東方賭博奇譚   作:シフォンケーキ

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東方ロストワードって何で好きなキャラ程ガチャで当たらないんでしょうね?(紫様が出ないんや)
皆さんは誰推しですか?

まぁそれはそうと本編どうぞ。


11話・竹林の奥であれやこれやと。

 パチュリーとの話し合いも終わり、図書館を出た高橋は紅魔館の中を一人寂しく歩いていた。

 正確に言うには迷っていた。

(ちゃんと覚えときゃよかった。出口どこだっけ?)

 辺りを散策していると偶然にも咲夜と遭遇した。

「高橋様、どうかなさいましたか?」

「いや、ちょっと迷ってて。それとレミリア知らない?帰る前に挨拶しておきたいんだけど」

「お嬢様なら自室でお休みのはずですが、ご案内致しましょうか?」

「お願いします。あと出来ればその堅苦しい喋り方何とかならない?名前も呼び捨てで良いし」

 高橋の言葉に少し考える仕草をしながら咲夜が答えた。

「ならこんな感じでいいかしら?愛乃」

「それで」

 そんなやり取りをしながら二人はレミリアの部屋まで移動した。

「お嬢様、高橋様がお嬢様にお話があるそうです。入ってもよろしいですか?」

 数回のノックの後、咲夜が告げた。

『わかった。入って良いわよ』

 数秒後、レミリアの声がして咲夜が扉を開けた。そして高橋はそのまま部屋の中に入った。

「何か用かしら?」

「いや、帰る前に一言挨拶しておこうと思ってな。世話になったわけだし」

「良い心がけね。こちらこそ世話になったわね。また何かあった頼むわ」

「おう。当分は霊夢の所で世話になってると思うから何かあったら博麗神社にでも来てくれ。なるべく厄介じゃない依頼だと俺も嬉しいんだけどな。じゃあ帰るわ」

「ええ。咲夜、途中まで見送ってあげて」

「かしこまりました。愛乃ついて来て」

「あら、呼び方変えたのね。咲夜」

 咲夜のその一言をレミリアは聞き逃さなかった。

「はい。彼にそうしてくれと言われましたので」

「人のメイドをナンパする気?」

「バーカ。堅苦しい喋り方が苦手なだけだよ」

「それを口実に咲夜に言い寄って・・・。なんて事を考えているんでしょう?」

「考えてないから安心しろ」

 会って間もない相手に手を出す程高橋も節操なしではない。

「それじゃあまたね」

「ああ。フランにもよろしく言っといてくれ」

 そう言い残し、今度こそ二人はレミリアの部屋を後にした。

「退屈しなさそうだな。この屋敷の連中は」

「お嬢様自身が退屈を嫌うからね。思いついたら色々やるもの」

「何とも想像通りな性格だな」

 そんな他愛も無い会話をしているといつのまにかロビーまで辿り着いていた。

「ここでいいよ。それじゃあ、世話になったな。レミリアにも言ったけど何か用があったら言ってくれ」

「わかったわ。気をつけて帰りなさいよ」

「一応心配してくれるんだな」

「仮にもキスした相手ですもの」

 咲夜の軽口を聴きながら外につながる扉を開いた。まだ一日しか経っていないがようやく太陽の光をまともに浴びた気がする。

「あ、高橋さん。お帰りですか?」

