったアンケートの結果出る前だったし別に書いてもかまわんのだろう?


魔法少女救命計画_魔王と提督

(あの時の怖い体験に比べたらこれ位、なんてことないよね………)

 

 ()()()()()から2年。高校に入り、元々気弱な性格が原因でいろいろといじめられたりすることがあるけれど、私は特に動じることもなく、普通にしていた。

 

 2年前、今でこそ学業が忙しくて変身すること自体が少なくなったけれども私は魔法少女だった。

 

 まるで飼い主の言うことをよく聞く犬のように言われたことだけをやってただ、恐怖に震えているだけの日々だった。………あの日までは。

 

 目を閉じれば思い出す。

 

 戦場に充満する殺気。

 

 必死に駆けずり回って逃げる私たちの目の前を走る弾丸。

 

 唐突に、しかも大量に表れた頭をオレンジ色の被り物で覆い隠した人型の化け物。

 

 そして………

 

 

 

紫色のコートを振りながらこちらへと殺気を向ける戦士のことを。

 

 

 正直、あの時急に彼がああならなかったら私を含めてあの場にいた全員が死んでいたと思う。

 あの時感じたのはそれぐらいの恐怖だった。

 その時の恐怖に比べたら今こうやって髪を染めていかにもぐれてますよ~なんて感じの女子に()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 なぜなら私はもう本当の死の恐怖を知ってるから。

 

 だからと言って彼女のようになるつもりはないし、もう二度とあの恐怖に対面するのは嫌だと思うけれども。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの日の記憶は途中でぷっつり切れて、一部思い出せない。

 

 ただ、何が起きたのか。それに関しては想像が簡単にできた。

 元々、俺はそうなる()()()()()()()()()()()()()()してきていたからだ。

 

 あの日は、偶然夢の中でねむりんに遭遇して話し相手になってもらったのはよかったのだが、目を覚ます前にねむりんが既に脱落済みだということを聞かされたために、自分自身の無力さへのいら立ちでストレスがかかっていた。

 

(いらいらしていても仕方がない。気持ちを切り替えよう。)

 

 そう思って俺は避難所としていたゲームエリアの教会から出てエリアを解除し、そのまま名深市の夜の商店街をふらふらとうろつき歩いていた。

 

 ふらふらと歩き彷徨う中で人が集まっていく公園を見つけ、その公園へと俺も入っていく。

 その公園の中心には大きめな広場と噴水があり、噴水の根本。要は水が出てくるところに光源があるのかは知らないがそこから噴き出す水の筋が光っていた。

 

「奇麗だなぁ~ってブェ!?散ってきたし!!」

 

 いつも被っているフードを夜なのもあって被らずに噴水のすぐ近くをうろついていたので、顔に若干の水しぶきをモロに浴びながらそう呟く。

 

 その時きれいな噴水の様子を見て少しだけ気持ちが楽にはなっていたが、それでも脱落デスゲームを止められなかったという事実は俺に重くのしかかっていた。

 

「………結局、俺は何を成し遂げれたんだ……?ゲームが始まった以上殺し合いに発展するまで時間がないじゃないか…。」

 

 少なくとも()()()()()()()()()()()()()()()()

 これだけが確実な成果で、それと対比して俺が背負ったものは何か。

 魔法少女たちに狙われる羽目になったこと。そして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 意味もなくただ、拳を振るうのは獣でしかない。

 そう考えていたからこそ俺は短期決戦でクラムベリーから管理用端末を奪って破壊し、魔法の国へ連絡が行くようにすることで結末を変えようとしていたのにそれすらできなかった。

 

 管理用端末は未だクラムベリーの手の中。

 ファブはクラムベリーとグルだからゲームを終わらせようなんて考えるはずがない。

 

 未だにリズミカルに噴き出している噴水から離れ、近くにあった自販機にお金を入れ、青いフィルムが張られた清涼飲料水を購入する。

 

 そのペットボトルの飲み口のふたを開けようともせずに俺はそれを

 

「でりゃ!!」

 

