ポルカ〜剣の王の伝説〜   作:ガラスのハート

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第11話

  いよいよ、イワン2世の試合が始まった。

 

  相手は棍棒を片手にイワンを睨んでいる。

 

  棍棒兵と呼ばれる、小民族の戦士だ。

 

  しかし、試合は早かった。

 

  始まった瞬間にいきなり襲いかかった棍棒兵の攻撃を避け、なおかつ死角に潜り込み、背後から首を締め上げてあっという間に棍棒兵を落とした。

 

  イワン2世は棍棒兵に軽く会釈して無言で会場を後にした。

 

  ポルカはそれを冷ややかな目で見ていた。

 

  ~☆~

 

  井川の試合も速かった。

 

  井川の対戦相手は殺し屋のベクトルと言うナイフ使いだったのだが、井川の居合斬りで一瞬で首に切り傷が出来てひるみ、溝を思いっきり殴られて地面に倒れた。

 

  アレキサンダーが眉間にシワを寄せた。

 

「井川の野郎、つまんねえな・・・」

 

  イワンがアレキサンダーの肩を持つ。

 

「殺られてもらっても困るだろ?」

 

  アレキサンダーはうなづく。

 

「そうだな・・・」

 

  ~☆~

 

  再びポルカの試合が始まる事になった。

 

  ポルカの相手はホーテ・ドン・ベンジャミン公爵と言う貴族だった。

 

  ポルカは非常に嫌悪丸出しの顔だった。

 

  相手も嫌悪丸出しの顔だった。

 

  ホーテは咳払いをすると、ポルカに話しかけた。

 

「兄さん、どうしてこんな所にいるのかな?」

 

  ポルカは剣を速効で抜く。

 

「それは、こっちの台詞だ」

 

  ホーテはレイピアを構える。

 

「兄さん、そちらの国は滅んだんだろ、ならこっちに帰ってきなよ」

 

  ポルカは首を横に降った。

 

「祖父と父の生まれはここかもしれないが、俺はあの土地で生まれ、あの土地で育ったんだ」

 

  ホーテはため息をついた。

 

「兄さんは時代当主なんだから、放浪者されるとホントに困るんだよ」

 

  ホーテは物凄い速度で突きを放つ。

 

  ポルカは剣の動きを見切って全てを避け、ホーテの首元に剣を当てた。

 

  ホーテは呆れた顔になる。

 

「やっぱりね、剣では兄さんに勝てるわけないか・・・」

 

  ポルカは剣を鞘にしまう。

 

「俺には剣しかない、お前の方が経済とか儀礼とかしっかりしてるだろ?」

 

  ホーテはレイピアを下ろす。

 

「それじゃ、困るんだって、俺は養子で父と母の血はこの体に流れてないし、なんといってもポルカが兄さんで自分は弟なんだから」

 

  ホーテはもう1度ポルカにレイピアで突きを浴びせにかかる。

 

「それとも、こっちに戻ってくると周りが何でもしてくれるから暇なのか?」

 

  ポルカは素手でレイピアを弾き飛ばした。

 

「それも、一理あるかもしれんが、亡き王女の為にも俺は強くならないといけない」

 

  ホーテは目を丸くする。

 

「充分に強いじゃん」

 

  ポルカはグーを握る。

 

「正々堂々と戦い、今までの流儀を捨てる」

 

「姑息な手段を一採用せず、試合ごとに勝てるようになればそれこそ最強と呼ぶに相応しいんではないのか?」

 

  ホーテは呆れ返った。

 

「まあ、確かにドン・ベンジャミン家の党首が汚い男だったらお家の名に傷が入るもんな」

 

  ホーテは審判に試合放棄の意思を伝えると会場をさっていった。

 

  ~☆~

 

  皆が唾を飲み込む、井川とアレキサンダーの戦いが始まろうとしていた。

 

  井川は控え室で刀を眺めていた。

 

「さて、向こうが殺る気ならしょうがない、たちまちその首をはねてやらなければ・・・」

 

  その時だった、アレキサンダーが井川の控え室に乱入してきたのである。

 

  アレキサンダーは振り返った、井川の顔面をぶん殴って吹っ飛ばした。

 

  井川は鼻血をだす。

 

  アレキサンダーは椅子や机を井川に投げつける、そして最後に井川の顎を蹴っ飛ばして意識をグラグラにした。

 

