「――――――はぁ?」
突如、都市国家を覆い尽くす闇の粒子が展開される。アインズ・ウール・ゴウンに支配されたエ・ランテルにて第三諜報部隊・
反粒子を放出し結界として機能させるだけなら、その形は千差万別。
屋敷に飾る大きな壺。停留させた馬車。はたまた棚やテーブル、椅子に至るありとあらゆるそこに在って当然な物を結界を展開する起点として効率よく配置されている。一度展開されれば装置が破壊されるか展開稼働限界、一時間のタイムリミットまで活動可能だが、敵の破壊を考慮するともってその半分以下、約十五分が限度。
故に――――――
「創生せよ、天に描いた星辰を――――――我らは煌めく流れ星」
作戦は実行される。本来この戦場に立つ予定など無かったルシード・グランセニックとは違い。魔を殲滅する輝ける騎士が煌めいた。
「百芸に通じる光の長腕よ。汝が養父より受け継いだ秘宝の槍を見せてくれ。
おお、なんと凄まじい。稲妻を鋼に固めた灼熱が、五条に分かれた穂先の奥で今も激しく唸っているぞ。 必中、殺戮、破邪、勝利、そして輝く栄光がこの魔槍には宿っているのか。
投擲すれば震天動地、いかなる敵が相手でも覇の一撃には耐えられん」
使命を知り、それを担うことを己に誓った者。それのみが形にし得る、神聖にして不可侵の詠唱が響き渡る。
「さあ、往くがよい。邪眼の王は目前だ。 蹂躙せよ、戦の誉れをその手に掴め。旧神の弾劾さえおまえの道を阻むに能わず」
それと共に高まりゆく見えざる緊張。巨大な力が到来する臨界寸前の気配に、大気が音もなく震撼していた。
光輝に満ちた灼熱の槍――――――名を轟かすは、貫くもの。
荘厳な神威を湛える鋼の星が、信徒を希望で照らすべく集束しながら具現する。
「
――――――そして、流星群は発動した。戦場を遍く覆い尽くす光の豪雨が雪崩の様にシャルティアを巻き込みルシード達を包囲していたアンデッドへと降り注ぐ。殺到した無数の煌めきが、一帯をすべて蹂躙する。それは一条一条が灼熱する閃光の槍であり、人類に仇名す敵を問答無用で串刺しの屍に変える神威の裁きに他ならない。
範囲全域に対する飽和殲滅を目的とした爆撃。故にそれは、有象無象の区別なく戦場そのものを覆い尽くす。
その能力は光熱操作能力。集束性、拡散性、操縦性に秀でた資質は誘導性のレーザーという強力な星光として発現した。 ミステル・バレンタイン――――――
よって、
「アヤちゃん、ブラザー、後のタイミングは任せた!」
「任された!」
「了解です!」
『創生せよ、天に描いた星辰を――――――我らは煌く流れ星』
ブラザー・ガラハッド、アヤ・キリガクレ。二人の魂の
「己が尾を噛む世界蛇め、この稲光を見るがいい。
不信心たるおまえにも、我が鉄槌に煮え滾る、神の
悔い改めよ、さすれば慈愛を与えよう。
無病息災、子孫繁栄、浄化の
拒むというなら問答無用。戦の篭手と神通力の帯を締め、天津の裁きを下そうぞ。
黄昏に包まれながら、怨敵よ。さあ
彼は並ぶ者なき剛力の騎士となり、その鉄槌であらゆる敵手を鎧袖一触と叩き潰す。
「
能力は筋力増強能力。
他に類を見ないほど極端な一点特化の性質が特徴。
単純な筋力上昇効果をひたすら突き詰めた異能であり、発動すれば怪力乱神。
神に仇なす者すべて、ブラザー・ガラハッド――――――
「絶望に染まる飛沫が波打ち際に押し寄せた。憐れで無力な生贄は、失意の浜辺に暮れなずむ。さようなら、愛しき日々よ、さようなら、わたしの愛した思い出よ。
