やはり俺が私立グリモワール魔法学園に転校生と一緒に入学するのは間違っている 作:水無月ゲンシュウ
「風紀委員長とデートしなよ」
という「僕と契約して魔法少女になってよ」ばりの軽さでとんでもないことを言い出す転校生。あっさりと女子をデートに誘えというあたりに転校生のコミュニケーション能力の高さがうかがえる。しかしそれができるのは転校生のコミュニケーション能力あってこその芸当であり、俺を含め世の大多数の男どもはそこにたどり着く前にあえなく轟沈するのである。そしてその最筆頭でもあるプロボッチの俺にそんなことができるはずもなく、
「いや、無理だろ」
と、ごく普通の対応をしたのだが転校生の野郎「何いってんだコイツ」(・_・)みたいな顔してやがる。
「ただでさえ俺にそんなことができるような人生の生き方をしてないうえに俺と委員長の関係は今、最高に最悪な状態だぞ。そんな状態でデートに行きましょうなんて声かけられる分けねぇだろ」
「大丈夫、大丈夫。デートプランは僕が考えるし、いろんな伝を当たって最高のデートにするから!デートって言い方が嫌なら反省会ってことにしよう」
ちっとも安心できねぇし、大丈夫でもないのだが転校生の中では既に決定事項として計画は動きだしているようだし、もう止めることは出来ない。わずかに抵抗を試みたが「ん?」と笑顔で見られては俺にはもうどうすることもできない。俺は仕方なく転校生の策に乗ることにした。
転校生の伝とやらで白藤香ノ葉を紹介された俺は現在白藤の着せ替え人形と化している。
「ダーリンがウチを頼ってくたんよ?これは一世一代の大仕事やでぇ!」
と、言うことらしい。因みにダーリンとは転校生のことであり、アイツ彼女いるのに女遊びしてんのかと思ったが白藤が勝手にそう呼んでいるだけらしい。白藤に服選びを任せた結果、普段の俺なら決して選ばないであろう服装で決定していた。はっきりと断れよ、というかもしれないがちょっと考えてほしい。翌朝まで服選びに付き合わせられたら誰だってそうなる。
転校生が反省会の会場として選んだ店は季節限定のケーキを出すことで有名なカフェであり今月はリンゴの中でも今が旬の品種を使用したタルトが販売されていた。なるほど……確かに限定ものかつリンゴとなれば、委員長にも満足してもらえる可能性は十分以上に期待できるだろう。だがな転校生、お前は一緒に入店する俺のこと無視しすぎではありませんかね?このカフェは季節限定のスイーツを売りにしたカフェなだけあり、その利用者の多くは女性客である。そのうえ数少ない男性客の大半はカップルとしての来店であり、一人で来る猛者はほんの一握りである。つまり何が言いたいのかというと、俺の場違い感がとてつもない勢いでMAXになっているということである。
しかし、賽は投げられたのだ。今更あーだこーだ文句を垂れたところで状況が変わるわけでもない。後は審判の日を待つのみだ。
京都弁感覚で書いてるから間違いだらけかも……