ポルカ〜剣の王の伝説〜 作:ガラスのハート
しばらく騒がしかったがやがて店の中は静寂に包まれた。
アベルが店から出てみると、そこには盗賊どころかあの男もいなくなっていた。
「きっとあの男は盗賊達とつるんでるのよ!」
エリカは肩を怒らした。
そんな中、アベルは首を横に降った。
「俺にはそんな奴には見えなかったがね」
~☆~
夜の街を男が1人歩いていると、突然数人の盗賊達が襲いかかった。
男は最初に飛びかかって来た盗賊の腹に鋭い蹴りを打ち込む。すると盗賊はゲロを吐いて地面に四つん這いになった。
次に襲いかかってきた盗賊の、振り落とされるサーベルを握る手を、つかんで止める。
ミシミシと盗賊の手が悲鳴を上げると、男は盗賊の手首をひねり、放り投げた。
男に向って矢がとんでくる。
男は頭を横に少し反らして矢を避けた後に、剣を鞘から抜き取った。
矢を再び盗賊がつがえるのを男は待つ。
盗賊は再び矢を男にむけた。
「偶然さっきは外したが、その時こそがお前の勝機だった!もう二度目は無いぞ!」
男は自分の足を見つめて話す。
「逆だ。俺が鞘から剣を抜くまでがお前達の唯一の勝機だった。もう勝ち目は無い」
盗賊は矢を射る。
「なめんな!!」
男は矢の起動を見ることもなく剣を振るい、矢を払った。
盗賊は慌てて矢をつがえて構える。
しかし、男は盗賊の目の前にもう迫っていた。
男は盗賊の手を掴み背負い投げた。
そして、酒場で盗んだ酒を飲みその場を去った。
~☆~
アベルの酒場にそれはそれはデカイ男が入ってきた。
すると周囲の腕っ節自慢の傭兵達が頭を下げた。
彼の名前はアルバート、ここら一帯の盗賊達の大将である。
その腕っ節はオークと呼ばれていて、ここら周辺の警備隊は彼を恐れて身を隠す程である。
アルバートはアベルの目の前に迫って、髭面の顔を近づけた。
「娘を借りていくぞ」
アベルは首を横に降る。
「それだけは首を縦に振ることはできないな」
アベルは惚けた顔で頬をかいた。
「そうか。命が惜しくないのか豚野郎!」
その言葉を聞いた瞬間、アベルは隠し持っているナイフを抜きアルバートの胸に突き刺した。
ナイフがへし折れる。
アルバートは自分の衣服を引きちぎると、中から分厚い鉄の鎧が姿を表した。
「ハハッ!そんな果物ナイフが効くかよ!」
アルバートは体重80キロは優に超えるアベルを片手で軽々と持ち上げる。
「俺の自慢の腕力にかかればお前なんて!紙切れのように軽いぜ!」
アルバートはアベルを数メートル先の机に投げ飛ばした。
すると、 正義感の強い傭兵が数人立ち上がった。
「好き勝手しやがって!」
傭兵が剣を抜き、アルバートに襲いかかった。
アルバートは近くにあった椅子を掴み、椅子を振り回して4~5人の傭兵を皆壁に叩きつけた。
アルバートは仲間の盗賊を呼ぶとエリカをさらい、そのまま笑いながら酒場を去った。
~☆~
盗賊達が街中を走り回り、話を触れ回った。
話の内容はこうだ。
頭を垂れる戦士が日が暮れるまでに広場に来なければ、酒場のガキが死ぬ。
話を触れ回っている盗賊の前に、頭を垂れたあの男が現れた。
「大変な事になってるな」
盗賊はまゆを釣り上げる。
「 あぁん?人の目を見て話せよ」
次の瞬間、盗賊は強烈なアッパーを食らって顎を砕かれた。
「もう伝令はしなくていい。話は聞かせてもらった。休みな」
男は鞘から剣を抜き広場に向かった。
~☆~
広場に男は訪れた。
アルバートは大きな声で笑う。
「思っていたよりも早く来たな」
男は剣を返す。
「来たぞ、ガキを離せ」
アルバートは巨大なバトルアックスを手に持ち、男の前に立ちふさがった。
「地面に向って何言ってんだ?」
男は顔を少し上げて男の斧をみる。
「質が悪い。そんな玩具で俺に勝つつもりか?」
アルバートは斧を振り上げた。
「玩具かどうか試してみな!貴様の剣ごとへし折ってやるよ!」
男は振り落とされる斧の刃を真っ二つに切り捨てた。
アルバートは目を疑った。
ばかな!バトルアックスだぞ!?
