FGOに知識チート系転生者(二週目)をぶち込んでみた場合 作:クヤ
「さてそこなアーチャーよ」
「なんだね?」
「察するに、奥にいるサーヴァントを守っているわけか?」
「はっ私程度が守るなど烏滸がましい。彼女は君たちを歯牙にもかけないだろうさ」
「それでは?」
「私はせいぜい門番といったところだろう。それもボランティアのね」
なんて嫌なボランティアもあったものだろうか。
いや、字面は悪く……いや、勝手にボデーガードしているということはストーカーと同じでは。
「待ちたまえ」
待たぬ。しかも奥にいるのは彼女だと言っていたということはつまり?
「マスターよいい着眼だ。つまり、彼女を守っているんだという痛い奴ということだ」
「ひどい誤解だ」
声は平静を装っているが私にはわかる。結構動揺しているぞ。畳みかけるんだ!
「オーケーだ。任せておきたまえ。私は実はそこの英霊のいたるかもしれない可能性を知っていてな」
「なんだと!?」
つまり?
「ネタには事欠かないということだ!はーっはっは!」
「ほう、なかなか興味深い話だ。つまりあのスカした野郎の生前の話ってことだろう」
「待ちたまえ!」
「奥にいる彼女とやらにも見当はつく。つまりはそういうことだ」
「本当に待て!」
ほほう、それはそれは。なかなか愉快なことになりそうですなあ。
「なぜでしょう。こちらが悪役のように……」
「ええ、本当に」
だまらっしゃい!さあ先生暴露話を開帳するんだ!
「そうだな。では序の口に……」
「ブロークンファンタズム!」
「ふは、いい感じに余裕がなくなってきたぞ!」
「だまれ!何故だか真実を語りそうな貴様の口はここで永遠にふさがせてもらう!」
おおっと、盛り上がってきましたね。
これはなかなか燃える展開です。
果たして暴露させないでライダーを倒すことができるのでしょうか。
「そいつはな、生前に正義の味方になるという夢を抱いていてだな」
「何故知っている!?」
ほほう、なかなか興味深いですね。
「しかも、英霊になってしまうほどに、ブラックに正義の味方活動をしてきたと来た」
どごんどごん、がきんがきんと周りは大層うるさいというのに朗々と洞窟に響く声。
いい声してるな。
そしてブラックな正義の味方活動とは一体。
「なに、簡単な話だ。この世に完全な悪など存在するのは稀だ」
まあ、そうに違いない。正義の反対は、また別の正義だというのも割とありふれた話だ。
「この男はなんだ。人を救うのが目的であってな。とりあえず救われる人が多い方を救うという至極当たり前かつ人否人な活動をしているわけだよ」
ん?何か問題があったのだろうかそれに。多く救われる方を選ぶのは別に間違っていないと思うのだが。
「確かに間違っていない。むしろ正しい。だがそこに人間はいない」
意味が分からないのだが。
「そうだな。たとえ話をしようか」
ほむ。
「人質を多数とった強盗が言いました。お前の妻を殺せば他の人質を解放してやろうと」
おおうなんとヘビーな話題なんだ。もっと軽い気持ちだったのだが。
「まったくだ。一人の犠牲で多数が助かるならそれを実行できてしまうのが目の前の英霊ということだ。すべての命は等価であるということさ。まったくエミヤはどういう家系なんだか。業が深いな」
なんて言っていいのか分からないな。とりあえず私には選べそうにないことは分かった。ていうか強盗ぶっ殺せばよくね?
「くは。まったくその通りだ。まあ、この話ではぶっ殺せないから選択を迫られるわけなんだがな。そして救えないのは、選択を突き付けられた奴は強盗も救いたいと思っている所だな」
なんだそれは。ちなみに、先生ならどうするのだろうか?
「当然犯人ぶっ殺すさ。ありとあらゆる手段でね」
なんだ一緒じゃないか。
「突きつけられた選択肢は欄外を選ぶのがジャスティスだ。私はその場の感性だけで動く!」
なんだろう。すごいダメなことを言っているのになんだかかっこいいぞ。
「何故でしょう私もそう思います」
だよね!
「さて黒歴史ばらされていっているわけだけど、反応がないな」
「ふん事実にどう反応すればいいのかね」
「それもそうか。しかし。これで確認が取れた。摩耗レベルは低い。これが高いとそんなこともあったような気がするとか、いや知らないととぼけられる可能性が高いからな」
つまり?
「ネタが直撃するということだよ!いやー人の嫌がることは率先してやらないとな!」
とてもいい笑顔ですね。
「先輩のお顔も緩んでいますが……」
おっと、こいつはしまった。
「くつ何というやつらだ」
「褒め言葉だ。さて、エミヤという英霊にことさら詳しいわけではないのだが、どの話題がいいかな」
「?」
「ああ、英霊エミヤは今この時代の英霊でな」
「現代人が英霊になっただって!そんなばかな!」
「いいところだから黙っていたまえ、それで、選択の仕方次第で出来上がるんだが、これがまた色男でいろんな女と関係を持つ可能性を秘めているんだ。さすがにどれがそうなったかは私も知らないし、下手すると全ての記憶を持っている可能性もある」
「ほう、そいつは興味深いな」
「関係を持つのは、私の主観的に一部を除いてこれまたいい女でな。選択次第ではハーレムも十分にありうる」
なんていうことだ。なんて言う男の敵だ。
「君は女だろう?男の敵ということに異存はないが。通い妻な巨乳の後輩と毎朝朝食を作っていたり、実は学校で人気があったり」
「薄れた記憶を刺激する!」
「はたまた、生き別れ系合法ロリなお兄ちゃんと呼んでくる義理の姉がいたり」
要素多いな!
「まったくだ。しかも本人は鈍感系主人公と来た」
「やめろー!」
効いているぞ!もっとだ、もっと暴き立てるんだ!
「スマンなマスター。おちょくるのは楽しいが準備は終わってしまった」
準備?なんの?
「忘れていないか?私たちは戦っていたのだが」
ああ、そういえば。
「というわけで、おとなしく退場してくれ」
「そう簡単にやられてたまるか。少なくともお前を殴らせてもらう」
「まあ、そうだろうね」
先生はおもむろに、いかにもなスイッチをこれ見よがしに取り出した。
「させるか!」
察したアーチャーは押させるまいとさっくりと、スイッチを破壊する。
まあ、そうだよね。阻止するよね。
そして先生はそんなに甘くないよね。ここまでの言動的に。
「もちろんダミーだ。ぽちっとな」
私にわかったことは何かが飛んでいったということだけだった。
ついで爆発音。
ついでにアーチャーの悲鳴。
野太い悲鳴が響き渡った。
「トリックだよ」
トリックとはいったい。いたずら?策略?
残されたのは今にも消滅しそうなアーチャーだけだった。
「ところで正義の味方さん。人類史滅ぼす手伝いをするのってどういう気分なんですかね」
ひどい死体けりを見た。
ひょっとするとその言葉を投げかけるために威力調整をした可能性も……。
いや私は何も気づかなかったぞ。うん。
アーチャーは何とも言えない表情で消えていくのであった、まる。
私はとても楽しかったのだが。
みんなはむごいものを見たような目をしていた。