朝
朝食を取りながら開口一番に言ったのは、母親だ。
またろくでもないことでも言うのだろうとカヤとレオは思った。
「さあ、海に行きましょう」
((うん、事実言いやがったよこの人。))
二人はその時、珍しく、考えが一致した。
突然何故か地雷を設置してくれた母親に心の底から感謝しねーよと
レオは、思いつつも建設的な話をしていこうと考えた。
「どうしようか?」
「ビーチボールなんてどうですか?」
どこにいこうか?という意味でレオは聞いたつもりでいたのだが、通じなかったようだ。
まあいいか、下手に不細工な彼女と行くよりかはまだ目の保養になるだろう。と持ち前のポジティブな考えて話を進めていく。
「どこのビーチにいこう?」
「ええ、確かに迷いますね。」
「俺は近場でいい。海なんてどこも変わらん。」
俺と言っているが、それはカヤ(正確には両儀式)の一人称だ。
「それもいささか寂しいですね。」
「確かに冬の日本海しか見たことがないなら仕方ないよね。なら姉さんは行かなくていいよね?」
カヤは一瞬考えたあとに、両手を挙げて降参の合図をとった。
それを見て、レオはニヤリと笑って見せた。
雌雄を決したところで、母さんがうなずいた。
「しかし、カヤさんの言う通り近くの浜辺も、なかなかきれいでしたね。(窓から見た限りだけですけど)」
「それじゃ午後からいこう。」
と、レオが提案した。
「なぜでしょ?」
疑問を持つのも仕方のないことだろう。
しかしレオなりにも理由はある。要は、空港の二の舞(ハーレム野郎に対しての憎悪ににた視線を男性客から浴びることだ)をレオは踏みたくないのだ。
しかし、カヤたち女性組は正直な話をすれば、蚊帳の外の話のため、まったく持って気にしようとしない。むしろカヤはやりにくそうなレオを見て、ハムスターを見るような感覚でレオを見ている。だったら時間を減らして、少しでも精神的ダメージを押さえるのが得策だろう。
という本音を隠すために。
「琉球舞踊を見たいからな。」
と、いうことにしておくことで、レオは難を逃れるつもりでいた。
「あら、なら一緒に行きましょうか?」
レオは切り返されること自体を予測していなかったがために少しテンパっていた。そんな中、助け船を出したのが、カヤだった。
「あれ?でもそれって3日目の話じゃなかったか?
そうか、そういわれてみれば確かあれは、女性のみ参加
可能なイベントだったな。
・・・・・・・・・・
そうか、そんなに行きたかったのか?」
ただし、助け船と呼ぶには微妙なところだったが・・・
むしろ、さっきのことについての異種返し(しかえし)の
色合いがとても強いが・・・なぜなら、
副音声は、「私たちとそんなに一緒にいたいのか?」
ということだからだ。
そんなことも分からないほど、レオは頭が悪い訳でもないし、鈍いわけでもない。
その事がわかっているからこそ、ついつい無意識に一瞬だけ憎々しい表情が出てしまい、カヤはそれを満足げにみてニヤリと笑って見せた。
そんな様子を似た者同士だなぁと母親は、に思いつつもあえて嗜めることをせずに、見ていた。
「まぁな、でも母さんと姉さんがいくんだろ?
それじゃあ俺もみたい。
でもわざわざ、母さんと姉さんは二回見る必要性は無い
んじゃないのか?」
テンパっていたわりには、なかなかいい回答を出したと自我自賛しているレオだが、そんなことで引き下がる(?)ほど姉は甘くないということをレオは失念していた。
「ああ、確かにそうだな。
だが俺としては、2つの教室を見比べるのも悪くはない
と、思うのだが?」
ここでレオは別の考えに至った。
そう、ハーレム野郎に対しての憎悪のような視線が嫌なのだから、母さんか姉さんのどちらか一方をなんとかできれば、いいんだよな?
端的に言ってしまえば勝利条件を楽にすればいいということだ。
「なるほど
なら母さんはどうしたいんだ?」
レオの方法の変化に感ずいたカヤは、それを妨害しようと考えを巡らせていく。
(さっきまではおそらく、俺たちと一緒にいたくないという事を目標に考えていた。(多分)理由としては、空港の二の舞を踏みたくないということだろう。ならばそれは他人から見たらハーレムが起きたからそう言うことになったはずだ。しかし俺と一緒に琉球舞踊を見に行くことに肯定的になった。)
つまりここから導き出される結論は・・・
ハーレム野郎かリア充(他人から見たとき)のどちらがきつく見られないかということだろう。そしてあいつは、リア充を選んだということか・・・
「そうですねぇ・・・私は遠慮しておきます。
せっかくですし、会いたい人もいるんですよ。」
「なら、午前中に琉球舞踊を見て昼頃にビーチにいこう。」
と、レオが提案した。
「(それはそれで楽しめそうだから)いいんじゃないか?」
そこにカヤも便乗する。
ただし、これはカヤにとって面白い展開になりそうだからであって、決してレオのためではない。
それを知ってか知らずか、母親がニコニコ笑っていた。携帯版の検索サイトを開きながら、だ。
「今調べた限りですと琉球舞踊がやっているところは軒並み午後からしかなさそうですよ?(ここら辺だと)」
それがどういう意味であるか分からないレオとカヤてはない。
死刑宣告を受けたような顔をするレオに対して、カヤは笑いをこらえるのに必死そうな顔で母親にうなずいた。
「しかしせっかくの海ですが、私は午後4時までやることがあるので二人で遊んできなさい。」
テンパっているレオからすればかなりありがたい話だった。しかし失念していた。レオを一番いじって来るのは、母親ではなく、カヤであることを・・・そしてこっそりとニヤリと笑っていたカヤの顔にも気付くことはできなかった。
---ビーチにて---
早速ホテル近くにあるビーチにレオとカヤは向かった。
ここで、二人の予想外のことが起きた。ただし二人にとっていい事か、悪い事かは、意見が分かれるが・・・
「はー何であの二人がいるんだ?」
「良かったじゃないかレオかわいい女の子の近くに陣取る事ができるぞ?」
「姉さんそれが嫌なんだよ。」
「そうだよな、確かにあの鉄壁の護衛がいるもんなー?」
「つか、何で姉さんがそんなこと知っているんだ?」
「いいか?いい女は秘密をたくさん持っているんだぞ?」
「それは、BS魔法の呪符をしまってから言おうか?姉さん?」
最後の姉さん?のくだりを少し強く言ったせいだろう、カヤは作り笑いを浮かべながら、マネーカードをレオに渡し海の家の方向に親指を向けた。
「そうだ、レオ海の家でかき氷買って来て勿論イチゴ味のだぞ?荷物は俺が持っておくから。」
「姉さんは本当に味覚が子供だな。」
「うるさいなー。いいか、イチゴはな、バラ科の植物なんだぞ?」
「知ってるぜ。それくらいはな。だからどうした?」
「私みたいだろ?」
「は?腐女子ってことか?」
「もういいお前に言った俺が悪かった。それより早く買ってこい。」
「へいへい」
もどかしくなりましたか?