「……やっぱ、西木野家って豪邸だよな……」
西木野家は、一般邸の3倍はあろうかという大きさだ。やっぱ、何度見ても慣れない。
まあ、立ち尽くすだけでは意味が無いので、俺がインターフォンを押す。何で、こんなに簡単に押せるかって?そりゃ、西木野病院の人と知り合いだからだ。
『はい、どちら様でしょうか?』
この声は、麻里さんだ。俺の主治医だった人でもある。
「こ、こんにちは。真姫さんと同じクラスの小泉花陽です。え、えっと、忘れ物を届けに来ました」
「その付添の、後藤翔太です。ご無沙汰してます」
『あら、後藤君も居るの。ちょっと待っててね』
通話が切れると、ガシャン!と音が響き、目の前の門が自動で上がっていく。自動ドアならぬ、自動門(俺命名)である。……てか、幾らかかってるのよ。この門。
「……庶民と比べるとスケールが違うね」
「そ、そうですね。見た事ありません……」
まあそういう事で、俺と小泉は門を潜り歩き出す。家と思われる豪邸に到着し、俺がインターフォンを押すと、女性が出迎えてくれた。西木野真姫の母親、西木野麻里さんだ。
「いらっしゃい。よかったら上がっていって」
マジか。簡単に上げていいものなの?まあ、お言葉に甘えますか。
麻里さんの案内の元、俺と小泉はリビングに通された。てか、ここの部屋の内装だけで幾らよ。んで、ソファに並んで座った。
「真姫は今病院の方に顔を出してて、もう少しで帰ってくると思うからここで待ってて」
「了解っス」
「わ、わかりました」
そう言って、麻里さんは部屋を後にした。
「後藤先輩は、西木野さんのお母さんとお知り合いだったんですか?」
「まあそうだ。俺、編入前に西木野病院に入院してたんだよ」
「な、なるほど」
何があったの?と突っ込まない辺り、小泉は引き際を弁えてるのかも。いやまあ、聞かれた答えたけどさ。
「……お客さんって誰……って、あなたたち」
話をしていると、西木野さんが帰って来た。リビングに顔を出すと、彼女は、俺と小泉を見て目を丸くした。
「悪いな。勝手にお邪魔しちゃって」
「別に構ないけど……どうしたの?」
今度は、小泉が目を丸くした。西木野さん、俺に敬語じゃないし。
「西木野さん、これ……!」
小泉は、反対側のソファに座った西木野さんに生徒手帳を差し出し、彼女はそれを受け取った。
「私の生徒手帳……?ありがとう、何処にあったの?」
「1階の掲示板の所に落ちてたよ!……スクールアイドルの張り紙見てたんだよね?」
「なっ……!ち、違うわよ。偶々通りかかっただけよ!」
「でも、張り紙の下に落ちてたよ?」
「あ、あれは……!」
西木野さんは立ち上がると、勢い余って、テーブルに片膝を当て、背中から倒れる。……つーか、ソファも一緒に倒れてるし。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
気を取り直して、もう1度対面で座る。
「んで、西木野真姫さん。アイドルに興味あんのか?」
「………………興味、ないわよ」
なんつーか、結構な間があったんだけど。これは脈ありか?
