東方賭博奇譚   作:シフォンケーキ

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皆様、あけましておめでとうございます。
まぁ年が変わったからと言って何が変わったわけでも無いんですけども。
相変わらずの遅い更新頻度ですが、今年も読んでいただければ幸いです。
では本編をどうぞ。


15話・神様達と考察しよう。

 高橋は今後の進展の為にも幾つかの知識を得なければならないので、お勉強会が始まった。

「そもそも、異変ってのは何なんだ?」

 まずは幻想郷では当たり前と言うか日常茶飯事の出来事である事を学ぼう。

「基本的には妖怪達が気まぐれや何かしらの目的の為に起こす怪事件だな。まぁ気まぐれと言っても確かに愛乃が言う様に多少なりとも理由があって起こしてるのが殆どだけどな」

 魔理沙が簡単に説明した。

「改めて考えると色んな異変が有りましたよね」

「早苗も異変解決とかしたことあるのか?」

「はい。確か何度か咲夜さんも異変解決に動いたりもしてましたよ」

「あのメイドさんがねぇ」

 彼女についてそこまで詳しい訳ではないが、それでも高橋からしたら意外だった。レミリアに動くように言われたのだろうか?

「他にも色んな異変で色んな人が動きましたけどね」

「霊夢が動くのは仕事だからわかるが、何で魔理沙や他の奴らも異変解決に動くんだ?」

「趣味と実益を兼ねて」

 お前はどこぞのヒーローか。

「自身の鍛錬と信仰集めの為に」

 思ったよりえらく真っ当な理由だった。

「他の奴も大体そんな理由だろうさ」

「そう言うもんなのか?」

「そう言うもんさ」

 実際に体験してもいない高橋としては今一つピンと来ない。

「レミリアが起こしたのが『紅霧異変』だぜ。幻想郷の空を紅い霧で覆っちまったんだ」

「太陽の光を遮ろうってか?」

「察しがいいな。この時からだったな、スペルカードルールが使われ出したのは」

 確か以前霊夢からも似た話を聞いた。人間と妖怪の戦いのパワーバランスを対等にする為の取り決めだった筈だ。

「他にも冬が終わらずに春が来ない、なんてのもあったぜ」

「そんな事したら冬眠中の熊達はいつ起きたら良いんだよ」

「問題はそこじゃないだろう」

 神奈子がツッコむ。

「後はいつまで経っても夜が明けないとか色々だ」

「どれもこれも規模がデカいな」

「その後くらいだよな。早苗達が幻想郷に来たのは」

「はい。最初は慣れない事ばかりで大変でしたけど今では楽しく過ごさせてもらってます」

「でもこっちに来て早々に霊夢に喧嘩吹っかけてたよな」

「超ワルじゃねぇか」

 意外と早苗はヤンキーだったのか?と高橋は意味のわからない想像をした。

「何だっけか?さっさと博麗神社を取り壊してその土地を守矢神社に寄越せだったか?」

「いや、地上げ屋じゃねぇか」

「そんな事言ってませんよ!」

「でも半分くらいは合ってるだろ?」

「取り壊しなんて言ってません。営業停止をお願いしただけです」

(大して変わらねぇよ)

 高橋は口に出そうになった言葉を何とか抑えた。

「でもまあ今では仲良くやってるんだから良いじゃん?」

 誤魔化す様に諏訪子が言う。本人達が納得してるなら確かにそうなのだろう。

「『弾幕ごっこ』ってのも見てみたかったんだけどなぁ」

「だったら早く解決しないとですね」

「だからこそ疑問を一つずつ消化していかないとな」

「どんな疑問だ?」

「第一に、今回の黒幕は一体何を目的としてこんな異変を起こしたのか」

 例えばレミリアの場合で言うならば『太陽の影響を受けずに外を移動したいから霧で空を覆った』とでも言えば納得は出来なくても理解は出来る。

 だが今回は態々『弾幕ごっこ』を『ギャンブル』へと変更させた。そこにどんな理由が有るんだろうか?

