ラブライブ!~奇跡を紡ぐ物語~   作:舞翼

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第18話 夕暮れの会話

「今の話、本当ですか!?」

 

 先程の話を聞いて穂乃果が、理事長室に飛び込むように入って行く。

 

「本当に廃校になっちゃうんですか!?」

 

 取り敢えず、話を聞かないと始まらないので、俺も理事長室へ入る。

 

「本当よ」

 

「お願いです!もうちょっとだけ待って下さい!あと1週間、いや、あと2日で何とかしますから!」

 

 いやいや、2日じゃ現実的に考えて無理だぞ。

 まあでも、『すぐに廃校です』って訳は無いので、何か条件的なものがあるはず。

 

「落ちつけ、アホ乃果。すぐに廃校ってわけないだろ?」

 

「そ、そうなんですか?」

 

 理事長は苦笑した。

 

「そう、すぐに廃校ではないわ。オープンキャンパスの結果が悪かったらという話なの」

 

「お、オープンキャンパス?」

 

「ほらあれだ。一般の生徒が見学に来る行事の事だ」

 

 てか、俺と竜也はオープンキャンパスに参加した事は無いんだけどね。途中編入だし。

 

「見学に来た中学生にアンケートをとって、結果が芳しくなかったら廃校にする。そう絢瀬さんに言っていたの」

 

「なぁんだ……すぐに廃校ってわけじゃないんだ」

 

 穂乃果は安心した声を上げるが、

 

「「安心してる場合じゃない(ぞ)(わよ)。オープンキャンパスの結果が悪かったら、そこで本決まりって事(だからな)(よ)」」

 

 おいマジか。絢瀬とほぼ同じようにハモったぞ。ほら、俺も絢瀬も、顔を俯けてるじゃん。ちなみに、オープンキャンパスは2週間後の日曜日である。

 

「うぅ……どうしよう……」

 

「いや、やるしかないだろ。最大限のサポートはするから。だろ?竜也?」

 

「おう。俺たちにできる事は、全部やるつもりだ」

 

 そう、μ’sを支える事。これが、俺と竜也の仕事である。

 そして絢瀬は、理事長の前へ出る。

 

「――――理事長、オープンキャンパス時のイベント内容は、生徒会で提案させていただきます」

 

 絢瀬の瞳から感じるのは、確固たる意思の瞳。

 そして、理事長は折れた。

 

「……止めても聞きそうにないみたいね」

 

 ……てかあれだ。義務感で動いてるように見えるぞ、絢瀬。

 ――――昨日話していた、絢瀬絵里(・・・・)として動いてるようには見えない。

 

「失礼します」

 

 それだけを言って、絢瀬は出て行った。なんつーか、気が重いっていえばいいのか、そんな感じである。

 

「何とかしなくちゃ!」

 

「それより、花陽たちに報告しなくていいのか?」

 

 竜也の言う通りである。1年組に報告しなくては。

 それから、赤点回避の旨を伝え、部室に戻った。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「そんなぁ……」

 

「凛たちは、下級生がいない高校生活なのかにゃ~……」

 

「ま、私はそっちの方が気楽でいいけど」

 

 花陽、凛、真姫と続いた。

 

「――――そんな事、私たちが絶対させないよ。その為にスクールアイドルを結成したんだから!」

 

 穂乃果が、強く宣言する。

 

「――――オープンキャンパスでライブをやろう!それで入学希望者を増やすしかないよ!」

 

「オープンキャンパスでは、部活動紹介があるはずだ。そこが勝負所ってなるな」

 

 μ’sのメンバーは強く頷いた。

 さて、オープンキャンパスに向けて練習である。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「1、2、3、4、5、6、7、8」

 

 屋上に、海未の手拍子と穂乃果の掛け声が響いている。

 俺と竜也は、ドリンクの補充とか。その他諸々の仕事だ。

 

「……よし!みんな完璧!」

 

「これならオープンキャンパスに間に合いそうだね!」

 

 軽く額に浮かぶ汗を拭き、穂乃果、ことりと話し始める。

 まあ確かに、客観的に見たら悪くない動きであるが、あれを“観た”後では、どうしても完成には程遠く思えてしまう。そして、俺が教えられるのは基礎までだ。絢瀬のように教える事は不可能である。

 

「まだです……タイミングがズレています」

 

「海未ちゃん……。分かった、もう1回やろう!」

 

 それから、再び海未がリズムを取り、ダンスを舞う穂乃果たち。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「……なあ翔太。海未さんの表情が暗くないか?」

