01.アリス、転校生と遭遇する
皆様、初めまして。私は
14歳の早生まれで得意科目は音楽と体育、好きなものは--とかなんとか言ってる暇もない。
今私は全速力で道という道を駆け抜けている。朝ドラを時間そっちのけで見ていたことが原因である。朝ドラ恐るべし。
そしてその朝ドラを最後まで見届けた私は学校の存在を思い出し、今こうして学校目指して全力疾走しているのだ。今なら陸上部に勝てるかもしれない。
ちゃんと信号は守っているのでご安心頂こう。流石に車を跳び越える自信はこれっぽっちもない。
歩道橋を駆け上り--すれ違い様に色々な人が私を二度見どころか四度見くらいしていた--その上で少し息を整えふと空を見上げようとして、なにやら下が騒がしい事に気がついた。
とんとんとんと階段を降りていってその騒がしい現場を見据える。どうやら衝突事故があったらしい。大きく凹んだ車を見て予想し、
「大丈夫だって。ケガなんかしてないって」
そんなボーイソプラノの声を聞いてその予想はあっさり崩れた。
--あ、これやばいやつだ。
何故かはわからないが瞬間的にそう思った。時間的な意味も含む。
興味はあるが度胸もなけりゃ野次馬根性もない平凡(と少しの刺激)を望む私は早々にその場を立ち去った。
決して時間がやばかったからという訳じゃない。決して。
♥︎♠︎♦︎♣︎
暫くして、もう開き直って堂々と遅刻しようそうしよう。と諦めて(疲れたし)歩いていたときだ。
「よっ!」
「うぉおう!?」
後ろから声が掛けられた。突然だったので吃驚して変な声が出た。後ろの子が目を丸くしている。すまん。見なかったことにしてくれ。
「…なんかごめん」
「いいよ。いきなり話しかけたこっちが悪いんだし」
三の目3の口で頭を掻く少年。くそう可愛いな。
白いふわふわした髪に何かを見通しているかの様な真紅の目。アルビノなのかな。それが彼の第一印象だった。
知り合いに同じ色合いの人がいるがその親戚かもしれない。
しかし、この声何処かで、しかも最近聞いた気が………。そう思い、記憶を思い起こす。そこでピンときた。
「あ、もしかしてさっき車に轢かれた人?」
「そうだけど……何で知ってるの?」
「事情聴取の現場をチラッと見たから。それより見かけない顔だね。もしかして転校生?」
うん、といいこくりと頷いた少年。道に迷ったのかもしれないと思い一通り道を教え、
(あれ、もしかしたら遅刻を隠せるかもしれない)
そう思い、彼に断りを入れて一目散に駆けていった。そういえば名前聞いてない。まぁいっか。
「………まさか、な」
『ユーマ。時間だ』
「わかってるって。じゃ、行くか!」
そんな彼の呟きは、風に乗って消えていった。