六月下旬の日曜日。今日は、音乃木坂学園オープンキャンパス当日だ。オープンキャンパスのプログラムでの部活動紹介。外に設けられた特設ステージにて、再びμ’sは走り出す。
「――――皆さんこんにちわ!私たちは、音ノ木坂学院スクールアイドル、μ'sです!私たちは、この音ノ木坂学院が大好きです!」
口火を切ったのは穂乃果だった。そして、学園から出ようとした中学生も、ステージに集まり出している。観客は十分。後は、μ’sの想いをぶつけるだけだ。
「――――この学校だから、このメンバーと出会い、この九人が揃ったんだと思います。これからやる曲は、私たちが九人になって初めてできた曲です。私たちの、スタートの曲です!」
俺と竜也は舞台袖に立ち、穂乃果たちを見やる。この曲には、俺の願いを込めてあったりもする。そう、μ’sが新たなスタートを切れるようにと。
「――――それでは聞いて下さい!」
披露する曲名は、
――――僕らのLIVE 君とのLIFE!
曲が始まった。
多くの課題があったダンスも、μ’s全体のレベルも、絵里と希先輩の加入で格段に上がった。その努力の成果を、中学生、いや、オープンキャンパスに訪れたお客さんが心を奪われたかのように、夢中になっている。
――――これが、本来のμ’sの輝きなのかもしれない。この九人なら、奇跡を起こせると思う。
これからも、きっと壁に当たる事もあるだろう。だが九人の女神なら、どんな事も乗り越えられると信じている。
曲が終わり、歓声と拍手が上がる。九人も、全てを出し切った達成感と眩い笑みを浮かべていた。
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ライブが終了し、俺はステージの撤去作業を教員さんたちと一緒になって手伝っていた。μ’sをサポートする俺は当然の事だ。ちなみに、竜也も一緒だ。
「なあ翔太」
「ん?どうした?」
「――――凄かったな、今日のライブ。沢山の想いが詰まってた」
「そうだな。今日の為に、皆、一生懸命練習したんだからな。……まあ俺たちも、スパルタだったけど」
俺は遠い目をして、絵里とのダンスレッスンの振り返る。……てかあれ。皆の練習の二段回は上だよね……。
隣では、竜也もゲッソリしていた。俺と同じく、スパルタ練習を思い出したらしい。
「……絵里さん。容赦なさすぎだろ、あれ」
「……まあ、柵から外れた反動もあったんじゃないか。……たぶんだけど」
そう。今の絵里は、音乃木坂学園生徒会長とスクールアイドルを兼任してる。てか、ここまで来るのに、色々あったよなぁ……。
「翔ちゃん。お疲れ様」
……穂乃果さん。後ろから抱きつかないで、女の子なんだからな。
ともあれ、俺は振り向いた。
「おう、お疲れ。良いライブだったよ。感動した」
「うん、ありがとう」
「穂乃果。離れてくれ。お前は、俺の壁を壊す気なの?」
穂乃果は、『え、どういう意味?』的な感じでキョトン顔だ。……あれだ。純粋すぎるのもなぁ。っ思うぞ。
ともあれ、離れてもらえました。
「んで、皆は?」
「うん、着替えたら手伝いに来るって言ってたよ」
「なるほどな。穂乃果が一番って所か」
「ん、そうだよ。何を手伝おうか?」
手伝う事って言われても、ほぼ終わらせちゃったし。
その時、竜也が何かを閃く。
「全員集まったらさ、新生μ’sの写真撮影でもするか?」
「良いと思うぞ。皆が到着したら撮ろうか」
まあ、俺たちはフレームに入らないけど。メンバーじゃなくて、お手伝いだしね。
それから数分後、μ’sメンバーが校庭に集まった。
「写真撮影するんやって?」
「ハラショー。記録に残しましょう、今日の事を」
「宇宙一、スーパアイドルの出番ね」
希先輩、絵里、にこ先輩と続く。
「写真撮影にゃ!テンション上がるにゃ!」
「り、凛ちゃん。落ち付いて」
「別に、私は如何でもいいけど」
いつも通り、平常運転の一年組。
「しゃ、写真撮影ですか。き、緊張します……」
「海未ちゃん、硬くなりすぎだよぉ」
「でもでも、楽しみだよ!」
二年生組も平常運転だ。てか、ライブの後なのに、皆元気すぎるだろ……。
ともあれ、皆は各自ポーズを取り、
「良いか?はい、チーズ」
俺がシャッターを押し、写真撮影完了である。
終わりにしようと思ったら、穂乃果が頬を膨らます。
「次は、翔ちゃんと竜君も一緒にだよ」
「「は?何で?」」
「だって、μ’sのメンバーじゃなくても、アイドル研究部の部員だもんっ」
確かに、穂乃果が言う事には一理ある。
だけどなぁ……。野郎が映っていいもか?つーか、近場に居る先生を捉まえるな、穂乃果さんや。
「……翔太」
「……そうだな。行くか」
どうやら俺たちは、真ん中に座れという事らしい。んでまぁ、真ん中に座りましたとさ。
各自ポーズを取り、それから先生が、
「じゃあ、撮るよー。はい、チーズ」
カシャとシャッター音が鳴り、写真撮影が完了である。……すぐに印刷してプリントアウトとか、先生、仕事早すぎだから。
「みんな、円陣を組もう」
穂乃果の言葉は、いつも唐突だ。まあそういう事なので、俺たちはこの場から離れようと――、
「翔ちゃんもやるんだよ」
「え、やだよ」
「何でも一回でしょ」
あー、そんな約束したな。今思い出したわ。
俺は息を吐いた。
「……今日だけだからな。竜也も強制な」
「……はあ、こうなると思ったよ」
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「よーしみんな!これからも頑張ろうね!頑張って、廃校を阻止しよう!」
「「「「「「「「うん!」」」」」」」」
穂乃果が右手指をピースの形にして前に突き出す。
それに合わせるように、他のメンバーと、俺たちも合わせる。
「1」
「2」
「3」
「4」
「5」
「6」
「7」
「8」
「9」
「10」
「11」
「「「「「「「「「「「μ’s、ミュージックスタートー!」」」」」」」」」」」
――――こうして、オープンキャンパスは大成功となり幕が下りた。
やっと、此処まで来ました。
次回も頑張ります!!