まぁ更新が遅いのはいつも通りって事で許していただければ幸いです。
では本編どうぞ。
魔理沙の金で腹を満たした高橋は次の行動をどうするか考えた。
「この後どうすっかなぁ」
「知らん」
向かいの席に座る魔理沙様が如何にもさっきから御機嫌斜めだった。さっき肉うどんを追加で頼んだのを根に持ってるんだろうか?
「兄ちゃん、有難うな。お陰で助かったよ」
「いや、良いっすよ。仕事をしただけですから。約束通り今度来た時奢ってくれればそれで良いですから」
「しかし、よくあいつの考えをあそこまで読めたな。何をしたんだ?」
「実は俺、透視能力があって、あのトランプの数字とマーク、確認しなくてもわかってたんですよ」
「そりゃ本当か!?」
「って言ったら信じますか?」
「嘘かよ」
「誰も嘘なんて言ってないですよ。信じるかを聞いただけです」
「あれを見せられた後なら信じるかもな」
「でも透視能力があったとしてもあいつの考えが読めるって事にはならないだろ?さとり妖怪でもあるまいし」
魔理沙が言ってくる。
「さとり妖怪ってのはよくわからんが確かに俺はあいつの考えを読んじゃいない」
「でもお前さんはあいつの考えを完璧に読み取ったんだよな?」
オヤジさんが再度聞く。
「そういや、あいつと愛乃が似てるって言ってたな」
思い出した様に魔理沙が言った。
「ああ。俺とあいつは似た者同士さ。だったら考える事も必然似てくる」
「遠回しな言い方だな」
「まぁ簡単に言えば似た様な事を俺も昔経験したって話だよ。俺の場合はあいつと違って何とか勝ったけどな」
「結局自慢話かよ」
魔理沙が苛立たしげに言った。
「だが、まだ半分だ」
今度はオヤジさんが言った。
「お前さんがあいつの考えを読み取った理由はまぁ納得した。でもだからってそれでもトランプの中身を言い当てた理由にはならないだろ」
そう。問題はその点だ。いくら高橋が銀太の考えを読み取った所でカードの予想を外してしまえば何も意味はない。だが彼は確かにそれすらも当てた。それから考えると、
「イカサマか?」
魔理沙が言った。それに対してオヤジさんが異議を唱えた。
「いや、でもこの兄ちゃんはカードを俺から受け取った時に触っただけだ。後はカードを捲ってただけで特に怪しい動きはしていなかったぞ」
「そう言えばカードを切るのも私にやらせてたな」
思い出す様に魔理沙が呟く。カードに満足に触れていないのだからイカサマを仕込む余裕があるわけが無い。
「カードには特別目印になる様な傷も無い、か」
カードの裏を見てもそれらしい物は無かった。
「愛乃がこの店に来たのは今日が二回目。そして使ったトランプはこの店にあった物だし・・・。ん?」
呟いて魔理沙はある事を思い出した。
(そう言えば前に来た時・・・)
以前この店に来た時、自分と愛乃は・・・。
(そうか!あの時、愛乃は既に何かイカサマのトリックを仕込んでたのか!)
以前魔理沙と愛乃が対戦した時、確かに魔理沙が勝った。だがそれは愛乃にとってはどうでもいい事だとしたら?前回の勝負の後、何か仕掛けておいたとしたら?
(いや、考えすぎか。仮に仕掛けておいたとしてもそれを次に必ず使うかなんてわからない。そんな不確かな物の為に面倒な事をするのか?)
