東方賭博奇譚   作:シフォンケーキ

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今回は割と前回から間隔を空けないで早めに投稿出来たかなと思います。普段からこれ以上のペースで書けたら良いんですけどいかんせんネタが纏まらんのよな。
では本編どうぞ。


16話・またしてもラブレターが送られてきた。

「愛乃ー、早く起きなさいよ」

 そんな霊夢の声で高橋は目を覚ました。

「ん。あー、おはよう霊夢」

 寝起きで少し重たい体を起こしながら高橋が言った。

「ええおはよう」

「愛する霊夢に起こしてもらえるなんて俺は幸せ者だなぁ」

「寝起きからよくそんな冗談が言えるわね」

「はー、人の純粋な思いを冗談だなんてお兄さん泣いちゃうねぇ」

「馬鹿言ってないで顔でも洗って来たら?」

「はいはい。魔理沙は?」

 記憶が確かなら昨夜は魔理沙も博麗神社に泊まっていた筈だ。

「隣の部屋でまだ寝てるわよ。ついでに起こしてきて。あんたの彼女でしょ」

「・・・こうやって冗談言ってるとその内本当に俺が色んな女に手を出してると思われそうだな」

「嫌なら今度から気をつけるのね」

 至極真っ当な指摘だ。

「まぁ良いけどな。好きな奴には好きって言いたいし。俺は基本的に可愛い子はみんな好きだし」

「あっそう」

 これ以上付き合いきれないと言いたげに霊夢は部屋を後にした。

「さて、魔理沙を起こしに行くか」

 魔理沙を起しに行く為、高橋は隣の部屋へ向かった。

「おい魔理沙、そろそろ起きろよ」

 襖を開けて部屋の中を見ると、案の定魔理沙は布団の中でまだ寝ていた。

「あらあら、可愛らしい寝顔しちゃって。野蛮な男に襲われても知りませんよー」

 冗談で言ってはいるが、そんな気は勿論無い。

「おーい魔理沙、朝飯の時間だぞ」

 何度か魔理沙の体を揺すると漸く目を覚ました。

「んー。愛乃?」

「おう。おはよう」

 それから数秒間。やっと意識がはっきりしたかと思えば魔理沙の顔が急に赤くなった。

「な、何でお前が私の部屋にいるんだ!」

「落ち着け。ここはお前の部屋じゃねぇし俺は寝てるお前を起こしに来ただけだ」

「・・・え、起こしに?」

「昨日の夜、お前も遅くまで酒飲んで博麗神社に泊まったろうが。思い出したか?」

「あ、ああ。そう言えばそうだった。昨日あのまま霊夢の世話になったんだった」

 状況を把握したのか、さっきより落ち着いた魔理沙。

「ほれ、飯の前に顔洗いに行くぞ」

「・・・わかった」

「しかし、朝から良いもん見たぜ。顔を赤くしてる魔理沙も可愛いもんだな」

 揶揄う様にニヤつきながら言う高橋。

「お前、それ他の奴に言ったらタダじゃおかないからな!」

「わかってるって。俺だけに見せてくれる愛する魔理沙ちゃんの可愛らしい一面だもんな」

「やっぱここでぶん殴る!」

 魔理沙が怒り任せにフルスイングで殴って来るが、それを軽く去なす高橋。

『あんた達朝からうるさいわよ!』

 魔理沙が冷静になったのはそんな霊夢の怒声が響いた後だった。

 

 