 結構全力で公園内にあった多目的ホールの屋上の方の若干上空へ投げつけた。

 

 宙を舞うペットボトルは回転しながらその高度を上げていく。

 

「ふぅ。妊婦の夜歩きはあまり推奨できるようなもんじゃねーぜ。」

 

 投げたペットボトルの行き先を確認せず、自分でもかっこつけたセリフだとは思うが、そう言い残してから俺は再びフードを被り、歩き出した。

 

 今日は何の日だっけ……原作を読んだのもかなり前だったこともあり時間軸を忘れかけた頭で考える。

 

 そしてふと思い出した。

 

 原作通りなら今日この瞬間。ヴェス・ウィンタープリズンがルーラ一派との戦闘で死ぬ。そしてその流れを受けてシスターナナも後々ゲリライベントの際にウィンタープリズンの変身前の姿である雫さんがプレゼントしたか受け取ったかかどっちか忘れたのだが、そのマフラーで首をつって自殺する。

 

「やべ!?俺肝心なこと忘れてんじゃねーか!!」

 

 慌ててそう叫びながら黄緑色のガシャットを取り出し、腰にはゲーマドライバーを巻かずに起動スイッチを押し込んだ。

 

<シャカリキスポーツ!!>

 

 背後に自転車を駆るような影があるシャカリキスポーツのスタート画面が出てくるのと同時にどこからか蛍光黄緑色とショッキングピンクに基本フレームとタイヤを塗った自転車がすっと俺の前に出てくる。

 

「急がねーと!!」

 

 そう言いながらハンドルをもってペダルに足をかけ、一気に漕ぎ出した。

 

 

 

 

 ルーラたちが根城にしている西門前町にある廃寺院の場所は以前襲撃された際にわかっているから迷わずに行くことができた。

 

 未だに戦闘音は聞こえない。

 ウィンタープリズンの魔法は確か「壁を作る」か何かそう言った能力だったはずだ。アニメだと地面が思いっきり隆起していたのを時間とともに徐々に欠けつつある記憶の中で覚えている。

 

 廃寺院の入口の陰に隠れて中を覗き込む。

 

 そこには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………()()()()()()()

 

 

 無意識のうちに詰めていた息をゆっくりと吐きだしながら門扉へと背中を預けて脱力する。

 

「よかったぁ・・・」

 

 そう零し、気を緩めた俺の精神(こころ)

 

「ほぅ。何がよかったのか説明してくれないか?」

 

 脱力しているせいで垂れていた頭の上から聞こえてきた声によって一気に引き締められた。

 

「!?」

 

 はっ!と下げていた頭を上げる。その瞬間俺の心臓の位置めがけて放たれた貫手を認識し、それをかわすために俺は横へと飛んだ。

 

 もはや壊れかけてぼろぼろになっていた扉に貫手が突き刺さり、衝撃で寺院の中の方へとぶっ飛ぶ。

 

「嘘だろおい!!問答無用かよ!?」

 

 そう文句を言いながら腰にゲーマドライバーを当て、ガシャットを入れているコートの背中側から使い慣れているギリギリチャンバラガシャットを取り出そうとするが

 

「お前はナナに危害を加える可能性がある。それにお前はクラムベリーやルーラの一派に対してかなりの傷を負わせてもいる!そんなことをするような奴は魔法少女である私たちのだ!!」

 

 そう言いながらウィンタープリズンが足元にあった小石を蹴り飛ばし、

 

「っ!!」

 

 その石がコートから引っ張り出したばかりのガシャットを握っている右手に当たったことで、痛みで握っていたガシャットを取りこぼしてしまった。

 

 慌てて左手で落ちて行くガシャットを握りしめようとする。

 だが、俺とガシャットとの間にウィンタープリズンは壁を作り俺がガシャットを拾うのを妨害した。

 

「ナナっ!!」

 

「分かっています!!」

 

 壁の向こうへ先ほどまでウィンタープリズンのすぐ横にいたシスターナナが駆け寄って行こうとするのが見える。

 

