「スクールアイドル?」
「にこ先輩が?」
放課後の中庭、そこでμ’sメンバーはにこ先輩の過去を東條先輩から聞いていた。
その話に、誰もが耳を傾けている。
「1年生の頃やったかなあ。同じ学年の子と結成してたんよ」
“してた”という事は、解散したという事だ。
もし解散してないなら、俺たちが部室に訪れた時『私たちとμ’sでどっちが真のアイドルに相応しいか勝負よ!』って言ってるはずだ。いやまあ、たぶんだけど。
「……てことは、にこ先輩以外のメンバーが辞めていったんですか?」
「そうや、アイドルとしての目標が高すぎたんやろうね」
……てかおかしくないか?アイドルとしての目標が高かったから辞める?……俺の偏見だったらアレだが、どんな部活も、高みを目指して活動してんじゃないのか?……何それ、イミワカンナイ。って感じだわ。
「着いていけないって1人辞め、2人辞めて――」
俺たちμ’sは静かに東條先輩の話を最後まで聞き、そして東條先輩は、『ほな、頑張ってな』と言って生徒会室に戻って行った。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
「私たちもすぐに解散するって思ってるんでしょうね。さっき部室で言ってたように」
赤髪をクルクルと人差し指で回しながら、真姫が呟く。
凛は納得いかない感じで、頬を膨らませる。
「でも、凛たちはアイドルを辞める気はないにゃ!」
「そうだけど。にこ先輩が私たちの言葉を素直に受け入れてくれるのとは、別問題でしょ」
「うぅ……。難しい問題だね……」
花陽は、頭を抱えている。
そんな時、穂乃果が、
「でもさ、にこ先輩はスクールアイドルに興味……ううん、μ’sに興味を持ってくれてたんだよね?」
穂乃果の言う通りだと思う。これを違う視点から見ると、μ’sを見ていてくれたという事でもあるのだ。って、さっき俺が部室で言ったけ?まあ気にしないでおこう。
「先程の話を聞く限り、そうだと思います」
「んー、それは分かったけど、今後どうする?」
考え込む、海未とことり。つーか、穂乃果がかなり唸ってるし。まあ、こいつが考えてる事は、幼馴染たちはすぐに解ったと思うけど。
「……穂乃果。アレを考えてるのか……」
「もち。何でわかったのさ」
俺はまあ、この案に賛成である。
だが、俺と穂乃果たちだけでは実行する事は不可能だ。これには、メンバーの力が必要になる。
「んで、翔太。オレたちにも教えてくれよ」
「ん、ああ。いいぞ」
俺はメンバーに、その計画の内容を説明した。それを聞いたメンバーは『結構強引だね』って思ってたに違いない。いやまあ、多少はそうなのかもしれんが。
「どうだ?手伝ってくれるか?」
「それしかない気もするけど……あんたたちって、結構無茶苦茶ね」
「でも、凛は賛成だにゃ!」
「わ、私も賛成です!」
このように賛成意見をもらい、明日の放課後作戦を決行する事になった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
~放課後~
現在俺は、アイドル研究部の扉の横の壁に体を預けていた。
そして、俺が待っていた人物が到着した。
「あ、あんた!?」
「どうもです。にこ先輩」
俺は笑みを浮かべる。
「……昨日みたいな、合併の話ではないようね」
「そうです。にこ先輩には、是非来て頂きたい場所がありまして」
「……それは何処よ?」
「それは着いてからのお楽しみですよ。んで、どうします?」
「……あんた、挑発的なものいいね。いいわ。着いていってあげようじゃない」
俺は、『こっちです』と言ってから、移動を始める。目的の場所は、μ’sがいつも練習に使っている屋上だ。
そして、にこ先輩を連れて屋上の扉を開いた。――そこには、竜也に指摘を受けながら、一心不乱に練習してるμ’sメンバーが映る。――――そして、皆笑顔だ。
「……実は、東條先輩からにこ先輩の過去を聞いたんです」
「……もう、過去の事よ。気にしてないわ」
にこ先輩は、顔を俯ける。
「本当に後悔はないんですか?にこ先輩は大のアイドル好きだと思ってます。やはり、過去の経験が足を引っ張ってるように――――」