 なんだかんだで朝食を三人で済ませ、その日をどう過ごそうかと考えていた時、霊夢が言った。

「そう言えば、さっきお賽銭箱の中を見たら二万円入ってたけど、あれ入れたのあんた?」

「ん?あー。昨日の晩にな。飯代と宿泊費代わりだと思って貰っといてくれ」

「そんなの別に気にしなくても良いのに。その内お金無くなっちゃうわよ」

「可愛い女の子の為なら本望だよ。それにギャンブルで得た金は周りに還元するもんだよ」

「そんなものなの?」

「そんなものさ。こういう時は黙って受け取るもんだよ」

「そう言う事なら有り難くいただいておくわね」

「霊夢にしては珍しくしおらしいじゃないか」

「あんたと違って礼儀がなってるのよ。無断で人様から盗むコソ泥には分からないでしょうけどね」

「盗んでなんかいないさ。死ぬまで借りるだけさ」

「立派な犯罪だな」

 考えるまでもない。

「それで?仮に持ち主が返せって言えばちゃんと返すのか?」

「そりゃあ私だって鬼じゃない。返す時はちゃんと返すさ」

「そんな事殆ど無いじゃない」

「寧ろ魔理沙がどんな物を盗んだのか見てみたいな」

「なら見てみるか?家にあるから特別に見せてやるよ」

「そう言う事ならお言葉に甘えるとしよう」

「ちょっと、異変はどうするのよ」

「心残りを宿したままじゃ仕事も上手くいかないんだよ。今日は仕事はやめだ。可愛い魔理沙ちゃんのお家にお邪魔する!」

「ダメだこいつ」

 呆れ果てる霊夢だった。

 

 

 それから一時間後、高橋は魔理沙に連れられて魔理沙の自宅へとやって来た。

「まぁ散らかってるけどゆっくりしていけよ」

「いや、散らかりすぎだろ」

 魔理沙の自宅内に入った高橋は驚いた。なんせ部屋の中は色々は物で溢れ返って足の踏み場が無かったからだ。

「やたら本が多いけどこれも借り物か?」

「ああ。殆どがパチュリーから借りた本だな」

「ちゃんと返してやれよ」

 部屋に無造作に置かれていた本の数は十や二十どころでは無かった。

「ちゃんと整理しておかないと無くしても気が付かないぞ、これ」

「あー、片付けようとは思ってるんだが、魔法の研究を始めるとあれこれ本を広げるからつい面倒でな」

「ったく。片付けないといざって時に目当ての本を見つけられなくなるぞ」

「確かに、そろそろ片付けるか、ってちょっと待て!」

 足元の本を無意識に手に取って開こうとした時、魔理沙が血相を変えてその手を止めた。

「な、何だ、どうした?」

「お前、魔法に関して何も知らないだろ。下手に魔法に関する本を知識も無い素人が読んだらどうなるか分からないぞ。まぁこの本だったら大丈夫だろうけど」

 そう言えば以前に小悪魔も似たような事を言っていたなと思い出した。

「気をつけろよ。下手に読んでお前に何かあったら私は悔やんでも悔やみきれないぞ」

「それは俺に惚れてるから?」

 そんな軽口を叩いてみる。

「ああそうさ」

「え?」

「惚れた男が自分の所為で大変な目に遭うなんて耐えられる訳ないだろ」

 魔理沙のその一言に驚く高橋。見れば彼女の顔は真剣な目だった。

(え?マジで?マジで魔理沙は俺に惚れてんの?でも会ってまだ数日だぞ。いやいや、それよりそんな事言われても歳の差が有りすぎだろ。確かに魔理沙は可愛いけど・・・)

「っぷ。アハハハハ!」

「は?」

 急に笑い出した魔理沙を見て高橋は驚いた。

「アハハハハ。何本気にしてるんだよ。冗談に決まってるだろ」

「・・・こんにゃろう」

「そう怒るなよ。今朝の仕返しだ。それに、お前に何か有ったら嫌だって言うのは本音さ」

「・・・可愛くねぇ」

 本当に、可愛らしい事を考える魔法使い様だ。

「兎に角、少しくらい片付けをしよう。これじゃあ生活もままならない」

「そうだな。手伝い頼むぞ愛乃」

 そうして二人で部屋の片付けを始めた。

 

 

 それから数十分後、粗方片付け終わり、漸く一息ついた頃に二人は休憩がてらにお茶にする事にした。

「にしてもよくここまで集めたな。本に実験器具に、あとよくわからん道具まで」

 片付けた物を眺めていくとやはりと言うべきか、圧倒的に本が多かった。

(これの殆どがパチュリーさんの本だと思うともう同情するな)