「やらせるか!!」

 

 俺はそれを見た瞬間壁に手をかけ、一気に壁を乗り越えた。

 

 しかし、壁の向こうは廃寺院の境内の中。壁を乗り越え、転がりながらガシャットを確保し、そのまま境内の中へと入っていった俺が見たのは

 

「獲物はっけーん!」「はっけーん!!」

 

 片翼同士で二人そろって一対の羽をもつ双子天使と

 

「狩り………開始。」

 

 前回は首にかけていたゴーグルを今回は目につけているそのままの姿で大通りを歩けば痴女認定待ったなしの水着を着た少女と

 

「あわわわわわ……」

 

 未だ、混乱の極みに至っているらしいかわいい犬のような被り物を被ったなんといえばいいのだろうか、犬を擬人化したらこうなりましたみたいな恰好をした少女が並んで立っている光景だった。

 

「チッ!!まずいなこりゃ…」

 

 無意識のうちに舌打ちと悪態をつく。

 その理由はこのメンツに並んでルーラまで来たら最悪すぎる状況になるからだった。

 ルーラの魔法は錫杖?とでもいえばいいのだろうか。それを持った状態で特定のポーズをとって命令することで発動する。

 ただ、その命令はポーズをとり続けている間のみに効果があり、もしポーズが崩れると命令は実行されなくなる。

 

 しかし、そうだとしてももし俺に「動くな」、あるいは「すべての持ち物を出し、それらを説明してから自害せよ」なんて命令が魔法付きで発動された場合どうしようもなくなる。

 

 後者の場合は説明をしている途中で運よく魔法が解ければ御の字だが、前者の場合は動けなくなっている間に殺されでもしたらGAME OVER(オシマイ)だ。

 ただ、幸いなのはルーラの魔法にはさっきも言った通り制約があるということ。だが、それを踏まえてもルーラの魔法は危険すぎる。

 

 そのため、俺は魔法(それ)を警戒して前の襲撃の時に真っ先にルーラの錫杖を半分に折り砕き、腹に全力で拳をぶつけたのだった。

 

「今日は女王様は来てないんだなぁ!」

 

 その場で急いで握りなおしたガシャットをいつでも起動できるようにしつつ、煽るように並ぶ彼女たちへ告げる。

 

 もし、この場にルーラが隠れていればそれで出てくると思ったのだが……どうやらいないようだ。何も言ってこない。その結果に安心して今度こそ変身しようとガシャットを構えたその時だった。

 

「いいえ。いるわよ。」

 

 すぐ後ろの方から若干ハスキーな、けれどもどこか艶がある声が聞こえた。

 

 (嘘だろ!?さっきまで誰もいなかっただろうが!?)

 

 反射的にその場から5メートル以上離れるために距離を取ろうとしながらガシャットを起動しようとスイッチを押し込もうとする………が、少し遅すぎた。

 

 

「ルーラの名のもとにおいて命ずる。()()()()()()よ、動くな!!」

 

 

 ある意味最強の固有魔法が発動する。

 

 そして命令された俺は動けなくなる………はずだった。

 

「?なぜ発動してない?」

 

 逃げるために動いた体勢の状態で命令を受けたために魔法がきちんと発動していれば俺はピクリとも動けず、そのままの体勢で転んで地に落ちる。

 しかし、俺はそのまま体勢を整えながら着地していた。

 

(そうか、名前!!!)

 

 目の前でルーラがこぼした疑問に対して俺は内心ある答えを導き出す。

 

 ルーラの固有魔法の発動に必要なのは4つの制約のクリアだけだと俺はずっと前世の頃から思っていた。

 だが、恐らく誰もが気付いていなかった隠し条件である命令を受ける対象者の名前。その条件を満たすために必要な俺の名前は誰にも教えていないし知っている人もいないために条件として認めら(クリアさ)れない。

 

(だから今のルーラの魔法に俺がやられることはないってことか!!)

