FGOに知識チート系転生者(二週目)をぶち込んでみた場合 作:クヤ
「では先輩。まずはカルデアと通信を確立するために霊脈を探しましょう」
なんかそういうことになった。お説教を聞き流しつつ。
マシュが超存在に融合進化した話やら、ロマンティックなドクターが通信してきたりして、いつの間にかいたフォウ君をモフモフしていたら、そういうことになった。
霊脈というパワースポットでマシュが頑張ることで、カルデアという雪深い山奥にある研究所的な何かに連絡が取れるらしい。
理屈はさっぱりだ。
「フォウ。なんで世界ってこんなに面倒くさいんだろうね」
「フォウ?」
みんな拳で解決できればいいのに。
「ねえ、マシュ?」
「はい。なんですか先輩」
「あっちから所長っぽい悲鳴が聞こえるけど、きっと気のせいだからそっち行こうか」
「いえ、所長っぽい悲鳴が聞こえたのなら、行きましょう!」
「まあ、別に特に嫌なわけでもないからいいか」
「急ぎますよ先輩」
「私は3分以上走れない体質なので先に行ってくれるといいと思う」
「行きますよ!」
マシュに抱えられて、移動することになった。
いやー楽ちん。
「きゃー!こ、こっち来るんじゃないわよ!」
「いやーさすが所長余裕っすね」
「いえ、あれは襲われて切羽詰っているように見えるのですが」
「だって、確か魔術師なんでしょ?全然魔術使わず逃げてるってことはあんなのは使うまでもないってことでしょう」
「そう、なのでしょうか?」
「あっ、こっちくる」
「高みの見物してないで助けなさいよ!」
「だって、まだ余裕でしょ?」
「もう魔力ないの!余裕ないの!倒しても倒しても次が出てくるの!もう嫌、この竜牙兵!」
「よしいけマシュ」
「はいマスター!」
ふるぼっこタイム始まるよー。
見よ、このすでになんか分裂して見える魔球を。
マシュの楯の一撃より素早く削れる。究極の一撃を。
「で、所長はなんであんなところで遊んでたんですか?」
「遊んでないわよ!」
「落ち着いてください所長」
「もういや!レフ!レフはどこなの!」
れふ、あのなんか目のこわい。人類は理解できないとか言っちゃいそうな顔した似非紳士か。
なんなの?そういう関係?
所長が情緒不安定すぎるので、放置しながらマシュと歩く。
そして都合よく、霊脈とやらの上に出たらしい。
「サークル展開します」
所長が輝いていた。さっきまでのレフマシーンはなんだったのかというほど、未だ混乱している現場に的確に指示をだし、責任はすべて私が取りますと言い切った。
「なによ」
これがさっきまでと同一人物とは思えない。ちびってたし。
「ちびってないわよ!?」
おっと口に出ていたらしい。うっかりうっかり。
ただ私の五感はなかなかに鋭い。ということだけは言っておく。
「やめましょう。争いは何も生まないわ」
「そうですね」
「フォウさん。先輩と所長が謎の和解を果たしました。なんとなく疎外感を感じます」
「フォウフォウ!」
「慰めてくれるのですかありがとうござっ先輩!」
「なんだよー。構ってほしいならそう言えよー」
「あなたたちまだ出会ってそんなに経ってないのじゃなかったかしら?」
「友情は時間じゃない!」
この可愛い後輩は私のものだ!
「おおう、百合百合しい……いい光景だ」
「あっ、ドクターまだいたの?」
「辛辣!」
「で、処置は終わったんでしょうね」
「ああはい。コールドスリープやけが人の処置も終わって、今はシステム周りを問題なく使うために頑張ってます」
「そう……」
「そうだ!マシュだけでは戦力的に心細いだろう?召喚を行ったらどうかな」
「召喚?」
「あなた何を聞いてたの?」
「寝てました」
「ああ、そういえば……」
まとめると、過去のスゲー人を劣化コピーして呼び出して、がんばってもらおうってことらしい。
「なんて他人だよりなんだ」
「うぐっなんだかそういわれるとそんな気がしてくるわね……」
「いいぞもっとやれ!」
私が働かなくていい所なんて最高だ。
「そう、あなたはそういう人だったわね」
すでに、私のことを理解し始めているらしい所長。
この調子ですべての雑事を引き受けてほしい。
そういえば今更なのだが、所長はレイシフトできない子ではなかっただろうか?
