やはり俺が私立グリモワール魔法学園に転校生と一緒に入学するのは間違っている 作:水無月ゲンシュウ
転校初日から何故か知らないがクエストに行くこととなった転校生御一行、そしてその中にはさらに何故だかわからないが参加を命じられた比企谷の姿もあった。
一行は今から命の危険もあるクエストに向かうというのに、その足取りはまるでピクニックに行くかのような軽さであった。比企谷はその態度に不安を覚え口を開けた。
「なぁ、これから戦いに行くのにどうしてそんなに軽い気持ちで行けるんだ?」
比企谷の質問に答えたのは報道部ゴシップ班所属の夏海だった。
「まぁこの戦力だしね、今回の討伐対象は智花と転校生二人でも相手できた魔物よ?それに手追いだし。だから念のために怜と私をつけてついでにもう一人の転校生であるアンタもって感じなんじゃない?」
「……そうか」
一抹の不安は残るが戦う本人がこう言っているのだし、これ以上素人の俺が口をはさむべきではないと思い、四人の少し後ろを歩いていると神凪がハンドサインをだした。
「…いたぞ、今回の標的だ」
三人は目くばせだけすると━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━谷!比企谷!」
「はいっ!」
「何をぼーっとしてる。会長が話しておられるのだ、しっかり聞け」
「……うす」
二日前の戦闘を思い出していた俺は生徒会書記の結城聖奈の声で現実へと引き戻されていた。あの後あっさりと……とまではいかなかったが魔物を倒し、学園に報告すると授業が免除されたのですることがなく寮に戻って寝た。今日は授業を受けようと思ったら生徒会に呼ばれここにいる……どうやら生徒会長の武田虎千代の話が終わったようだ。
すると別の生徒が何やら一緒に呼び出されている転校生の体質について話しているようだ。改めてその有効性と特殊な体質を見込まれて生徒会にスカウトされているらしい。
俺ここにいる必要なくね?と思い始めたころに声がかかる。
「比企谷君、あなたの体質についても話しておかないと」
「はぁ、俺もなんか特殊なんすか」
「えぇ、彼と比べるとたいしたことないように聞こえるかもしれないけど」
そういうのは言わなくていいんだよ。きずつくだろ。一瞬期待したのに。
「まずあなたの魔力量ね、これは…彼を除く学園生の中では文句なしのトップよ」
…なるほど、確かに魔力は多くて困ることはない。これはうれしい情報だ。
「そしてあなたは新種の非現象魔法の使い手よ」
……なにそれ?
「大まかにいうと現象魔法には自然魔法、強化魔法、召喚魔法という比較的わかりやすくまとめられるものと、それに当てはまらない非現象魔法があるの。で、あなたのはこっち。その魔法というのは……『光魔法による光学迷彩よりも完璧な隠密系魔法』と『風魔法の音波系よりも優れた索敵魔法』よ」
……すっげー微妙だなおい。
「どちらも今まで報告がない珍しい系統の魔法よ、新しく魔法辞典に掲載されるわ。ただ問題が一つあって」
「なんすか問題って?」
微妙な性能なうえに問題まで抱えてるの?この魔法。
「あなたはこの二つの魔法をうまくコントロールできていないようなの。具体的にいうと無意識のうちにこの二つの魔法を同時に発動させているわ。そのうえこの魔法がすごく魔力効率が悪いわ」
無意識にステルスヒッキーしているとは、俺もいよいよプロボッチを名乗れるな。だが効率が悪いというのはいただけないな。プロボッチは自分のためなら努力は惜しまない。改善できるならとっとと改善しよう。
「具体的にどのくらい効率が悪いんです?」
「さっき伝えたあなたの学園トップクラスの魔力量を一般的な魔法使いの魔力量以下にするくらいには」
効率悪すぎるだろ。
「さらにあなたは現象魔法との相性もあまりよくないわ、はっきりと言えば一般的な魔法使いの苦手な魔法を発動した時の威力以下よ」
これ以上うまく使える魔法がない。衝撃の事実を聞かされ、八幡は軽く頭を抱えながら生徒会室を後にした。自分を狙う影あるのも知らずに。