男はアルバートの顔面を力いっぱい拳で殴る。
アルバートの鼻が折れて鼻血がでた。
しかし、アルバートは男を掴んで持ち上げて数メートル先までぶん投げた。
アルバートは鼻血を腕で拭う。
「驚きはしたが、剣を使わなきゃそんな攻撃効かないぜ?」
男はふらふらと立ち上がる。
アルバートは立ち上がった男の目の前に迫って腕を振り落とす。
男は片手で受け止めるが、ブロックは通用せず地面に叩きつけられる。
アルバートは男の肩を掴み、軽々と持ち上げて腹をぶん殴った。
男は吐瀉物を撒き散らす。
「大したことはねえな」
アルバートは男を地面に叩きつけた。
男は白目を向き、ヒクヒクと身体を痙攣させた。
アルバートは仲間からサーベルを受け取る。
「わりぃが死んでもらうぜ!俺様のメンツが立たないんでな!!」
アルバートがサーベルを振り上げた瞬間だった。
男はアルバートの脛を切りつけ、そしてバランスを崩した時を狙って、顔に砂が入った袋を投げつけた。
アルバートはサーベルを振り落としたが空をきり、地面にあたってサーベルがへし折れる。
アルバートはそのまま肩膝をつく。
アルバートは鎧ごと断ち切られて、すねに切り傷が入った。
さらに目に砂が入って前がかすむ。
「きたねえぞ!!」
男はアルバートの肩を切りつけて鎧の下の肉に切り傷を覆わせる。
「殺し合いに汚いも糞もあるか!1回でも負けたなら死ぬのだから!てかお前盗賊だろ!汚い手を使わないでどうするんだよ!」
アルバートは立ち上がり、両手を振りあげた。
「うろああああ!!」
男は剣を振り落とすアルバートの鎧は断ち切られて胸に斜めの切り傷が入った。
アルバートは肩を震わせる。
「何故・・・」
アルバートは両腕を振り落とした。
「何故、殺さん!!」
男はアルバートの横に回り込み、足を払い頭に手を乗せて地面にアルバートの勢いを殺さずに叩きつけた。
「お前を殺せば奴らのタカが外れてあのガキは殺される、そんな結果だけはゴメンだ」
アルバートはのっそりと立ち上がった。
これには少し男は驚いた。
「どれだけタフなんだ・・・」
アルバートは血の混じったタンを地面に吐き捨てた。
「おい、野郎ども、ガキを離せ」
盗賊達は顔を見合わせる。
アルバートは眉間にシワを避せた。
「俺の言うことが聞けんのか!?」
盗賊達は慌ててガキを離す。
アルバートは地面に手をつく。
広場の床は石畳になっているのだが、周りの石が盛り上がり、アルバートの手がどんどん地面にめり込んでいく、腕力だけで地面を掘らずに地面の中に手を押し込んでいるのだ。
石畳は大いに盛り上がり地面はぼこぼこになった。
アルバートは手を引っこ抜いて男を睨みつけた。
「よく見りゃ、白刃の王じゃねえか。」
アルバートは地面のブロック上の石を持ち上げる。
「白刃の王、またの名をスチールポルカ、その身は一振りの鋼だとか…」
アルバートはポルカに石を投げつけた。
ポルカは体を少し反らして石を避ける。
「ガキは離したぞ、見せてみろよ、白刃の王の力を!!」
ポルカは剣を下ろした。
「お前ほどの男が何で盗賊なんかに・・・」
アルバートは石を手に取ってポルカに襲いかかった。
「剣を下ろすな!!」
ポルカは剣を鞘に戻しつつアルバートの攻撃を少し後ろに下がって避けた。
「残念だが、差し違えてやる事は出来ない」
ポルカは足を真っ直ぐ天に伸ばして、アルバートの顎を蹴りあげた。
アルバートは構わず腕を横に振り回す、ポルカは姿勢を相手の腰よりも低く保ち腕を避けた。
「しかし、白刃の王のその意味をその身を持って教えてやろう」
ポルカはアルバートの金的に縦拳を叩き込む、アルバートは流石に一瞬動きが止まる。
ポルカは立ち上がりながらアルバートの溝にブローを入れた。
ドスッと音をたてて拳がアルバートの腹に突き刺さる。
そのままポルカは足を持ち上げてアルバートに踵落としをかける。
「この俺が避けるだと!?」
アルバートは身体を背けて踵落としを避けた。
アルバートの額から顎にかけて縦一線に切り傷が入った。
「な、暗器!?」
ポルカはフックを放つ。
アルバートは一歩引き下がりフックを避けた。
アルバートの首に切り傷が入る。
アルバートは慌てて首を抑える、傷は浅い。
ポルカはアルバートの溝に後ろ蹴りを打ち込んだ。
「この身全てが鋼、一振りの刃だ!!」
アルバートは白目を向き、両膝をつく。
「てめえ、またも手を抜いたな!!」
アルバートは白目を向いたまま、再び立ち上がり、ポルカの胸に手を当てた。
「やる気がねえんなら、俺には勝てねえぜ!!」
アルバートはポルカを突き飛ばした 。
ポルカは数メートル吹き飛び、地面を転がった。
アルバートは肩膝をつく。
「そうか、錆び付いたのか白刃の王は・・・」
アルバートは石を拾った。
ポルカは鞘から剣を抜いた。
アルバートは立ち上がり、ポルカはアルバートに飛びかかる。
「殺し合いじゃ、ねえのかよ!!」
ポルカは投げつけられた石を剣で受け流す。
ポルカの剣から金属で金属を叩いた高音と火花が散った。
「ハッカペル!!」
ポルカの振り落とした剣はアルバートの頭の上で止まった。
「6回だ、これを入れて貴様を6回は殺せてる」
アルバートは剣を鞘に収めた。
「ガキの目の前では出来れば殺しはしたくない」
流石に騒ぎを聞きつけて警備隊がやってきた。
ポルカは急いでエリカの手を引き、その場を逃げ出した。