やはり俺が私立グリモワール魔法学園に転校生と一緒に入学するのは間違っている 作:水無月ゲンシュウ
森の中での戦闘をかろうじて切り抜けた転校生たち、後のことを応援に来た学園生たちに任せ学園へと向かっているのだが……
「魔法使いって男子が極端に少ないんですよ~」
「そうなんすか」
……比企谷八幡は柄にもなく女子とのおしゃべりにいそしんでいた。本来、孤独であることに何の抵抗もなく、他人との会話すら必要としない八幡であったが会話せざる負えない状況に追い込まれているのだ。さっきからずっと無言を貫いている転校生の存在である。
こいつ、本当にしゃべらない。意思表示は首を振るといった行動で示す。まぁ人間の会話の七割ほどはそういったものの情報で構成されているのだし、それでもいいのか、と自分を納得させる八幡。実際のところ今この場で南と転校生が全くしゃべらない理由はさっきの戦闘中に転校生が南のある部分を鷲掴みしてしまい、そのせいでお互い気まずくなっているだけとは八幡は知る由もない。
「話しているうちに学園についちゃいました。ようこそ!私立グリモワール魔法学園に!」
「ここがグリモアか……」
「……!」
ここが世界中にある魔法学園の中で唯一の私立であるグリモアか……中世ヨーロッパの城のような外見からも金をかけている感が出ている。なんでも初代学園長がわざわざヨーロッパにあったこの建物を運んで再活用したとのことで、異国情緒溢れる装いとなっている。転校生も声には出さないがスケールのでかさに驚いているのであろう。俺たちが学園の外見に驚いている間に南が誰かを連れてきたようだ。
「転校生さん!比企谷さん!紹介します!進路指導の卯之助さんです!」
「よっ!お前たちが転校生だな俺は卯之助だ!説明の通り生徒指導をしている、他にも悩み相談とかも受けてるから、好きな子ができたときには俺に相談しろよな!」
「……なんすかこの兎のぬいぐるみ」
「…………………………」
え、魔法って無機物に命を与えることまでできるの?学園見たときよりもこっちのほうが衝撃が強いわ。俺たちの気持ちを察したのかこの反応に馴れているのか南がこの変なうさぎもどきについて説明してくれた。
「えっと卯之助さんはもともと魔法使いだったんですけど第三次大規模侵攻の時に戦死して意識だけを機械の体に移植したんです」
「どーだ、すごいだろ!ま、自分でもその辺のことよくわかんねーけどな!」
威張って言うなよ……とにかく今日のところは簡単な説明と手続きだけを済ませて学園の寮へと案内された。寮内は必要最低限の生活用品は完備されていて、日常生活についての心配はなさそうだった。と、いうより一人暮らしの寮生活にしては豪華なほうだろう。トイレ、風呂にキッチンまである。正直実家の俺の部屋よりでかい。新たな寝床に潜りながら俺は明日の予定について考えていたが戦闘の緊迫した雰囲気にあてられたのか、すぐ寝てしまった。
翌朝
「……朝か」
前の学校に通っていた時の名残で予定よりも早く起きてしまった。昨日買っておいたパンを食べて着替え、時間もあることだし歩くことにする。そういえば総武高校時代は登校初日に事故ったんだっけ?今では懐かしい思い出だ。
彼の他にもちらほらと登校している生徒が多数いる。部活の朝練だろうか。一見順調に思えた登校であったが彼はある違和感を覚えていた。
(なんだ?さっきから視線を感じるんだが……別に自意識過剰とかじゃなく、明らかに観察するかのような……)
ちょうどいいところに卯之助を見つけたので試しに聞いてみる。
「お、比企谷か、おはよう!転校初日から早めの登校、いい心がけだな!」
「おはようございます……ぼっちにとって遅刻は厳禁ですからね、そんなことよりちょっと聞きたいことがありまして」
「おう…なんかすごいカミングアウトがあったんだが、なんだ?」
「俺の勘違いじゃなきゃさっきからやけに視線を感じるんですけど、俺制服かなんか間違った着かたしてます?」
「あ~それについてか、別に見た目については眼以外いたって普通なナイスガイだ」
一言多いわ。
「じゃ、なんで俺のこと見てるんですかね」
「まぁいい機会だし説明してやろう。魔法使いは戦う運命を背負っている。それは学園生も同じだ。まぁ学園にいる間は俺たちができる限りフォローするが、それでも死ぬ奴はいる」
「……そうっすね」
確か年間を通して五人ほどの戦死者が出ている。
「そんな彼女たちだからこそ、この学園生活を充溢させたいと誰もが思っている、まぁ簡単に言えば青春を謳歌したいと誰よりも思っている。それにはもちろん恋愛面においてもだ……だが学園の男女比率は2対8だ」
南が男が少ないと言っていたがこれほど少ないとは…というより話の結末がよくわからん。
「……それとこれがどういう関係が?」
「つまり彼女たちは……お前のことを異性として興味を持っているんだ!」
「………………」
「待て待て待て!無言で立ち去ろうとするな!」
「冗談に付き合ってる暇はないんで」
こんなよくわからん兎モドキに相談した俺が馬鹿だった。明らかに人?選ミスだった。
「冗談じゃねぇ!ようは男でいうアレだよ!死ぬ前に卒……」
おい馬鹿ヤメロ、俺がそう口に出すよりも早く、その言葉を遮った声があった。
「おーやおーや、一体なんの話をしてんですか?」
あ、なんか関わっちゃいけないタイプの人が出てきた。
久々の投稿