ラブライブ!~奇跡を紡ぐ物語~   作:舞翼

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更新です。


第23話 伝説のメイド

「あの~……凄く暑いんですが……」

 

 秋葉原に移動し、穂乃果の発した第一声。……全員(俺と竜也は除く)がサングラスとマスク、コートを着てりゃ暑いに決まってるけど。

 

「我慢しなさい。これがアイドルに生きる者の道よ」

 

「でも、これは……」

 

「逆に目立っているかと……」

 

「あーもうっ、バカバカしい!」

 

 絵里、海未、真姫と続く。真姫に関しては、完全に文句やん。てか、にこ先輩がいうには、『メンバー』と『部員』は同じ扱いらしい。

 そんな時――、

 

「翔太!こっち来い!」

 

 竜也が手招きしてる場所は、何処かの店らしい。つか、テンション高すぎだろ……。

 俺の視線の先には、アイドル専門店があった。ともあれ、店内に入って行く一行。

 

「うわ~……!」

 

 店に入ると花陽が感嘆の声を上げていた。まあうん、アイドル好きの花陽にとっては宝の山だね、こりゃ。

 

「かよちん、これA-RISEの!」

 

「こんなにいっぱいあるなんて~……!」

 

 A-RISEのグッズ。というより、全てのグッツがアイドルグッツではなく、スクールアイドルグッツという事に気付いた。てことは、μ’sのグッツもあったりして?解らんけど。

 

「……スクールアイドルの専門店、ですか?」

 

「……あんた、何で疑問形なのよ。まあいいわ、ここは最近オープンしたスクールアイドルの専門ショップよ」

 

 ラブライブっていう大きな大会が開かれる位だし、在って当然なのかもしれんが。

 

「とはいえ、まだ秋葉に数件あるくらいだけど。まあでも、それだけスクールアイドルが世間に浸透してきてるって事ね。主にA-RISEのおかげでね」

 

「A-RISEですか……」

 

 ――A-RISE。スクールアイドル特集などでは、必ず目にする名前だ。つーか、スクールアイドル=A-RISEっていうのが、世間一般では成り立っている。まあ、不動の一位だから当然なのかもしれないけど。まあでも、俺はA-RISEより、μ‘sの方が断然好きだね。

 

「ねえ、見て見てー!この缶バッジの子可愛いよー!まるでかよちん!そっくりだにゃー!」

 

 急に凛が、俺たちに缶バッチをを見せて来た。つーか……それって、

 

「それ……花陽じゃね」

 

「確かに、花陽ちゃんだよ!」

 

「ええ~!?」

 

 凛が声を上げた。てか、花陽の缶バッチがあったという事は、μ’sのグッツがあるという事だ。まあそういう事なので、一行はその場所へ向かう。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「ううううう海未ちゃん!ここここれ私たちだよぉ!」

 

「おおおお落ち着きなさい!こここれは何かの間違いです!」

 

「みみみみμ'sって書いてあるよ!石鹸売ってるのかな!?」

 

「なななな何でアイドルショップで石鹸売らないといけないんです!」

 

 動揺するのは解るが、石鹸でもなければ、人違いでもない。紛れもなく本人たちである。

 

「どぉきなさーい!!」

 

 にこ先輩は、声を上げながら俺たちをかき分けて来る。どうやら、自分のグッツを探しに来たらしい。……てか竜也さん。既にμ’sのタオル買ってるとか、行動早すぎない。まだ、店内を見て回ってるみたいだけど。

 

「あれ!?私のグッズがない!どういう事!?」

 

「入荷されてないんじゃないかにゃー」

 

 おいこら、凛。それは触れちゃいけない言葉だからね。ともあれ、にこ先輩は必死にグッツを見回す。

 

「あ、あったぁ~……!私のグッズがあったわよ……!」

 

 にこ先輩は、若干涙を浮かべていた。……確かに、今まで一人でアイドル研究部を守り、アイドルに情熱を注いできた。

 しかも、自分がグッツになる。それはかなりの感動があるのだろう。

 

「こうやって注目されているのが分かると、勇気付けられますよね……!」

 

「ええ」

 

 海未、絵里も喜んでいる。まあ、自分が注目されているのだ。嬉しいに決まってる。

 そんな時、穂乃果に袖を引っ張られる。

 

「ねぇ翔ちゃん。このメイドさん、ことりちゃんだよね?」

 

「そりゃ、μ’sのグッツがあるんだから――いや、メイド?」

 

「そう、メイドさん」

 

 俺はその写真をまじまじと見た。……うん、これは天使だね。間違えない。

 その時――、

 

「すみません!」

 

 店の外から聞き慣れた声がした。

 ――振り向くと、メイド服を着たことりが居た。

 

「あのっ、ここに写真が……私の生写真があるって聞いて……。あれはダメなんです!今すぐなくしてください!」

 

「――ことりちゃん?」

 

「――ことりか?」

 

