紙様事件(空閑君公認)から数時間後、私は帰り道に小腹が空いたためバーガークイーンへ足を運んでいた。……今日はやけに女性客が多いな。
10代20代の若者がーー私も若者で10代前半だがーー多い印象だ。でも近所のおばちゃんもいるため、年齢層はよくわからない。
取り敢えずレジに並ぶ。かなりの行列だったので時間がかかるのかと思いきや、思っていたよりも早く順番が回ってきた。
「お待たせしました。ご注文をお伺いします」
「……全ての謎が解けた気がする」
店員さんの顔を見て、原因が判明した。成る程、店員さんがイケメンーーしかもイケボーーだったからか。思っていたよりも簡単で単純だった。
「どうかされましたか?」
「ああ、すみません。クイーンバーガーセットを一つ、アップルパイを一つお願いします」
お飲み物はどうされますか?、ファンタでお願いします、畏まりました。
そのような会話を終え、会計を済まし、残りはアップルパイーー他のはきたがアップルパイは今作っているらしいーーを待つだけだ。何をして時間を潰そうかと考えていた時だ。
「……あれは木虎さん?」
よくテレビで見かける人の顔を見た。眼鏡を掛けている為、それが本人なのかどうかはわからないがあの凛々しい横顔は間違い無く木虎さんだと思う。……矛盾してるって?だって間違っていたら失礼じゃないか。
そのようなことを考えているうちに、アップルパイが出来上がったらしい。店員さんーーとりまる?……ああ、
そこには、もう木虎さんは居なかった。そりゃそうだ。彼女は有名人で私は一般人。
話しかけて仲良くなって、あわよくば電話番号ゲットしたいと思っていた私が馬鹿だったのだ。現実は厳しい。
とはいえ見かけただけでもラッキーだ。ボーダー隊員らしき人たちはよく見ても、嵐山隊ーーさとけんこと佐鳥賢さんはよく見かけるーーはあまりお目にかかれない。その点私はかなり運がいいと言える。
そんなことを考えているうちに、ハンバーガーを食べ終り公園へ到着。今度はアップルパイを手に取り、また歩き始めようとした矢先、
「遊真ッ!」
「空閑!!」
よく聞く声を遠くに聞いた。どちらの声も余裕を失っていた。三雲君はともかく、あのチェシーが焦っているとは珍しい。ーー嫌な予感がした私は即座にアップルパイをしまい、声のする方向へ駆け出した。
♥︎♠︎♦︎♣︎
「アリス!」
「有栖川!?なんでここに」
二人がびっくりしてこちらを向いた。そんなことも気にせずつかつかと前へ進み、伏せている白髪少年の首っこを掴み回転させて、
「またお前か
「「ルシファー!?」」
「るしふぁー?っておれのこと?」
思わず口にしてしまった。あの事件から空閑君が堕天使に見える(主に笑み的な意味で)ため密かにそう呼んでいたのだがーー開き直って堂々とこの呼び名(二つ名ともいう)を貫こうと思う。本人は意味に気づいてないし。……まぁそのうち気付くだろうが。
「そうだよ!事故るの今日で二回目だよね君!?車と道路をよく見なさい馬鹿者!あんたは大丈夫でもこっちがだいじょばないんだよ神経すり減るわ!!」
「お、おう」
「空閑が押されてる……」
「……ルシファー呼びはともかく、アリスはなんだかんだ言って友達のことを心配して」
「お姉さんが困ってるじゃないか!!」
「そっち!?」
空閑君を語り倒して(?)いる場合ではない。今は事故ーーというより空閑君は当たりにいってる様な気がする。ルシファーだしーーによりおろおろしているお姉さんに謝らなければ。
お姉さんの前に進み、90度のお辞儀をする。いきなり私が出てきたこともあってか、え?ええ!?と慌てている。隣で空閑君が札束を出して「これしかありませんが…」と例の三の目3の口で差し出しているのも大いに関係しているだろう。
私には関係がなかろうと友人が迷惑を掛けてしまったのだから、これくらいの誠意は見せないと。
「……彼、
チェシーが何かを呟いて、その隣で三雲君が頷いていたのが見えたが、その意味は私には解らなかった。