一瞬、そんな事が有るかと思った魔理沙だが、即座にその考えを訂正した。
(一見愛乃は馬鹿で調子の良い奴だがこう言ったセコい真似は抜かりない奴だ。もしもの時の為に何か細工をしててもおかしくないぜ)
そしてもしそれが違ったとしたならば、残った選択肢は一つだけだ。
(こいつの言う通り、透視能力を認めるしかない)
別に魔理沙は高橋が透視能力がある事を否定したいわけじゃない。でももし仮に彼に透視能力があるとしたら?最初から使っている筈だ。そうなれば予想を外すわけがない。だって答えがわかっているんだから。
(でも何度か外してたよな?って事は透視能力の線は薄いって事になる)
わかっているのにわざわざ外す必要なんて有る筈が無い。と思った瞬間、魔理沙はある事を思い出した。
(そう言えば紅魔館での麻雀勝負、こいつはどうやってか最後に役満を和了ってたな)
最終局面での高橋の天和。あれは明らかなイカサマだった。それは本人も認めている。しかもあの時はオール伏せ牌だ。どれがどの牌かなんてわかる筈が無かった。それでも彼は積み込みをし、そして役満を和了ったのだ。そうなれば答えはひとつだけだ。
「愛乃、やっぱりお前は透視出来るんだろ?」
「名探偵魔理沙ちゃんの推理を聞こうか」
軽く笑いながら高橋が言った。
「本来なら透視が出来る奴がさっきのゲームで予想を外すなんてあるわけがない。誰だってそう考える。でもそれは自分が透視出来る事を誤魔化して相手を油断させる為のフェイクだ。その証拠にお前は紅魔館での麻雀勝負の時、その透視能力を使って牌を積み込んで天和を和了ったんだ。でなきゃ牌が確認出来ないあの状況で積み込みや燕返しなんて芸当出来る筈が無いんだぜ」
「ご名答。その通りだ」
笑いながら高橋が答える。
「いつかバレるとは思ったが、やっぱ隠し通すのは無理だったな。魔理沙の言う通り、やったよ。透視」
高橋が軽い口調で言うが、そうなるとやはり疑問は残る。
「だったら何でさっきは何度か間違えたんだ?答えがわかってるなら間違える必要なんか無いだろ?」
実際、透視が出来るのなら麻雀勝負の時もあそこまで不利になる事も無かったはずだ。
「そんな能力を使わなくても勝てるってか?」
オヤジさんが言ったが、それに対して高橋は首を横に振った。
「そんな相手を舐める様な事、俺はしませんよ。ただ俺はビビリで卑怯な人間なんで自分から動かないんですよ」
「ビビリならそれこそ真っ先に能力を使いそうなもんだけどな」
「相手がどんなイカサマを仕掛けているのか、またはどんな能力を持っているのかもわからないのに先にこちらが能力を使ったら相手に対応されて負ける可能性が増えるだろ?さっきのだってあいつがもし何か能力やイカサマを仕掛けていたら俺が負けていたかもしれない。だから俺は無闇に先に動く事はしたくないんだよ」
(まぁ俺の能力の関係も多少はあるけどな・・・)
魔理沙には説明していないが、高橋の能力は相手の能力をコピーする能力だ。
だが、どんな物にもそれを満たす為の条件は存在する。高橋の能力の発動条件の一つとして、相手の能力を知る必要がある。コピーする対象がわからなければコピー出来ないのだ。
だから高橋は相手の能力を知ってからその後で対応する。言わば後出しのジャンケンに近いプレイだ。自分からは動かず、相手の手を見てから思いつく最善手を打つ。
「でもよ、愛乃の言う様に相手が先に仕掛けたとして、そこで勝負がついたらどうするんだ?必ず自分の番が来るとも限らないんだぜ?」
「説明の仕方が悪かったな。ゲーム内容等によって勿論勝てるなら最初から勝ちに行くさ。でもそれは後にリスクを背負う可能性だってある」
「リスク?」
「ああ。もし最初に図に乗って自分の能力をひけらかす様に振る舞ったとしたらそれ以降の勝負で相手に分析・対策されるかもしれない。それが怖いからなるべく能力を使わずに勝負したいんだよ」