 花の手入れをしていた美鈴が高橋に気づいてこちらに近づいてきた。

「ああ。色々とやる事もあるからな。また来るよ」

「はい。今門を開けますね」

「その前に一つ、大事な話がある」

「?」

「麻雀勝負の時、俺は勝ったけど結局美鈴さんからは何ももらって無いと思ってさ」

「・・・あー、言われてみれば確かにそうですね」

 そう。あの時、高橋と美鈴の間には何も無かったのだ。あの時は高橋も咲夜との一件ですっかり忘れていた。

「だからちょっと勝者の権限でお願いでもしておこうかなってな」

「まぁ負けたのは事実ですからね。私にできる範囲なら良いですよ?」

「ならたまにでいいからスパーリングの相手してくれないか?」

「スパーリングですか?」

 高橋の意外な発言に美鈴はキョトンとした。

「ああ。仕事柄体を鍛えるようにしててさ、格闘技とかもやってたんだけど体が鈍らないようにしたいんだよ」

「そう言う事でしたら構いませんよ。私も手合わせ出来る相手がいるのは嬉しいので」

「ならまた来た時にでも頼むよ」

「はい。楽しみにしてますね」

そう言って彼女は門を開けた。

「悪いな魔理沙。待たせた」

「おう。本当だぜ。女を待たせる男は最低だって相場が決まってるぞ」

 互いにそんな軽口を言いあう。今朝とはえらい違いだ。

「それじゃあ、さっさと行くか」

「頼んだ」

 言いながら高橋と魔理沙は箒に跨った。そして数秒後には二人は宙を舞う。

「それじゃあしっかり掴まってろよ」

 言い終わるや否や、目的地を目指して飛んでいく。

「それで?その腕の良い医者って何処にいるんだよ?」

「行けばわかるさ。無事に辿り着いたらな」

「何その不安になる一言」

 その先は魔理沙は答えなかった。ただケタケタと笑うだけだった。

 

 

 暫く飛び続けると魔理沙達はとある竹林の前で降りた。

「ここか?」

「おう。正確に言うとこの奥だな」

 鬱蒼と生茂る竹林を見て高橋は苦笑いを浮かべた。

「迷いそうなとこだけど、道覚えてるのか?」

「いや?と言うより覚えようとしても覚えられないさ」

「なんでだよ」

「ここって意外と地面の高低差があって感覚が狂うんだ。しかも竹もすぐ成長するからどれがどれだか覚えられやしない」

 そういえば昔何かで筍の成長速度は早いだなんだと読んだ気がする。

「ならどうする?適当に歩いて運頼りで探すのか?」

「それでも構わないけどな。ここには案内人がいるからそいつに会えれば問題ないさ」

「案内人ねぇ」

 そんな会話をしながら二人は竹林に入っていった。

 そして数十分後。

「見事に迷ったんだぜ」

「馬鹿野郎」

 軽く遭難していた。

「まさかこんなに早く迷うとは流石は『迷いの竹林』。看板に偽りなしだぜ」

「いや、うるせぇよ」

 そんな事を言ってる場合か。

「これからどうするよ?」

「心配は要らないらしいぞ」

 後ろを見ていた魔理沙が言った。それにつられる様に高橋も後ろを振り返る。

「あら魔理沙。永遠亭に何か用?」

 後ろからやって来た少女がそう聞いた。

 どうにも目立つ少女だった。

 薄い紫の長い髪、ブレザーの制服を連想させる服。だが、高橋にはそれ以上に気になる部分があった。

(でかいうさ耳だ・・・)