「幻想郷は珍しいに事欠かないからな。色んな物を調べてると新しい発見があって退屈しないんだぜ」

 自慢げに語る魔理沙の姿は自分の宝物を見せびらかす子供の様だった。

「ほどほどにしておかないと何時かトラブルになっても知らねぇぞ」

「その時は愛乃に助けてもらうさ」

(俺は別に弁護士って訳でもねぇんだが・・・)

 そもそもこの幻想郷に裁判などが有るのかも疑問だが。

 それにしても、と高橋には一つ気になる事が有った。

「この家の周り、矢鱈と薄暗いし変な感じなんだがこれは一体何なんだ?」

「ん?ああ、ここは魔法の森って言ってな。色んな茸の胞子が飛び交ってるんだ。だから余り無闇に近づかない方が良いぜ。普通の人間なら直ぐに体を悪くして永琳の世話になるだろうさ」

「何でそんな所に住んでるんだよ」

「ここの茸は魔法の材料にもなるし私くらいになると特に問題も無いからな。でも絶対に森に生えてる茸には触れるなよ。大概の茸は食えたもんじゃないからな」

 言われなくても誰が食べるか。

「何にしても危険な場所だって事は理解したよ」

「あ、そうだ。魔法の森と言えば愛乃、この後まだ時間あるか?」

「ん?そりゃあ暇だから時間は有るけど?」

「なら丁度いい。ちょいと行こうぜ」

「行くってどこにだよ」

「ついて来ればわかるよ」

 行き先も聞かされないまま、高橋は魔理沙の後を追って家を出た。

 

 

 歩く事数分、二人は目的地に着いた。

(・・・何だここ)

