東方賭博奇譚   作:シフォンケーキ

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書こう書こうと思っていたらいつのまにか一年経過していた・・・。
(書くの辞めちまえ)
次からはもうちょい真面目にやります。
では本編どうぞ


9話・ そろそろ鬼ごっこも終わりにしたいものだ。

フランの捜索の為、図書館から出た高橋は当てもなく紅魔館の廊下を彷徨っていた。

「しかしこれからどうしたもんかな」

そんな事を呟いたが、その言葉に返事をする者は誰もいない。それよりも高橋は先程から考えている事があった。

(・・・誰かに見られている気がする。まさかフランか?)

だが、時々振り返ってみてもそこに誰かがいるような様子は無かった。

「・・・気のせいか」

そう結論づけて再び歩き続けたが、やはり誰かに見られている気配がしたままだった。

(誰が何の目的か知らんが、確かめてみるか)

そう考えると同時に高橋は走って曲がり角を曲がった後に足を止めた。よくある古典的な罠だ。するとそれを見た後ろの誰かさんも案の定つられるようにして高橋を追いかけた。

「俺に何か用か?」

後からやって来た人物の姿を見て高橋はそう言った。だが、その人物は残念な事にフランではなかった。現れたのは金髪の魔法使い、霧雨 魔理沙だった。

「魔理沙?何で俺の後をコソコソ追ってきたんだ?」

「図書館にいたらお前が入ってくるのを見てな。小悪魔との会話を聞いて面白そうだから後をつけてたんだ」

「全く気がつかなかった」

周りには気をつけていたはずだったが思っていた以上に油断していたようだ。

「それで?お前は俺の邪魔をしに来たのか?それとも手伝いに来たのか?」

「どちらでもないんだぜ。お前達の勝負に私が水を差す理由もお前に肩入れする理由もないさ」

「そりゃそうだ」

言われてみればその通りだ。フランは兎も角、出会って間もない高橋相手に魔理沙がそこまでしてやる義理は微塵もない。

「まあ、あえて言うなら最後まで見届ける傍観者ってところだな」

ニヤリと笑いながら言ってくる魔理沙の顔を見てつられるように高橋も笑った。

「ならついでにこの屋敷の案内人をやってもらえるとありがたいんだがな。なんせこんな広い場所じゃあどう動いていいかもようわからんのだ」

「悪いがそれは出来ない相談なんだぜ」

高橋が聞くと、魔理沙はあっさりと断った。

「そうかい。まぁそれも仕方ないな。ここで俺を手伝えば俺に肩入れするって事だもんな」

「そういう事さ。残念だが私はお前に力を貸さない」

「チクショー。魔理沙にフラれた」

「はっはっ!私は他の女の尻を追いかける様な男に興味はないのさ!」

高橋の冗談に魔理沙が高笑いして返すと高橋は再び歩き出した。

「何だ?来ないのかよ魔理沙」

振り返るとその場から動こうとしない魔理沙が気になった。

「いや、気にしないで行ってくれ。私は勝手に付いていくからな」

「そうかい」

そう言って歩き出した高橋を悲劇が襲った。

 

突然天井の一部が崩れ落ちたのだ。

 

「はっ!?」

いきなりの出来事に高橋は回避することができなかった。唯一できたのは体を丸めて衝撃にそなえる程度だ。

「う、っぐ、ってぇな!」

幸いと言うべきか、高橋は然程大きな怪我などはなかった。あるとすれば頭を守った際に瓦礫にやられた左腕くらいだろうか。折れてはいないようだが、動かす度に痛みが走っている。

「これで死んでないって俺はラッキーなのか?」

落ちてきた周りの瓦礫を見ながら呟くと魔理沙が駆け寄ってきた。

「おい愛乃、平気か!?」

「なんとかな。左腕が多少イカれた様だが何とかなるだろ」

軽く左腕を動かしながら答えた。やはり動かすだけで痛い。

「今度腕のいい医者を教えてやるよ」

「助かる」

高橋の返事を聴きながら魔理沙は高橋の左腕を触ってきた。痛いのでやめてほしい。

「すげぇ痛いんだけど」

「良かったじゃないか。痛みを感じるって事は生きている証拠だ」

そんなことを言いながら周りの瓦礫を避けながら魔理沙は今来た道を戻って行った。

「おい魔理沙、どこ行くんだ?」

「このまま先に進んだら次は何が起こるかわからないぜ?他の場所を探したほうがいい」

「そうかい」

短く答えると高橋はそのまま先へと進んで行った。

「おいおい、人の話を聞けっての。そっちは危険だって」

高橋は小さく息を吐くと魔理沙に向かって言った。

 