「不思議な事にギャンブルに変わったってスペルカードとやらは健在みたいだしな。内容は違う様だが」

「もしかしたら黒幕は普通の人間達を巻き込むのが目的なんじゃないですか?」

 早苗が思いついた事を言う。

「どう言う事だ?」

「今まで『弾幕ごっこ』は誰でも出来る訳では有りませんでした。と言うより、スペルカードを持っていなければスペルカードルールの対象外です。だからスペルカードも無い、弾幕も出せない里の人達には弾幕勝負は出来ません。でもそれが『ただのギャンブル』なら里の人達でも出来ます。だって勝負内容は何でも良いんですから」

「なら寧ろ黒幕は里にいる人間達の中にいるって考えた方が自然かもな」

 魔理沙がそう言うが、だとしたら更に疑問が出る。

「里の人間にこんな大それた事が出来るのか?それにこんな事をして何の得が有る?」

 賭け事がしたければ個人間で勝手にやればいい。態々こんな手間の掛かる事をする必要など無い。

「言われてみたらそうか」

 そう考えれば早苗の言う様に人間達を巻き込んで何かを企んでいると考えた方が自然か。

(でも里の人間を巻き込んでどんな事が起きるって言うんだ?)

 考えれば考える程謎が増える。

「里の中にだって何かしら能力を持った者はいる。そいつが黒幕、若しくは黒幕の協力者の可能性だって有るね」

 神奈子が言う。確かに現状ではそうと考えるのが妥当と言えるかも知れない。でももし仮に魔理沙の言う様に人里の中に黒幕がいたとしたら?

「・・・黒幕は目的達成の為に『弾幕ごっこ』から『ギャンブル』に変える必要があった?」

 高橋がポツリと零した。

「どう言う事だ?」

「いや、何も確信なんて無いけど何となくそう思ったんだよ。黒幕側としては多分『弾幕ごっこ』、と言うよりはスペルカードルールだったか?じゃダメだったんじゃないか?まぁ面倒だから以降は『弾幕ごっこ』で統一するが、魔理沙が言ったみたいに里の人間達の中にいるか、若しくは『弾幕ごっこ』が出来ない立場の奴が黒幕ならば・・・」

「待て、それだと話がおかしくなるぞ。『弾幕ごっこ』はあくまでも異変解決の手段にしか過ぎない。なのに手段を変える事が目的でそれが全て、なんて異変と言うにもお粗末と言うか、もう無茶苦茶じゃないか」

「それにその程度の事だったら即座にあのスキマ妖怪が対処していそうなものだけどね」

「手段を変える事だけが目的じゃなかったとしたらどうだ?仮説だが、もしも黒幕が『弾幕ごっこ』が出来ない立場の者だとして、何かしらの目的を達成させるには幾つかの条件がいる。そしてそれを満たす時間稼ぎか何かの為に今回の様な異変解決手段の変更をした。そうすれば異変の問題は『ギャンブルに変わった事自体』だと周りに錯覚させられる」

「ちょっと待ってください。さっき愛乃さんも言いましたけど、態々ギャンブルに変えるなんて大それた事をする必要が有るんでしょうか?」

 一つ説を考えれば次から次へと矛盾や疑問が生まれてしまう。

「一つ聞きたいんだが、もしも異変を起こした黒幕が『弾幕ごっこ』が出来ない場合はどうやって解決するんだ?」

「そりゃお前、説得か力づくで、だろうさ」

「何だか余計に分からなくなってきますね。こんな事をした人ならそれなりの力が有るのは確実なのに態々『弾幕ごっこ』を出来なくするなんて」

「力が強いからって必ずしも弾幕勝負が強いってわけじゃないって事だろ」

 早苗の言葉に魔理沙が返した。

「あくまでこの異変を起こす力を持っているのは主犯ではなく協力者、って考えたらどうだ?若しくはこの力は何かをきっかけに得た一時的なものって線もある」

「何にしてもこの件の中心には『力が弱い者、又は元々弾幕ごっこが出来ない立場の者』が関わっているのはほぼ間違いないだろう」

 神奈子が断言した。

「確かに、そうでもなければ態々変える必要性が分からないな。そうなると相手さんは余程ギャンブルに自信があるのかも知れない。『弾幕ごっこ』で負ければ異変を終わらせるしかないが、『ギャンブル勝負』で負けなければ黒幕は異変を終わらせる義務も無くなるって考えたのかも知れない」

 何にしても確信に至るまでの情報が現状では不足している。これではどれも推測の域を出ない。

「それより問題はどうすれば黒幕に近づけるか、じゃないの?」

 諏訪子の言葉に他の全員が黙った。どうすれば黒幕に近づけるのか、確かにそれが一番の問題だ。なんせ黒幕に繋がるヒントなんて現状では一つも無いのだから。

(確かにその通りだ。人脈を増やすのも大切だがそれもチンタラやって万が一にも何かが手遅れになったら目も当てられない)

 言われて高橋も己のミスを再認識した。時間がいつまでもあると何故言い切れるのか。人脈作りをする事で『自分は仕事をちゃんとこなしている』と思い込んでいたのではないか?

