あの後、竜也と秋葉原のメイド喫茶に訪れてから、途中の別れ帰宅する事になった。……にしても、制服でメイド喫茶とか、目立つったらありゃしない。まあ、竜也の奴は、これといって気になって無かったらしいけど。
――閑話休題。
俺が歩道を歩いていると、金髪ポニーテールに音乃木坂の制服と、ある人物を連想される人が前を歩いていた。いやまあ、十中八九、俺が脳内で一番最初に浮かんだ人物だと思うけど。
声を掛けようか迷ったが、声を掛ける事にしました。
「えーと。……絢瀬だよな?」
呼び掛けた人物は足を止め、肩をビクッと震わせこちらに振り向く。
「……び、ビックリしたわよ、後藤君」
「いや、悪い悪い」
俺は苦笑し、絢瀬の隣に並ぶ。
「……ホントかしら。悪びれて無い感じなんだけど」
おい、膨れっ面するな。惚れちゃうだろ。いやまあ、冗談はさておき、
「悪いと思ってるから。てか、学園での表情と変わり過ぎだからね」
「そ、そうかしら。いつも通りだと思うのだけど」
「……いつも通りがあの硬さとか、近寄り方過ぎるだろ。いや、知ってたけどさ」
こっちの表情の方が、100倍話しやすいしね。……今、ふと思い出したが、買い物行くの忘れた。引っ越した直後だから、冷蔵庫に何もないし。
「(ま、カップラーメンでいいか)」
栄養が偏ってしまうだろうが、今日明日くらいなら大丈夫だろう。
「それより、後藤君。スクールアイドルの練習はどうしたのかしら?……私はまだ認めてないけど」
「ったく、そういう所は硬いんだな。俺は、今日はお休みだ。クラスの男子と親睦を深める為、メイド喫茶行ってたから。先に言っとくが、俺の趣味じゃないからな、断じて」
「……メイド喫茶ね」
絢瀬は、若干呆れ顔だ。
「おい、その顔は止めろ」
「あら、どんな顔をしてたのかしら?」
「……こ、この野郎……」
話してる内に、桜坂アパート前に到着したようだ。
「まあいいや。俺はここで失礼するよ。夕食買いに行かないといけないし」
そう言って、コンビニに足を向ける。
さてさて、何味にしようか?無難に醤油か、ここは間を取ってシーフードにしようか?
そんな時――、
「夕食がコンビニ弁当とか言うんじゃないでしょね?」
「そうだけど。正確には、カップラーメンだ」
「そ、それじゃあ栄養が偏るじゃない」
「いや、だって、家の冷蔵庫には何もないし。今からスーパー行くのはメンドイし。ま、そういう事で。またな、絢瀬」
そう言って、俺はこの場を後にしようとする。
「ちょ、ちょっと待ちなさい。……はあ、しょうがないわね。何か作ってあげるわ、感謝しなさい」
「別にいいって」
「人の厚意は、親切に受け取るのが礼儀じゃないかしら。だから、家に来なさい」
俺は目を丸くしたが、数秒で元の状態に戻る。
「いやいや、何でそうなる。俺男。絢瀬は女。この意味解る?つーか、家に上げるっていうのが、そもそも間違ってるからな」
出会って一日しか経過してない野郎と家に上げるとかダメでしょ。
それから口論になったのだが、如何せん、俺は口喧嘩?が弱いんだった。だからまあ、お邪魔する事になりました。
俺は肩を落としながら、絢瀬の横に並び歩き出した。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
「ここよ」
「いや、知ってたけど」
「えっ!後藤君ってストーカー?」
「おい、近所なんだから住んでる場所くらい知ってるだろ。部屋番号までは知らないけどさ」
「冗談よ」
指紋認証で扉を開け、ロビーに入っていく絢瀬。……外見といい、内装といい、指紋認証で扉が開く事といい、俺のアパートとスケールが違いすぎる。遠目で見て高級マンションって解ってたけどさ。階段を上がり二階に到着すると、201号室の扉の前で止まった。どうやら、此処が絢瀬の住む部屋らしい。
ちなみに、俺が住みアパートは、鍵を施錠するだけである。何この差。
――閑話休題。
ポケットから鍵を取り出し、絢瀬が扉を開ける。
「ただいま」
「お、お邪魔します」
絢瀬の後に続いて部屋の中に入ると、奥の方からドタドタと足音が聞こえてきた。
「お姉ちゃん!お帰りなさい!」
弾丸のように亜里沙ちゃんが、絢瀬の体めがけてタックルを繰り出す。絢瀬は手慣れた感じでその女の子を優しく抱き止めた。亜里沙ちゃんは、やっぱ天使だね。いや、女神だね。
「全く……だから、毎回毎回危ないって言ってるでしょ?」
「えへへ~、ごめんなさい。……あれ、お姉ちゃん。私の見間違えじゃなかったら、翔太さんが立ってる気がするんだけど」
「ええ、後藤君は私が連れて来たわ。……夕食がコンビニ弁当なんて、見逃せないわ」
「……いや、正確にはカップラーメンだから」
うん、分かってた。俺の突っ込みは無視だよね。
「翔太さんも、亜里沙の言う通り遊びに来てくれたんですね!」
だから、俺の胸に飛び込むな。かなりの勢いである。
てか、今更だけど、どうしてこうなった。俺、選択を間違えたんじゃないか。学園では、火花を散らしてた2人だぞ。
つーか、亜里沙ちゃん離れてくれ、絢瀬の背後からドス黒いオーラが見えてるからね。
「あ、亜里沙ちゃんそろそろ……。俺、このままだと死んじゃうから。殺気で殺されちゃうから……」
「何のことか解りませんが、りょうかいしました」
そう言って、亜里沙ちゃんは離れた。どうやら、死刑は免れたらしい。
ともあれ、絢瀬の案内の元リビングへ通され、俺はテーブルの椅子に座った。てか、周りの備品とか、ほぼ高級品じゃねぇか?絢瀬って、お嬢様なの?
数分座っていたら、料理が運ばれ、テーブルの上に置かれていく。鮭の切り身に、ほうれん草のお浸し、肉じゃが、若芽味噌汁と、和食オンリーである。
「……なあ絢瀬。お前、和食が作れたのか。てっきり、洋食か中華かしか作れないかと」
「今、和食は練習中なのよ。だからまあ、後藤君は実験体になってもらいます」
「……あれか。俺は毒味係って事か」
「失礼ね。ちゃんとした食材を使ってるんだから、毒って事はないわよ。まあでも、ほうれん草のお浸しは初めてなの、感想を聞かせてね」
「はあ、了解しました。お嬢様」
席に着席し、箸を持って合掌してから料理を口に運ぶ。てか、かなり旨い。店に出しても遜色ないレベルだ。
「……お前、これ本当に練習中か。レストランで出せるレベルだぞ」
「そ、そう。そんなに美味しいなら、タッパーに詰めて持って帰ってもいいわよ」
「マジか。助かる」
それから俺は、絢瀬家で夕御飯を頂いた。また、亜里沙ちゃんの希望もあり、少し遊んでから帰路に着いたのだった。
あ、あれー……。翔太君、絵里とまだ会ってから一日しか経ってませんよォ。
いやまあ、この件は、何処かで必要になる気がしたので書いたんですけどね(笑)
では、感想お願いします!!