「黙ってろよ。()()()()()()()

 

高橋の一言に魔理沙は驚いた。

「いきなり何を言い出すかと思えば、何で私がフランの手先なんだよ」

「ふざけろ。少なくともお前はさっき天井が崩れてくることを知っていた。だからあの時お前は途中で立ち止まったんだ。自分も被害に遭わないように」

「なるほど、確かにそれならお前がそう思うのも無理はない。だけどそれだけじゃ私がフランの手先とは言い切れないんだぜ?」

「理由はもう一つある。お前、今来た道を戻ろうとしたろ。それはその先にフランがいる、もしくはフランにつながるヒントがあるからだ。だからお前は俺にそれを気づかれない為に来た道を戻ろうとした。違うか?」

「違うかと聞かれて違うといったところで、愛乃はそれを信じるのか?」

「お前に俺の意見を否定出来るだけの証拠があるならば信じるぜ?」

「そいつは最初から信じてないって言ってるのと同じなんだぜ?」

高橋の言葉にやれやれと言った様子で魔理沙が答えた。

「面倒だから素直に認めるよ。確かに私はフランに肩入れしているさ。しかしよくそれだけでわかったな」

「違和感ならまだあったよ」

「なんにだ?」

高橋の言いたいことがイマイチわからずに魔理沙は聞いた。

「お前、さっき俺が、俺の邪魔をしに来たのか?と聞いた時こう答えたよな?『お前達の勝負に私が水を差す理由もお前に肩入れする理由もない』と」

「確かに言ったさ。それの何がおかしいんだ?」

「一見するとおかしな点は確かに無い。だがお前は最初に『お前達の勝負に』と言ったのに対して、その次は『お前に肩入れする』と言った。そこに違和感を感じたんだ。まるでフランに肩入れしている事を否定しない様だった。そこに僅かながらに違和感を感じたんだよ」

「そんな小さなことで私を疑ったのか?人間が小さいぜ」

「ギャンブルやる奴のほとんどはロクな人間じゃないさ。それに、俺は自分の感じた事はどんな小さなことでも大事にするんだよ。自分の感性すら疑うようじゃ何も出来ないからな」

「例えその感性が結果的に間違えていてもか?」

「その間違えた経験を次に活かして成長するのが人間の強みであり、偉大さだと俺は思っているよ」

「いちいちカッコつけて言うなよな」

魔理沙が苛立ち気に言うと高橋は然程気にも止めずに先に進んだ。

「ところで魔理沙、何でフランに協力したんだ?まぁ昨日今日会ったばかりの俺とこの屋敷に頻繁に来て会っているフランとじゃ差が出るのも仕方がないことだとは思うよ?だがやるからには何かしら理由があるはずだ。それが何か知りたいんだ」

「お前、意外と細かいことを気にするんだな」

高橋の後を歩きながら魔理沙が言った。

「知らない事があるっていうのは人からしてみりゃ恐怖だよ。知らなきゃ対策もできないんだからな。だから俺は少しでも恐怖を消す為に色々知識を得たいんだ。知っていることが多ければ自分に出来ることも増えるしな」

「なるほど。お前の言い分はまあ少しくらいは納得したぜ。ならお望み通りに教えてやるさ。フランに協力して時間稼ぎをしたらあいつがこっそり隠し持ってるパチュリーの本を貸してくれるって言うからさ」

「盗んでるのはお前だけじゃないのかよ」

まさか身内にも犯人がいたのかと、内心会ったこともないパチュリーさんに高橋は同情した。

「てか、よく考えたらフランがこっそり隠し持ってても結局は魔理沙が盗んだって思われてるんじゃないか?お前、常習犯なんだろ?」

「・・・あっ」

高橋の言葉を聞いて魔理沙が間抜けな声を出した。

「気づいてなかったのか?」

「・・・ああ。てことは私はフランに良いように使われたってことか?」

「まぁそうだろうな。仮に魔理沙にそのパチュリーさんとやらの本を渡したところで自分のものじゃないから被害もないし、パチュリーさんに本が無くなったのがバレても十中八九魔理沙が疑われるだろうからな」

