キリト「生還したら妹と弟がくっ付いてた」   作:ブロンズスモー

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死亡フラグ

D会場。早くも50人のプレイヤーは10人に減っていた。

モーティマーとコイコイはお互いに正面から斬り合っていた。長槍と片手剣が、お互いのHPを削り合う。長槍の突きをスレスレで回避し、頬を掠めても気にせずに剣を振り抜いた。

それを長槍の後ろの部分でガードしながら後ろに下がり、ブロロロッと槍を後ろで回しながら構えると、地面を蹴って突きを叩き込んだ。

それを羽根を生やして飛んで躱すと、モーティマーの後ろに着地すると、そのまままっすぐ走った。

 

「! 逃げる気か⁉︎」

 

後ろからモーティマーが声を掛けたが、無視して前に突っ込んだ。その目の前には、ケットシーとウンディーネのプレイヤーがいた。その二人が剣を振り上げてお互いに斬りかかろうとした直前に、コイコイは二人の間に潜り込んで、二人の剣を握る手を斬り落とした。

 

「なっ……⁉︎」

 

「てっ、てめっ……‼︎」

 

言いかけた二人の後ろから、追いかけてきたモーティマーが長槍を振り回して、二人を細切りにした。

 

「逃すか‼︎」

 

「…………」

 

後ろから追って来るモーティマーを見ながら、次の獲物に向かった。コイコイにとって、現状の目的は予選を通ることで、モーティマーの相手なんてどうでも良かった。だが、モーティマーはここで自分を仕留めようとしている。

 

(………強い奴とやるのは面倒だけど……仕方ないかな)

 

そう思って、コイコイは足を止めて腰の剣に手を当てた。振り向きざまにカウンターを決めてやろう、そう思った直後だった。ガギンッと鈍い音が後ろから聞こえた。

 

「っ?」

 

後ろを見ると、サクヤがモーティマーにちょっかいをかけていた。

 

「………おっと、そこまでだ」

 

「………!サクヤ……‼︎」

 

「!」

 

手加減なし、と言ってた割に助けに来てくれたサクヤに一瞬戸惑ったが、それを看破したようにサクヤは微笑んで言った。

 

「他のプレイヤーを片付けて来い。その間、こいつは私が止めてやる」

 

「………分かった」

 

「ま、その間に私が奴を片付けてしまうかもしれんがな」

 

「……………」

 

「おい、なんだその目は」

 

「いえ、別に」

 

露骨に死亡フラグ立てたなーとは言わないでおいた。しかし、そこで止めてもらえれば、自分の考えていた計画通りに試合を進められる。

ここは任せて、残りの5人を仕留めに行った。

 

 

 

 

A会場。リーファはサラマンダー二人掛かりを相手に捕まらないように立ち回っていた。今回はコイコイの助けが望めないのは本人もわかっているため、なるべく攻撃を喰わないように立ち回り、攻撃は確実に当てられる時だけを狙っていた。

まだ、リーファ自身は誰も倒していないが、A会場のプレイヤーは半分を切った。だから、他のプレイヤーも二人掛かりで狙われている自分を狙って来る可能性もある。

サラマンダー二人だけでなく、他の奴らからの攻撃も想定しろ、そう言い聞かせて敵の攻撃を躱し続けた。

 

「ちっ……!二人がかりで中々粘りやがる………」

 

「………落ち着け、俺達の有利は変わってない。このままジワジワと追い詰めるぞ」

 

「………ああ、分かってる」

 

リーファは片手剣を構え直した。片方は明らかに焦っている。先に落とすのはそっちにしようと決めた。だが、それも相手に悟られてはならない。なるべく顔を出さないようにした。

すると、敵のサラマンダーが先に動いた。突きを放って来て、それを後ろに身体を逸らしつつ、下から剣で払って回避、払って上に上がった剣で引き胴を打つように相手の左の胴を斬りつつ下がった。

その後ろから、もう一人のサラマンダーが襲って来た。左斜め上から剣を振り下ろされ、リーファは無理矢理体を捻って、屈んで斬撃を躱すと、羽根を出して相手の脚の間を通り、腕を脚に引っ掛けて転ばせた。

 

「っ⁉︎」

 

そのまま真上に跳ね上がると、片手剣を下に向けてそのまま垂直に急降下した。

 

「ハァッ‼︎」

 

「っ……‼︎」

 

ズボッと背中に剣が突き刺さり、そいつのHPは消滅した。

 

「!」

 

狙いとは違い、落ち着いていた方を先に殺してしまったが、それでも一人減った。残りは一人だ。

 

「っのやろッ……‼︎」

 

残り一人のサラマンダーも羽根を生やして、剣を握り締めて突撃して来た。リーファもそこにカウンターを合わせようと剣を構えた。

顔面に突きを放って来て、リーファはそれを躱して胴に斬り返した。だが、意外にも冷静なサラマンダーは腰の鞘を握ってガードし、空を切った剣を逆手に持って突き刺して来た。

当たる直前に、サラマンダーの腹を蹴り上げて下に急降下して回避したが、肩に剣を掠めてダメージをもらってしまった。

 

「くっ………!」

 