この血も肉も、心も嘆きも皆すべて。神の怒りを慰撫すべく海の魔性に捧げましょうや。
されど鎖を切り裂いて、希望が天より舞い降りた。
ああ、なんという幸福だろう。石化していく悪夢を前にかつてない喜びがこの胸の奥から溢れるのです。
誉れの英雄、白馬の貴公子――――――願わくばどうかお傍に置いてほしい。
この血も肉も、心も嘆きも皆すべて。愛しき人よ、あなたのために」
使い捨ての発動体である鋼糸を優雅に手操る、頼もしくも優雅なその姿。
そして優雅にして激烈なその魂。アヤの詠唱が炎と影を縫うように朗々と流れ出す。
空間を裂き飛び展開する。肉眼で捕捉できぬほど極細の
「
これこそが、アヤの超新星、限定的な金属操作。
操り糸として操りながら、爆発を起こす鎖縛の絶技。己が特質を昇華させた彼女独自の闘法が炸裂する。
「
放たれる幾条もの光線は途中の障害物を悉く焼き切って、
それは煌めきの檻、逃げ場など何処にもない足止めの攻撃。
勝機は今この瞬間――――――シャルティアが勝利を確信したこの時だからこそ、この奇襲に意味がある。
彼等では絶対に勝てない。可能性は零ではないとしても、根本的地力の差――――――生物としての性能が圧倒的にかけ離れている。
ミステル全力の足止め。シャルティアを孤立させる為だけの絨毯爆撃。煌めく光彩が魔王の軍勢を消滅させる。
「ぬおおおおおおおおおおおッ!」
ガラハッドの雄たけびが空気を震わせ、振り下ろされた巨大戦槌が大気ごとシャルティアを叩き飛ばす。
「――――――捉えました」
その信頼に応えるかの如く、踊る鋼糸が闇夜を舞った。
吹き飛ばされたシャルティアは蜘蛛の糸に囚われた蝶のように絡めとられる。
刹那、捕縛の鋼糸が火花を散らし、エ・ランテルに張り巡らせた網が花火を散らした。
シャルティアと恐怖公を絡め取っていた糸の爆発に飲み込まれて炎上する。
だが、この程度で死ぬ訳がないと分かっているから。
「これでどうよ!!」
尖端に光輝を集束する突撃槍。乾坤一擲の聖なる光を操りシャルティアに照準を合わせた。
これで終わらせる――――――覚悟を宿した
目が眩むほどの光輝が戦場を包み込み灼槍の咆哮に射抜かれた――――――
――――――『ゴキブリ』が。
シルバーコーティングされたゴキブリ、シルバーゴーレム・コックローチがシャルティアを押し退け変わり身として溶け落ち融解する。
「……冗談でしょ。あり得ないでしょ普通ッ」
「常識を疑うのは此方です。宣戦布告も無しに一撃で滅ぼしにかかるとは紳士とは言えませんぞ?」
貴族然とした振る舞いと衣装を身に纏った体高30cmほどの直立したゴキブリが立ちはだかる。
そもそも私達より強いゴキブリだとか、目の前の高貴なゴキブリとかツッコミどころ満載なのだが、それより問題なのが。
「……このウジムシ共がぁぁぁぁ、調子に乗るなあああああああああああ!!」
level100の力はこの世界では絶対。法則の隙間をすり抜けて攻撃だけは通じるにしても、耐久性は人間のまま。
シャルティアには絶対に勝てない。奇襲が失敗した時点で彼等は詰んだのだ。
物理法則を越えた機動性を前に、なす統べもなく死が迫る――――――でも。
「密度を薄くして広範囲にばら撒いて正解だったようね。コイツの相手は貴方にしか無理よ」
白い燕尾服をたなびかせ、男が戦場へと到着する。
「
不可視の力が激しく膨れ上がり、時空を歪めシャルティアにぶつける。