高橋としては自分が能力を使わずに速攻で勝てる勝負をする事が理想だが、勿論そんな都合のいい事が毎回起きるわけがない。寧ろ勝てない勝負の方が多いだろう。
「なら相手が何も能力を持ってなかったら自分も使わないのか?」
「逆だな。相手が何も能力を持ってないとわかれば俺が能力を使ったとバレない様にして勝つ。勝たなきゃいけない勝負になれば尚更な」
「面倒な奴だな」
「そいつは失礼」
魔理沙の文句を高橋が適当に流す。
「と、そんな事はどうでも良い。問題は今後どう動くかだ」
高橋は話題を切り替えて今後の方針を考え始めた。
「と言ってもお前は別に異変解決の為の行動らしい事してないじゃないか」
「手厳しい事を言うなよ魔理沙さん。これでも新参者の高橋さんはまずはこの幻想郷の住民達に覚えてもらう作業に必死なんだぜ?情報収集とコネクション作りは必須条件だからな」
「つまりはこの魔理沙ちゃんに今後も幻想郷の観光案内をしろって言うのか?」
「是非ともお願いします」
魔理沙の問いに高橋は素直に答えた。
「何で私がそんな面倒な事を」
「忙しいのか?」
「暇だけどな」
不貞腐れながら魔理沙が言った。どうやら魔理沙お嬢様は未だにご機嫌斜めな様だ。女心は難しい。
「なら仕方ねぇ。最悪霊夢か萃香にでも頼むさ。魔理沙にフラれたから相手してくれってな」
「元カノの萃香にでも情けなく泣いて縋り付くんだな」
「そんで一人になった時にふと今の彼女の魔理沙ちゃんの事を思い出して寂しくなって泣いちまうかもな」
「それで煽ててるつもりか?」
「覚えとけ。男ってのは意外と惚れた女の事をずっと思ってるもんだぞ」
「可愛らしい生き物だな。男ってのは」
「嫌われるよかマシさね」
気がつくと話がすぐに脱線する。
話を戻して。
「人脈作りと俺の事を宣伝しないとな」
「宣伝の必要ってあるのか?」
「宣伝しないと仕事が増えないからな。仕事が無いと金を稼げない。金を稼げないと生活に困る」
「そりゃそうだ」
「てなわけで俺はこれからも知人を増やしたいんでお手伝い願えますか?魔理沙お嬢様」
「仕方ない。この魔理沙様が付き合ってやるぜ」
「お前さん達仲良いな」
二人の茶番を見ながらオヤジさんが笑って言った。
「なら近い所から行くとするか」
「何処に連れて行く気だ?」
「お前と同じ、外の世界から来た奴の所さ」
「それはそれは話が合いそうなこった」
「なら早く行こうぜ」
「そうだな。それじゃあオヤジさん、俺達はこれで失礼します」
「おう。またいつでも食いに来な」
そう言い合って高橋と魔理沙は店を後にした。
「んじゃ、さっさと行くぜ。しっかり捕まってろよ」
魔理沙が言うと同時に二人は空高く飛び上がって行った。
「ここだ」
目的地の上空へ辿り着くとゆっくりと降りながら魔理沙が言った。そこは山の上にある神社だった。しかも湖まである。かなりの広さだ。
「博麗神社以外にも神社ってあったんだな」
「霊夢の所と違って活動的だけどな」
そんな下らない言い合いをしていると神社の中から一人の少女が出てきた。緑の髪に白と青を基調とした巫女服の少女だ。確か先日の宴会にもいたはずだ。
「あ、魔理沙さんこんにちは。今日は何か御用ですか?」
「いや、大したようじゃないんだけどな。こいつがどうしても私とデートしたいって言うから幻想郷の案内をしながら他の奴らに挨拶に回ってるのさ」
「それはおめでたいですね!式はどこで挙げるんですか」
「話を飛躍させ過ぎだ」
流石に高橋もツッコまずにはいられない。
「この前の宴会でも会ったよな。改めまして高橋 愛乃です。愛乃でいいよ」
「ご丁寧にありがとうございます。ここ守矢神社の巫女の
「あの時は他の奴等とも喋ってたしあまり一人一人と話せなかったからな。急に来て悪かったな」
「いえいえ、気にしないでください。私も外の世界から来た人とお話ししてみたかったですから。宴会の時は私はすぐに酔っ払っちゃいましたし」