 頭から生えているあのでかいうさ耳は本物だろうか?そればかり気になって仕方がない。

 そう言えば前に宴会の時にもいた様な気がする。

「ちょっとばかりこいつが腕を怪我をしてな。心配だって言うもんだからお前の所に連れて行こうと思ってさ。今後世話になるかもしれないし」

 魔理沙が高橋を指差しながら言った。

「あ、その人外の世界から来た人よね。この前の宴会にもいた」

 どうやらうさ耳さん(高橋命名)も覚えていた様だ。

「はじめまして。高橋 愛乃って言います。職業は便利屋、趣味はギャンブルと読書。よろしく」

「はじめまして。私は鈴仙・優曇華院(れいせん うどんげいん)・イナバって言います。この奥にある永遠亭で師匠の手伝いをしたり薬を人里で売ったりしてます」

「師匠?」

 聴き慣れない言葉に高橋が聞き返す。

「これから行く永遠亭の先生だ。薬を作ったり医者みたいな事をしてる天才だ」

「スゲェ」

 思わず口に出していた。

「永遠亭に行くなら案内するけど?」

「お願いします」

 高橋はそう答え、二人は鈴仙の後について行った。

「よくもまぁこんな分かりにくいと言うか、住みにくい場所で生活できるな」

「隠れ家的なところで良いでしょ?」

「的って言うより完全に隠れ家だろ、これ」

高橋のツッコみに鈴仙が笑って返した。

「と言うか、空から行けなかったのか、魔理沙」

「あんな竹だらけで視界の悪い所にお前を連れて上から突っ込んだら下手すりゃ辿り着く前に大怪我だぜ」

 言われてみればその通りか。

「怪我したって言ってたけどどんな感じなの?」

「左腕をちょいとな。動かすだけで馬鹿みたいに痛ぇ。折れてはないと思うけど何かあったら流石に怖いんでな」

「そうね。何かあってからじゃ遅いものね」

 鈴仙も高橋の意見に納得した様に答える。

「さっき言ってたこの竹林の案内人ってのはこの娘の事か?」

「いいや、違うぜ。そいつは藤原 妹紅(ふじわらのもこう)って言うんだ」

 魔理沙の口からまた聞き覚えの無い名前が出てきた。

「鈴仙達とその妹紅さんってどんな関係なんだ?」

「あー、うん。ちょっと説明しづらい関係よ」

「・・・そうか」

 苦笑いする鈴仙を見て高橋はそれ以上聞くのをやめた。会って間もない奴が聞くことでもなかった。

「それより高橋さんは異変解決の為に幻想郷に来たのよね?」

「愛乃でいいよ。って何でそれ知ってんだ?」

 そんな多くの相手に話した記憶は無いが。

「今朝の新聞に書いてあったのよ。『八雲 紫の切り札にして、外の世界の問題解決のエキスパート、満を持して幻想郷の異変解決に参戦!』って」

「は?」

「あー、あのブン屋の仕業だな」

「もしかして文の事か?」

「他に誰かいるのか?」

 当たり前の様に言う魔理沙。そんな言い方をされたら何も言い返せなくなるから困り物だ。

「満を持してってなんだよ」

「私に言われても知らん」

「・・・一応、その記事後で見せてくれるか?」

「良いわよ」

 そんな会話を続けながら右へ左へと進むとやがて大きな屋敷があった。屋敷と言っても紅魔館とは真逆に和風建築であったが。

「でっか」

「中もかなり広いんだぜ」

 ポツリと感想を零す高橋に魔理沙が言った。

「案内するから入って、二人とも。それと魔理沙は勝手に盗んだりしないでよ」

「人を泥棒みたいに言うなよ」

 それ以外の何者でもない。

 そしてしばらく歩くととある部屋の前で止まった。

「さ、入って座って待ってて。今師匠呼んでくるから」

「ほいほい。失礼しますよっと」

 中に入ると、どうやらは診察室の様だ。言われた通りに適当に椅子に座って待つ事にした。

「ここに入るのも久しぶりだぜ」

「あまり来ないのか?」

「私は至って健康体だからな」

「あ、そう」

 なんか面倒に感じたので適当に流す高橋。

 すると同時に鈴仙が一人の女性を連れて戻ってきた。

 長い銀髪の女だった。着ている服も印象的で右半分が赤で左半分が青になっている。一体どこのキカイダーか。しかも面白い事に下がスカート状になっているその服は腰から下の配色が逆になっていた。つまり右半分が青で左半分が赤だった。少なくとも以前の宴会の時には姿を見た記憶は無い。

「貴方が高橋 愛乃ね。初めてまして。八意 永琳(やごころ えいりん)よ」

「ご丁寧にありがとうございます。高橋 愛乃と言います。今回の異変解決の為に外の世界から来ました」

 永琳の挨拶を聞いた途端、何故だかわからないが高橋も丁寧に挨拶をしなければと思った。礼儀だなんだと言うのも有るが、考えたら答えは単純で、高橋が永琳の放つオーラに圧倒されたのだ。初めて紫と会った時と似た感覚だ。

(少なくとも今この人と勝負しても俺は勝てないな)