 

 そうと気づいてすぐにサッと足を振り回していつものマントの上からさらにマントを被っているルーラが持っている錫杖?を蹴り飛ばし、そこからガシャットを起動しながら一気に距離を置く。

 

<ギリギリチャンバラ!!>

 

 三味線の音をベースにした和風の起動音が鳴り響き、背後に現れたスタート画面から周囲に大量の灯篭が現れ、設置される。

 

 そして俺はルーラと、スイムスイムたちから距離を置いて体勢を低くし、ガシャットをドライバーの内側のスロットへ差し込んだ。

 

Let's game(レッツゲーム)! メッチャゲーム! ムッチャゲーム! What's your name(ワッチャネーム)!>

 

 そうして俺が変身したのは戦国時代の武士がしていた甲冑をデフォルメしたかのように見えるずんぐりむっくりな姿。

 

 チャンバラゲーマーレベル1。

 

 変身後、周りをよく確認し、隙を見出してこの状況から抜け出そうと動き出す……その時だった。

 

 俺の両端から何の前触れもなく壁が突き出してくる。

 

「!マズい!!」

 

 武器を展開して壁を切り裂く?いや、ガシャコンスパローを展開している間に壁でできた檻が閉じる。

 そう思いながら逃げ場を探し、視界の端にこちらへと迫ってくるウィンタープリズンを捕らえた俺は前には進めないと判断して後ろの方へと逃げ出そうとした…………が

 

「くそっ!」

 

 その時点でもう俺を囲むかのように背後にも前にも壁がせりあがり、四方を囲まれて逃げ場がなくなっていた。

 

(だったら上に!!)

 

 そう思い踏ん張った……その瞬間だった。

 

「逃がすとでも思ったのか?」

 

 その声とともに俺の体は囲うように生えた壁から出てきた大量の壁によって仰向けになった状態で押しつぶされる。

 

「く……そ……っ!!」

 

 胸を壁で押しつぶされて呼吸がうまくできない。そんな中でも必死に生き延びるためにドライバーのカバーを開いてレベルアップしようとした………その時だった。

 

「やらせない。」

 

 そんな声とともに腰につけていたゲーマドライバーが刺さっていたガシャットごと盗られる。

 

 視界の端でスイムスイムが俺のゲーマドライバーとギリギリチャンバラのガシャットを両手に持って再び地面へと潜っていくのが見えた。

 

「マジかよ……」

 

 変身が解除されながらどうしようもない現状に絶望する俺へ向かって俺の前までゆっくりとやってきて邪魔になる壁を破壊したウィンタープリズンは

 

「悪魔よ………死ね!!」

 

 そう言いながら目の前の敵(おれ)へと貫手を放った。

 

 

 

 

 加速した世界の中で貫手が迫ってきている。

 

 きっとこのままだとその手は俺の心臓を貫くだろう。

 

 だけど、なんで俺が殺されないといけない?

 俺はただ、魔法少女たちが死ぬ運命を変えたかっただけなのに。

 約束を果たしたかっただけなのに。

 俺は誰も殺してなどいないのに。

 確かに傷つけはしたが俺自身も殺されたくなかったから相子だろうに。

 

  

 そう考えている中で徐々に近づく明確な

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のイメージ。

 

 

 俺の記憶はそこで一度途絶える。その後、俺の記憶が始まったのは次の日の朝。

 どこかの廃墟の中で俺のことをおびえながらも大事そうに抱きかかえている白い少女の膝の上だった。

 

 

 

 ただでさえクラムベリーがゲームを始めるのを妨害できなかったせいで生じてしまった、自分のふがいなさへの怒りによるストレス。それが尋常じゃないほど溜まっていた俺は、その死のイメージが原因で俺の中に眠っていたものをたたき起こしてしまった。

 

 本来ならば()()がこの「魔法少女育成計画」の世界に存在することはありえない。

 俺と言う転生者(イレギュラー)がいたことにより生じたそいつの存在。

 

 そいつの名は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 この間会ったときにも謝られたからわかったけど、(たいが)はまだあの時の事を気にしていた。