「あ、あいつ!よくもこの魔理沙様をコケにしてくれたなあ!」

「いや、最初の段階で気づけよ」

高橋のツッコミも魔理沙には聞こえていないようだ。

「このままコケにされっぱなしなのは納得できない。だから愛乃、お前に協力してやるぜ」

「そりゃどうも」

なんとも上からな言い分だが、人手が増えるので高橋はとりあえず大人しく礼を言うことにした。

「ところで愛乃、フランを捕まえる策はあるのか?」

「そんなもんあればこんな所うろついてねぇよ」

「何でそんなに偉そうなんだよ」

魔理沙につっこまれても特に気にも止めずに高橋はその場で立ち止まった。

「人の話を聞かない奴だな!これからどうするかって話だろ!まだフランを見つけてもいないんだぞ」

「捕まえる策は無いけど探すのはそう難しくないと思うぞ」

「なんでそう思うんだ?」

「恐らくだが、さっきの天井の崩壊はフランの仕業で間違いないだろう。そしてフランがやってるならどこかで必ず俺達の姿を見てるはずだ。つまり、少なくとも俺達を隠れて観れる範囲にフランがいる。でなきゃこんな狙いすましたように仕掛けてこれないからな」

「相変わらず遠回しな言い方するな、お前」

「推理ってのはいつもそんなもんだよ」

そう答えながらも辺りを見渡しながら探したが、無駄に広い紅魔館は隠れられそうな場所も多かった。

「制限時間は残り約一時間。流石に一つ一つ部屋を虱潰しに探してたら時間が足りないな」

「もうさっさと諦めて負けを認めろよ。こっちも飽きてきたぜ」

先を歩いている魔理沙が言ってきた。たいして時間も経っていないのに先ほどと言っていることが正反対である。

「馬鹿なこと言うなよ。負けられねぇんだよ、こっちは」

当然負けるわけにいかない高橋は降参などするはずがない。

「そもそも飽きたなら別に無理して俺に付き合う必要もないだろ。魔理沙はこのゲームに参加してるわけでもないんだし」

「フランのやつにいいようにされたのが気に入らないんだよ」

「だったら文句言わずにお前も手伝え」

魔理沙の小言にイラつきながらも高橋が言った。

「手伝えって言っても何をどうすればフランを捕まえられるんだよ」

「ほー、俺よりフランのことを知ってるのにそんなことも考え付かないのか魔理沙様は」

高橋が煽るように大声で言った。

「なっ!ポーカーひとつまともに私に勝てなかった奴が偉そうだぜ!」

「ポーカーで一度勝ったくらいででかい口聞くなんて魔理沙ちゃんはやっぱ子供ですねぇ」

ケラケラ笑いながら言ってくる高橋の言葉に怒りが募った魔理沙が言ってきた。

「だったら大人な愛乃の対処法ってのを見せてもらおうか」

こう言われてしまうと煽った手前、高橋としては何としても勝って終わらねばいけなくなってしまった。

「まぁ慌てなさんな。焦ったら勝てるもんも勝てねぇぞ」

「だから何でそんなにお前は偉そうなんだよ」

「そうカリカリすんなよ。俺の作戦はすでに始まっているんだ」

壁に背を預けながら高橋が言った。

「始まってるって、まだ何もしてないだろ?」

「よく考えてみろよ。詳しくは無いが吸血鬼ってのは凄まじい生命力と身体能力をもってんだろ?そんな奴と、ちょいとばかり運動神経に自信がある程度の人間風情が真っ向から勝負して敵うと思うか?」

「殴り合いになれば話にならないな」

「だから真っ向勝負はやめることにした」

「やっぱり諦めたんじゃないか」

「いやいや、そのうちわかるよ」

高橋が言い終わると同時に物陰からある人物が飛び出してきた。

金髪の吸血鬼少女、フランドール・スカーレットだ。

「ちょっと!いつまで待たせるのよ!」

どうやら高橋の予想通り陰で様子を見ていたが痺れを切らして出てきたようだ。

(そうか、これが高橋の作戦か。追って駄目なら向こうから来てもらえばいい。そして隙をついて捕まえればいい。なるほど、簡単で尚且つ、フランの様なタイプには効果的かもしれないぜ)

二人のやりとりを見ながら魔理沙は内心でそう考えていた。確かにフランはどちらかと言うと我慢が出来る方でもなければ気が長い方ではない。そして身体能力で劣る高橋からすれば悪くない作戦かもしれない。

鬼ごっこは鬼が追いかけるからみんなが逃げるのだ。なら逆に追わなければいいのではないだろうか?