 そんな事を考えた。相手の気迫、オーラに圧倒されてしまったら普段のパフォーマンスなんて出来るはずがない。まぁ今回に限って言えばする必要もないのだが。

「つまりあの新聞の記事は本当だったってわけね。それで今日はどうして此処へ?」

「昨日ちょっと紅魔館へ行った時に左腕をやらかしまして。動かすだけでまあまあ痛みが走るんで見てもらおうかと」

「なるほど、わかったわ。見てみましょう。それから魔理沙は部屋から出て行きなさい」

「はいよー」

 言われるままに魔理沙はその部屋を出て行った。

 そんなこんなで高橋の治療が始まった。

「腕以外に痛みや変わった様子は?」

「いえ、何も」

「紅魔館で腕を怪我したって言うけどどんな感じ?」

 言われて高橋は着ていた上着を脱いで左腕を見せた。痛みの所為か動きが少しぎこちない。

「ちょっとばかりギャンブル中にアクシデントが起きましてね。咄嗟に頭を庇ったらこのザマです」

「・・・何が起きたのよ」

「天井が崩れ落ちてきたんだ」

 側から聞いたら頭のおかしな表現に聞こえるだろうが事実なのだから仕方がない。

「それで左腕だけで済んだなら幸運ね。死なない限りは大概は治してあげるから」

 永琳が笑いながら言う。何とも頼もしい医者だ。

 そんな会話を続けながら数十分、高橋は永琳からの診察と治療を受けた。結局左腕にはヒビが入ってるそうで暫く安静にして薬を飲めとの事だ。

 治療代を支払い部屋から出るが、魔理沙の姿が見当たらなかった。

「ここで放置されたら迷子確定だぞ」

「どこかに出掛けてるのかしらね?」

 後ろにいた鈴仙が言った。魔理沙からしたら暇だろうがこっちからしたら困った話だ。

「なら暫くここで待たせてもらっても良いか?暫くしたら戻ってくるだろ。なんだったら幻想郷の事を色々教えてくれ」

「私は良いけど、霊夢や魔理沙から聞いてるんじゃないの?」

「霊夢や魔理沙だってなんでも知ってる訳じゃ無い。それに語り手が変わればそれだけ見方や考え方も変わるだろ?」

「まぁそういう事なら良いけど」

「ついでにさっき言ってた新聞も見せてくれ」

「はいはい」

 そう言い、鈴仙は近くにあった新聞を高橋に手渡した。

「これが今朝の新聞よ。大きく載ってるのがあなたの記事」

 鈴仙の言う通り、高橋に関する記事が一面にでかでかと写真付きで書かれていた。

「好き放題書かれてるな。こんなカッコつけたセリフ言った覚えはないんだが」

 新聞には『八雲 紫の涙ながらの頼みについ断る事が出来なかった。女の頼みには答えてやらなきゃ男じゃない』と高橋がコメントしたとある。誰がそんな事を言うか。そもそもあの女が人前で泣くものか。

「今度会ったら説教だな」

 心に誓う高橋だった。

「言うだけ無駄だと思うけどね」

 苦笑いで言う鈴仙。どうやら幻想郷ではお馴染みらしい。

 イラつきながら新聞を見ていると二人の元にまた一人加わった。魔理沙ではなく、永琳だった。

「退屈なら私も会話に混ぜてくれないかしら?」

「俺は良いですよ?」

「勿論です」

 特に断る理由が無い二人は永琳の言葉に賛同した。高橋としても聞きたい事は沢山あるのだ。

「ならついでにお茶にしましょう」

 鈴仙が言い、三人はお茶の間へと移動した。

「今お茶いれてきますね」

 そう言って鈴仙がいなくなった為、必然的に高橋と永琳の二人だけになった。

「いくつか貴方に聞きたい事があるの」

「答えられる範囲であれば。俺も色々聞きたいこともありますし」

「勿論構わないわ。私に答えられる事ならね」

 やはりこの人と話すと紫の時と似た感じがする。相手を支配するオーラとでも言うのだろうか?

