やはり俺が私立グリモワール魔法学園に転校生と一緒に入学するのは間違っている   作:水無月ゲンシュウ

9 / 37
第九話 冬樹イヴは案外ポンコツなのかもしれない

 町への襲撃から幾日が立った。魔物によりそれなりの被害が出た風飛市であったが、さすがに対魔物戦に特化した都市なだけあり、町にはすでにいつもの日常が取り戻されていた。しかし周囲がいつもの日常に戻っていく中ここに一人、日常へと戻れない男がいた。

 

 「あの委員長、俺今日非番のはずなんですけど」

 

 休日返上とか立派な社畜じゃないですかーやだもー。労働基準法先生しごとしてくださいよー全く。

 

 「あんたさんがそーゆー性格なのは重々承知なんでいいんですが、少しはクエスト掲示板とかしっかり見てくだせー。町に続いて人気の多い神凪神社に魔物が現れました。今普通じゃないことが起きていやがります。わかりますよね、このような出来事が過去にもあったことを」

 

 「………大規模侵攻っすか……」

 

 大規模侵攻、確認されているだけで六回。魔物が群れをなし、人類に牙をむく。大規模侵攻のたび、人類は負け、その生息域を狭めていった。既に南半球は魔物に占領され第六次侵攻で日本は北海道を奪われた。その大規模侵攻が再び起きる。魔法使いである以上、生徒であろうと戦う義務が発生する。過去にも生徒が駆り出され少なくない犠牲者が出たらしい。しかし、それが俺の休日出勤とどう関係があると言うのか、いやない。

 

 「それで、俺が休日返上な理由は?」

 

 戦争に駆り出されようが何だろうがそんなことにいちいち目くじらを立てるつもりはない。この世の中不条理であふれかえっている。だが、そうであっても俺は俺の休日のために心血を注ぐ!

 

 「冬樹イヴを風紀委員室に連れてきてくだせー。彼女は呼び出しても来ないでしょうから、直接連れてきてくだせー。ちなみにできなければ仕事増やすんで」

 

 職権濫用だろ………しかしここで騒いだところで俺の休日は帰ってこないのであきらめて与えられた仕事をこなすとしよう。

 

流石に学園全体を見て回っては日がくれるので冬樹がおそらくいるであろう場所を、委員長に教えてもらいそこへ向かった。

 

目的の場所に行くと探し人は思いのほか早く見つかった。え?なんでボッチの俺がすぐに見つけられたかって?理由は簡単な話だ。基本的なボッチの行動パターンなんて大して変わらない。この学園は無駄に広いせいで一人になれる場所には事欠かない。それは図書館でもいえることで、俺の予想通り冬樹は自習スペースのやや端の机で勉強していた。まぁ俺ぐらいのプロボッチになれば勝手に一人の空間ができるんですけどね。

 

 「おい」

 

 「…………なんです?私に、何か用ですか?」

 

 「用がなきゃわざわざ声をかけるような面倒なことしねぇよ。委員長がお呼びだ」

 

 「私は在籍しているだけでいいといわれているのですが」

 

 何それ羨ましい、ぜひとも変わっていただきたいね、そのポジション。

 

 「今回はそうはいかないらしい……ここだけの話委員長は大規模侵攻を危惧してる」

 

 「っ!……そうですか……なら仕方ないですね」

 

 「別に勉強忙しいなら俺から委員長に行っとくぞ、やる気のない奴のへまをフォローするなんて面倒だしな」

 

 「別にこの程度のことで勉強に支障はありません。それに私はへまなんてしません。エリートですから」

 

 ………なんだろう、このしくじらなくてもわかるポンコツ感は。一抹の不安を残しながら彼女とともに風紀委員室へと向かった。




冬樹イヴとの本格的な絡みは次回に

Twitterアカウント載せてる他の方は凄いなと思った今日でした。(語彙力)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。