肩を抑えてると、それを好機と見た相手は炎魔法を放ちながら接近して来た。

正面を向いたまま剣を前に構えてガードしつつ、後ろに下がって炎魔法を回避すると、サラマンダーは正面から剣を構えて剣を横に振り上げた。

それを見ながら、リーファは背中の鞘をサラマンダーに放った。サラマンダーはその鞘を反射的に斬って退かした。

その隙を逃さずにリーファは正面から剣を構えて突撃した。

 

「なっ……⁉︎」

 

「ハァアァッ‼︎」

 

サラマンダーも慌てて剣を振り回した。そのままお互いに剣を振って通り過ぎた。

 

「クッ……ソ………‼︎」

 

サラマンダーのHPゲージが消滅し、リーファのHPも半分近くまで削られた。

 

「………ふぅ」

 

息をついて剣をしまった。周りを見ると、残り人数は10人ちょっとだった。自分が二人倒す間に随分減ったな、と思いつつ、油断なく次の戦闘に向かった。

そのまま、リーファは戦闘を続け、何とか残り二人にまで生き残った。

 

 

 

 

全ブロックの試合が終わり、リーファはロビーっぽい場所で座っていた。ここで約束していたので、自分が一番乗りのようだ。

すると、ホッと息をついて椅子に座ると、後ろから「リーファちゃん」とやかましい声が聞こえた。自分をそう呼ぶ人間は一人しかいない。

 

「レコン?いたの?」

 

「いたよ!勝ったじゃん、おめでとうっ」

 

「まぁ、しんどかったけどね……」

 

「そうか、勝ったか」

 

別の声が聞こえた。シグルドがやって来た。真顔に見せようと頑張ってるけど、明らかに上機嫌だ。

 

「シグルド、お疲れ。勝ったの?」

 

「ああ、まぁこの程度なら当然だな」

 

「ふーん?」

 

「それより、二人掛かりで挑んだ奴らはどうだったんだ」

 

「あーそういえば遅いね」

 

そんな話をしてると、「お待たせ」と声が聞こえた。コイコイの声だった。

 

「あ、コイコイ………何かあったの?」

 

明らかに沈み込んでる表情だった。というか、同じブロックにいたはずのサクヤの姿がない。

 

「サクヤは………?」

 

その質問に、コイコイはビクッと肩を震え上がらせた。で、目を逸らしながら言うべきかどうか悩んだ後、「ま、いいか」と思って話し始めた。

 

「………サクヤは、その……『ま、その間に私が奴を片付けてしまうかもしれんがな』というこれ以上ないほどの死亡フラグを立てた後、モーティマーにやられてしまって……。結局、決勝進出は俺とモーティマーになってしまって………」

 

「……………」

 

その説明に、全員気まずそうに顔を伏せた。

 

「……それで、どうしたの?」

 

「先にログアウトした」

 

全員、また目を逸らした。が、やがてリーファが微笑みながら全員に言った。

 

「ま、まあ、でも今日はここまでだね。本戦は明日からだし、みんなログアウトしよっか」

 

「そ、そうだな。じゃ、また明日」

 

「そうだね!おやすみ」

 

全員でログアウトした。

 

 

 

 

部屋に戻り、海斗はアミュスフィアを取った。首をコキコキ鳴らして、肩を軽く回してから、小腹が空いたので部屋を出た。すると、ちょうど直葉と顔を合わせた。

 

「あっ、スグ。寝ないん?」

 

「ちょっと、小腹が空いちゃって。海斗は?」

 

「俺も同じような感じ」

 

「そっか」

 

そんなわけで、二人で下に降りた。リビングに来ると、海斗は棚を漁ってポテチを取り出した。

 

「ちょっとー、こんな時間からそんなの食べたら太るんですけどー」

 

「何食っても太るだろ……。つーか、文句あるならお前が自分で選べよ」

 

「うん、まず姉に向かってお前?」

 

直葉も棚を漁り始めた。すると「おっ」と声を漏らした。

 

「柿ピーがあるじゃん」

 

「うわっ、おっさん臭っ」

 

「………何か言った?カイくん?」

 

「何でもないでーす」

 

で、二人で柿ピーを2袋と小皿を持ってソファーの上に座った。柿ピーを小皿の上に乗せると、ソファーの前の机の上に置いて、並んで座った。

 

「ふぅ……疲れたねー。これ、明日もやるんでしょ?」

 

「明日は一対一だけどね」

 

「ま、今日みたいに敵がたくさんいるわけじゃなから、その分周りに神経使わなくて良いかもね」

 

「え、俺そんなに神経は使ってなかったけど」

 

「えっ、そ、そうなの?」

 

「うん。目の前の敵だけ殺してた感じ。モーティマーはそう簡単にいかなかったけど」

 

「うわあ……まぁ負ける事はないと思ってたけど………。って、コラ。ピーナッツも食べなさい」

 

「や、俺だってピーナツ好きじゃないんもん」

 

「むー……仕方ないなぁ」

 

そのまま、二人でポリポリと柿ピーを摘んだ。まぁ、柿の種がなくなった時点で海斗は手を止めたが。

黙々とピーナッツだけを直葉が食べてると、コテンと自分の肩に何かが落ちて来た。海斗の頭だった。いつの間にか眠ってしまったようだ。

 

「………ちょっ、海斗……」

 

「……すぅ、すぅ………」

 

「はぁ……まったく……」

 

直葉は呆れたようにため息をつくと、しばらくここを動けなくなることを覚悟した。

そのまま二人で朝まで寝た。

 

 

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