「……煩いわね!そうよ!その通りよ!私はあの時の事を引きずっているわ!あの日が鮮明に思い出せるくらいね!私はこんなに辛い思いをしているのに、あんたらはいつも楽しそうに活動して、毎日アイドルの事、曲に合わせたダンスの振り付け、最後の反省点まで話し合っちゃって!わ、私だってそんな事したかったわよ!……そう、私が欲しかった場所がμ’sにはあった!…………私はあんたたちに嫉妬してたのよ!だからこそ興味があった!……あんたちが羨ましかったのよ!」
にこ先輩は叫ぶように、自身の気持ちを漏洩していった。
「あ……い、今のは違うわ……。私の気持ちじゃない……」
いやいや、マジ叫びだったから誤魔化しは無理ですよ、にこ先輩。
「誤魔化さなくて大丈夫です。今から彼女たちの覚悟を見てやってください」
てか、第一段階クリアって所だな。
ここからは、穂乃果たちのターンである。
「にこ先輩。私たちのダンスを見てください!――――竜君。曲をお願い!」
披露するダンスは、次回のライブで歌う曲でもある。もちろん、作曲は真姫で作詞は海未。でもまあ、俺もちょっとだけ作詞を齧らせてもらったけど。
それから、竜也がノートパソコンに入れたCDから曲を流し、それに呼応するようにダンスを舞う穂乃果たち。にこ先輩は、真剣な眼差しでそれを見ていた。
――――そして、曲が終わり、穂乃果たちが動きを止める。
「どうでしたか?私たちのダンス?」
にこ先輩は、重い口を開いた。だが、その顔は晴れやかだった。
「…………何よ。あんたらそのダンスは、できてるのは基礎くらいじゃない。この先やっていけるのか怪しいわね。……――――でも、あの時の言葉が真実と証明する事もできてたわよ」
何とか、にこ先輩の胸に響いてくれたそうだ。
「という事は、にこ先輩から見て改善点は多々あると?」
「そりゃそうよ!私だったらあの時の場面ではね――――いえ、ごめんなさい。メンバーでない私が助言するのは間違えね」
「はい?何言ってんですか。俺が此処ににこ先輩を連れて来たのは、にこ先輩に見てもらう為でもあり、助言をもらう為でもあるんですよ」
「え?それってどういう事?」
「いやいや、そのままの意味ですよ」
俺は穂乃果たちに向き直る。そして、言葉の続きを促す。
「私たちμ’sは、まだまだ足りない部分が多々あります!――――にこ先輩、μ’sに加入して色々とご指導をお願いします!」
それから他のメンバーも『お願いします!』と頭を下げた。これを見て、にこ先輩は目を丸くする。
「…………どうして、そこまで、私を誘おうとするのかしら」
「それは、にこ先輩と輝きたいからです!きっとμ’sは、にこ先輩が加入してくれれば、もっと輝く事ができると思うからです!」
「……私は、μ’sに酷い事をしたわ」
「酷い事なんて、欠片も思っていません!」
「……昨日、勧誘を断ったわ」
「それなら、今日この瞬間誘ったので問題ありません!」
「……解散しろとも言ってたわ」
「μ’sは解散しません!――にこ先輩、一緒に輝きましょう!」
メンバー全員が頭を上げ、右手を差し出す。にこ先輩は、目許に涙を溜めていて、我慢するのがかなり辛そうでもある。
にこ先輩は『ありがとう』と呟いてから、穂乃果の手を取った。
にこ先輩は、穂乃果から手を放し、
「でも、今のあんたらじゃ全然ダメ!いい、アイドルっていうのは、お客さんを笑顔にさせる仕事なの。それをよーく自覚しなさい!いいわね!」
「「「「「「はい!」」」」」」
「それじゃあ、行くわよ。私の後に続きなさい!――にっこにっこにー」
「「「「「「にっこにっこにー」」」」」」
穂乃果たちは、にこ先輩の後に続いた。もちろん、ポーズもだ。
「全然ダメ!もう一回よ!にっこにっにー」
「「「「「「にっこにっこにー」」」」」」
「ほら、部員なんだから、あんたたちもやりなさい!」
「「え?マジッすか?」」
いや、俺たちにまで来るとは、予想外だわ……。
だが、にこ先輩の笑みを見ると、『まあいいか』と思えるのだった。
「早くしなさい!」
一時期はどうなると思ったが、にこ先輩は無事μ’sに加入した。てか、μ’sって9人の女神なんだよね?後2人は誰や? まあ今は考えなくていいか。それから俺たちは、にこ先輩と一緒に『にっこににー』をやった。
そんなμ’sメンバーを、綺麗な夕焼けが照らしていた。
にこもμ'sに加入しましたね。さて、後2人です(#^.^#)
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