 

「……まあ、な。あれを観ちゃうと仕方ないさ」

 

 俺は竜也と壁の方へ寄り、皆には声が届かないようにした。

 ――――そして、話始める。

 

「――――実はな」

 

 全てを話終わり、竜也は納得した表情をした。

 

「……なるほどな。そういう事だったのか……」

 

「ああ、俺が絢瀬に教わったのは基礎だけ。だから、皆に伝えられるのも基礎のみ。それ以上の事を教える事はできない」

 

 まあ、今は応用っていえばいいのか。その指導をして貰ってる。

 だが、教えられるレベルには達していない。

 

「……それに、指導できる人も限られてる、か……」

 

 1人1人丁寧に練習すれば、確実に上手くはなる。だが、オープンキャンパスまで時間が足りなすぎる。

 ……短期間でレベルアップするには、絢瀬の力が必要になるが、頼み込んでも、了承してくれるか微妙な所だ。

 

「でも、何で翔太には教えてくれてるんだ?」

 

 まあ確かに、μ’sには否定的なのに、何でお前は?ってなるのは必然だ。

 

「……俺の場合は、友人として。っていう立場で頼んでるからな。まあでも、明日は教えてくれるか微妙な所だけどな」

 

「なんつーか、上手い話だな」

 

「……言うな」

 

 取り敢えず、今日は解散という事になり、各自が屋上を後にした。

 そういう事で、俺はスーパーに向かい、今後の食材を購入する事にした。何で買い物ができるって?それは親戚の叔母さんから振り込みがあったからだ。俺の親が残してくれた遺産かららしいけど。まあ、高校生が高額なお金を持つと荒使いしちゃうしね。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 一度アパートに帰宅し、私服に着替えてから近場のスーパーに向かう。さて、奮発して今日は牛肉でも買おうか。最近、肉食ってなかったし。

 スーパーに到着し、自動ドアを潜り、肉類コーナーへ向かう。最後の牛肉発見!てか、セールで半額、だと……。

 これは買うしかないと手を伸ばすと、

 

「「……あ」」

 

 はい、同じタイミングで肉のトレイを触りました。

 そして、その人物を見ると、マジか……。的な感じになってしまったよ……。

 

「あ……絢瀬……」

 

「ご……後藤、君……」

 

 うわー、これはちょっとタイミングが悪すぎ……。今日は外でもメッチャ不安なんだけど……

 

「え、えーと……どうぞ。俺は、豚肉を買うからさ」

 

「い、いえ。いいわよ。先に触ったのは、後藤君なんだし」

 

「いいって。牛肉を使って何か作るんだろ?亜里沙ちゃんに申し訳ないし」

 

 亜里沙ちゃんの好物は、牛肉でもある。他にもあるんだけどね。

 俺が引かないと悟ったのか、絢瀬は恐る恐る牛肉のトレイを買い物籠に入れた。

 

「……あ、ありがとう」

 

「……い、いや、気にするな」

 

 会話が続かない!学園では理事長に反抗?した生徒会長と、μ’sの今後を話して俺だしなっ!

 

「「……あ、あの……」」

 

 初々しいカップルかっ!って突っ込みたくなるわ!客観的に見たらこの状況は!

 ……何か調子狂うな。いつも通り行こう。

 

「絢瀬は夕食の買い物か?」

 

「今日は、亜里沙のお友達が来るらしいから」

 

 亜里沙ちゃんの友達って、雪穂の事じゃね。てか、前に亜里沙ちゃんが言ってたし。『雪穂は親友なんです』ってね。

 

「……後藤君。今から暇かしら?」

 

「暇だけど。なんかすんのか?」

 

「ええ。音乃木坂学園の生徒の意見も欲しくて。それと、正直な感想が欲しいわ」

 

 話によると、生徒会で提案するオープンキャンパスでのイベント内容らしい。なんつーか、結構気になってたりする。

 てか、今日、穂乃果たちが、電話でダンスについて連絡を取り合うらしい。でもまあ、俺が居なくても大丈夫だろう。つーか、もし、穂乃果たちがダンスの教えを絢瀬に頼みに来たら断られないように、俺から言っとくか。

 

「絢瀬。もしかしたら、明日、穂乃果たちがダンスの教えを請いに来るかもしれない。もし来たら、受けてくれないか?」

 

 絢瀬は暫し沈黙したが、

 

「……ええ、いいわよ。後藤君の教えがどこまで伝わってるか見てみたいしね」

 

