ケロちゃんのヒーローアカデミア! 作:諏訪子大好き
根津
「さて、会場の評価を行おう。まず、気になった生徒を13号君に報告してもらおう」
「はい。ボクが気になったのは2233番ですね」
「2233は爆豪少年か」
「彼の"個性"は爆破だね。ヴィランポイントのみで54点をだしている」
「レスキューポイントがゼロなのは頂けないぜ」
「それはこれからだろう」
「まあ、彼は合格でいいだろう」
「はい。ぼくもそれでいいかと」
他の先生達も納得してくれたので、彼は合格とする。
「で、次だね。あの子……受験番号3042番だ」
「3042番。名前は蛙吹諏訪子。14歳にしては身長はかなり低いようね」
「彼女の提出されている"個性"は坤を創造する程度と記載されている」
「坤ってなんだ?」
「八卦で地を表す言葉だよ。そして、この読み方からして地を創造する程度の"個性"ということになるね。程度かはわからないけれど」
「今回入学する八百万百君と同じ系統の能力だね」
八百万百は分子構造まで把握した生物以外の物ならなんでも生成できる強力な"個性"創造を持っている。頭も運動能力もいいから、特待生として入学させたんだ。そんな彼女と同系統の能力を持っているのが、この蛙吹諏訪子という少女だ。
「しかし、彼女よりもレベルは高いようですよ。何せ、生命を創造しています」
「この石でできた白い蛇達か」
「はい。彼女はそれをミシャグジさまと呼んで使役していました」
「ミシャグジさまってなんだ? 蛇の名前か?」
「神だ。一部地方で信仰されている災神の名前だ」
「おいおい、神ってオカルトかよ」
「そうともいえないんだよね。これをみてくれ」
ミシャグジさまと呼ばれる蛇達に壊された仮想ヴィランの映像をみせる。その身体の一部は崩れ去って崩壊している。少し巻き戻せば噛みつかれた瞬間から崩壊が始まっているのがわかる。
「噛まれれば終わりか」
「少なくともろくなことにはならないだろうね。また、この蛇が通ったあとだけど……何故か植物の成長が異常な速度で行われている」
「それについても調べておいたよ。ここ半年間で長野県の農業や林業などが豊作になっている。例年と比べて約三倍の量が半年間で収穫されている」
居るだけで回りに祝福を与え、敵対者には災いを与える。これが彼女が"個性"で生み出したミシャグジさまと呼ばれる蛇の力だね。
「ってことは、だ。こいつはひょっとしたら人間も作れるのか?」
「生命の創造が可能ということだから、おそらく可能なのでしょうね」
「現時点で可能かはわかりませんが、少なくとも彼女がこのミシャグジさまと呼ばれる蛇を数百匹単位で生み出していることはわかっています。また、同時に彼女が移動してきたルートを調べたらいいかも知れませんね」
「調べさせよう。おそらく、花咲じいさんみたいなことになっているだろうが……」
「育て方を間違えたら危ない餓鬼の一人だな」
「そうだね。この赤色で高速回転する鉄の輪だって、かなり強力な武器だ。これも"個性"で作りだしているんだろうが……相手をするのは大変そうだ」
「オールマイトだったら倒せますか?」
「私なら、相澤君と組んで即座に制圧するのが一番かな。まあ、これだけレスキューをしているのだから、性格は問題ないかも知れないが……」
「いえ、それがそうともいえません」
「13号?」
彼女の性格に問題があるのはいただけない。
「力に奢っているのか、傲慢です。まず、彼女は最初っから力をだしていませんでした。ハンデとして他の受験生に時間を与えています」
「別にいいんじゃないか?」
「優しさとも受け取れるしな」
「彼女はレスキューポイントのことを知っていたようです。蛇達に救助も命令していました。そのことから、わざと最初に全てを倒すのではなく、傷を負って受験生が疲弊するのを待っていた可能性もあります」
「だからこそ、このポイントか」
蛙吹諏訪子のポイントは235ポイント。会場には仮想ヴィランが全体で250ポイント。レスキューポイントが250ポイント。合計で500ポイント分、用意されていた。一人で全体の半分近くも稼ぐのは凄いことだよね。
「それにビルを倒壊させて偽装こそしてありますが、映像を解析させた結果。あの蛇達は既に作り出されていたものを自分の身体や地面の中に潜ませていたことがわかっています」
13号君から提出されたデータを見る限り、地中に無数の特殊な存在が彼女と共に移動していることがわかる。
「今回の試験は持ち込みオッケーだから問題ないだろ」
「そうだね。でも、これは別の問題も含んでいる。まあ、いまはいいだろう。それよりも、彼女の合否だよ。もっとも、彼女を不合格にはしないけれど」
もし、彼女を不合格にしてしまえば……恐ろしいことになる可能性がある。彼女がヴィランになるという可能性だ。そうなれば我々ヒーローは窮地に陥ることになるだろう。
彼女の可能性、それは大地に蛇を仕込ませることができるということ。雄英の地下だからこそ、観測できたけれどこれが町中ならこうはいかない。
予算を湯水のように使えば観測装置をとりつけることもできるだろうけれど、そんなことはできないだろう。そうなれば……彼女はほぼ自由となり、日本中の食料を腐らせたりしてしまうかもしれない。そうはならないようにボク達が導かなければならない。
「では合格ですね。筆記の方は……まあ、かなり点数が低いですがギリギリ合格でしょう。彼女の姉である蛙吹梅雨は筆記はほぼ満点。ヴィランポイント33ポイント。レスキューポイントが64ポイントです」
「うん。彼女もレスキューポイントがあることをわかっていたようだ。こちらから流れたのかも知れないね。まあ、彼女も合格だ」
「では、次に緑谷出久君だね」
今回は色々と面白い子達が多そうだ。
「お姉ちゃん、雄英から合格通知が届いたよ~」
「そう。一緒にみましょう。どうせ諏訪子は合格でしょうけれど」
「お姉ちゃんもだよ。お姉ちゃんが不合格なら、祟ってやるんだから」
「やめなさい」
手紙を開けると投影装置が入っていて、宇宙服を着た13号先生が映し出された。
『こんばんは。雄英高校の先生である13号です。今日は蛙吹姉妹のお二人に合否をお伝えします』
「待ってましたー!」
「それで、結果はどうなの?」
『お二人は合格です。おめでとうございます』
「やったね、お姉ちゃん! おめでとう!」
「ええ、おめでとう諏訪子」
「お母さんに伝えてくるねー」
私はすぐに出て行く。後はお姉ちゃんに任せておけばいいしね。
「おかーさん、おかーさん、二人共受かったよ」
「あら、じゃあ今日はお祝いね。おばあちゃんもこっちに来るらしいし、皆でお祝いしましょう」
「飾り付けをするね」
「お願いね」
頑張って楽しもう。私としての残された時間を頑張って生きないと。大切に思える家族と一緒の時間をね。