 何が起きるか分からない、右も左も分からない。そんな状態で少しでも『まだ大丈夫』と思っている自分が馬鹿だった。

(・・・何事もスピードが大事。そんな事分かっていた筈だ)

 再度自身の反省をし、次の手を考える。いつまでも失敗を悔やんでいても仕方がない。

「どうすればって言われたって何もヒントも無けりゃ、そもそも見つけられる確証も無いぞ」

「いや、会う事は恐らく出来るさ」

 魔理沙のぼやきに高橋が否定する。

「パズルは解かれる為にある。事件は解決される為にある」

「どう言う事ですか?」

 高橋の呟きに早苗が聞いた。

「正体がバレたくないならヒントなんか何一つ用意しないだろうけどさ、この黒幕は『元に戻したかったら自分とのギャンブルに勝て』って態々明言してやがる。これはつまりどうやってかはまだ分からんが黒幕に近づく事自体は可能だって証拠だ」

 ルール変更の説明の紙に書かれていた事だ。

「だとしてもどうやれば黒幕に近づけるかはわからないままだよね。若しくはこいつは絶対に自分の正体がバレない自信があるのか」

「ゲーム的に考えて良いなら隠された達成条件を満たせばヒントとかが出てくるんだろうけどその達成条件もわからねぇしなぁ」

「隠された条件って?」

「例えば一定回数以上勝負で勝てとか、特定の人物と勝負しろ、とかだよ」

 何か隠された達成条件が既にあるのか、若しくはこれから何かしらの達成条件が出されるのか、と言うのが高橋の予想だった。

「異変が起きてからあのルール変更の紙以外に配られた物とか無かったか?それか身の回りで何か変わった事とか」

「と言っても何も無かったよ?」

「思い当たる事は無いね」

「私もわかりません」

 残念ながらめぼしい情報は無いようだ。

(だとしたら達成条件は他にあるのか?それともそもそもそんな物は無いのか・・・)

