カレイドの劣等生   作:ポッチャマ

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すみません色々とありました。


第7話

司波との試合が終わり、お互いに初対面の挨拶をした。

 

「司波達也だ、妹と区別がつかないだろう達也でいい。」

 

「西城レオンハルトだ。レオでいいぜ。にしても以外だな。」

 

「何がだ?」

 

「達也が以外と気さくな性格なところだよ」

 

「そうか?」

 

「ああ、達也はもっと堅物なイメージだからな。」

 

「どこからそういう。イメージになるんだ?」

 

「なんつーか、そういう雰囲気というか、オーラというか、とにかくそういう物がでたてるんだよ。」

 

「そういうものか?」

 

「そういうもんだ」

 

「ところで、1ついいか?」

 

「どうしたんだ?達也?」

 

「お前のその体術はどこで学んだんだ?」

 

レオは少しだけ反応に困った。

 

「まぁ、母親と姉にしごかれているとしか言いようがないかな?」

 

「何故に疑問形?」

 

「まぁ、いろいろあるんだよ。達也だって隠してる物の1つや2つあるだろ?例えば、エロ本の隠し場所とかな?それとおんなじようなだ。」

 

深雪は、少しだけ目を細くして二人を見た。暗にはしたないとか、不躾だとか、そんなことを注意するためだろう。

達也はそれをめで制した。理由としてはレオが軽く手を上げて謝意を示したからだ。

 

(すごく高い洞察力だ。自分の細かな表情の変化いや、表情は変わっていない。考えられるのはからだの変化だ。もしできるのであれば、見ているものが違うのだろう。いや、そもそも普通の中学生であればここまで細かい変化は見極めることはできないであろう。さらに言えば極めて短い時間しか変わっていないはずだ。それだけの時間で読み取れるとは・・・もう少し警戒のランクを上げた方がいいだろう。)

 

達也の内心を知ってか知らずか、レオはニヤリと達也に笑って見せた。

 

「そうか、悪かった。ありがとう。」

 

この時達也の言葉には2つの意味があった。

深く追及しようとしなかったことと、固くなった雰囲気を意図的にやわらげたことしたからだろう。

 

「別にいいぜ。」

 

「ただし、例にあげたものは最悪だったがな」

 

「はは、違いない。」

 

 

話が一段落するのを待っていたのだろう。

会話がちょうど途切れたところで真田中尉が話しかけてきた。

 

「ところで君達は、CAD(キャスト アシスタント デバイス)に、興味はあるかい?もしよかったら工房に来ないかい?」

 

と、いきなり真田中尉が声をかけてきた。

 

「興味はありますし、是非ともお願いします。」

 

「右に同じく。」

 

達也が答える。

レオもそこに追随する。

 

「司波くんの妹さんは?」

 

「では、私も見学させてもらいます。」

 

「それは良かった。ついてきてくれ。」

 

真田中尉は笑顔(ポーカーフェイス)で案内する。

当然のことだが、案内する真田が先頭を歩き、次に達也とレオでその後ろに深雪といった具合だ。レオはこの時、ただ漠然と深雪のやりずらそうな立ち振舞いを見て大変そうだなと思った。

 

CADについての語り合いをレオと達也と真田で、語り合った。

ただし、深雪だけは、この話に乗ろうとしなかった。むしろ驚きと憤りの2つのをミックスさせたような顔をしていた。

 

「西城君に司波くんも軍人になるきはないか?」

 

当然の質問が風間大尉からきた。

達也もレオもそれに関して難色を示した。

 

「俺は、警察志望なので・・・」

 

と、レオが答える。

当人は無難な答えだと思っている。

 

「自分はまだ進路を決めてませんので・・・」

 

と、達也も(こっちは客観的にみても無難だといえるくらいには)無難に答える。

 

「そうか、それはとても残念だ。」

 

と、風間大尉が明らかに残念そうなかおをした。

 

「そうだ、記念にこのCADを君達にあげよう。」

 

そう言って、真田少尉が先程まで自慢していた特化型CADを二人に渡した。

 

「「ありがとうございます」」

 

この時の二人の反応は、対照的だった。

達也はあくまでも、ポーカーフェイス(つまり無表情)を保ち、軽い会釈をして何の感慨もなさそうに受け取った。

レオは嬉しそうに、しかしハシャギ過ぎない程度に受け取ったあとにしげしげと眺めていた。

真田と藤林は、そんな対照的な二人を見て微笑ましく思った。ちなみに実際に顔に出てしまっていたのは真田だ。

 

ぱんぱん

風間が手を叩いて全員の注意をひいて

 

「それでは、この辺でお開きにしよう。」

 

と言って、この場はお開きになった。

 

「「ありがとうございました。」」

 

レオと達也は少しだけ深めに(といっても作法から大きく外れない程度に)お辞儀をして見送りとして、藤林と真田が3人の帰りの通路を案内しつつ、見送りをした。 

 

こうして、雨の日の見学が終わり、そのあとは熱帯低気圧も過ぎ去り、ほのぼのとした(といっても、暑さはかわらないのだが)バカンスになりそうだ・・・そう勝手にレオは思っていた。

かなり物騒な物をみつけなければのはなしだったが・・・。

 

レオはゲームセンターで少しだけ時間を潰すためにショッピングモールにたちよっただけなのだが、レオはサイオンの波が乱されるのを感じた。そんなことができるのは、アンティナイト鉱石だけだ。場所は人目につきにくいショッピングモールのコインロッカーのなかだ。

