やはり俺が私立グリモワール魔法学園に転校生と一緒に入学するのは間違っている 作:水無月ゲンシュウ
「風紀委員にはいりなせー」
風紀委員、その仕事は校内の風紀を維持することであり、特に不純異性(同性)交遊、魔法の不正使用に対して厳しく取り締まり、場合によっては上位組織である生徒会にすらたてつくとすら噂されている委員会である。また魔法学園という性質上、違反者の中には許可なく魔法を使用した者も含まれており、その場合は力づくで取り押さえることもいとわない集団である。
つまり、拘束系に類するそのたぐいの魔法がほぼ使えない俺はこの委員会において役立たずであり本来ならお声がかかることなんてないはずなのだが、(こっちからも願い下げだが)少し考えればわかることである。
「危険人物に首輪をつけておきたいってことっすか」
「まぁそれもありますけどねー、目的は別にあるんで」
それもあるのかよ。しかし他の目的と来たか……見当もつかない。
「まぁ簡単に言っちゃえば生徒会へのけん制ですよ」
「俺なんかがけん制の道具にはなるとは思えないんですが……」
控えめに言っても多少の隠密と索敵能力しかない俺がけん制としての道具の役割を果たせるとは思えない。すると委員長は俺の思考を読んだのか、疑問に答えてくれた。
「まぁ、それは建前なんですよー、本当の目的は報道部にアンタさんを取られたくなかったんです。ただでさえ遊佐という厄介事を抱えているというのにそこにアンタさんのような隠密に優れた人物が加わっちゃぁたまったもんじゃねーです」
報道部か……確かにあそこに厄介になるよりましか、あそこ絶対労働基準法守ってなさそうだし。だがタダで労働するほど俺はボランティア精神には富んでないのでね。
「なら俺からも条件があります」
「おや?入ってくれる気になりましたかぁ?何です?あんま無茶な要求じゃなきゃ大丈夫ですよ」
「銃火器の所持と一般授業の免除をお願いします」
俺の提示する条件はこの二つだ。俺には魔法使いとしての才能がない。才能という言葉で一つにするのもどうかと思うが少なくとも俺には魔法だけで魔物を倒せるだけのポテンシャルはない。このままではそう遠くない未来に戦死者のリストに俺の名前が刻まれることになる。その差を埋めるために俺は一つの策を考えついた。それが銃火器だ。銃には魔法にないメリットがある。それは持ち主によって威力が変わることがない。一見当たり前のように思えて魔法使いにはないメリットだ。魔法使いは自分自身の魔力が尽きれば回復するまで何もできないのだが、銃の場合は仲間からもらえればその場で補充できる……まぁくれる仲間なんていないんですけどね。特にこの学園では。それに前者のほうも転校生とかいう規格外の存在の登場でその定義が崩れ始めているし。
二つ目の授業の免除は戦いに関する知識を多く得るための勉強時間の確保だ。そして数学を受けずに済むという下心もある。この二つが許可されれば少なくとも自分の身は守れるぐらいにはなるだろう。
「あぁ…そーいや、アンタさん魔法のほうがからっきしでしたねぇ……ちょいと手続きはめんどーですが出来ますよ。授業のほうは……まぁ苦手らしい数学と実技科目以外は良いでしょう。それなりの進学校にいたみたいですし。でもいちおー定期テストは受けてもらいますよ」
まぁそのくらいはやむを得ないだろう。しかし数学は残るのか……背に腹は代えられん。
「じゃ、それで」
「うちもちょーど男手が必要だったんですよー、よろしくおねげーします」
ここに俺、比企谷八幡の風紀委員入りが決定した。