「酒苦手なのか?」
「嫌いじゃないんですけどね。どうにも弱いみたいです」
「まぁ無理して飲むものでもないからな」
「それで結局どんな要件で来たんですか?」
「愛乃の奴が女をナンパしたいって言うから連れてきた」
「平然と嘘をつくな」
これでは話が進まない。
「ええと、俺が何で幻想郷に来たかって聞いてるか?」
話をするならそもそもの部分からするべきかと高橋は聞いた。
「確か紫さんに頼まれて異変解決の為に来たって聞きましたよ」
「その通り。今回のギャンブル異変の解決が俺の仕事だ。他にも何か依頼があれば話は聞くから遠慮無く言ってくれ」
「はい。その時はお願いします」
「そういや、お前の所の神様は今日は居ないのか?」
「神様?」
魔理沙の言葉を繰り返す高橋。
「この神社にいる神様だよ。
「あー、そう言えばその二人も宴会に来てたな。名前しか聞かなかったけどあの二人神様だったのか」
朧げな記憶を辿りながら高橋が言った。そう言えば確か山に住んでいると言っていたが、あれはこの神社の事だったのか。
「お二人は今用事があるとかでお出かけしてますよ。その内戻ってくると思います。あ、そうだ愛乃さん」
「どうした?」
「よろしければ是非とも我が守矢神社に入信しませんか?」
「俺にここの信者になれってか?」
「はい!」
真っ直ぐな目で高橋を見る早苗。元気な子だ。
「悪いが断る」
「な、何でですか!もしかして霊夢さんに気を遣ってですか?」
「そういえばこの前愛乃、博麗神社の賽銭箱に100万放り込んだよな」
「やっぱり霊夢さんの方が良いんですか!」
その100万というのは文との勝負の時の話だろう。確かに事実ではあるが言い回しに悪意を感じるのは高橋だけだろうか?
「別に霊夢に肩入れしてるってわけじゃねぇよ。その100万だってちょっとした勝負に勝つ為に放ったもんだしな」
「では是非とも我が守矢神社に!」
「いや、だから断るって」
「何でですか!」
このままでは同じ事の繰り返しになりそうなので高橋は理由を答えた。
「別に神様ってのを信じてない訳でもないさ。それでも俺は神様には祈らないよ」
「何でですか?」
「まぁ普段からギャンブルにハマってる人間だからな。そんな人間は神様に限らず、何かに祈っちゃいけねぇんだ」
「いまいち言いたい事がよくわからないぜ」
「賭け事、勝負事ってのは自分と対戦相手との知識、知恵、洞察力、集中力、運、人脈、技術、身体能力とかってそう言ったものの積み重なりを比べ合うものだと俺は考えてる。だったら勝負の席に着いてすらいない相手に祈り、頼るのなんざ愚の骨頂と言わざるを得ない」
ギャンブルなどと言う物は聞こえはいいかも知れないが、蓋を開ければ実際は騙し合いや腹の探り合いが殆どだ。そしてそんな物を好き好んでやろうとする人間にロクな連中はいない。汚く言ってしまえば所詮はクズの集まりが殆どなのだ(中には例外的に神に愛されているのかと思う様な運などを秘めた者もいたが)。
そんな人間が崇高な神様に対して信仰を捧げる?笑い話にもならないだろう。
だから高橋は早苗の勧誘を断ったのだ。
「まぁあくまでこれは俺の自論だから他人に強要する気も無いけどな」
長くなった説明を終えながら高橋は二人の顔を見る。
と言うよりも、二人の反応を伺うと言うべきか。
すると、鳥居の方から声が聞こえた。
「早苗ただいま」
「ただいまー、早苗」
「お帰りなさいませ。神奈子様、諏訪子様」
声のした方を見ると二人の女が立っていた。いや、この場合は二柱と言うのが正しいのか。
片方は注連縄を携えた背の高い神様。八坂神奈子。
もう片方は何か変わった帽子を被っている背の低い神様。洩矢諏訪子。
初日に会った際に受けた印象がそうだった(その時は神様だとは知らなかったが)。
「おや?お前は宴会の時の・・・」
「確か愛乃だっけ?」
二人が高橋の顔を見ると同時に思い出す様にそう言った。軽く挨拶をして一杯交わしただけなのでお互いに深く相手の事を知らないままだった。