「――ことり……何してるんですか?」

 

「ひゃっ!?」

 

 俺たちの答えず、ただずっと俺たちに背後を向けていた。ようやく意を決して動き出したかと思えば、

 

「コトリ?ホヮッツ?ドゥナタディスカー?」

 

 開封済みのガチャの蓋を2つ目に当て、外国人のような言葉を発した。いや、バレてるから。皆にバレてるから。

 

「わぁ!外国人!?」

 

 前言撤回。……バレてなかった。凛には外国人に見えたらしい。

 

「ことりちゃん、だよ」

 

「……うん、何処からどう見てもことりだな」

 

「……そうですね。幼馴染の顔を見間違えるはずがありませんから」

 

「チガイマァス!ソレデハ、ゴキゲンヨ~ウ……。ヨキニハカラエ、サラバッ!」

 

 ともあれ、海未と穂乃果がその後ろ姿を追いかけて行く。

 

「ウチも探しに行くね」

 

 そう言って別方向へ歩いていく希先輩。何故逆方向?と思ったが、スピリチュアルで場所が解ったのだろう。……何それ怖い。

 とにかく、ことりを捕まえたのは希先輩だった。メールで指定された場所へ向かうと、そこは俺と竜也が一度入った事があるメイド喫茶だ。……つーか、ことりの正体ってもしかして――、

 ともあれ、ことりが働いているバイト先に入る事になった。

 

「こ、ことり先輩が、このアキバで伝説のメイド。ミナリンスキーさんだったんですか!?」

 

「そうです……」

 

 花陽の問いに、目の前に座っていることりは目に見えて沈んでいる表情をしていた。これに過剰反応したのは、俺の隣に座っていた竜也だ。

 

「ことりさんっ!サインください!」

 

 ……つか、何で鞄から色紙と黒色のマーカーペンが出てくるの?まあコイツの事だから、いつも完備していたのだろう。こういう時の為に。

 

「う、うん。いいけど」

 

「よしゃ!オレの家宝にします!」

 

 家宝は言い過ぎのような……。てか、いつもミナリンスキーと一緒に居たとは驚きである。つか、ことりは、若干気圧された感じだぞ、竜也さんや。

 サインを貰った竜也はとても満足そうである。なんつーか、幸せオーラが凄い……。

 

「……竜君の変わりようは、花陽ちゃんに若干似てるね」

 

「……まあな。今の竜也は、アイドル関連になると暴走するし」

 

 でもまあ、今は――

 

「ヒドイよことりちゃん!そういう事は教えてよ!」

 

「そうだぞ。ことり」

 

「うぅ~……ごめんなさいぃ……」

 

 俺と穂乃果の声に、バツ悪そうなことり。

 

「「言ってくれれば遊びに来て、ジュースとかごちそうになったのに!!」」

 

「「そっち(かにゃ)!!」

 

 俺と穂乃果の言葉に、花陽と凛が突っ込む。冗談はさておき――、

 

「じゃあ、この写真は?」

 

「店内のイベントで歌わされて、撮影、禁止だったのに……」

 

 俺の質問に答えることりはそう答えた。

 

「じゃあアイドルって訳じゃないんだね」

 

「うん、それはもちろん」

 

「ことりちゃんが働いてるのは分かったけど、何でここで働いてるの?」

 

 穂乃果が本題を切り出した。

 

「ちょうど5人でμ'sを始めた頃……」

 

 俺たちは雑用だけどね。

 

「帰りにアルバイトのスカウトされちゃって……。自分を変えたいなって思って、私、穂乃果ちゃんや海未ちゃん、翔太君や竜也君のように何もないから……」

 

 そう話すことりの表情は、俯き暗い。てか、俺たちも何もないような気もするけど。

 

「何もない?」

 

「穂乃果ちゃんみたいに、みんなを引っ張っていく事もできないし、海未ちゃんみたいに、しっかりもしてない……。それに、翔太君や竜也君のようにみんなを支えることもできない……」

 

「そんな事ないよ!歌もダンスも、ことりちゃん上手だよ!」

 

「衣装だって、ことりが作ってくれているじゃないですか」

 

「少なくとも、2年の中では1番まともね」

 

 穂乃果、海未、真姫のフォローが入る。それでも、ことりの表情はまだ暗いままだった。

 

「ううん、私はただ、みんなに着いて行ってるだけだよ……」

 

 それからことりは休憩が終わり、バイトに戻って行った。

 俺たちもある程度注文し、食事をしてから帰る事になった。……余談だが、俺と竜也は“萌え萌えオムライス”を頼んだ。……皆の視線が痛かった。……竜也、後で締める。

 

「またねー!」

 

「あっ、この事は、お母さんには内緒だから!学校では、しーっ!」

 

「うん、分かった!」

 

「おう、またな!」

 

 そう言って、俺たちは帰路に着いたのだった。




次回も頑張ります!
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