やはり俺が私立グリモワール魔法学園に転校生と一緒に入学するのは間違っている   作:水無月ゲンシュウ

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第二十七話 もう一つの世界

 ゲートを抜けた先には、終末という言葉がお似合いな光景が広がっていた。見渡す限り荒廃した大地、そこら中に霧の魔物の原種と言われているブルイヤールがうようよしている。

 偵察初日はその大半をゲート周辺の魔物討伐に費やした。流石に魔物の本拠地と言われているだけあってブルイヤールの強さも大垣峰のより数段強く、負傷者も多数出したがここでも転校生の魔力供給は無双しており学園生がフルパンよろしく魔物を倒していくものだから終わりのころになるとブルイヤールの強さがよくわからないことになっていた。

 捜索を進めていくにあたって違和感が脳裏をちらつく。何か大事なことを見落としている気がするのだが……だがこう魔物が多いとこの疑問を解決しようにも思考を割く余裕がない。

 

 三日目にして少しだがこの場所について判明したことがあった。辺りに散乱していた瓦礫らしきものの成分検査をしたところ、コンクリートでできていたそうだ。その結果からこの世界にも人間、あるいは同等の知的生命体が存在していたことが確定的となった。

 

 「実はここ南半球でしたってオチだったりしないんですかね」

 

 「お前もか……それはありえん。もし仮にここが南半球だった場合、気候が変すぎる」

 

 アメディック隊長にそうバッサリと切り捨てられてしまった。ちなみに俺以外にも同様の考えに至った輩がいるらしく、それがあのウサギだというのだから何とも言えない。

 

 その後生天目が強化魔法を重ね掛けする『鯨沈』なる技を使用した衝撃で大地がぱっくり割れ、それに野薔薇のとこのお嬢様が巻き込まれ(ご愁傷様です)なぜかその捜索に俺も駆り出され(とんだとばっちりだ)その間に服部が何やら重大なものを発見したようだ。救出も無事に終え、撤退のため本隊へと合流すると続々と新情報が得られた。

 

 「ここが地球であることはほぼ間違いないわ」

 

 宍戸が星の位置などから計測した結果ここは地球であることが確定した。そしてここが埼玉県風飛市であるということも。そして服部が持ってきたものに書かれていた『私立グリモワール魔法学園』の文字。報道部部長遊佐鳴子はかつて霧の嵐(一時的にゲートが開く現象のことらしい)に巻き込まれこことは別の世界で訓練していたこと。

 以上のことから導かれることはここは魔物の本拠地などではなく霧の魔物に敗北した別世界の地球であるということ。ここにはおそらく同姓同名の人物がいた可能性があるということ。

 もやもやの正体はこれだった。

 




 これまでに投稿した分加筆修正しました。

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