ポルカ〜剣の王の伝説〜 作:ガラスのハート
第8話
ポルカは道の真ん中でお酒を飲み遠い祖国を思いやった。
青色の月がポルカを照らす。
ポルカは連れて歩いている馬を撫でた。
馬はプルルと震えた。
アルバートが退屈そうにポルカに話しかけた。
「本当に良かったのかよ・・・」
ポルカはアルバートのヒゲを1本引き抜いてやった、アルバートは痛そうに顎を抑えた。
「何が正解なのか斬り過ぎてわからなくなった、お前の遊びに付き合ってやったんだからお前も俺に付き合えよ」
想像以上に心を許した相手に対し、我侭なポルカにアルバートは苦笑いを浮かべた。
しかし、相変わらずポルカは俯いて会話をする。
これはきっと、彼の性分何だろう。
アルバートはため息をつきながらも、笑顔になるのだった。
「忙しくなるな・・・」
ポルカはアルバートを連れて踊る子羊亭に向かうのだった。
~☆~
踊る子羊亭では今度、花の街で開催される大規模な武芸会での話でもちきりだった。
アルバートはポルカの肩を叩いた。
「儲け時だぜ、俺達の実力ならぼろ儲けだ」
ポルカは首を横に降った。
「富など興味がない、それぐらいなら綺麗な泉の前で木々に囲まれてゆったりとしたいものだ」
奥からアベルが大慌てでやってきて目を丸くする。
「白刃の王が帰ってきたと聞いて驚いたが、白刃の王がオークと良くしていて更に驚いた」
エリカはアルバートとポルカには、いい思い出がないので奥から出てこない。
ポルカは事情をアベルに説明しつつも、エリカからの嫌われ用に肩を落とした。
アルバートがアベルに話を持ちかけた。
「なあ、この店を改装しようとは思わないのか?」
アベルは首を横に降った。
「お前が暴れたから修理代がかかっちまって、そこらじゅうガタが来てるのに改装する為の金が使えなくなっちまったじゃないか」
アルバートはアベルの顔に顔を近づけた。
「悪いと思ってな、今度の武芸会でポルカと一稼ぎしたお金をこちらに山分け使用と思っているんだ」
ポルカはアルバートを睨みつける。
アルバートはポルカの耳元で囁いた。
「この店を改装したいと言い出したのはエリカなんだ、その話が色々とあったせいでとんじまってエリカの機嫌が悪くなってしまったんだ」
「それに、今こそエリカに良いところを見せるチャンスだぞ、アベルにも恩を売っとけばエリカにも好印象を与えやすくなる、エリカと仲良くしたいんだろ?」
ポルカは静かにうなづいた。
アルバートはポルカの説得に成功したが、少し複雑だったので聞こえない声で呟いた。
「やっぱ、こいつ少女偏愛だわ・・・」
~☆~
会場はにぎわっている。
色々な戦士達があつまっている。
莫大な賞金を目指すもの強者を求めているもの自分の力を誇示するため来たもの。
しかし、全ての者が一斉に振り返る。
「白刃の王だ!」
すべての視線は地上最強の剣士に向けられていた。
その中で人混みをかき分けて現れた者がいる。
井川とアルビダだ。
井川は笑顔でポルカの前に立つ。
「お主も出るので御座るか!!」
アルビダも笑顔でポルカを迎える。
「この前のようにはいかないよ!!」
ポルカは軽くうなづいて返事を返した。
アルバートはアルビダと井川を見下した。
「その前に俺を倒してみな、東洋人と海の蛮族めが!」
井川とアルビダはアルバートを睨みつける。
アルバートはそんな2人を嘲笑った。
周りの兵士達が宙を舞った。
ポルカはその先を睨みつけた。
二人の男がこっちを見てる。
「アレキサンダー、暴れるなと言っただろ」
「うるせえよ、イワン!」
ポルカはイワンの名前に拳に力が入った。
ブラックスノーの二人の戦士がこちらを見ている。
片っぽはちびっこい、もう片っぽは良くも悪くも普通の背格好だった。
そして二人共、まだ若い。