「ここでも情報が無いなら他を当たるか?」

 考えていると魔理沙が言ってきた。

「他?何か思い当たる節でもあるのか?」

「そんなもんは無い。でもいつまでも同じ場所に留まっていても仕方ないだろ?」

 魔理沙の言う通りだ。

「これから行くのか?」

「馬鹿言え。あっちこっち飛ばされて流石の魔理沙様もお疲れだぜ。また明日だ。明日」

「何だつまんねぇ」

「お前、後で山に捨てるぞ」

「怖っ」

 何とも物騒な発言だ。

「そう言えば愛乃ってギャンブル好きなんでしょ?何か賭けて勝負しようよ」

 諏訪子が言い出した。

「構いませんけど何します?」

「えーと、家に何かあったっけ?」

「トランプくらいなら置いてありますけど」

「トランプだと何か在り来たりだよね。他に何か無かったかな」

「だったらスペルカードでも使ってみたらどうだい?異変後まだ使った事は無かっただろ」

「それもそうだね」

 神奈子の提案に諏訪子が賛成した。

 そう言えばスペルカードを使ったギャンブルは萃香と美鈴だけだったなと高橋は思い出した。

「なら始める前に何を賭けるか言っておこうか?愛乃は何を賭ける?」

「何でも良いんですか?」

「うん。流石に用意出来ない物とかは無理だけど」

 言われて少しだけ高橋は考えた。

「なら勝ったら早苗のおっぱい触らせて下さい」

「え!?」

 当然言われた当人の早苗は驚いた。しかし高橋本人の目は真剣だった。

「性欲に正直だな。愛乃」

「そう簡単に早苗のおっぱいを触れると思う?」

 諏訪子も真剣な表情で答える。

「簡単に触れないからこそ価値がある」

「おー、カッコいい」

「ただの変態だろう」

 神奈子が呆れる様に言った。

「だったら私も勝ったら早苗のおっぱい触らせてー」

「何でですか!」

 本人の意見などお構いなしに話が進んで行った。

「勝負はどうします?」

「いっそ将棋でもやる?」

「それ漫画じゃないですか!昔読みましたよ!」

「結構漫画もいける口か?趣味が合いそうだ」

 よく知ってるもんだと高橋は思った。

「おっぱい賭けて将棋って一回やってみたかったんだけどなー」

 神様、アンタも読者か。

「だったらやりましょう」

「うん。やろう」

「やめて下さいよー!」

 結局、対戦方法はスペルカードではなく普通に将棋となった。

 早苗の訴えも虚しく、二人は勝負の為の準備を始めるのだった。

 

 

 数分後、準備が終わった二人は勝負を始めようとしていた。

「ルールの確認。勝った方が早苗のおっぱいを触る。いいね?」

「はい。勿論」

「全然良くないですよ!何で私の意見は通らないんですか!」

「嫁入り前の娘にさせる事では無いね」

「そう言う割には神奈子は止めないんだな」

「だって恥ずかしがってる早苗、可愛いじゃない」

 欲望に正直なのは神様も同じらしい。

 そう言ってる間に、二人の勝負は始まっていた。

 

 

 その数十分後、決着はついていた。

「おー柔らかい!早苗、ちょっと大きくなった?」

「ちょっ、ダメです。そんなにしたら、はうっ!」

 諏訪子に胸を触られ、早苗が恥ずかしがりながら抵抗していた。それでも諏訪子は離れずに堪能していたが。

「ちくしょう。もう少しであそこにいるのは俺だったのに」

 一方の高橋は部屋の隅で寝転がりながら将棋盤と胸を触られている早苗を交互に見ていた。盤上の王は見事に詰まれていたし、巫女さんの胸は諏訪子に揉まれていた。

「残念だったな、愛乃」

 魔理沙が笑いながら言ってきた。だが高橋からしたら笑い話では無い。男のロマンを目の前で奪われたのだから。

(いや、でも見た目幼女の相手に胸を揉まれている巫女さん。・・・絵としては悪く無いな)

 これはこれで一つの男のロマンかも知れない。

「それで?何か新しい発見は有ったのかい?」

 神奈子が聞いてきた。男のロマンに夢中で考えるのを忘れていた。

「何も変わった様子は無さそうだな。やっぱただギャンブルをすれば良いってわけじゃないのか?」

 そう呟いた時に、ある事を思いついた。

「スペルカードを使ったギャンブルってまだそんなにやって無かったな」

 高橋が経験したのは萃香と美鈴の時だけだ。

「それが何か関係あるのか?」

「わからん。でも話は戻るが態々『弾幕ごっこ』から『ギャンブル』に変えたんだ。なのにスペルカード自体はそのまま。やっぱこれを試せって言っている気がしてならねぇよ」

「ならまた何かギャンブルでもやれば良いのか?」

「それで予想が外れたらまた一から情報収集だけどな」

「面倒くせぇ」

 魔理沙が心底面倒そうに言った。毎回同じ事の繰り返しだと言われている様なものだから仕方がないのかも知れないが。

(そういや、もう一つ疑問があったな)

 高橋はふと思い出した。

「一つ聞きたいんだが、皆『弾幕ごっこ』から『ギャンブル』に変わってから自分のスペルカードの変化って理解出来てるのか?」

「どう言う事?」

 早苗の胸を堪能しながら諏訪子が聞く。

「スペルカードを使えばそれに応じてギャンブルに必要な物が出てきたりします。けど少なくともそれは相手からしたらスペルカードを使われるまで何が出てくるかわかりゃしない。でも持ち主本人は使わなくとも理解出来てるのかと思いましてね」

 高橋がスペルカードを使っての勝負をしたのは萃香と美鈴だけだが、二人ともスペルカードを使った直後に内容に驚いた様子は無かった(無論そのスペルカードを以前に使っていた可能性もあるが)。