 

 ウィンタープリズンが押さえつけられた黒フード(かれ)の心臓を貫き、首元に手を当てて確実に絶命したのを確認してから押さえつけるのに使われていた壁を解除する。

 

 そして

 

「倒した。」

 

 そう言って立ち上がった………その時だった。

 

「これで私たちみんな助かりますね!」

 

 シスターナナが嬉しそうに大きな声で言う。私は人が殺される、ましてやおばあちゃんが死んでから唯一頭をなでてくれた黒フード(かれ)が殺されるのを見たくない。私はそう思ったから耳をふさいでしゃがんでいた。だからこそその声が聞こえて顔を上げたときに偶然気づいた。

 

「あれ?」

 

 心臓が貫かれた黒フードの胸からは血が噴き出していた。だけど、その傷跡から飛び出すのが徐々に血からオレンジ色の粒子みたいなのに変わる。そしてそれが大量に出てきて今度はその傷をふさいでいった。

 

 さらに

 

「ヒッ!!」

 

「どうしたのたま………ってウソ。」

 

「ウィンタープリズンどういうことだよ!!」

 

「え……」

 

「イタタタ……嘘でしょ!!」

 

 目を赤く光らせた黒フード(かれ)がゆったりと、それこそゾンビみたいに立ち上がる。

 

「どういうことだ?確実に息の根を止めたのに!!」

 

「ウィンタープリズン何なのこれ!怖いわ!!」

 

 全員が困惑する中で黒フード(かれ)

 

「お前ら戦う気がない奴相手に数で押さえつけた上に縛りプレイ強要するなんてつまらないことするなよ。」

 

 そう言いながら両手を困ったかのように持ち上げながら首を振った。

 

「こいつはお前ら相手に本気で戦えない。まぁ、()()はいるみたいだがな。」

 

「だ~か~ら、俺が、戦う。」

 

 そう言って黒フード(かれ)は最初コートの中から青い大きな何かを出そうとしたけれども、

 

「あ、この人数差ならこれでもいいかもな!」

 

 そう言って小さい子供が新しいおもちゃを与えられたかのような満面の笑みを浮かべながら赤い何かを取り出した。

 

「ドライバーは……そうか。盗られたのかー。ブレイブになれるかと思ったんだがな~仕方ない。なら、こっちでいいか。」

 

 そう言いながら取り出した赤い大きな箱みたいな何かは小さい窓が2つと、黄色い円盤がついていた。

 

「そこのお前。」

 

 箱みたいなものを右手の中でもてあそびながら黒フード(かれ)はウィンタープリズンを指さす。

 

「お前はさっき俺のことを悪魔って呼んでたよなぁ?」

 

「そうだ!私たちを襲って生き残るのを邪魔する。しかも最初は甘言を言いながら近づいてきたそうじゃないか!そんなことをするような奴を悪魔と呼ばずしてなんという!!」

 

 指を指されたウィンタープリズンは堂々とそう答えた。すると

 

「悪魔ねぇ……ちょっと違うんだよな。」

 

 黒フード(かれ)はくっくっと蔑むかのようにこちらを見て笑いながらそう言った。

 

「何がおかしい!!」

 

 彼がとる行動を見て気に障ったのかウィンタープリズンはそう怒鳴る。

 

「あぁ、失礼失礼。だって、俺は悪魔なんかじゃない。今の俺のことを正しくいうなれば()()だからな。」

 

 そう言いながら彼は握っていた箱みたいなものの黄色い円盤がこちらへ向くように突き出した。

 

 

「さぁ、俺を楽しませろよ。」

 

 彼が左手の人刺し指で黄色い円盤を90度回す。

 

<~♪~><タドールファンタジー

 

 すると彼の背後に魔王のような影が構え、そして足元が燃えているような画面が展開された。

 

Let's going King of Fantasy!!