その出力は先の比ではない。軍隊単位に力を拡散させていた力を集束させた全力の出力。
「あぎぃッ!」
シャルティアはなすすべもなく地面に叩きつけられる。ミステルの鼻先まで迫っていたランスが虚しく地へ沈む。
不可視の力――――――その能力の正体は、 磁界生成 。
自己を中心に磁界を発生させ、不可視の支配領域を生み出す
斥力・引力の発生、対象内の鉄分干渉による捕縛、鉱物操作、磁力付加による高速移動、S極とN極の付与等磁力操作によって可能な現象に関しては、思いつく限りほぼ全てを可能とし、ほとんどの物質に影響を及ぼす磁力を操作するという特性上、高すぎる汎用性を持つ。
無力化するアンデッドの中でも、シャルティアは相性最悪の吸血鬼。
アンデッドではあるが、吸血鬼であるが故に
「――――――ッ、分かってはいたけどなんて力だ」
身動きを封じるだけで全能力を使ってしまった。level100の絶対的な力はルシードから凡用性を奪い去る。
ルシードもシャルティアも身動きが取れない、だからこその彼等だ。
「今度こそ、終わりよッ!」
アヤとブラザーが邪魔が入らないよう残りのアンデットと悪魔、悪の権現ゴキブリを足止めする。反粒子の結界は
今度こそ、集束した光輝な煌めきはシャルティアを貫いた。
「……だから、勘弁してよねッ」
全く同じ容姿の深紅の鎧を纏った化け物。左腕を犠牲に、鎧と肉体の性能だけで魔を滅ぼすランスを逸らし切った。
戦いの場で不測の事態に対し、ミステルは部隊を統率する隊長としての経験と命のやり取りで最善を選択する知識から奇跡に等しい条件反射で叫んだ。
「ルシードくん!」
「ッチ、糞ったれがァ!」
ルシードは闘いを好まない。その能力は生物なら難なく殺害できる最優最高の星辰光だとしても、どこまでも一般人な感性を持つ彼は戦場の空気になれていない。友のため、覚悟を決めて勇気を振り絞って立ち向かおうが、戦いにおける判断がどうしても一手遅れてしまう。全員が死ぬ一瞬の判断を、ミステルが咄嗟にカバーした。
シャルティアを封殺するため割り振ってた全能力の
「――――――エインヘリヤル。嗚呼……頭がすっきりしたで
殺し尽くす。それは確定事項だが、時間がかかる。
シャルティアとエインヘリヤルは守護者最強のポテンシャルを誇っているが、不可視の力により肉体の性能はlevel70以下まで落ち込んでいる。
「所詮それだけ、魔法もスキルも問題なく使用可能。ええ……アインズ様分かっております。パーティを組んだ人間を決して侮ってはならないと、私のために、私だけの為に、……あぁ――――――シネ、でありんす」
『ッ!!』
シャルティア二人に、駆け付けたユリ・アルファ、無限に眷属を召喚する恐怖公。
最優の星
「ルシードくん悪いけど合わせるわよ!」
「その辺臨機応変に頼むよ。戦いは苦手なんだ!!」
四人が一つの塊となり互いをカバーし合う。
変幻自在な砂鉄の刃が全包囲鞭のように撓らせ、鋼糸の罠が容易に接近されるのを防ぐ。流星群は面での攻撃を可能とし、近づいても煌めくランスが接触拒む。その中を大鉄槌が負けじと雄々しく轟音を響き渡らせ、回避を強制させる。
シャルティアの速度が遅くなったとはいえ、人間が認識できる領域を超えている。
影さえ掴めぬ残像をまるで者ともしない。
『
――――――埒が明かない。結界が解除されるのを待つべき?
否、何時解かれるか不透明過ぎる。
――――――このまま現状に甘んじて増援を待つべき?