 辿り着いたのは一件の店だった。店には『香霖堂』と書かれていた。

「よっす、香霖。来てやったぜ!」

 魔理沙は店の中に入ると同時にそう言った。

「・・・誰も君を呼んではいないんだけどね」

 店内にいたのは白髪で眼鏡の男性だった。

「そう言うなよ。私とお前の仲じゃないか。それに前に言った男を連れてきてやったぜ」

「はじめまして。高橋 愛乃って言います」

「・・・はじめまして。僕は森近 霖之助。魔理沙とは昔からの付き合いだ。君が外の世界から来たって言う人だね」

「はい。今回の異変解決の為に八雲 紫に呼ばれて来ました。普段は便利屋として働いてますんで何か依頼が有ればその時は言って下さい」

「うん、ありがとう。その際は頼むよ」

「ところで依頼って、どの程度の事ならしてくれるんだい?」

「遊びの相手から人探し、夜逃げの手伝いまで、あからさまな犯罪以外なら大概やりますよ」

「生憎と夜逃げの予定は僕には無いね」

 苦笑いで霖之助が答えた。

「そりゃ失礼。まぁ用が有れば博麗神社に来て下さい。今は霊夢の所に居候してるので」

「わかったよ。そうだ、外の世界から来たならこれの使い方わかるかい?」

「使い方?」

「香霖は初めて見た物でも物の名前と用途がわかる能力を持ってるんだよ」

「便利そうな能力だな」

「いや、わかるのは名前と用途だけで肝心の使い方はわからないんだよ」

「・・・成程」

「因みに香霖はああ見えて手先が器用でな。私の八卦炉もあいつが作ったんだぜ」

「マジか。手先が器用って言うかよくこんな便利な物作れるな」

「まぁこれでも色々勉強しているんでね。君に見てもらいたいのはこれなんだよ」

 言って霖之助が見せてきたのは高橋のいた世界で流行っていた携帯ゲーム機だった。

「PSVIT◯か」

「PSVI◯A?」

 魔理沙が聞き返す。

「俺のいた世界で流行ってたゲーム機だ。で?これをどうしろと?」

「さっき魔理沙が言った通り、僕には使い方が分からなくてね。君に教えてもらいたいんだ」

 霖之助の話を聞きながら高橋はそのゲーム機を軽く見て調べた。

「残念だけど、今この状況じゃ無理だな」

「無理?」

 今度は霖之助が聞き返す。

「だってこれ、そもそもバッテリーがねぇ」

「バッテリー?」

 いまいち理解出来ていない様子の魔理沙。

「あー大雑把に言えばこいつを動かす為に必要なエネルギーが入ってない。魔法もどれだけ覚えていたって魔力が無きゃ使えないんだろ?それと同じ様なもんだ」

「ならどうすりゃ使える様になるんだ?」

「専用の充電器がいるんだが、そんなものここにあるのか?」

「残念ながらそれらしい物は無いね。そのゲーム機に関する物はそれだけだ」

「それじゃあ使えねぇな。あ、でも外の世界から来てる早苗なら充電器持ってるんじゃないか?このゲーム機持ってるかしらねぇけど」

「何にしても今は使えないって事でいいのかい?」

「残念ながら」

 霖之助の質問に端的に答える高橋。バッテリーが無ければ何も出来ない。

「そうか。ならこれは仕舞っておこう。いつか使える様になるかも知れないし」

 そう言って霖之助は再びゲーム機を店の奥に仕舞った。

「にしても色んなものがあるな。置いてある物に統一感がまるでねぇ」

「当の店主は殆ど売る気は無いけどな」

「何で店やってるんだよ」

「売る時はちゃんと売ってるさ」

「半分も無いだろ」

「道楽かよ」

 やはり幻想郷には変わった奴が多いようだ。

「また何か新しい物を手に入れたら君に使い方を聞くよ」

「わかりました」

 それから暫く三人は他愛無い話をして、高橋と魔理沙は帰って行った。

 

 

「ただいま」

 魔理沙とも別れ、高橋は博麗神社へと戻ってきた。

「あら、お帰り。魔理沙は?」

 中に入るとお茶を飲みながら霊夢が言ってきた。

「何か用が有るって言って何処かに行った」

「つまりフラれたわけね」

「ああ。だから霊夢に相手してもらおうと思って帰ってきた」

「寂しいわね。誰にも相手してもらえないなんて」

 遠回しに霊夢にもフラれた。

「あ、そうだ。あんた宛に手紙が来てたわよ」

 そう言って霊夢はちゃぶ台に置いてあった未開封の封筒を差し出した。

「俺宛?誰からだ?」

「さあ?外を掃除して戻ってきたら置いてあったのよ。掃除する前は無かったのに」

「その間誰も神社に来てないのか?」

「ええ。参拝客すらね」

 自虐的な発言はこちらも虚しくなるのでやめていただきたい。

「まぁそれは別として見てみるか。もしかしたら仕事の依頼かも知れないしな」

 しかし封筒を見ても宛名らしいものは書かれていなかった。書かれているのは表面に『高橋 愛乃様へ』とあるだけだ。

「どれどれ?・・・ほぅ」

「どうしたのよ?」

「中身は送り主からの素敵なラブレターだったよ」

「ラブレター?」

 意味がわからない霊夢が繰り返して言った。手紙にはこう書かれていた。

 

『高橋 愛乃様、突然の無礼をお許しください。この様なお手紙を送られてさぞ驚かれている事でしょう。高橋 愛乃様のご活躍は今では幻想郷中に知れ渡っている事と思います。八雲 紫に頼まれ、この幻想郷へと来て私が起こした異変を解決すると言うこの依頼。貴方に達成する事が出来るでしょうか?貴方の今後のご活躍を期待して高みの見物とさせていただきます。

 ですが、流石の高橋 愛乃様も何も今後のヒントが無ければ解決は困難だと思い、細やかながら私からヒントを随時プレゼントしたいと思います。

 

 おなけずふておけおのせうけそにけに

 

 簡単な暗号ですので貴方には余裕ですよね?

 今後私から送られるこの課題をクリアしていけば私の元まで辿り着ける事をお約束します。

 私の元に辿り着く日を楽しみにしております。

          愛しのゲームマスターより』

 

「何これ?」

「だからラブレターだろ」

 手紙の文面を見ながら答える高橋。

「書き方は丁寧に書いてあるけど所々挑発するみたいに書いてあるわね」

「だな」

「それより途中のこの文字の羅列は何なの?暗号ってあるけど」

「雑な作り方だけど多分これはシーザー暗号ってやつだな」

「シーザー暗号?」

「一見意味のない文字の羅列をそれぞれ一定の文字数前か後にずらす事で本来の文章になるって言う昔の暗号だよ。ご丁寧に平仮名でって事は五十音順でずらせば良いんだろうな」