 

 高らかに鳴り響くラッパのような音と一緒に流れる声はうるさい。

 

 そんなことを考えていると画面から昔のRPGに出てきそうな鎧のような何かが出て来て宙を舞っていることに気が付いた。それを確認することもなく彼は一度その握った箱みたいなものを顔のすぐ横に近づけ、親指で円盤のような物の後ろの箱自体についているスイッチを押し込む。

 

デュアルアップ

 

Satan appeared!

 

Say "MAOU"

 

TADDLE FANTASY!

 

 その音声が鳴るのと同時に先ほどから宙を舞っていた鎧が彼にかぶさった。

 

 まるでゲームをあまりしない私でも知ってるような魔王がゲームから出てきたかのような既視感を覚える。

 メタリックなダークバイオレットのスーツに身を包み、ごてごてとした所々に鋭い鎧をまとい、その上にマントを羽織っている彼は正しく”魔王”と言ってもいい姿だった。

 

 私はその一連の流れに見とれていて呆然としていたが、他の人たちも同様だったらしく動けないでいた。

 

「さて、古き王の言葉を借りようとするかね………『虐殺タイムだ』。殺さないけどな。」

 

 そう言って彼は勢いよくこちらへと突っ込んでくる……と言うわけではなく、左手を開き、マントを開く。

 その瞬間マントの中から大量の頭をオレンジ色の被り物で覆った何者かが沢山出て来て私たちを襲い始めた。

 

「ハハハハハハハハ!!!」

 

 高笑いをしながら彼はこちらへと歩いてくる。

 そんな彼を見てスイムちゃんは武器を片手に地面に潜った。

 

 地面を水の中にでもいるかのように泳ぐスイムちゃんが彼をきっと倒す。そう私はつい思っていた。だけど……

 

 

「そこだな。」

 

 

 彼は急に高笑いをやめて左手を横に構え、何かをし始める。

 

 一体何を?そう思った瞬間構えた左手に直視できないほどの光を放つ弾が形成される。

 そして彼の背後から襲い掛かったスイムちゃんへその弾を押し付ける。

 

ぶっとべよガキ。あと、さっきとった俺のドライバー返せよ。」

 

 その光弾を腹部に押し付けられたスイムちゃんが吹っ飛んでいく。どうやらあの光の玉は雷だったようで飛んでいくスイムちゃんから黒い煙が出ていることに私は気づいた。

 

「スイムちゃん!」

 

 慌ててスイムちゃんが飛んで行った方に走る。

 

「行かせ………う~ん。」

 

 私がスイムちゃんが飛んで行った方向へ走り出そうとすると一瞬だけ黒フード(かれ)はこちらへと攻撃しようとしたが、私の姿を見るのと同時にピシりと固まったかと思うと、

 

「こっちにするか。」

 

 そう言ってから一度腰の方についていたホルスターに差し込んでいた赤っぽい色をした箱のようなものを取り出し、今度は黄色い円盤部分を180度回す。

 

<~♪~><バンバンシュミレーション!!

 

 彼の背後に今度は昔テレビの潜入取材の企画を視ていた時に見たレーダーの画面のような背景に、帽子をかぶった影が敬礼している姿が映る画面が浮かび上がる。

 

I ready for Battleship!I ready for Battleship!

 

 後ろの方からそんな音声が流れ出す中、魔王のような姿をしたまま彼は

 

「もっと激しく行こうぜ。」

 

 そう言って横向きに銃を構えるかのようにその箱を持ち、

 

「さぁ、戦闘開始だ!」

 

 そう言って先ほど魔王のような姿の変身したときと同様に、箱についているスイッチを押し込んだ。

 

デュアルアップ

 

Enemy is coming!

 

Shotdown their BANG BANG SIMULATIONS!