人目につきにくいとはいえコインロッカーだ。下手に壊せば警察沙汰もあり得る。しかし、アンティナイト鉱石と言ったら、軍事物資のなかで最も有名な対魔法師ようの鉱石だ。つまりテロリストから「これからテロを起こしますよ」と、堂々と宣言しているようなものだ。

 

だからといってなにもできない訳ではない。

 

例えば、サイオン波を辺り一帯に流すことでアンティナイト鉱石特有の魔法式を妨害する魔法であるキャストジャミングが展開される。・・・はずだ。

 

2092年現在防犯カメラにサイオン波を観測するためのサイオンレーダーと呼ばれる機械がくっついている。そのためアンティナイト鉱石のキャストジャミングであっても観測はできる。

 

と、言うわけで。早速レオはCADを使わずに半球をイメージし、僅かにサイオンを流した。当然アンティナイト鉱石は反応した。

 

もともと刑務所の区画整理と同じ形で作られているショッピングモールである。つまり少ない人数で警戒できるように出来ているのだ。端的にいえば数分もしないうちに警備員が走って来た。

 

「そこの君ちょっといいかな?」  

 

まだ若い見た目20代くらいの警備員が話しかけてきた。

 

「俺のことですか?」

 

レオは驚いているような顔を作った。

 

「そうだ。」

 

話しかけてきた警備員は、まるで鬼の首でもとったかのような少しだけ得意気な顔をしながらレオに向かっていった。

 

「何でですか?」

 

レオはすぐさま己の過ちに気がついた。警察であれば関係はないが警備員の場合少しだけ事情が変わることがある。それは魔法に関してだ。警察官はなんやかんやあっても絶対に中立であるがそれは警備員のところにまで強制はされない。つまり魔法排斥運動に関わるっている人間が警備員をやっていても何も不思議ではないのだ。

 

「君魔法の不正使用をしただろ?

 しらばっくれようとしも無駄だよ。証拠もあるのだからね。」

 

そう言って警備員の男はこれ見よがしに防犯カメラに指を指した。

 

「君も魔法師ならサイオンレーダーが監視カメラについている。それくらいは流石に知っているよね?」

 

ニヤニヤと言っても差し支えないような顔をしながらレオを見た。

 

「ええ、知っていますよ?」

 

レオは少しだけ嫌悪感を持ったが涼しい顔で受け答えした。

 

「それなら、話が早い。事務室まで来てもらえるかな?」

 

そういいながら警備員は、レオの手首をつかんだ。

 

「ええ、いいですよ。」

 

あまりに他人事のような言いように対して若い警備員の男は、白けたのかつまらなさそうにレオを連行した。

 

 

「まずは君のPDを見してくれ」

 

と先程とは違う壮年警備員らしき男がいった。

 

PDとは personal data の略で、身分証明書の電子版のようなものだ。

 

住所や氏名、魔法師か非魔法師かなどさまざまなことがかかれているものだ。

 

「分かりました。」

 

これに関しては別段変なところはない。

警察に引き渡すにしても何にしても本人かどうか、確認しなければならないのだ。

 

レオはPDのデータを壮年の男に渡した。

 

「西城レオンハルト君だね?」

 

壮年の男は穏やかな口調でレオに確認をとった。

 

「ええ。」

 

レオは頷いた後に壮年の男の顔を見た。

 

穏やかな表情の中にほんのすこしだけ申し訳無さそうな、表情が見てとれるのは、レオの穿ち過ぎだろうか?

 

「こちらの手違いで君をここにつれて来てしまったことに関しては悪く思っているよ。うちの、若いのが先走り過ぎたね。悪かった。」

 

壮年の男はいきなり謝罪から始まった。

 

流石のレオもこれには面を食らった。

 

「いえ、こちらこそ紛らわしい事をして申し訳ございませんでした。疑わしきは罰せよ。と昔から言いますし、悪いことをしたなとは思いましたから。(大嘘)」

 

 

「そうかい。それならば一ついいかな?」

 

壮年の男は先程と雰囲気はあまり変わってはいないが目付きは少しだけ鋭くなった。

 

「何でしょうか?」

 

少しだけレオは警戒する。

 

「なんで君はあんなところにあんなものがあると分かったのかね?」

 

まるではじめから知っていたのでわ?と聞いているかのような言いようであった。

 

 

「単に歩いていたらサイオンの乱れを感じたから。」

 

このとき初めてレオはこの場の異様さに気がついた。

確かに簡易の取調室らしくレオの椅子も壮年の男の椅子もパイプ椅子であるし、テーブルもいかにも安物といった具合のものだ。さらに録音をしている人の机も職員室に何台も並んでいるような机だった。

しかしこの場にいる人は全員何かしらの格闘術をやっていることでつく、特有の体付になっている。

 

 

「ほう?」

 

まるでそんな答えを言われるとは思ってもいなかったのだろう。ニヤリと(とてもではないが警備員のするような顔ではないような)獰猛な笑みを浮かべ、

 

「まぁ、今日のところはそういうことにしておこうか。」

 

と、観念したというよりかは見逃してやろうくらいのまるでどこかの軍人のような口調で壮年の男は言った。

 

「ありがとうございます。また会えそうですしね。」

 

レオはシークレットデバイスの未来予知の機能の結果を信じてある意味において挑発的ともとれる発言をした。

 

「ああ、確かにそうなりそうだな。」

 

少しだけ間をおいて、

 

「ただしその時はお互いに大変なことになっていそうだがな。」

 

と、含みを持った言い方をしてニヤリと笑った。

この時にレオはこの壮年が軍属の人間であることを確信した。




どうでしょうか?

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