ちびっこい奴は鬼のような形相でこちらを見ているのに対してもうひとりの男は冷ややかな目でこっちを見ている。
ちびっこい男は井川の目の前に行き、胸ぐらを掴んだ。
「てめえが東洋のサムライか、俺は雷獣の息子アレキサンダー2世だ」
アレキサンダーは井川を軽く突き離す、井川は軽々と1m飛び尻餅をついた。
「続きは死合で会おうや、それまで負けるんじゃねえぞ!」
今度はイワンがポルカの目の前に移動して、軽く頭を下げた。
「私はイワンの息子のイワン2世でございます」
「父がお世話になりました、是非とも御礼を返したいので貴方が負ける事は無いとは思いますが、試合で合いましょう」
イワンは頭を上げる。冷ややかな表情の奥には、物凄い殺意を感じ取れた。
「私もあなたと死合うまでは負けない様に努力するので・・・」
ブラックスノーの、二人の戦士は去っていく。
ポルカはため息をついた。
「難しい事をこの試合に出る奴はどいつもこいつも命知らずの強者達だ、白刃の王などと俺はもてはやされているが俺はそんな大層な物ではない」
~☆~
最初の試合が決まった。
あのアレキサンダーとオリバと言うベルセルクだ。
フィールドに虎の皮を被った男が片手に斧を握って現れる。
ベルセルクは勇敢だ。狂戦士を見つけたら逃げた方がいい、奴らの斧は骨を砕き、その命尽きるまで目に映るもの全てを破壊しつくす。
オリバは会場に響き渡る声で遠吠えを上げる。
そこにちびっこい、アレキサンダーが自分とは不釣り合いなハルバードを担いで現れた。
試合が始まる前にベルセルクはアレキサンダーに襲いかかった。
ベルセルクは非常に危険で野蛮である、奇襲をかけるなど珍しいことでは無い。
アレキサンダーは大慌てで後ろにさがり、ベルセルクの斧を避ける。
しかし、次の1振りが体制を崩したェアレキサンダーに避けきれず横っ腹に斧が突き刺さった。
この試合はルールという物が無いに等しい。
あるといえば相手が動けなくなるか負けを認めるかをすれば勝者と敗者が決まる事と1体1の戦いということだけだ。
アルバートがため息をつく。
「何だ、あのチビスケもうおしまいか」
ベルセルクの斧が止まる。
アレキサンダーはベルセルクの腕を握りしめていた。
「調子にのんな、糞野郎が!!」
アレキサンダーはベルセルクの顔面に頭突きを食らわせる、ベルセルクの鼻が折れて前歯も折れる。
そのままベルセルクの顔面を殴り飛ばした。
ベルセルクは観客席まで吹っ飛び白目を向いて泡を吹いた。
イワンがいつの間にかアルバートの隣にいる。
「オーク、あいつがなんて呼ばれているか知ってるか?」
アレキサンダーは中指を立てる。
「ギガントスレイヤーだよ」
アルバートは笑みを浮かべる。
「そいつは楽しみが増えた」
~☆~
次の試合はポルカだった。
ポルカは控え室で剣を磨いている。
皆がポルカの試合に期待を寄せていた。
ポルカは剣を見つめた。
「この剣は祖国の為の剣、このような私闘に使うのはやはり・・・」
ポルカは口を紡ぐ。
「祖国は取り戻した、この剣で・・・」
ポルカは剣を優しく布の上に置いた。
「俺はどうすれば良いのか」
女性の声が聞こえる。
「それを振り回すことしかアンタには出来ないでしょ」
ポルカは声の方に振り返る、エリカがポルカを睨みつけていた。
「それ以外アンタには何も期待出来ないんだから悩まず振り回しなさい、その身が一振りの鋼なんでしょ、錆びるわよ?」
ポルカは唖然としていた。
「何でこんな血なまぐさい所に来てるんだ」
エリカはキョトンとしていた。
「何でって、アンタが家の改装費稼ぎたいと言うから応援しに来たんじゃない、それじゃお父さんが探してるだろうからもう行くね」
エリカは控え室をでる。
ポルカは剣を拾い上げた。
「強くならねば・・・」