「ああ、それなら何となくは理解している」

「大雑把にこんなゲームだってのはわかってるよ」

 神奈子と魔理沙が答えた。

「持ち主は大まかな内容やルールは一通り見る前から把握しているって事か」

 言われてみればそうでもなければ誰もスペルカードなど使う事は無いだろう。自分ですら内容が分からないものをゲームに使うなどリスクを跳ね上げるだけだ。

「なら私と勝負しましょう!」

 漸く諏訪子から解放された早苗が着崩れた服を直しながら言ってきた。

「ああいいよ。ただ、スペルカードは使ってくれ。何か起こるかも知れん」

「わかりました」

 高橋の提案を了承すると、早苗は自身のスペルカードを唱えた。

 

「神籤『乱れおみくじ連続引き』!」

 

 唱えると同時、今まで同様、辺りは光に包まれた。

「これって御神籤の筒か?」

 置かれていたのは神社でよく見る様な御神籤を引く時に使われる筒だった。それが二つ置かれている。

「あー、あれか。二人で同時に引いて、先に特定のやつを引いたら勝ちみたいな?」

「はい。でもこの場合は『大凶』を先に引いた方が負けです」

 なるほど、至ってシンプルな勝負だ。

「普通御神籤って棒に番号が書かれてるんじゃなかったか?」

「今回はギャンブルの為の物なので簡略化されてるんですよ」

「成程、なら早速やろうぜ。その前に何を賭ける?」

「ではもし私が勝ったら今後私からの依頼を全て無料で請け負って下さい」

「おお、意外と現実的な要求だな」

 てっきり守矢神社の信者にでもなれと言われると思っていた高橋は驚いた。

「今後どんな事が起こるかわかりませんし、そんな時に一緒に動いてくれる人がいたら何かと都合が良いじゃないですか。あ、でも本当に無理なお願いとかはしませんから大丈夫ですよ?」

 至って可愛らしい笑顔で早苗は話すが、それを聞いた高橋は苦笑いで返した。

(・・・つまりは程の良いパシリが欲しいって事ね)

 一瞬断ろうかとも思ったが、一度受けた勝負を降りるのも個人的に気が進まないので、その考えを即座に捨てた。

「それで、愛乃さんはどうするんですか?」

「そうだな。俺が勝ったら今度こそ早苗のおっぱい触らせてもらう」

「な、何でそうなるんですか!」

 言うと同時に先程同様、早苗が叫んだ。

「そこにおっぱいがあるならば、触りたいと思うのが男の宿命よ!」

「全然カッコよく無いですよ!」

「うるせぇ!お前に男のロマンがわかるか!」

「わかりたく有りませんよそんなロマン!」

「馬鹿程どうでも良いな」

 魔理沙が冷めた笑い声を含ませながら言った。やはり男のロマンは女にはわからんようだ。

「何でもいい。さっさとやろうぜ」

「・・・わかりました。早くやりましょうか」

 渋々と言った表情で早苗が二つある内の一つの筒を取ろうと手を伸ばした。

「ちょっと待て」

 それをすかさず高橋が止めた。

「どうかしましたか?」

 早苗が聞くが、高橋は二つの筒を見たままだった。

「早苗、そっちを俺が使ってもいいか?」

「?構いませんよ」

 高橋の言葉にキョトンとしながら早苗が答えた。それを見ていた魔理沙は高橋の考えを推察した。

(大方、片方に何か細工がされていて何も細工がされていない方を早苗が取ろうとした。とか考えてるな)

 確かに細工のしてある方を高橋に差し出せば単純だが早苗の勝率は格段に上がるだろう。それを即座に考え、高橋は待ったをかけたのだ。

「いや、やっぱこっちでいいや」

 しかし結局高橋は早苗が取ろうとした筒を残した。早苗の表情から仕込みは無いと判断したからだ。

「では同時に行きますよ。まず一回目!」

 早苗の掛け声と共に二人は同時に筒を振った。

「大吉です」

「俺は凶だな」

 二人の結果だけ見るなら高橋の負けだが、この勝負ではどちらかが『大凶』を引くまで終わらない。

「では二回目です」

 続けてまた引くと今度は早苗が吉、高橋が凶だった。

「また凶かよ」

 どうやら運に見放されているらしい。

「おやおや、幸先不安ですね」

「うるせぇ。最後に勝ちゃ良いんだよ」

 言いながらまた二人とも引くがまたしても決着がつかない。

(これ本当に『大凶』入ってるのか?)