「聞きたい事って言うのは?」

「言ってもそんな大袈裟な話ではないわ。今回の異変についてよ」

「『弾幕ごっこ』ってやつがギャンブルに変わったって話でしたよね」

「ええ。貴方は紫から頼まれて異変解決の為に幻想郷に来たそうだけど、その進捗はどうなのかしら?」

「幻想郷に来て三日目ですよ?残念ながら全くですね。今は取り敢えず幻想郷と言う世界を知る為にコネクションと情報を増やしてる最中です。所謂土台造りですかね」

 つい忘れそうになるが、高橋は異変解決の為に幻想郷に来たのだ。だが、右も左もわからない状態ではそれは100%不可能だ。その為には先ず何よりも大事な「情報」を集めなければいけないのだ。

「だから少なくとも一週間くらいは情報収集に費やそうと思ってます。もしかしたらそれでも足りないかも知れませんけどね」

 淡々と答える高橋に永琳は少しだけ感心した。

(思ったより真面目に異変解決に取り組んでいるのね。しかもそれに対しての不満や愚痴も溢さない。私が初対面の相手だからかも知れないけど)

 本来、人間という生き物は言い方は悪いが、下衆な生き物だ。問題が起きたら言い訳をし、時にはその責任を他人に擦り付けたりもする。問題の対象が大きければ大きい分だけその行動に移る可能性も高くなる。それに今回の彼への依頼は『異変解決』などと言う大規模なものだ。例え自分で承諾して受けた仕事だとしても現実にその規模の大きさが分かれば面倒な気持ちが湧いてもおかしくはないし、文句の一つくらい言うのが人間としては当然と言えるだろう。

 だが、その行為は実は自身への信頼に影響してしまう。

 過程はどうであれ、依頼内容が何であれ、受けた依頼に対して他の人物に文句を零す人間に仕事上の信頼など得られる訳がない。それが会って間もない相手なら尚更だ。

 だが、高橋はそんな事はせず、今後の明確な行動目標を決めている。そんな事、と切り捨てられるかも知れないが、そんな当たり前の事が大事なのだ。

 まぁそれを判断したからと言って、永琳は何をするわけでもないが。

 強いて言うならば、『高橋 愛乃』と言う人物の情報収集と言ったところか。

「今後、何か困った事が有れば頼らせてもらうわ」

「俺に頼る前に大概の事は貴女が解決しそうですけどね」

 永琳の言葉に高橋が笑って答える。

「私はただの薬師よ。トラブル解決は専門家に任せるわ」

 ここで「自分では解決出来ない」と言わないあたり、やはり大概の事は解決出来るのだろうと高橋は予想した。

「こっちからも質問いいですか?」

「良いわよ」

「今回の異変が起きてから永遠亭が受けた影響や被害、そして貴女から見てこの異変に対する意見は?」

 永琳同様、高橋も情報収集に努める。

「うちは特に被害は無いわね。元々そこまで多くの人と関わっていなかったのもあるでしょうけど。私の意見としては、色々と『わからない』と言うのが本音ね。この異変を起こした犯人もその動機、目的、こんな事をして何のメリットがあるのか、その全てがわからないわね。これに関しては私は別に解決しようとしていないから、詳しい情報を持っていないから、と言うのが理由ね」

 どうやら彼女は詳しい事は知らないようだ。まぁ自分達に深く影響しない事なら細かく調べたりしないのも仕方のない事だろう。なんせ自分に被害が無いのだから調べる必要性がない。

(これと言って収穫は無しか。まぁ治療のついでに調べてる様なもんだし、永遠亭の人達と繋がりが出来ただけ僥倖か)

