白き境界   作:ザラさん

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次回からかなり期間が空いて、気が付けば数週間が経過。どの様に振る舞わせれば良いのか、戦いのきっかけを与えるべきかを考えながら執筆を進めていました。
どうぞご覧下さい。


〜覚醒 Awake〜

自分は何も考えずに、朝には目覚め、歯を磨き、ニュースを見て、ラジオを聞き、適当にダラダラと過ごしていた。

 

最近では何やら大量殺人事件が多いらしい、怖いなあと思いながらもいつもの通りに家を出ていった。

 

ある1人の学生が懸命に本を読みながら登校してる姿を見る、それを見ると羨ましいのと同時に妬ましく思えてくるのだ。

 

あれ程真摯に、目標に向けて努力してる他人と自分を見るとどちらが素晴らしいのかと言えば、言うまでもない。

 

そんな勝手な自己嫌悪に浸っていた時だった。

 

「・・・?」

 

何やら景色が歪んだ様な気がする。

 

そして静かだ、嵐の前の静けさと言うにはピッタリの状況だった。鳥のさえずりも人々の話声も何も聞こえない。目を擦りながらふらふらといつも通りの道を歩いてるつもりだが、いつも通りの道とは「思えなかった」。

 

「気持ち悪ぃ・・・」

 

まるで神隠しにでもあって、別世界にでも飛ばされたのかと妄想しながら、誘導されてるかの様な妙な感覚に従い歩を進める。

 

「ハワード君ね、待ってたわ」

 

そして道端で出会った彼女はとても綺麗だった。

優しく包みそうな緑の髪、歳は20代前後の若々しさも持っており凛とした声も相まって只者では無いのだと理解した。

 

だからこそ怪しく、警戒心は強まるばかり。

 

「誰だよ、あんた。何で俺の名前を知ってるんだよ、それに俺はこれから忙しいんだ」

 

「どうでも良いわ、それよりも単刀直入に話すわ。これからこの場所で戦いが起きるの。時間が無いわ、貴方の力を貸して欲しい」

 

「……は?」

 

「驚くのも無理はないわ、だけど早くしなさい。手遅れになる前に」

 

俺は驚いてるんじゃない、呆れてるんだよ。唐突な命令口調でムカつく上に訳の分からない厨二病に付き合うつもりは毛頭ない。

 

無視して横を通り、立ち去る。

 

その瞬間に俺はこれから起こる状況に流されるだけだった。

 

まず感じたのは血の臭い、目を開けば広がるのは頭蓋骨や肋骨等の骨の山、そこから雪崩のように流れる血、血、血。

 

其れ等が地面を埋め尽くす奇々怪々な現状をみて俺は気を失いそうになった・・・だが、それを死神は許さない。

 

「ああ・・・我らが全能の神よ、悲しみと苦痛に喘ぐ運命を受けた子羊らに救済を」

 

髑髏の山の頂上、そこには十代前半にも見える程の少年の姿をしているが、一目で分かった。

 

こいつは人の皮を被った怪物なのだと。

 

「やあ、劣等のお兄さん。運が悪かったね〜、死んで貰うよ♪どうせ生きる価値なんて何も無いんだから僕の栄養になった方がずっと有益だよ」

 

まるで散歩をするかの様な感覚で俺は攻撃をされたようだ、何かに「切られた」か…それだけしか分からず自分の意識はゆっくりと闇へと沈んでいく。

 

血の海に浸かりながら、死者の声が自身を冥府へと誘おうとする声が聞こえた気がした。

 

其の間際に彼女の声を聞いた。

 

「ねえ?此処で死ぬの?無様に殺されて…貴方は生を満足するの?」

 

誰が!こんな事、好きで望む訳が無い。

 

「まだ間に合う、さあ、今こそ手を伸ばして。貴方に贈るモノがある」

 

嫌だ!来るな!もう嫌だ、こんな事に付き合わせるな。

化け物共が、俺の様な奴に求めるんじゃない。

 

「貴方はいつもそう…自己を否定して、何もかも逃して来た。本当にそれで良いの?」

 

俺は物語に出てくる様な英雄や救世主なんかじゃない、無理だ。

 

最低の泣き言で突き放すように彼女へと告げる。

 

だけど彼女は「信じてる」と一言添えた。

 

目の前でボロボロになって泣き言を垂れる弱者(俺)に向けて

 

「玩具は邪魔だよ」

 

化け物が彼女に攻撃をすれば、俺と同じ様に彼女も呆気なく倒れてしまった。

 

その光景が目を焼き尽くす、悔恨の思いが渦を巻いていく。

 

逃げ出したくて、泣き喚きそうで。

 

そして化け物は下卑た様な表情で彼女に止めを刺そうと歩を進めて来る。

 

もう限界だ!

 

堪えられないのだ。

 

女に守られて逃げ出そうとしてる自分が。

 

このムカつく餓鬼に蹂躙される軟弱な自分が。

 

必死になって彼女へと手を伸ばし、触れたその瞬間だった。

 

「!?…馬鹿な」

 

あぁ…そりゃあ驚くだろうさ。

 

何故なら、ほんの数十秒前までは何も出来ずに弱音を吐いてた劣等男がお前の言う玩具に触れれば、見ろよ。

 

これは奇跡なのだろうか、化け物が止めを刺そうと振り下ろした剣を俺は素手で、しかも彼女へと手を伸ばした逆の片手で受け止めていた。

 

「そりゃあ、声も出ねえよな…っと!」

 

「がはっ!?…あ、有り得ない!!」

 

受け止めた後に思いっきり蹴りをぶちかませば、コンクリートの壁に激突し、化け物は驚きを隠せず焦っていた。

 

ざまあ、みやがれ。

 

「何故だ…どうして…」

 

「単に今日は良い事が無くてよ、運が悪いからじゃね〜の?」

 

「さあ、第2R始めようぜ。まじで許さねぇからな…」

 

目の前の化け物に向けた拳、もはやこの戦いを止めるものは居ないし、止めるつもりも無いとハワードは相手を睨み、戦闘態勢に入っていたのであった。

 




今回はハワード君新しい出会い、覚醒とバトルシーン開始の流れでしたが如何でしょうか?
新しく出てきたヒロインが主人公に早速罵倒してるのはどうかな…と思いましたけどね、しかも名前も名乗らずに。
全然主人公らしく無いですが、個人的にはこのキャラ結構気に入ってるんですよ(笑)
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