 本来はずらす数字のヒントが有るのだが、何も指定がないとなれば三文字ずつずらせば良いのだろう。

「それで?結局どんな文になったの?」

「あー、ちょっと待てよ。これだと『五日後の大会に参加して勝て』かな。送られて来たのが今日だから今日から五日後に行われる大会か・・・。なぁ霊夢、五日後に行われるイベントとかって知らないか?」

「・・・五日後ねぇ。そういえば人里で賭博の大会があった筈よ。詳しい内容までは知らないけど」

「成程。その大会に出て勝てって事か」

 となれば五日後までは今まで通り人脈作りに専念して問題無さそうだ。

「勝つだけで良いのかしら?優勝じゃないなら楽に思えるけど」

「出るからには優勝を目指すさ。それに勝てとは有るけど負けていいなんて書かれてないからな。途中で負けたからとか難癖つけられて次のヒントを出さないって言われるのも癪だし」

 逆に言えば『負けてはならない』とも書かれていないのだが。

「それもそうね。なら精々頑張ってきなさい」

「お前は参加しないのか?」

「賭博に興味は無いもの。彼女の魔理沙でも誘ったら?」

「いつまでそのネタ引っ張るんだよ」

「あら?また新しい彼女でも出来たの?」

「目の前にいるじゃないか」

「幻覚が見えるなら永琳の所に行った方が良いわよ」

「ガードが硬いなぁ。この巫女さんは」

 霊夢のデレ期はいつ来る事やら。

「悪いけどまたちょっと出掛けて来るわ。夜には戻るからよ」

「無理に帰って来なくても良いわよ」

「そうなると俺から霊夢への収入が無くなるな」

「遅くならないで気をつけて帰って来てね。あんたに何か有ったら心配だから」

(金に関してはチョロ過ぎるなぁ。この巫女さんは)

 今朝と言っている事が矛盾している気がするが、まぁ細かい事は気にしないでおこう。

 金の力を再確認して博麗神社を後にする高橋だった。

 

 

 それから暫くして高橋は目的地へと辿り着いた。

「まーた寝てるよ。この門番」

 壁にもたれ掛かって寝ている美鈴を見ながら呆れ顔で高橋が言った。

「おーい美鈴、起きてくれー。ついでにこの門も開けてくれー」

「・・・ん?」

「やっと起きたか」

 何度か肩を揺すっていると漸く美鈴が目を覚ました。

「あ、愛乃さん。おはようございます」

「いや、もう昼だよ」

 体を伸ばしながら言ってくる美鈴に高橋がツッコむ。

「今日はどうかされましたか?お嬢様達からは何も聞いてませんけど」

「ちょっと用が有ってな。約束はしてないんだが入って良いか?」

「はい良いですよ。でも私が寝てたのは咲夜さんには内緒でお願いしますね」

「わかったよ」

 高橋が答えると美鈴が門を開け、彼は中へと入って行った。

 館の中に入ると高橋は偶然にも咲夜と出会った。

「あら愛乃?どうかしたの?今日来るなんて話は聞いて無いけれど」

「ちょいとばっかパチュリーさんに用が有ってな。用が終わったら勝手に帰るから気にすんな」

「客人を相手にそんな対応はしないわよ」

「そうかい。取り敢えずレミリアの所に顔出すかな。人の家に来て家主に挨拶も無しって訳にもいかないし」

「殊勝な心掛けね」

「仕事柄、相手に不快な思いをさせて悪いイメージを広めない様にしてんだよ。仕事は信用が必要だからな」

「お嬢様が態々悪評を広める様な方だと?」

「俺の意識の問題だよ。それにレミリアがしなくても仮に誰かが俺を恨んで嘘の悪評を広めようとした時に、当の本人の俺が普段から人に信頼されない存在だったらその嘘を誰も疑わないからな」