 鈴仙に聞いても然程変わらぬ答えが返ってくるだろうか?いや、彼女の方が人里に出向いている様だから何かしらの噂話などは聞いているかもしれない。

「お茶入りましたよ」

 そんな事を考えていると、タイミングよく鈴仙が戻ってきて人数分のお茶を差し出した。

「なぁ鈴仙、急で悪いんだが、聞きたい事がある」

「何?」

「今起きてる異変に関する事で噂や人里での被害とかってあるか?」

「被害ねぇ・・・」

 お茶を飲みながら少しだけ考え込む鈴仙。すると思い出した様に口にした。

「被害って言うか、トラブルは起きやすくなってるみたいね」

「トラブル?」

「うん。今まで私達の間では『弾幕ごっこ』がトラブルや異変の解決に使われていたの」

「うん」

「でも今はその『弾幕ごっこ』が無くなって代わりに『ギャンブル』が幻想郷全体に使われてるのよ」

「そこまでは聞いた」

「そして『ギャンブルの結果は絶対遵守』って事は今まで『弾幕ごっこ』に関わって来なかった人達にもこのルールは適応されるの」

 これが今の幻想郷での大きな変化だろう。

「つまりあれか?どんな内容でもこの幻想郷にいる限り、老若男女問わずギャンブルに強制参加か?」

「参加は勿論自由だけどね。でもやっぱり賭け事で解決すると何かとトラブルも増えてるみたい」

「そりゃ至る所で絶対遵守のギャンブルなんてやられたら経済は回らないからな」

 仮に飲食店に入った客全員が店主と代金を賭けて勝負をし、その結果店主が全敗でもしたら店は一気に大赤字だ。

「ギャンブルに言葉巧みに誘導して、後はイカサマでも仕込んでから勝負させればまず有利だからな」

 四六時中そんな事が繰り返されたら人の生活など機能しなくなる恐れもある。

「まぁ今のところはそんな極端な事にはなってないから大丈夫みたいだけど」

「けど、実例はあったんだろ?」

「・・・うん」

 今軽く聞いただけでこの考えが浮かんだのだから、人里の中に同じ事を考えている輩がいても不思議ではない。

(さて、どうする?その点に関しては俺が関わる必要はない。俺が行っても解決できるとも限らないし幻想郷に来たばかりの俺が何か言っても誰も耳を傾けてくれやしないだろう)

 仮に今から高橋が人里に行って「ギャンブルで荒らす様な真似はやめよう」などと言ったところで逆効果になりかねない。寧ろ「その手があったか」と刺激する可能性もある。

(でも、問題が起きてからじゃ遅いよな)

 高橋が内心でそう結論づけた。

「どうするか決めたのかしら?」

 永琳が言ってくる。

「とりあえず人里で今言ったトラブルが起きない様に考えてみますよ」

 面倒臭げに答える。

 放っておいてもいいかと考えたが、これから長い事活動するのだから人里が荒れてしまっては困る。面倒事は先に処理しておきたい。

「人里で活動するなら慧音を頼ると良いわよ」

「けいね?」

 鈴仙から聞き慣れない名前が出た。

上白沢 慧音(かみしらさわ けいね)。人里の寺子屋で子供達に勉強教えてるわよ。あの人、顔が広いから何かあればある程度は何とかなると思うわよ」

 つまり悪い言い方をすれば上手い事使えば便利だから利用しろと言った所か。

「他にあても無いし、とりあえず人里に行って情報収集かな」

「無闇矢鱈と歩き回るよりかはマシでしょうね」

『おーい、愛乃ー。どこだー』

 永琳が言うと同時に、遠くから魔理沙の声が聞こえた。

「迎えが来たみたいだし、失礼ながら今日はこの辺で帰ります」

「そう。何かあればまた来なさい」

「そうします。それじゃあ俺はこれで失礼します」

「ええ。優曇華、彼らを竹林の外まで案内してあげなさい」

「わかりました」

 そうして鈴仙と高橋は途中で魔理沙と合流して永遠亭から出て行った。

「彼にこの異変が解決できるのかしら。それに何故紫はわざわざ彼を選んだのかしらね」

 一人残された永琳は暇つぶし程度にそんなことを考えるのだった。




そう言えば前回の投稿の時点でこの作品始めてから3年が経ってましたね(遅すぎワロタ)。
例えギャンブルが名ばかりな作品でも亀更新のタグに偽り無しって事で(ちゃんとギャンブルもせぇよ)。
もうちゃいまともなネタ考えて次も書きますんでもし良かったら次も期待しないで読んでやってください。

そして最近言い忘れていたのに気づきましたが、お気に入り登録してくださった
すーみん様
Aiki178様
平哲様
遅くなりましたがありがとうございます。

ではまた次回。
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