「二日ぶりですね。御二方。改めまして高橋 愛乃です。職業便利屋、趣味は読書とギャンブル。好きな言葉は一攫千金。今後ともどうぞよろしくお願いします」
「丁寧な奴だね」
「よろしくねー」
高橋が挨拶を終えると二人も軽く返した。
「しかし御二人が神様だったとは」
「おや、言ってなかったかい?」
「そう言えば名前しか言ってないんじゃない?それで少しお酒飲んでたら愛乃が他の奴らに連れて行かれてたし」
「確かにあの時の愛乃は人気者だったからな」
魔理沙が茶化す様に言ってくるがここはスルーした。
「さっきも言った様に何か困り事でも有れば何時でも言ってください。その分いただくものはいただきますけどね」
「ほう。どんな事でもしてくれるのかい?」
ニヤリと笑いながら神奈子が聞いてくる。
「依頼内容とこちらに差し出せる報酬に応じて、と言っておきましょう」
安易に何でもやると言ってしまうと後でどんな依頼をされるかわかったものではない。
「何にしてもよろしくね」
今度は隣にいた諏訪子が言ってくる。
「当分は博麗神社に厄介になってると思うんで何かあったら博麗神社に来てください」
「それより愛乃さん、是非外の世界の話を聞かせて下さい!」
早苗が食い気味に言ってきた。こちらとしても親睦を深めるには悪くないので拒否などしない。
「そう言えば外の世界から来たんだっけ?」
「はい。元々私達は外の世界に住んでいましたけど色々有りまして、湖と神社ごと引っ越して来たんです」
「湖と神社ごと!?そりゃすげぇ・・・」
そう言えば紅魔館の連中も館ごと幻想郷に来たと言っていたなと思い出した。
「良ければ中でお茶でも飲みながらどうぞ。魔理沙さんもご一緒に」
「勿論そのつもりだぜ」
魔理沙がそう答えると一行は神社の中へと入っていった。
「それで何から聞きたいんだ?」
茶の間に案内された高橋は差し出されたお茶を飲みながら聞いた。
「まずは外の世界の科学の進歩を!」
「テンション高ぇな」
「最新ゲーム機はどうですか!プレイステーシ◯ンはいくつまで出ましたか!」
「真っ先に聞くのがそれかよ・・・。最近はP◯5がどうとかって話は出たよ。詳しくは俺も知らん」
「任天◯はどうなんですか?」
「そっちも色々出したけど何だかんだでいつも通り人気だよ」
その後で色々と社会問題になったりしたのだが、それを話すと長くなるので今はしなくていいだろうと高橋は敢えてそこは省いた。
それから数十分、外の世界の話を三人とした後、神奈子が言った。
「お前さん、今回の異変をどこまで突きとめてるんだい?」
「ほぼ全く、と言った所ですね。お恥ずかしながら」
元々この数日は人脈作りがメインなので異変解決と言える動きを然程していないのが現状だ。
「そんなんで解決出来るの?」
諏訪子も心配そうに言ってくる。開始からほぼ何も進展が無いのだから言われても仕方がないが。
「まぁ仕事を受けた以上ちゃんとやれるだけの事は勿論しますよ」
「しかし紫の奴も何で態々愛乃なんかに依頼したんだろうな?今までどんな異変が起きたって外から誰かを呼んで解決の依頼なんてさせた事無いのに」
魔理沙が首を傾げながら言う。
「そうなのか?」
「はい。今まで異変が起きたら霊夢さんや魔理沙さんが異変解決に動いてました。そもそも異変が起きたら解決するのが霊夢さんの博麗の巫女としての務めでしたから」
「何だよ、職務放棄ですか?あの野郎」
「今回ばかりは流石の霊夢でも無理みたいだぜ?勿論この魔理沙様にもな」
「どう言う事だ?」
そう言えば霊夢に
「今までの異変ってのは、起きたら大概首謀者ってすぐわかったんだよ。寧ろ待ち構えてるって感じでな。レミリア達も昔に異変を起こしたぜ」
「とんでもねぇ不良娘かよ」
聞けば永遠亭や他の連中もかつて異変を起こしたらしい。異変と言うのは誰でも起こせるのか?