否、増援は断たれた。敵が増える可能性の方が高い。
ならば――――――嗚呼故に。
「勝った」
口角が吊り上がり勝利を確信する。
観察した、levelも構成も武器もスタイルも把握した。
器用に展開する砂鉄の刃は仲間をカバーする攻防一体。アイツさえ居なければ一人を殺すのに一秒もかからない。
その結論が、絶対に揺ぎ無い己の勝利――――――勝利の方程式。
「エインヘリヤルゥゥウウウウウウウウ!!」
直進する。消滅され、爆発され、手足が切られ、美しかった美貌は醜くなり果てても――――――
「ぬおおおおおおお!!ふ・ん・さ・い!!」
煌めく流星群も、振り下ろされた鉄槌も欠損した身体を利用し的を小さくし避け切って見せる。
「ガァウ!!」
そのまますれ違い様にブラザー・ガラハッドの脇腹を吸血鬼の強靭な牙が通過する。
戦うことが不慣れな男が、全員をカバーしながら隙無く展開するのは限度がある。いくらルシードに合わせて仲間が臨機応変に負担を少なく動こうが肉体的にも精神的にも消耗は避けられない。ルシードの集中力のブレた瞬きを間隙した。
「――――――ッ、ぬかったか」
「ガラハッドさん!!」
膝を折り根こそぎ喰われた腹部を押さえながらその心は屈しない。ガラハッドに殺到するゴキブリとユリをアヤが牽制する。
「ふざけんじゃないわよ不死の怪物がァ!」
光輝を纏ったランスを薙ぎ払い消滅させる――――――これにより連携は崩れた。
「一番強いお前を真っ先に殺す。とっとと塵になれよ塵がァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「……本性が顔にも出てきたぞ吸血鬼」
ルシード以外誰も反応できない。実直に獲物を定めシャルティアはスキルを発動させた。
「不浄衝撃盾ッ!」
1日に2回だけ使えるスキル。赤黒い衝撃波を自身の周りに発生させ、防御と攻撃を同時に行う。
磁界生成の不可視の結界を消し飛ばし、無防備となった身体に叩き込まれる衝撃波は内蔵と骨を粉砕し、その命を消し飛ばす。
「終わり、でありんす。脳漿ぶちまけろや負け犬」
生きてるのが奇跡、その体は一般的と大差のない只人。誰よりも優れた星を宿してしまった負け犬。
「知ってるさ……僕は所詮負け犬だ。だから――――――」
地の底で足掻くのだ。
痛いのは嫌だ。分不相応な肩書も名誉も重たいだけだ。嫌だ嫌だ嫌だ、逃げて逃げて逃げて――――――そんな人間の屑でも、大切な守りたいものはあるから。
「シャアアアアアアアアアッ!!」
勝利の歓喜とルシードを殺害する喜び――――――その間隙に魔拳士が捻じ込む。
コンマ一秒にさえ満たないシャルティアの隙、意識の狭間へ魔拳が奔った。
「がふ、ツ……ァ、アア……」
鎧さえ破壊することが叶わない
発動――――――時間逆行。1日に3回だけ使えるスキル。自身の肉体の時間を巻き戻し、致命傷も一瞬で修復する。
故に理解する。自分は一度死んだのだ。心臓と脳を破壊されるその瞬間まで気配さえ感知できない隠匿技術。
エインヘリヤル――――――自身の分身を作り出す。物理攻撃しか出来ないが、ステータスは本体と一切遜色が無い。文字通り切り札。ソレを消費してこの無様。
「――――――あ、」
キレタ。シャルティアの中で決定的なナニかが手遅れなほどに――――――
肉体の負荷が増していく、このまままた塵虫のように無様に頭を地に落とされる。
自由が奪われる。負ける、まける、マケル――――――敗ける。
「
話が延びるぞ!これも全部トリニティが悪いんだ(責任転嫁
アスラと爺好き。あのラストバトルで燃えない奴はホモじゃない(え?
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