私の聞き間違いだったかもしれない。
「ともかく召喚よ!マシュ盾を貸して」
「はい」
「召喚サークル展開」
「展開完了しました」
「聖晶石なら任せろー」
ざらざらー。言うほど拾えたわけではないけれど。
敵を倒しまくると、たまに落ちてた。
「先輩いつの間に」
「というより、召喚は覚えてなかったのに、これを使うのは知ってたのね」
「いえ?名前は覚えてましたけどなんかここで使えって、魂がささやきました」
「野生ね……」
おう、なんか謎の波動を放ってバチバチしているけどこれ大丈夫なのかな。
「サーヴァントライダー召喚に応じて参上したらしい」
バチバチ演出の後に現れたライダー。
うん。うーん。ううーん。
「これは、普通の人ですね」
「ええ、白衣を着た、いかにも研究職の方ですね」
「英霊?」
「おお、普通に天才なだけの普通の人東雲 冴(しののめ さえ)だ。よろしくマスター」
「日本人ですか」
「バリバリの日本人だ」
これは。
「所長、所長。どう見ても過去の英雄には見えないんですが」
「私が知るわけないでしょう」
「君はどういった来歴を持つ英雄なんだい?」
「私か?別に英雄なんて呼ばれるたいしたことは全くしていないが?」
「ええ、じゃあ、なんだって英霊に?」
「ああ、それは簡単だ。テラフォーミングに成功して、火星を居住可能惑星にした功績」
「は?」
「え?」
ちょっとまとう。なんか、どう見ても未来形で、めっちゃすごい功績あるんですけど。
そりゃあ、普通の人だよね科学者っぽいし。
英雄じゃないけど普通に偉人だ……!
「ひょっとして未来の偉人かな?理屈上はありえなくもないんだろうけどどんな確率だ!」
「ああ、あんたたちから見るとそこそこ先の時間軸かな」
「あれ、では未来は存在するということでしょうか」
ああ、そういえば、カルデアの目的って未来が存在しないからどうにかしようって話だったもんね。
未来がちゃんとあるならそもそも何の問題もないっていう。
「いや?この世界の人類史はしっかりと燃え尽きているようだぞ」
ここが特異点だからかもしれないが。偉人はそういった。
「理解が及んでないな?じゃあ、ちょっと講義しようか」
英霊召喚というシステムは、もともと人類が、或いは星が、世界が、いざというときのために作り上げた究極の防御攻撃機構として存在している。
自己防衛本能のようなものだな。
君らの行っている召喚は、それらをランクを落としてちょろまかして使っている代物だ。
そも英霊というのは、世界において重要な役割を果たした、或いは著名になった存在を指す。
その世界というのは、並行世界も包括した全世界だ。
ほとんど別物と言える時空からも英霊というのはやってくる可能性があるのさ。
たとえ現時点で、滅びることが確定していたとしても、未来の英霊が呼ばれることはあり得ることだ。
可能性がどこかにあった。それだけで、存在は成立する。
「な、なるほど」
なんか壮大なことは分かった。
「で、あなたはぶっちゃけ戦えるの?」
「戦いかー生前はあまり縁がなかったな」
「じゃあ……」
「弱くはないと思うが、交戦経験が少ないからなあ」
「戦えるんかい!」
「神秘のないろくにない時代のくせにな。安心しろ、生かして逃がすくらいには働いてやるとも。しかし、どうせならキャスターで召喚されたかった」