やはり俺が私立グリモワール魔法学園に転校生と一緒に入学するのは間違っている   作:水無月ゲンシュウ

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第十九話 つながり

 比企谷の突然の風紀委員脱退は一人の少女を傷つける形で幕を閉じた。しかし彼はこれでよかったと信じている。このまま風紀委員に居続けるよりは、彼女の心の傷をえぐることとにはならないと。

 

 そんな比企谷だったが、風紀委員脱退後の学園生活はというと特に目立った変化はなかった。必要最低限の授業に出席し、それ以外の時間は図書館で勉強か、訓練所で訓練、就寝時間になれば寮に帰って寝る。その繰り返し。今まで風紀委員の仕事にあてていた時間がそのまま勉強や訓練の時間に代わっただけであり、誰も彼が風紀委員を辞めたとは(まぁそもそもどれだけの人が彼が風紀委員であったとしていたかは別として)思いもしなかっただろう。一部の人間をのぞいて。

 

 今日もいつもと変わらない一日が終わった。風紀委員の仕事がなくなった最初のうちは空いた時間を有効に使うことにてこずったりしたが、ボッチは単独行動のプランを立てるのはうまいものだ。まぁそれ以外の選択肢がないから必然的にプランの作成が自分一人分で考えるように訓練されるからなんですけどね!とまぁ特に何の面白みのない日常だということにしているがそうとんとん拍子に話が進むわけもなく、トラブルや厄介ごとというものは向こうからやってくるもので。

 

 「比企谷さん!」

 

 ほら、向こうから来た。

 

 「あなた風紀委員を辞めたそうですね!しかも委員長を傷つけるようなことまで言って、いったいどういうつもりですか!」

 

 氷川紗妃。風紀委員の中で一番校則違反の取り締まりが厳しいことで有名でついた二つ名は『鬼の副委員長』そんな仕事一本な性格ゆえか、友達と呼べる人物が転校生ぐらいしか上げられない俺とは違うベクトルのボッチだ。これまでは風紀委員で培ったどこで校則違反がよく起きるかのデータのおかげでそこから逆算して風紀委員の巡回経路を割り出し遭わないようにしていたが、ついに見つかってしまった。

 

「なんか用か?」

 

そんな彼女が俺に関わってくるのは彼女の責任感故の行動か、はたまた単なる同族嫌悪によるものなのか。それを俺に判断することは出来ない。何故なら俺は彼女についてなにも知らないことを知っているからだ。いわゆる無知の知ってやつだ。ただ、一つだけ言えることがあるとすればこの会話は結論が出ずに終わるということだ。

 

「用があるからあなたに話しかけているんです!先程も聴きましたがなぜ風紀委員を辞めたのですか?侵攻の際委員長はあんな指示を出したかったわけではないのはあなたもわかっていたはずです!」

 

 「だからこそ、俺は風紀委員にいるべきじゃないんだ。俺と顔を合わせればいやでもそのことを思い出すだろ。だから辞める。それだけの話だ。用件が済んだなら俺は行くところがあるんで」

 

 「ちょっと!まだ話は……」

 

 後ろでまだ何か言っている気もするが俺には関係のないことだ。そう、関係ないんだ。氷川を振り切り、図書室へと向かう。最近読んでいるのは戦闘時における銃の構えによる戦術の違いについての本だ。これを習得することが出来れば銃を手足のように扱うことができる。侵攻時は最低限の知識しか形にできなかったので苦労した。特にウィーバースタイルは利き腕側への向きの調整が難しくそこで襲われかけたこともあった。

 

 「比企谷さん」

 

 ……どうやらここにも俺に話しかけてくる奴がいるようだ。

 

 「どうした、冬樹姉」

 

 「あなた、風紀委員を辞めたそうですね。人をさんざん煽っておきながら……どういうつもりです?」

 

 「辞めたくなったから辞めた。ただそれだけだ」

 

 どうしてこう、ボッチに声をかける人が俺の周りには多いんですかねぇ。冬樹姉との会話も疲れたので寮へと帰る。ただ二度あることは三度あるというもので、自室でマッ缶を飲んでくつろいでいると、チャイムがなった。まぁ無理に出る必要もないし、とりあえず寝ていることにして、後日何か言われたら「ごっめーん、寝てたっ」で済ませればいいか。

 

 「ピーンポーン」

 

 ……………

 

 「ピンポピンポーン」

 

 ………………

 

 「ピポピポピポピポピポピポピポピポピポ」

 

 ………………………しつこいな

 

 仕方なくドアの覗こうとしたら俺の暇つぶし機能付き目覚まし時計兼財布にmore@に着信があった。恐る恐る携帯を開くと、転校生からであった。

 

 -今君の部屋の前にいるよ

 

 こわっ!メンヘラみたいな文章送るんじゃねぇよ……

 

 さらに着信が来る。

 

 -ねぇいるんだよね?

 

 コイツ精神的に疲れてるのか?

 

 -でろ

 

 その着信と同時に玄関のドアが強くたたかれる。文面の迫力におされドアを渋々開ける。するとそこにはバラ園の手伝いをさせてきた時と同じ顔をした転校生がいた。

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