だがこれには一つ決定的な問題がある。

(こんなあからさまな作戦、余程のバカでもない限り通じないぜ。仮に通じてもバレたらその時点でまた逃げられてお終いだ。しかも二度目はない)

そう。この作戦は一度見破られたらそこまでなのである。そしてどう考えてもフランがこんな単純な策に嵌るとは魔理沙は思えなかった。

そして当然の事ながら、フランもその策を見抜いていた。

「そんな見え見えの手になんか引っかかるわけないでしょ!」

そう言いながら、高橋が動けば即座に逃げれるギリギリのところフランは止まった。

「やっぱこんな作戦は無理があったんだぜ」

魔理沙も呆れながら言った。だがそれでも高橋は相変わらず目を閉じて壁に背を預けたまま動こうとしなかった。

「?」

流石にその様子にフランと魔理沙は疑問を覚えた。

「おい、聞いてるのか?愛乃」

と魔理沙が聞くと同時に異変が起きた。

 

ゴンッ!

 

と言う鈍い音がフランの方から響いてきたのだ。

「痛っ!何よこれ!」

魔理沙が振り返るとフランが頭をおさえながら喚いていた。フランの足元を見ると先程までなかったはずの瓦礫の一部が転がっていた。おそらく原因はこれだろう。自然に落ちてきたわけでもなさそうなところを見るとやった犯人は一人しかいない。そしてそう考えると同時に、

 

「悪いな。これで俺の勝ちだ」

 

フランの肩に手を乗せた高橋 愛乃の姿があった。

「え?」

フランが背後に立った高橋の姿を見ながらそんな間の抜けた声を出した。不意を突かれて負けたのは理解できる。だがその過程の手段がわからなかったのだ。

「今のどうやったの?」

「ただの手品だよ。タネも仕掛けも御座いません」

「どっかのメイド長みたいなことを言うな」

興味津々で聞いてくるフランの質問を適当に返すと魔理沙がそんなことを言ってきた。

「なんだそりゃ」

メイド長と言うと咲夜の事だろうと高橋が考えていると、またフランがしつこく聞いてきた。

「ねぇさっきのどうやったのか教えてよ」

「どんだけ知りたいんだよ」

「知らないことがあるなら知りたいと思うのは普通じゃない?」

「確かにその通りだぜ。しかもさっき似たようなことを聞いたな」

フランの言葉に魔理沙も同意した。

「あまり自分の手札を教えるのは好きじゃないんだがな」

「ケチ」

「うるせぇ。教えるのは良いがフラン、先に確認したいんだが」

「何?」

「この勝負、俺の勝ちでいいんだよな?」

「うん。良いよ、あなたの勝ちで」

この時点で正式に高橋の勝ちが決まった。そもそも誰が何を言おうと、フランを捕まえた時点で高橋の勝ちなのだが。

「それじゃあ、教えてよ。あなたのその手品」

「種明かしは手品のタブーなんだけどな。まぁ俺はマジシャンじゃないからいいけど」

「サーストンの3原則か」

魔理沙が言ってきた。

「よく知ってるな。・・・と、話が逸れたな。まぁ簡単に言うとこんな話だよ」

そう言って高橋は近くに転がっていた瓦礫に手をかざした。するとゆっくりと瓦礫が浮き上がった。

「とまぁ、種明かしにもならない俺の手品でした」

「なるほど。これでフランの頭の上から瓦礫を落としたってわけか」

「バレないかヒヤヒヤしたよ」

高橋が笑いながら言った。

「・・・こんなので負けるなんて」

「油断して近づいたりするからだよ。それにやられたらやり返すのが俺の理念だからな。何にしろ俺の勝ちだ。約束は守ってもらうからな」

「わかってるわよ」

どこか不満そうにはしているものの、仕方なくと言った感じでフランが答えた。だが、どこか満足そうだとも高橋は感じた。

「とりあえず、レミリアの所に報告に行くか」

高橋が言うと三人はレミリアに会うため、その場を後にした。途中で高橋があの崩れた瓦礫はどうするんだろうかとふと思ったが、まぁどうでもいいかと切り捨てた。

 

 

 