 

 スイッチを押し込むのと同時に出てきた軍艦のような鎧が魔王のような鎧を光へと還元し、黒いスーツに変わった彼にかぶさる。

 

 被さると同時に軍艦が展開して盾に、大砲に、そしてターゲットサイトに。

 

 最終的にそこに立っていたのはありとあらゆる武器を一つに詰め込んだのではないかと疑いたくなるような大量の砲台を体中に設置している存在だった。

 

「ひゃっほ~い!!」

 

 彼はそう言いながらその両の手に握った砲口から大量の砲弾の雨あられを私たちに降り注がせる。

 

 とっさにウィンタープリズンが(シェルター)を作り、その中にシスターナナが隠れる。

 その際にシスターナナはルーラの手を引いて砲弾の雨から逃げていた。

 

 ユナちゃんたちがどうなっているのか?そんなことを気にする余裕は今の私にはなくって、このままだと危ないと思ったスイムちゃんの方へと必死に足を運んでいた。

 

「スイムちゃん!!」

 

 戦闘区域からほんのり少しだけ離れたもともとこのお寺にあったお庭の枯れ池の中にスイムちゃんは体のあちこちからピリッパリッと音を立てて放電しながら痙攣していた。

 

「今から穴を掘って安全な場所を作るから!!」

 

 そう言ってスイムちゃんを枯れ池の中から助け出して地面に爪をサッと掠らせる。

 

 すると魔法が発動して大きな、だけど私が考えた通りの穴が掘れ、その中に私はスイムちゃんを担いで入った。

 

 真っ暗な闇の中で外の轟音だけが鳴り響く。

 

 息を殺して放電しなくなってもいまだにダメージが抜けてないスイムちゃんをかばう様に穴の中に入っていると轟音が突如止んだ。

 

「?」

 

 ふと疑問に思って穴から出る。すると

 

 

 ただでさえ荒れ果てていたこの廃寺院の庭がまるで絨毯爆撃にでもあったかのようにぼろぼろとなっている様子と

 

「くっ……」

 

「ウィンタープリズン、大丈夫?」

 

「この件は借りにしといてあげるわ。」

 

 半壊したドーム状の物体から這い出してきたルーラたちと

 

「俺は………こんなことがしたいんじゃない!」

 

「い~や、お前がしたいのはこういう破壊だろ?だったらルールに則ってやりたいようにすればいいじゃないか。」

 

 庭の中心で一人、赤と緑色のオーラを交互に出しつつ、一人二役でもしているかのように絶叫しながら頭を抱えてかぶりを振っている黒フード(かれ)の姿だった。

 

「俺は………俺はぁあああああああああ!!!!」

 

 叫びながら彼はさっきルーラちゃんから取り返したライトグリーンで塗装された大きめのバックルを腰に当てる。

 

「破壊者や殺戮者じゃなくてライダーになりたいんだぁあああああ!!!」

 

 親に見捨てられた幼子のように悲痛な叫びをあげながら彼は立ちあがり、そして腰に巻き付いたバックルの横についているホルダーみたいな物体に勢いよく左手を叩き付けた。

 

<STAGE SELECT!!>

 

 彼の周りに十数個の窓が浮かび上がる。

 

 そしてそれらの窓が数回、動いたと思ったら彼はその場から0と1の数字を模したかのような光だけを残して霞のように消えた。

 それと同じタイミングで今を好機と判断したのか左肩をかばいながら勢いよく襲い掛かっていたウィンタープリズンの攻撃が空を切る。

 

「……逃げられたか。」

 

 そう言って立ち尽くすウィンタープリズンの言葉に誰も返そうとしなかった。

 

 みんな無言でその場から立ち去っていく。

 私は彼の叫びの意味が分からなくてしばらくその場でへたり込んでいたけれど、ルーラに

 

「たま。ついて来なさい!!今回のことを反省して次へとつなぐわよ!!!」

 

 と魔法付きで怒られたことで漸く立ち上がってルーラの後ろについて歩きだした。

 

 その次の日の夜に、今現在生存している魔法少女たち全員が集められてのチャットが開かれた。

 

 ☆ファブさんが魔法の国に入国しました。

 

 ファブ:昨日、一度件の黒コートが死亡したとの報告があったけれども実際どうだったんだぽん?

 

 ウィンタープリズン:確かに一度殺したのだが……

 

 ルーラ:即座に復活して私たちを攻撃してきたわ。何なのよあれ。ウィンタープリズン、あなたきちんと殺し損ねていたんじゃなくて?