「絢瀬に教えてもらった基本はできてるはずだぞ。まあ、俺の視点から見てだけど」

 

 それからは、2人でコーナーを見て回って、買い物をしました。んで、会計をして、俺はアパートに帰り、冷蔵庫に買った物を冷やし、絢瀬の自宅へ向かった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 所変わって、絢瀬の自室にある椅子に座り、俺は絢瀬のスピーチを聞いていた。

 亜里沙ちゃんの友達って、やっぱ雪穂の事だったのね。

 

「ですから、音ノ木坂学院は非常に歴史に満ちた学園であり……」

 

 絢瀬の凜とした声が、部屋に響く。

 つーか、これマジの感想言っていいのか?俺、遠慮なく言うぞ?てか、俺の隣の椅子に座ってる雪穂さん。うたた寝をしてますよね、どう見ても。

 そして雪穂は、後方に倒れそうになり、

 

「わあぁっ!?体重増えたっ!」

 

 ……まあ、こんな寝言を上げて起きたとさ。

 

「……ごめんね、退屈だった?」

 

 絢瀬が雪穂にそう言い、雪穂は首を左右に振る。

 

「い、いいえ!お、面白かったです!後半凄く引きこまれました~。あはは……」

 

 いやいや、どう見ても後半からは寝てたでしょ、君。

 そして、絢瀬の視線が俺に向く。

 

「後藤君はどうだった?」

 

「ああ、正直に言うよ。約束だしな」

 

 俺は一呼吸置く。

 

「正直つまらなかった。確かに、絢瀬のスピーチは完璧だ。音乃木坂学園への想いも伝わるよ。――けどな、それを聞いて、音乃木坂学園に入学しようっていう生徒が居るといえば、答えはほぼNoに近いと思う。なんつーか、音乃木坂学園以外でも、できるスピーチっていえばいいのか、そんな感じだ。……もっと簡単にいえば、堅苦しくて眠くなるだな。オープンキャンパス大成功には、程遠いと思う」

 

「っ……そ、そう。原稿の見直しが必要ね」

 

 俺は溜息を吐く。

 

「……はっきり言うぞ。そのスピーチが、絢瀬が本当にやりたい事か?」

 その時、雪穂の隣に座る亜里沙ちゃんが、

 

「……μ’s」

 

 と、呟く。

 絢瀬は、肩を強張らせる。

 

「お姉ちゃん。音ノ木坂学院のオープンキャンパスでは、μ’sのパフォーマンスじゃダメなのかな?」

 

「そ、それは……ダメ。生徒会長が私物化しちゃたら」

 

「そんな事はないと思うよ。翔太さんがOKを出せば問題ないと思うし。それに翔太さんは、μ’sのリーダーでもあるんだよね」

 

 いや、俺はリーダーじゃないぞ、亜里沙ちゃん。俺はただのお手伝いである。

 まあでも、副リーダー説が上がってるんだよなぁ……。メンバーじゃないのに、何でなん?

 

「……なあ絢瀬。自分の気持ち押し殺すなよ。本当は、やりたいんじゃないか?スクールアイドル」

 

「……あの時言ったでしょ、後藤君。私は音乃木坂学園の生徒会長で、学園を守る義務があるって。お婆様の母校を守らなくてはいけないって。だから、私はやりたい事をやってたらいけない立場なのよ」

 

「いいか絢瀬。答えは一つじゃないんだぞ」

 

 てか、これに似た事を真姫に言ったな。うん。

 

「そ、それはどういう……」

 

「まああれだな。――音乃木坂学園生徒会長、絢瀬絵里。――スクールアイドルの絢瀬絵里。どっちもやればいいんじゃないか?」

 

「ッ…………」

 

 絢瀬は、今の言葉を聞いてどう思ったのだろうか?

 ――だからまあ、

 

「μ’s。いや、彼女たちの姿を見れば答えが出るんじゃないか?」

 

「それにお姉ちゃん。私はね、μ’sを応援してるけど、誰よりもお姉ちゃんの事も応援してるの」

 

「だから絵里さん。来年、音乃木坂学園に入学する私たち為に、より良い学園を創って下さい!」

 

 その後は、俺は雪穂を『穂むら』まで送り、俺はあれだ。肉じゃが余り物を貰ったので、それをご飯のお供にして、夜食を摂ったのであった。




早く、絵里を加入させたいですね。
てか、翔太君と絵里、外ではかなり仲が良いですね(笑)
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