「おかえりなさい」

三人がレミリアのところへ行くと優雅に紅茶を飲みながら開口一番にそう言った。

「おう。約束通り大人しくさせたぞ」

「ご苦労様。思ったより早かったのね。驚いたわ」

「本当に苦労したよ。何度か死ぬかと思ったしな」

「あら、そうしたら問答無用で貴方の勝ちだったじゃない。確かあったはずでしょう?『ゲーム中の暴力行為はその時点で負け』って」

「それで死んだら元も子もないだろうが。こちとら死んでも生き返ったりしないぞ」

ゲーム中のことはフランも高橋も直接相手に危害を加えたのではないので問題無しという判定だ。グレーな判定ではあるだろうが。

「全く。好き勝手暴れてくれたものね。人の話も聞かないでよくあそこまで暴れられるものね」

今度はフランの方へ視線を向けながらレミリアが言った。

「でもお姉様、お陰で退屈しなかったでしょ?」

「ええ。フランのお陰で頭が痛くなって仕方がなかったわ」

「何だその皮肉の言い合い」

「冗談よ。フランも満足してるみたいだし、良しとしましょうか」

「それじゃあ、早速で悪いんだが、仕事の話をしてもいいか?」

「わかっているわ。報酬でしょう?一体いくら欲しいの?」

レミリアは言わなくてもわかると言うように紅茶を飲み干しながら言った。

「残念だが金じゃない。今それ程金に困ってるわけじゃないんでな」

「そう。なら何が望みなのかしら?」

「取り敢えず今後この屋敷の出入りの自由と、あと腹減ったから飯食わせてくれ」

「そんなのでいいの?」

「ああ。むしろそれが良い」

「何でだ?」

魔理沙が聞いてきた。

「理由は大きく分けて三つ。一つは今言ったように然程金に困ってないから。二つ目は出入りが自由になれば俺の活動範囲が広がるから。三つ目は公式に認められれば周りからの信用や評価に繋がるからだ」

「周りからの評価?」

いまいちわからないと言った様子で魔理沙が聞き返してきた。

「俺の活動が今後どうなるかはまだわからないがこの仕事(便利屋)は信用が命なんだよ。そうなると周りからの評価の基準は実績と能力だ」

「実績と能力?」

「『過去にこの人はこんな仕事をしてこんな成果を出したんだ』と分かればそれは信用につながる。信用が増えればその分だけ次の仕事につながるってわけよ」

「それはわかったがそれと紅魔館の出入り自由がどう関係するんだ?」

「紅魔館というよりレミリアの影響力がどんな程度なのかは知らないが、決して小さくはないんだろ?となれば『あの』紅魔館の主、レミリア・スカーレットが認める程度の存在って事を事実として残せる。多少大袈裟な点はあるかもしれないが、影響力を持つ人物の屋敷に出入りできる程には『信頼』と『実績』がある人間って事になるのさ。それを明確に残せるだけでも次につなげるきっかけになる」

「長々と御高説ありがとう」

魔理沙が嫌味ったらしく言ってきた。

「あくまで俺の理論だけどな」

「自分なりの理論を立ててそれを全う出来るのは誇っていいことよ」

「それには同感だな」

レミリアの言葉に魔理沙も同意してきた。二人が素直に褒めてくるものだから流石に照れる。

「それよりもフラン、約束通りもう暴れんなよ」

照れているのを二人に悟られないように高橋はフランへ話を振った。

「わかってるわよ。あなたの言うように大人しくする」

「愛乃でいいよ。これからもよろしくな」

「うん。よろしく、ヨシノ」

そんな二人の様子をニヤつきながら見つつ、レミリアが言った。

「さて、話も終わったことだし、色々と外の話も聞きたいのだけれど、どうかしら?今夜は泊まっていかないかしら?」

「女の誘いを断ったら失礼だしお言葉に甘えるよ」

「そう。なら咲夜、部屋の用意と夕食の準備をお願い」

「畏まりました」

答えると同時に咲夜の姿はどこにも無かった。ついでに言うと先程まであった筈のティーセットも消えていた。

「・・・何、今の」

「咲夜のタネ無しマジック?」

フランが答えた。

「私も世話になるんだぜ」

「そうだろうと思ってたから安心なさい」

レミリアが呆れながら言った。魔理沙のこの図々しさはある意味素晴らしいとも思えた。

「悪いがもう少し屋敷を散策してもいいか?」

「私は部屋で休ませてもらうから好きになさい」

「ありがとうよ。フランも来るか?」

「退屈だから行く」

「私はまだやる事があるからまた後でな」

(図書館か)

(図書館ね)

(図書館だ)

全員の予想は一緒だった。勿論その予想は当たっているのだが。

「ならまた後で会おう」

そう言ってそれぞれはバラバラに行動を開始した。

 




前書きでも言いましたが次からは真面目にやります。
もう亀というよりカタツムリ並みの遅さやな。
ではまた次回
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