ポルカ〜剣の王の伝説〜 作:ガラスのハート
その後ポルカは逃走途中に倒れて、助けに来たアベルにつかまり、踊る子羊亭に匿われた。
ポルカは虚ろな目で床に伏せた、アベルは涙するばかりだった。
「こんなになってまで、娘を助けてもらい盗賊から守ってもらって申し訳ない」
エリカは相変わらず眉間にシワを寄せていた。
「私の目の前だからって、こいつが手を抜いて戦うからよ!!」
アベルはエリカが叱る。
「それが恩人に対する態度か!」
エリカは大声を上げた。
「恩人どころか疫病神よ!!」
アベルが肩を震わせるとポルカはくすっと笑った。
「疫病神か、言えてる・・・」
アベルは慌ててポルカを抑える。
「あんたはじゅうしょうなんだ、肋が折れている、変に動いて内蔵に刺さりでもしたら大変だ」
ポルカはアベルを押し避けて立ち上がる。
「肋の一本二本でギャアギャアと喚くな」
ポルカは出口で立ちどまり、少しふりかえる。
「世話になった」
アベルがポルカを指さした。
「そんな体でどこに行こうと言うのだ!」
ポルカはクスクスと笑った。
「どっかさ」
~☆~
ポルカは街の外に向かう。
すると、エリカが追いかけてきた。
「まって、街を出るつもり? 」
ポルカは足を止めてエリカに振り返る。
「見れば分かるだろ、疫病神はただ去るのみだ」
エリカは眉間にシワを寄せた。
「相変わらず腹立つね、喋ったと思えば皮肉しか言えないの!?」
ポルカは地面に座り込んだ。
「何で俺を呼び止める、俺を見る度に眉間にシワを寄せるくせに」
エリカは顔をそらす。
「あたしのせいで街を出ていったなら、後味が悪いじゃない」
ポルカは立ち上がってエリカに背を向けた。
「安心しな、此処には探し物が無かった、それだけの事だ」
エリカがため息をついた。
「探し物・・・」
ポルカは今一度だけ、エリカに笑顔を向ける。
「カーリナと言う可愛らしい花だ」
エリカは道ばたに咲く、エリカの花に目をやった。
「花なら、咲いてるけど?」
その瞬間、大きな怒声が響き渡る。
「小娘、邪魔だ!!」
アルバートがエリカめがけて巨大な大剣を振り落とした。
ポルカはエリカを突き飛ばして、変わりに大剣を受けた。
剣がポルカの肩にくいこみ骨を切り裂いた。
それでも運が良くて肩は切断されずにすみ、深いが五体を失う程の致命傷は避けた。
ポルカは鞘から剣を抜き、鞘を地面に捨てた。
いつの間に酒場から盗んでいた酒を傷口にドバドバと引っ掛ける 。
ポルカは酒便を地面に投げつけてたたき割って、地面を睨みつけた。
「エリカ、これ以上は無理だ、責めてもの耳を塞ぎ目を瞑っていてくれ」
ポルカの肩と唇が震えている。
「アルバート、このクズ野郎め!」
アルバートは手招きする。
「やっと、やる気になったようだな、白刃の王!」
アルバートは大剣を振り落とす、ポルカはそれを剣で受けとめて踏ん張った。
ポルカは俯いまま、大剣をグイグイと押し返す。
「ダマスカス銅の大剣か、ちゃんと精霊の宿るような剣も持っているじゃないか!」
アルバートはポルカを一気に押し返して振り払う、ポルカはたたらを踏みながら後ろにさがる。
「久しぶりなんだよ、俺を本気にさせる相手にでくわしたのは!!」
ポルカは再びアルバートに斬りかかる。
ポルカは剣を縦一線に振り落とす。
アルバートはそれを腕で受け止めた、剣は腕にくいこむと全く動かなかくなった。
ポルカは剣を引き抜こうと力を込めるが剣はびくともしない。
アルバートはポルカの顔面を殴って吹っ飛ばした。
ポルカは壁の近くの地面に倒れる。
アルバートは追い打ちで大剣を振り落とす。
ポルカは地面を転がって剣を避ける、大剣は壁にあたるが壁を引き裂き地面に到達した。
ポルカはアルバートの足を切りつける。
アルバートは片足を上げて剣を避けてポルカを蹴っ飛ばした。
「なんだ、期待はずれか、この程度なら国も滅ぶわな!!」
ポルカは口から流れる血を袖でぬぐい頭を上げてアルバートを睨みつけた。
アルバートはポルカをにらみ返す。
「ちゃんと目は見えるのか、どちらにせよ、お前やお前の国の軟弱な兵士では俺には勝てん!!」
ポルカは剣を上段に構えた。
「貴様、俺だけならともかく我が祖国をもバカにするか!!」
アルバートは笑い飛ばした。
「その祖国は今は何処にある!?」
ポルカは大きく一歩を踏み出した。
アルバートは大剣を力任せに横に振った。
「この、一振りで人を7人馬を2頭まとめて切り捨てたのがオークの所以よ!!」
ポルカは大剣を剣で受け流した。
火花を散らし、アルバートは大剣を振り切る無防備になった。
「ハッカペル!!」
しかし、アルバートは大剣の勢いを全て腕力で殺して大剣でブロックする。
ポルカの剣の起動は蛇のように動き、アルバートのブロックを避けて、首に剣が触れた。
アルバートの真横にはいつの間にかポルカがいて、首にはその白刃がピタリとひっついていた。
ポルカは鬼の様な形相でアルバートを睨んでいたが斬るのは躊躇った。
「この剣は王女の眠る、祖国の為に・・・」
ポルカは剣を下ろした。
「殺しをするための剣では無い、護る為の剣だ」
ポルカは目線をエリカに向ける。
エリカは目を開き、こちらを震えながら見つめていた。
「だから、耳を塞ぎ目を閉じろと言ったのだ」
ポルカは鞘を取りに向かう。
アルバートは大剣を背負った。
「牙の抜けた狼とやりあってもつまらん、きょうがそがれた」
アルバートはポルカが鞘をとる前にその場をさってしまった。
雪がふりはじめる。
気がつけば日はくれて青色の月がのぞき込んでいた。
エリカはポルカに声をかけようとする。
ポルカはその前に黙って街を出ていってしまった。