  アレキサンダーは井川の髪を掴み睨みつけた。

 

  「公開処刑だ、ビビって出てこねてなんてことがないようにな!」

 

  アレキサンダーは井川をぶん投げて壁に叩きつけて、その場を去った。

 

  おかげで試合会場にはムキズノアレキサンダーと傷だらけの井川がたった。

 

  アレキサンダーがハルバードを地面に叩きつけた。

 

  ズシンと重い音が響く。

 

「さあ、控え室の続きをしようか!!」

 

  審判が止めに入ろうとした。

 

「拙者は構わない、このまま試合を始めてくれ!」

 

  審判は井川がそう言うので仕方なく試合を始めた。

 

  井川は居合いの構えに入る、アレキサンダーはいきなり武器を捨てて突っ込んだ来た。

 

  アレキサンダーはパチキ(頭突き)を井川の顔に刀を抜く前に決めて、そのまま押し倒してマウントを奪った。

 

「楽に死ねると思うなよ!!」

 

  アレキサンダーは拳で井川の顔を殴りまくる。

 

  アルバートがクスクスと笑う。

 

「まるで殺戮ショーだな」

 

  アレキサンダーが拳を振り上げる。

 

「トドメだ!!」

 

  井川は間一髪の所で頭を動かして拳を避けた。

 

  地面に亀裂が走る、アレキサンダーはもう1発拳を繰り出す。

 

  今度は井川は拳を見極めて、小指を握ってやった。

 

  井川はそのまま小指をへし折り、アレキサンダーを押し倒して、マウントを奪い返した。

 

  アレキサンダーは井川を乗せたまま立ち上がり、井川を地面に叩きつけた。

 

  井川は地面を転がり距離をとる。

 

  アレキサンダーは勢いよく走り、井川との距離を詰める。

 

  井川が刀を抜いた、アレキサンダーの首を外し肩に当たった。

 

  アレキサンダーは井川の胸をぶん殴る、井川の肋がへし折れた。

 

  井川はアレキサンダーの顔面を蹴飛ばした。

 

  アレキサンダーは顔を蹴られても微動だにせずに井川の顔をぶん殴った。

 

  井川は吹っ飛びふらふらと立ち上がると、ハルバードを手にしたアレキサンダーがハルバードを振り上げていた。

 

「死刑実行だ!!」

 

  岩をも砕くエクスキューションアックス、しかしそれは親父雷獣の事、息子のギガントスレイヤーの一撃は鉄塊さえも砕く。

 

  井川は慌てて小太刀を抜き、斧を受け止めようとした。

 

  小太刀はへし折れて、井川の肩に深い傷を与えた。

 

  アレキサンダーは目を丸くした。

 

「馬鹿な、手元が狂った!?」

 

  井川は片手で刀を振るう。

 

「僅かにずらせたぞ、ギガントスレイヤー敗れたり!!」

 

  井川の刀の峯がアレキサンダーの顎を強打して、そのまま力まかせに折れた小太刀の柄で、アレキサンダーは顎を強打した。

 

「かあつ!!」

 

  井川はそのまま高速でアレキサンダーの正中線を蹴り抜きアレキサンダーを倒した。

 

  井川は両手の刀を掲げた。

 

「勝った・・・」

 

  井川はそのまま地面に倒れ込んだ。

 

  ~☆~

 

  治療室で井川とアレキサンダーは一緒に倒れていた。

 

  アレキサンダーが井川に話しかけた。

 

「なんであの時、俺の首を跳ねなかった?」

 

  井川はやる気のない声で返す。

 

「分からぬ、少なくともお前を殺すつもりで挑んだはずだったのだが・・・」

 

  アレキサンダーはため息をついた。

 

「敵に貸しを作ってしまった、今回は見逃してやる」

 

  井川は少し笑った。

 

「そいつは助かる」

 

  治療室にポルカが入ってきた。

 

  ポルカは井川の隣に立つとぼそっとつぶやいた。

 

「試合の結果はお前の勝ちだ」

 

  ポルカはそう伝えたら、そのままそそくさとすぐに出ていってしまった。

 

  アレキサンダーがもう1度ため息をついた。

 

「あーあ、俺も白刃の王とやってみてかったな!」

 

  井川が大笑いする。

 

「それは譲れぬ話だ」

 

  そして、静かにしろ、傷が開くだろと医者に注意されるのだった。

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