 やはりその考えに至ってしまう。

 だが、そんな答えの見えない問題を考えていても仕方がない。自分か早苗が引かない限りこれは続くのだから。

 となれば彼が心に思うのはそんな猜疑心などでは無い。

(必ず勝って早苗の胸を揉む!)

 今大事なのは目の前の勝利(おっぱい)だ。

 そして繰り返すこと数回。

 

「ちくしょう!負けた!」

 

 高橋の負けだった。

「欲に目が眩むからだぜ」

 魔理沙が揶揄い半分に言ってくるが高橋の耳には入らなかった。

「さあ愛乃さん、約束通り今後私からの依頼は無償でお願いします!」

「わかったよ。無理な依頼は流石に断るけどな」

「わかってますよ」

「あー、おっぱいの夢がー」

「まだ言ってるんですか!」

 早苗の予想以上に高橋の諦めは悪かった。

「はぁ。気分萎えたぜ。帰るわ」

「完全に拗ねてやがるぜ」

「お気をつけてー」

「また来てね」

「気をつけて帰りなよ」

 守矢一家の面々に見送られながら高橋と魔理沙は守矢神社を後にするのだった。

 

 

 それから数十分後。

「霊夢ただいまー」

「今戻ったぜー」

 夜になり二人は博麗神社に戻った。

「いつからここはあんた達の家になったのよ」

 お茶を飲みながらジト目で霊夢が言ってくる。

「良いじゃないか。私と霊夢の仲だろ?」

「俺行くあて無いし」

「一晩帰って来なかった奴がよく言うわよ」

「おい愛乃、彼氏の浮気に霊夢様がご立腹だぞ」

「怖えな。また賽銭箱に札束放り込んだら機嫌直してくれると思うか?」

「やらないよりはマシだな」

「モテる男も辛いねぇ」

「取り敢えずあんた達引っ叩いていい?」

 霊夢様の恐ろしい一言に高橋と魔理沙はキャーキャーと悲鳴を上げた。

「はぁ。それで、何か収穫はあったの?」

 茶番に付き合うのも馬鹿らしくなった霊夢が聞いてきた。

「取り敢えず色んな奴らと顔を合わせて挨拶回りはして来たよ。目立った進展は特に無いが」

「私は愛乃に飯奢る羽目になったしな」

「あんた達何しに出掛けたのよ」

「紅魔館で腕怪我して飯ご馳走になって、翌日医者に行った後に飯食って説教された挙句に巫女さんの胸揉み損なった」

「いっぺんに言うんじゃないわよ。わけわかんないから」

「簡単に言えば幻想郷を練り歩いてたな」

「楽しんでないで異変解決しなさいよ」

「おいおい霊夢、人生は楽しまなきゃ損だぞ」

「そうだぜ。どんな事も楽しめてこその人生だ」

「何であんたらはそんなに意気投合してるのよ」

 どうにも馬が合う高橋と魔理沙だった。

「そんな嫉妬するなよ」

「しやしないわよ」

 高橋の軽口に適当に遇らう霊夢。

「あんた達、夕飯は?」

「いる」

「と言うか二人分の夕飯出せるだけの余裕がこの神社にあったのか」

「魔理沙はいらないのね」

「そうムキになるなよ霊夢。お茶目な冗談じゃないか」

「だったらあんたも少しくらい手伝いなさい」

「仕方ないな」

 そう言って二人は部屋の奥へと行った。

「俺はどうしようかな」

 一人残された高橋はそう呟き、そして外に出た。

「宿代にしては奮発してんだ。札束じゃないけどこれで勘弁してくれよな」

 言いながらポケットから一万円札を二枚出して賽銭箱に入れた。

(まるでキャバ嬢に貢ぐ客みたいだな、俺)

 そんな皮肉めいた自虐に笑いながら高橋は部屋へと戻って行った。




最近書いてて「霊夢の登場シーン少な過ぎだな」と思いながらも中々登場出来ない霊夢さん。まぁ主人公が他の女の所を練り歩いてるから仕方ないよね(決して作者が霊夢を嫌ってるわけじゃ無い)。
さて、次の話は誰をメインに出そうかな。
てなわけで次ももし良ければ見てやってください。

ご意見ご感想、誤字脱字やコメント等有ればお願いします。
ではまた次回。
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