「へ、へえ。あなた霖之助さんの嫁だったの・・・へえ・・・」
「まあ今は知らないけどな。それに今の仲はどっちかっていうとお父さんみたいな感じだし」
「だから今は霧雨道具店をあんなところでやってるのね」
「来るのはお前とか妖怪ぐらいだけどな」
「それで。話の続き」
「おお、そうだった。それで私達は旅に出たんだけど、案外早くあの場所を見つけたんだよな」
「香霖堂ね」
「そう。それで今度は私が一人立ちしたいって言いだしたのがきっかけなんだ」
―――
香霖堂
「俺もそろそろ一人立ちしたいぜ!」
「駄目」
このような会話を一日に何回と繰り返す。これを毎日だ。
魔理沙も11才になり、そこそこな思春期だ。それ故好奇心と冒険心が暴走しかけている。
そんな状態で旅にでも出させれば魔理沙も後悔することとなるだろう。そうして後から「どうして止めてくれなかったんだ」と言われても大いに困る。
「なんでだよ!俺だって冒険したいぜ!探険したいぜ!宝物引き当てたいぜェ!!」
「はぁ」
たしかにこのままでは箱入り娘となってしまう。だからと言って軽々に「はいどうぞ」と言えるはずもなく。
そして霖之助の頭に一つの案が思い浮かんだ。
「魔理沙。一人立ちしてもいい」
「本当か!?」
「ただし条件がある」
「なんでも言ってみろ!!」
そして店の奥に行き、木製の小さな箱と古びた紙を取り出した。
紙には謎の文字と図形が書かれている。
「この紙は特殊な紙で燃えないんだ。そしてこっちは」
小さい木箱を開けて中から八角形の金属を取り出した。
「これをお前にやる。これを使いきれるようになったら一人立ちを許そう」
一見何を言っているのか分からないような魔理沙。だが汗をかきながら八角形の金属を手に持ち
「こ、こんなのすぐに使い古してやらぁ・・・・えーと」
カチャカチャと弄りながら調べているようだが今の魔理沙には到底分からない代物。悪く言えば豚に真珠だ。だがこれも魔理沙の頑張り次第で真珠どころかダイヤモンド並の力を発揮する。
「それは八卦炉と呼ばれるものの縮小版『ミニ八卦炉』だ」
『八卦炉』とは、中国に伝わる神話に出てくる炉であり、八本の柱を立体的に表した金剛金属。八本の柱はそれぞれ「乾・坎・艮・震・巽・離・坤・兌」を表し、内部にもこれと同じ方向が書かれている。
ただこのミニ八卦炉は炉口から炎を出す火力調整機で、小さい炎から山をも消し飛ばす大火炎まで出すことが出来る。
そうとは露知らず、魔理沙は「使い古す」等と軽々しく答えてしまったのだ。
「まあ使いたいのであれば、ある人に弟子入りするといい」
「弟子入り?」
発言に疑問を抱いていると。
(出番かねぇ)
どこからか女の声がした。
「おいおいちょっと早いっ――」
霖之助が急いで古い紙を地面に敷く。すると間もなく紙が光り出し、輝く光の線が星型を描いて空間に広がった。
その光の中から緑の髪色をした綺麗な女性が現れた。その女性に足は無く、代わりに大きなスカートの中から白い煙のようなものが出ている。右手には三日月型のオブジェクトが付いた杖を握っている。その見た目は魔理沙が夢にまで見た魔法使いや魔女の類に似ていた。
女は静かに目を開き、フッと笑って大声で
「我が名は魅魔!魔界に集いし邪霊なり!」
そう名乗ったのだ。
「はぁ・・・魅魔さんは早とちりですかぁ・・・・」
「ワー・・・・・」
霖之助は頭を抱え、魔理沙は口を大きく開けたままポカーンとしている。
そこへ魅魔のげんこつが振り下ろされた。
「イタッ」
「いってー!」
「この魅魔を召喚したというのに・・・・地上の者は礼儀がなってない!」
(勝手に来たんでしょうが)
(いきなり現れて何言ってんだこの人)
二人の意見が初めて合った。
その後魔理沙に二人からの説明があった。
まずこの女性「魅魔」は、魔界に住む霊的存在で、一種の神様らしい。今は地上で生活しているそうだ。話では博麗神社に祀られている祟り神の一人らしい。元々は全人類に復讐するために博麗の力を得たらしいが、今はどうでもいいと言う。
そんな彼女だが得意とする能力は月の加護を受けて発動する「魔力」を利用した「魔術」。そのために星を利用した物が多いそうだ。
魔術師として君臨する中で位があるらしいのだが、その中で「メイガン」と呼ばれる位らしい。
「そうだ。そしてこの私がここに来た理由は・・・」
魔理沙を指さして
「貴様を鍛えるためだ。話じゃ冒険するために八卦炉を使うそうじゃないか。中々良い度胸だ。だからこの私が鍛えてやる。徹底的にな」
「うぅ・・・」
冒険に出たいのも事実。八卦炉を使いこなすと言ったのも事実。だがどうしてこうなった。
そう心で嘆いていると。
「どうやらかなり失感しているようだが、私は容赦せんぞ?」
「なっ・・・」
心を読まれた。と言うか表情で分かったのだろう。
「まあやるなら本気でやろうじゃないか」
「もしかして俺がなるのって・・・・」
「もちろん、魔女の一つ下の位。『魔法使い』だ」
「ぜ・・・ぜ・・・・ぜぜぜ・・・・」
かなり面倒なことに巻き込まれてしまった魔理沙。そこからの訓練と練習の日々は苦しいものになるんだろう、と想像しながら泣いていた。
「なあ魅魔さんよぉ」
「馬鹿者!魅魔様とお呼び」
(そんな団長みたいなこと言われても・・・)
「この服装には意味があるのか?」
それは黒い服に白色のエプロン、そして小さい頃被っていた白黒の魔女っ子帽。
「魔法使いになるんだから形だけでも見せておいた方がいいんだよ。それにその服装に色々思い出もあるのだろう?」
ニヒヒと美貌に合わない笑い方をする魅魔。たしかにこの服装は小さい頃、魔法使いごっこをしていた時の服装によく似ている。
だが何故それをこの魅魔が知っているのだろうか。疑問に思っているうちに
「さあ着いたよ。ここがお前の修行場『五行山』だ」
そこは果てしない程広い空間で、底なしの断崖絶壁。所々に岩柱が立っているが心許無いところだ。さらに霧が濃く、見通すのも一苦労だ。
そして五行山と言う名前。これはその昔「西遊記」に出てきた山で、孫悟空を閉じ込めた山だ。その時魔理沙の脳内に一筋の光が迸った。五行山は八卦炉で炙られているところを逃げた孫悟空を閉じ込めた山。そして魔理沙がバッグに入れてある『ミニ八卦炉』とは切っても切れない表裏一体の存在と言っても過言ではない。
「つまり俺を鍛えるのに格好の場所ってわけだな!やる気が沸き出るぜ」
と、また意気込んでしまった。
五行山のあたりはよくわかっていません。間違っていたらすみません。
俺魔理沙はグレてる?感じを出すために使ってみました。