「……ライブの時、かなり楽しそうに見えたんだけど」
「――――ッ!?そ、それは、私の作曲した曲が、どんな風に使われるか確認しに行っただけよ!」
「……そうか。でもな――」
俺は言葉を重ねる。
「――――心の奥底では、スクールアイドルをやりたっいって言ってる気がするんだけど?」
俺のこの質問は、半信半疑でもある。俺が、雰囲気で感じ取っただけであるからだ。
だが、西木野さんは両手を握り締める。
「……私知ってるよ。西木野さん、1度だけライブの曲、START:DASH!!を歌ってた……よね?アイドルに興味が無いなら、あの歌は歌わないと思うよ」
……これはビックリである。小泉の援護射撃だ。これはマジで、彼女の本心が聞けるかもな。――――そして、俺と小泉の言葉は、西木野さんには効果が抜群だった。
「─────あなたたちに私の何が解るのっ!」
彼女の言葉は、もの凄く重みを感じた。そして、俺も小泉も口を閉ざしてしまう。
「私の気も知らないで……勝手なこと言わないでよ……!私だって―――」
「…………なあ、西木野真姫さん。やりたいなら、やればいいじゃんか。俺はな、皆、そうやって前に進むんだと思ってるんだよ。てか、そうやって道を切り開いてる奴を知ってるしな」
まあ、天然も混じってアホっぽいけど。でも、あいつは、不思議と人を引き付ける何かがあると思う。彼女は、本音を呟いていく。
「……私が西木野病院の娘である限り、将来は病院を継ぐって決まってるの。だから、大学の医学部に進学して、勉強をしないといけない。――もう、私の音楽は終わってるの。スクールアイドルをやってる暇なんてないのよ」
「へぇ、偉いんだな。てか、どっちもやれば万事解決じゃね?もう、迷わなくていいし」
「……貴方はバカなの?医学の勉強とスクールアイドル。その2つの両立なんて無理に決まってる……」
「……うっ、かなりストレートに言うんだな。もっとオブラートに包んで言ってくれ……」
俺は、小泉に顔を向ける。
「つーか、小泉どうするんだ?アイドルに興味があるんだろ?いやまあ、学校でも聞いたけどさ」
行き成り矛先を向けられ、小泉はあたふたする。
「え、私は……鈍臭いし、声も小さいし、まだアイドルには――――」
「いやいや、俺が聞いてるのは、アイドルには興味があるのかって事だよ」
「そ、それは……。―――興味は……ありますけど……」
俺は頭を掻く。
「だ――ッ!2人とも素直になれって!そうすれば、全部上手くいくと思うぞ!いや、俺の勘も混じってるんだけどな!てか、お前らは
……うん、お前は何様だ。って感じだよな。つーか、これまでを振り返ると、俺ってナルシスト発言をしてるよね。ヤバイ、かなり恥ずかしんだが……。
「……偉そうな事言ってごめんなさい………。てかあれだ。今すぐ俺の発言を全て忘却させるんだ。俺、羞恥に駆られちゃうからね。いや、もう駆られてるけどさ……」
ダレカタスケテ~!って感じでもある。
うん、顔が真っ赤になってるだろうし。
「「…………ぷ」」
行き成り、吹き出す後輩たち。いや、何で?
「……ふふ、あんたって面白い人ね。考えてみるわ、さっきの発言」
「……ほ、本当に先輩は面白いです。深く考えてた自分がバカらしくなってきました」
「……笑いながら言う事なくね。俺、かなり恥ずかしんだけど……いや、マジで」
さっきのシリアス感は何処行った。完全にシリアスブレイクじゃん。
このままだと悶絶してしまうので、
「そ、そろそろお暇しようかな。長居すると悪いしね」
「わ、私もお暇します」
「そう。わかったわ。――――先輩、ありがとうございます」
後半の言葉は、俺に聞こえる事はなかった。
鞄を持ち部屋を出ると、麻里さんに遭遇した。
「あら、帰るの?」
「え、ええ。あの場に居たら俺が持たないと思ったので」
麻里さんは、にっこり笑った。
「そう。でも、ありがとう。あの子の道が増えたわ。……あの子、音楽が大好きなのに、家では触れる事はなかったから」
「そうですか。力になれたなら幸いですけど」
「きっと力になったわ。そこの子にもね」
麻里さんの視線が、小泉に向き、小泉は体を縮めていた。
そういう事があり、俺と小泉は西木野家を後にした。歩道を歩き辺りを見渡すと、既に暗くなりかけており、僅かに夜風が冷える。
「……あ、あの先輩。ありがとうございます。わ、私――」
「ストップ!それは俺に言ったらいけないぞ。俺は、お手伝いしてるだけだからな。明日の放課後、屋上で待ってると思うから、あいつらは」
「はい!わかりました!必ず行きます!」
さてさて、星空は小泉たちに任せるとして、後は、西木野さんの答えだよなぁ。良い答えが聞ければいいけど。
それから、小泉を送ってから、俺は帰路に着いた。
凛ちゃんは、竜也君が説得してるスタイルを取ってますね。
てか、小説書くのって難しいね(^_^;)
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