 

 ウィンタープリズン:馬鹿なことを言わないでくれ

 

 カラミティ・メアリ:なんだい?あの男死なないのかィ?

 

 ラ・ピュセル:私たちは一度一から考え直した方がいいのではと最近思ったんだ。クラムベリーが私を襲った件についてもまだ納得のいく説明を受けていないしな

 

 クラムベリー:あら?その件につきましては大変申し訳ありませんでした。一番最初にあの男と戦ったのは私だったのもあってかなりのダメージを受けたのでそのリハビリも兼ねてです。

 

 ファブ:雑談はそこまでにして欲しいぽん

 

 ファブ:ところで魔法少女の皆さん。

 

 ファブ:我々魔法の国も彼の脅威に対抗するために新たなアイテムを皆様に送ることにしました。

 

 ファブ:欲しい方はファブまで後程直接メッセージを送るぽん。キャンディーと引き換えに渡すぽん。

 

 ファブ:それじゃあ、シーユー

 

 ☆ファブさんが魔法の国から出国しました。

 

 スノーホワイト:すいません。

 

 スノーホワイト:この後ちょっと相談したいことがあるから集まれる人は集まってほしいんですけど…

 

 トップスピード:わかった!どこに行けばいいんだ?

 

 ラ・ピュセル:いつもの鉄塔の所でいいか?

 

 リップル:私は行かないからな

 

 たま:私も行ってもいいですか?ルーラ様

 

 ルーラ:好きにしなさい

 

 トップスピード:いいじゃん行こうぜー

 

 ラ・ピュセル:たまは初めて行くところになるから私が直接門前町まで迎えに行こう。

 

 ラ・ピュセル:いつも君たちが集まっている廃寺院でいいかい?

 

 たま:はい、よろしくお願いします。

 

 ☆たまさんが魔法の国から出国しました

 

 開いていたマジカルフォンを閉じる。

 

「行かなきゃ行けない気がするのはなんでだろう……」

 

 その予感に疑問を覚えながら犬吠埼珠から変身してたまになった私はいつもの廃寺院へと家を抜け出して向かった。

 

 まさか、ラ・ピュセルに連れられて向かった彼女とスノーホワイトがいつも集まっているという鉄塔の上で蝙蝠みたいにぶら下がってだらけながら白いゲーム機で遊んでいる黒フード(かれ)がいるなんて思ってもいなかったけれど……

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁさぁ、ゲームが面白くなってきたじゃないか。」

 

 その男は彼の()で他をあざ笑うかのような笑みを浮かべつつそう呟く。

 

「まさか、俺がエムみたいになるとはねぇ…」

 

 様々な色のラインが走っている黒いコートを着て、ぼさぼさの髪を整えようともしない男はそのままその場に座り込み、どこからか取り出した白いゲーム機を操作し始めた。

 

「これから面白いことになりそうだ。」

 

 そう言いながらゲームに没頭し始める男の横にはメタリックグリーンで塗装された大我がいつも使っているバグヴァイザーの色違いのようなものと、黒地に翠のラインなどが入れられ、『KAMENRIDER CHRONICLE』と書かれたガシャットが置かれていた………

 

 

 

 See you next game ?

 

 




感想、評価等よろしくお願いします。

それと、Twitter、そして活動報告で行ったアンケートの結果なんですが、ほんとに思い付きで書いただけだった「一般人がカルデアに召喚されてしまった件」が一位になりました。(想定外)

個人的な予想ではTwitterで「一般人」が一位になるのは自分のフォロワーさんの傾向から予想するのは楽だったんですが、まさかの活動報告でもぶっちぎりの一位!!

と言うわけで、多分全プロット書き直しで下手したら一般人が逸般人になるかもしれませんがいつか書こうと思います。

書きやすさで言ったら

魔法少女救命計画>狭間>カルデアに一般人が召喚されてしまった件

なんですけどねー。いや本気で。
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