やはり俺が私立グリモワール魔法学園に転校生と一緒に入学するのは間違っている   作:水無月ゲンシュウ

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第八話 町の襲撃にも関わらず彼は自分のために行動する

 晴れて?なのかどうかはわからないが無事もろもろの手続きを終えて風紀委員となった比企谷は風紀委員長水無月風子の指導の下、風紀委員としての仕事をつつがなくこなしていた。

 

 「ほんじゃ、こっちの資料もコピーしといてくだせー」

 

 「うす」

 

 「それが終わったらこっちの資料にハンコ押しといてくだせー」

 

 「…うす」

 

 「それが終わったら風紀委員室の掃除おねげーします」

 

 「………これ俺がやる必要あります?」

 

 書類整理、いわゆる雑用である。最初の数日こそ風紀委員としての仕事内容や規則といった、覚えねばならぬことを教わったり、実際に見回りなどを委員長随伴でやったりしたのだが(この時に写真を撮ってスクープ!スクープ!って言ってはしゃいでた岸田覚えておけよ)彼が風紀委員という組織に慣れてきたあたりから彼のやる仕事の内容があからさまに雑用へと変わってきた。

 

 「えー、あんたさんが一番向いてそーな仕事を割り振ったつもりですが、不服でも?」

 

 「もしかしてアンタは雑用係がほしかっただけなんじゃないですか?」

 

 不満ならこうして学園の機構の中で働かされていることに不満を感じているわ。だが与えられた仕事を放棄するのは流石にまずい。別に仕事を放棄して風紀委員を辞められるのならとっくに行動を起こしていたのだがこちらの条件を飲んでもらっている以上辞めにくい。それに風紀委員には頭の固い氷なんとかさんがいるからな。むしろ逆効果でより俺の生活の自由がなくなる気がしてならない。ありとあらゆる部分の管理をされてそのうちご飯とかも用意してくれるかも。あれ?なんでも世話してもらえるって実は超楽なんじゃね?実質養ってもらっているわけだし。

 

 「スンマセン委員長、ちょっと養ってもらいに仕事さぼります」

 

 「はいはい、おふざけするヨユーがあるならちゃっちゃと済ませちゃいましょうねー」

 

 「……うす」

 

 こうして順調に委員長に飼いならされる八幡であった。

 

 「やっと終わった………」

 

 彼が仕事を終えたころにはすでに日が傾きかけ始めていた。彼は身支度を整えるとまっすぐと帰路に……は付かづ、訓練場へと足を運んだ。国からようやく武器が支給されたのだ。魔法をうまく使えない八幡が生み出した答えの結果を確認しに行ったのだ。

 

 (もしこれでだめならあきらめてヒキニート生活をしよう)

 

 しかし訓練所には先客がいた。明らかに一般の生徒とは異なる戦果を重視した連携の取り方、一人一人の連度も高い、精鋭部隊だ。その中の一人がこちらに気づいた。

 

 「お?こんな時間に訓練に来る真面目ちゃん……にはちょっと見えねぇなぁ?オメー何しに来たんだ」

 

 いやその真面目に訓練しに来た生徒何ですが……

 

 「いや射撃練習をしに来たのだろう」

 

 「魔法使いなのに銃?」

 

 注目される中、訓練場の一番端へと向かい武器を取り出す。使い方は一通り覚えた、あとは実際に撃ってみるだけだ。マガジンに弾が入っていることを確認し、本体に挿入する。コッキングし、その後、初弾が確実に装填されていることを確認し安全装置を掛けてホルスターへと戻す。ウィーバースタンスで構えホルスターから引き抜き目標に向かって狙いを定め放つ。

 

 ドンッ!ドンッ!ドンッ!

 

 初弾は的のほぼ中央に命中し、その後の二発はやや、ばらけた。はじめてにしては我ながらいいセンスだ。

 

 「へー、いい筋してんじゃんか、まぁ筋力があるってのもあるけどよぉ」

 

 「あぁ、いくら魔法使いになったと言っても45口径を連続で撃って目標に当てるにはそれなりの技術が必要だ、彼は見かけによらず、細かい力の加減がうまいようだ」

 

 明らかにその道の方二人が何やら弾の口径で言い争っていたが、魔物が町に現れたかなんかで訓練所を後にした。俺には関係のないことなのでその後も射撃の練習を続けた。


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