「それもそうね」

 そんな話をしながら歩いているとレミリアの部屋まで辿り着いた。

「失礼しますお嬢様、愛乃がお嬢様にお会いしたいと来ていますが」

『入れて良いわよ』

 中からレミリアの声がして咲夜が部屋の扉を開けた。

「ようレミリア。久しぶり」

「最近うちに泊まったばかりでしょ」

「可愛い女の子にいつでも会いたいって思うのは男の願望だぜ?」

「欲望の間違いでしょ。それで?今日は何の用で来たの?」

「ちょいとばっかここの図書館に用が有ってな。その前に家主に挨拶に来たんだよ」

「そう。態々ご苦労様」

「あれからフランは大人しくしてるか?」

「ええ。少なくとも暴れ回る様な事は無くなったわね。代わりに貴方にまた会わせろって五月蝿いけれど」

「・・・後でフランの所にも顔出すか」

「モテる男は大変ね」

「本当にな。あれから何か変わった事有ったか?」

「特に無いわね。平和を通り越して退屈なのが最近の悩みよ」

「平和なのは良い事じゃねぇの」

「退屈は心を殺すのよ」

「物騒な話だな」

「だから偶にでいいから暇つぶしに付き合いなさいな」

「気が向いたらな」

 そう言って高橋は部屋を後にした。図書館へ向かう為に。

 

 

「あ、愛乃さん。いらっしゃいませー」

 図書館に入るとすぐに小悪魔と出会った。

「おう。また来たよ」

「今日はどんな御用で?」

「パチュリーさんに話があってな」

「パチュリー様に?」

「ああ。前の約束を守ってもらいにな」

「?ではご案内しますね」

 小悪魔に先導されながら図書館の奥へと進んで行った。

「パチュリー様、お客様です」

「あら、また来たのね。それで今日は何の用?」

 本を読んでいたパチュリーはちらりと高橋を見ると再び本へ戻る。

「以前の取引を果たそうかと」

「つまりは私からの要求は達成出来たと言うことかしら?」

「勿論。約束の物はここに」

 高橋は上着の中に忍ばせていた物を差し出した。

 以前魔理沙に盗られたパチュリーの本だ。

「・・・よくあのコソ泥から取り返したわね」

「ちょいとばっか魔理沙の家に行く用が有りましてね。魔理沙が目を離した隙にいただいたんですよ」

「手癖が悪いのね」

「ついでに言うと性格と頭と女癖も悪いですよ」

「でも口は達者の様ね」

「そんな事より、約束は覚えてますよね?」

「貴方が魔理沙から本を取り返せたらその度に魔法を教えてあげるって話よね」

「その通り」

「まぁ、約束だから魔法について教えてあげるわ。でもその前に二つ言っておく事があるわ」

 読んでいた本から目を離さずに言った。

「何でしょう?」

「一つ、魔法の適性が全く無い者は幾ら魔法を学んでも全く魔法を使う事は出来ない。二つ、仮に魔法の適性があっても全ての系統の魔法を覚えられるとは限らない」

「魔法の系統?」

「ええ。魔法には火や水の様に属性魔法と言ったそれぞれの系統があるの。人間にも運動が得意だったり勉強が得意な人で個人差があるでしょう?それと同じ様に覚えられる魔法、魔法の威力や精度は個人差が出るのよ。まぁ学び方次第である程度は改善出来るでしょうけど」

「成程。でも魔法が全く使えなくても知ってるだけで役に立つ事も有りますよね?」

「例えば?」

「相手に魔法を使われた時、それがどんな物か判断出来れば対策も取りやすいし、相手の弱点を突くきっかけになるかも知れない。どんな物も最強無敵なんて事は無い。知られていないと言う立場が相手にそう思わせるだけで」

「考え方としては悪く無いわね」

 何事も知らない事には何も出来やしないのだ。

「じゃあ、始めましょうか」

 パチュリーの一言を聞き、これから始まる魔法の適性テストに高橋は少しだけ胸が高鳴ったのを実感していた。




どうにかもっと多くの人に読んでもらいたいなと思いながらもそもそも話が書けてないと言うのが一番の問題ですね。
そもそも作中の話の速度が遅いのよ(今更)。
とか適当な事言ってますがこれからも好きな様に書いていきます。
もうちょい話進んだら番外編みたいなのも書こうかな。

ご意見ご感想、誤字脱字やコメント等有ればお願いします。
ではまた次回。
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