「異変が起きて、その首謀者のところへ行って霊夢や私が弾幕勝負で決着をつける。これが今までの流れさ。でも今回の異変では明確に今までと違う点が二つある」
「『弾幕ごっこ』ってのがそもそも出来ないってやつか?」
「ああ。もう一つは何かわかるか?」
「そもそも俺は過去の異変も大して知らないからな。比べる対象が無いからわからん」
「首謀者がわからないんだよ」
「・・・」
高橋が黙って話を聞く。
「誰が起こしたのか、そしてその首謀者が今どこにいるのか全く謎なんだ」
倒すべき相手が誰かわからない。それが霊夢達が解決出来ない決定的な理由だった。
「勿論こんな事が自然に起きるはずがない。だからどこかに首謀者はいるはずなんだ」
そう言えば前に霊夢や萃香も似た様な事を言っていた気がする。
「例え仮に相手が楽に倒せる相手だとしても倒すべき目標が分からないのだからどうしようもないってか」
そんな八方塞がりのまま時間は流れ、そして紫が高橋の元へと現れたのだ。
「まぁいきなり大元を探そうって考えがそもそもダメなんだろうな。この場合は」
恐らく霊夢達は今までの異変解決は『即座に元凶の所へ行って親玉をさっさと倒す』と言った考え方で行ってきたのだろう。だから今回もいつもと同じ感覚でやろうとした。しかしさっきも言った様にそもそもの親玉が誰かすらわからない。故にどうして良いかがわからない。
その方法しか知らないから今回の様な特例の対処法がわからない。
恐らくはそういう事だろう。
「ならどうするのさ」
退屈そうな顔で諏訪子が聞く。
「まずは異変が起こる前と今との違いを比べます。それも出来る限り細かく」
小さな事でも今の高橋からしたら宝の山の様な情報源だ。
(これがそもそも『解決されるのが前提』若しくは『解決する事が可能』な異変であるなら何かしらのヒントがあるはず。まずはその取っ掛かりを見つけなければ100%解決は無理だろうな)
「それをして何の意味が有るんだい?」
今度は神奈子が聞いた。
「大抵何かしらの行動を起こすには大なり小なりそこに自分に利益があるからやるのが理由です。金品が欲しいから盗みをしたり、相手に損害、被害を与えたいから相手を騙したり」
「確かにそうですね」
早苗が賛同した。
「つまりは異変前後の差から得をしない人物を除外していって残った奴等が容疑者って事か」
高橋の考えを読み取った魔理沙が言った。
「そういう事だ」
その容疑者をリストアップする為にも、やはりまずはこの幻想郷に住む人物達の事を少しでも知らなくてはならない。
「当たり前だけど、俺はまだ知らない事が多過ぎるからな。まずは人脈と情報の収集が不可欠だ」
その点では初日に活動資金として数百万を稼げた事はかなりの僥倖と言える。当面の間、金に困る事は無いだろう。
「考える事が色々多そうですね」
「まぁな。一見地味だが、それが俺の仕事だしな」
少なくとも、これから高橋が続けなければいけないのは大きく分けて三つ。
・幻想郷、及び過去の異変についての情報の収集と整理。
・幻想郷に住む人物達との人脈作り。
・幾つか湧いている疑問の解決。
「やっぱ当分は退屈しないで済みそうだよ」
「えらく余裕だな」
「余裕を持ってないといざと言う時にまともに動けなくなるからな」
「相変わらず気取った事を言う奴だ」
魔理沙がそんな悪態をつくが高橋は聞かないフリで流した。
「そんなわけで良かったら色々と話を聞かせてもらいたいんですけどいいですか?」
「うん。良いよ」
「構わないよ」
「私も構いません」
それぞれ三人が答えた。
さて、神様達とお勉強会の始まりだ。
書いてる話数の割には作中の時間経過が遅すぎるのが最近の悩みだったりしますね。(作中ではまだ一週間も経ってませんからね)まぁダラダラと書き続けてるのが原因なんですが。
でもまぁこれがこの作品の書き方と割り切るしかないか。
そんなグダグダな作品ですが次回も読んでいただけたら嬉しいです。
ご意見ご感想、誤字脱字等有ればコメントお願いします。
ではまた次回。